向日葵を忘れられなくて♥

シリーズ第2弾「向日葵を忘れられなくて供彜扱襪靴泙靴植

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅河


「私、小さい時この家が嫌いだったの。必死でいい子を演じさせられてる
みたいで、重圧に押しつぶされそうだった。だけど今は。
サキちゃんを育てて、本当に親のありがたみが身に沁みたの・・・。
産んで良かったって心から思ってる。私、馬鹿だった。
こんなに小さいのに沢山の事を私に教えてくれてる。凄い先生なの」

養子に出すと言ったマキは誰だったのか。今、俺の目の前で微笑むマキは、
何よりも子供を愛しいと想う、守るものを持った優しく強い母親の顔をしていた。

マキ、俺嬉しいよ。もう安心してもいいんだね?

「私ね・・・自分の事、やっと少し好きになれそう。今まで、女なんて損。
って思ってたけど、今は生まれ変わっても女になりたいって思ってる。
そして、始めからやり直したいの」
「今からでもやり直しは出来るって。頑張って良い人を見つけなよ」

照れたように笑ったマキはとてもキュートだった。
険や角が取れ、初めて逢った時よりも すっきりとした美人に感じた。

「サキちゃんの為に、私、もう間違った事はしないわ。
私の背中を見て育つんだもの。正しい事をしないと」

母の顔になったマキを見て、産んだだけでは、母親にはなれないんだと思った。
育てて初めて母親になる。子供と共に成長して行くのだろう。

「そろそろ行くよ。彼女が車で待ってるんだ」
「そうだったの?ごめんなさい。私一人で話しちゃった。
あの・・・良かったら挨拶がしたい・・・駄目ならいいけど」

俺は快く頷き、マキと一緒に車に向かった。
待っている間に、車の窓ガラスを拭いていたらしいユキコは、俺達に気付いて
パッと雑巾を後ろに隠し、気を悪くするでもなく、恥ずかしそうに笑った。
元妻と、次期妻の対面だけど、俺に変な汗は出ていない。
マキとユキコも穏やかに微笑んで会釈をした。

「あの」

ユキコに向かって一歩踏み出し、そう言って下唇を噛んだマキは、
少しためらった後、口を開いた。

「・・・ユウジ君を宜しくお願いします!幸せになってください!
それだけどうしても言いたくて。それじゃ・・・」

少し後ろで二人を見ていた俺に、マキは向き直った。

「さよなら」

ユキコが言葉を発する前に、マキは深く一礼して、小走りで来た道を戻った。
俺は、言葉も無く後ろ姿を見ていたが、彼女が家に入るのを見届けると、
温かい気持ちに満たされたのを感じた。

さよなら。君こそ幸せになれよ!いい女なんだから。

離婚した時は、いや、ここ最近まで、こんな気持ちになれる日が来るなんて、
全く思っていなかった。マキが変わると、俺の気持ちまでも変わった。
元奥さんを憎むなんて、悲しい事だと思っていたから、余計に嬉しい。

「マキさん・・・ユウジの事が本当に好きだったのね」

・・・・どき・・・・

マキが言った「さよなら」は、もう二度と逢わない。という意思表示に思えた。
鈍感な俺が感じ取れたぐらいだから、ユキコもきっとそう取ったに違いない。
もう俺とユキコの間に、マキの事で悩まされる出来事は起こらないのだろう。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅穎


次の日、マキの家までは二人で行ったが、ユキコはどうしても家に入るのは嫌だ
と言い出した。どうやら一緒に行くと言ったのは、俺一人だと自分に気遣い、
行きにくいのではないか、と思ったユキコの配慮だったらしい。
俺はユキコを車に残し、一人でインターホンを鳴らした。

出て来たマキは少し驚いていたが、快く俺を家の中に入れてくれた。
離婚して4ヶ月。久しぶりに訪れたのに、マキの愛犬リックは俺の事を覚えていて
くれたのか、尻尾をちぎれんばかりに振り、嬉しそうに俺の周りをまとわりついた。


お焼香を済ませた俺に、マキはお茶を出しながらひっそりと言った。

「ママ、寝てるの。一気に疲れが出ちゃったみたい」

リビングに置かれたベビーベッドを覗くと、サキがすやすやと眠っていた。

「俺もゆっくりと休んで欲しいよ。すごく疲れてた感じだったし。
マキは大丈夫か?」
「大丈夫」

マキは俺の目を見て微笑んだ。泣き明かした後なのか、切れ長の瞳の周りは
赤くなっている。そんな顔を見ると、田舎であった電話の事には申し訳なくて
触れられなかった。

「ユウジ君、私、奇跡を信じるわ。だってこの目で見たの。
パパが・・・父が亡くなる前に、一目だけでもサキちゃんの顔を見て!
って病室で祈り続けてたの。そしたら一瞬、意識を取り戻したのよ?
先生も、看護師さんもびっくりしてた。
ゆっくりと目を開けて、サキちゃんを見て、嬉しそうに涙を流して・・・
喋る事は出来なかったけど、マキ頑張りなさいって声が聞こえて・・・
ありがとう。って私・・・感謝の気持ちしかなかった。
その時よ、サキちゃんが初めて笑ったのは。
ママと私、驚いて、こんな時なのに嬉しくて、二人して泣いちゃった」
「そっか。パパはサキを見る事が出来たんだ。嬉しかっただろうね」

マキは目尻に浮かんだ涙を必死にこらえ、高い天井に顔をあげて、
少し間を置いてからまた微笑んだ。

「天国にまで心配をかけたくない。って思うとやる気が出て来たの。
いつまでも病気に甘えてちゃいけない・・・働こうって決心したの」

マキのすっきりとした微笑みに、俺もつられて思わず微笑んだ。

「もしかしたら、前の職場に復帰できるかも知れないんだ。
サキちゃんの為にバリバリ働いて、キャリアを取り戻すの!
ママの事も、これからは私が守ろうって思ってる」
「無理すんなよ?マキはいつも極端だからなぁ」

マキはクスクスと上品に笑った。
一方、お茶に口をつけた俺は、甘くて渋い日本茶が余りに旨くて驚いた。

そっか。そういえば、茶道部だったって言ってたな。

結婚生活中、こんな旨いお茶を淹れてくれた事なんて無かったから、忘れてた。
やけにマキの良い所ばかりが目についた。
こんなに穏やかな会話が俺達の間にあるなんて、信じられない気持ちだった。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅囲


地元に降り立った俺達は、タクシーを拾い、ユキコのアパートへと向かった。
走りだしてすぐにユキコは、外を指差して不満な声を出した。

「今、見た。てか凝視してた。あの女の人の事」
「なっ・・・なんだよ。見てないよ」
「嘘。見てた。不満な事はすぐ言えって言ったよね」

確かに見ていた覚えがあった・・・。胸がデカイなぁって・・・w

でもケンタが見たら喜ぶだろうな。と思ってただけなのに(;´Д`A

「ごめんなさい。見てました。でも寒い中、一人で歩いて可哀想に。
って思ってただけだよ」
「あはは♪冗談でした。ホントに見てたんだ?」

またやられたwしかも小さい嘘をついちまったwwこれぐらいはいいよね・・・?

笑うユキコにヘッドロックをかまし、鼻をギュッとつまんで仕返しをした後は、
女性に気を取られないように、風景(だけ)を見ていた。

ユキコの方が一枚も二枚もうわてな事が、悔しくもあり嬉しくもありw

暫く走ると、大きな寺で行われている葬式が、視界に入って来た。

やたらと大きい葬式だな。花輪の量が半端ねぇ・・・。
って・・・・え?・・・・そんな。まさか。・・・嘘だろ・・・?

「どうしたの?あのお葬式がどうかしたの?」

振り返ってまで見ていた俺を不思議に思ったのか、ユキコが声をかけてきた。

「マキの旧姓だったような」
「きっとそうよ!危なかったんでしょ?ユウジ早く見てきて!」
「え?だって・・・」
「すいません、車止めてください!」

ユキコはタクシーを止めて、自分は車内にいるから見てきてと俺を促した。
普段着で罰が悪いと思いながら、俺がこっそりと受付を覗くと

やっぱりマキの父親の葬儀だった。

丁度終わった所らしく、中から人がゾロゾロと出てき始めた。
男達が立派な棺を担ぎ出し、リムジンに入れようとしている。
遺影を持った母親に寄り添うようにしていたマキを見つけたが、
もちろん向こうは俺に気付くはずもない。

ひょっとしたら田舎であった電話って・・・

リムジンが目の前を通りすぎる時に、マキは俺を見つけたが、軽く会釈しただけに
留まり、車は止まる事なくそのまま走り去った。俺は、その車が見えなくなるまで
義父の冥福を祈り、ただ手を合わせて黙祷を続けた。

「やっぱりパパだったんだ」

声に気付くと、タクシーから降りたユキコが俺の横で、手を合わせていた。

「うん・・・」
「田舎で電話あった時、この事が言いたかったんじゃない?」

きっとそうだ。俺がユキコの田舎にいると知って、黙ってたんだ。
冷たくして悪かったな・・・。

ユキコは涙ぐみ、鼻をすすってから言った。

「いい人じゃない、ユウジの元奥さん」

そうだね。あんなに嫌な奴だと思ったけど・・・。本当のマキは・・・。

暖かい車中に戻り、再び走り出してから、ユキコが迷っている俺を見抜いたか
のように言った。

「明日、マキさんの家にお焼香に行ったら?お世話になった人なんだし」

ユキコはまだ少し赤い目を何度か瞬かせ、自分を納得させるかのように頷いて
付け加えた。

「私も行こうかな・・・」

大胆な発言だと思ったけれど、拒否はせず、俺はただ頷き返した。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖苅肱


朝、二人で荷物をまとめているとカオリちゃんが部屋に入ってきた。
部屋着のジャージではなく、やたらと短いスカートに生足。

ちょっとしゃがんだら見えそ・・・
ハッ(゚Д゚誘惑?

「ホントに帰っちゃうの?つまんなーい」
「またお正月には帰るから。ね?」

あああっそんな格好で目の前をウロウロするんじゃない。
お兄ちゃん、スラっとした足が大好物なんだよぉ・・・

「ふーん。まぁいいや。今から出かけるし〜明日も明後日も忙しいしぃ」

(゜∇゜ ;)エッ!?やけにあっさりしてるネw

「あんた、まだあの彼氏と付き合ってるの?」
「ふふ♡ラブラブだよ♡結婚しようねって昨日もメールで言ってくれた〜」
( ゚Д゚)ハ?

「程ほどにしなさいよ?ちゃんと家には帰ってくるのよ?」
「分かってるよぉ。じゃね、お姉ちゃんお兄ちゃん!バイバイ♪」
「う・うん。バイバイ・・・」
( ゚Д゚)ポカーン

『お兄ちゃんがカオリの誘惑に乗って来たら、お姉ちゃんに言いつけようと
思ってたのにな〜!お婆ちゃんに邪魔されちゃったから、諦めた!
お姉ちゃんが今度こそ結婚に失敗しないように、ってカオリ、心配だったの。
泣かせたら許さないからね!』

トイレに篭り、かなりの時間をかけて昨日のメールをやっと解読。
_| ̄|○オミソレシマシタ

そっか。そうだよな。そりゃ心配するよな。突然帰ってきたお姉ちゃん。
何事かと思うよな。ごめんなカオリちゃん。もうこんな事は無いようにする!



トイレを出ると、お婆ちゃんが部屋から手招きをして、俺を呼び寄せた。

「お前、ワシの誘惑に負けんとは男じゃの」

・・・あなたもですか・・・

「というのは冗談じゃ。話があっての」

話というのは仏壇の事だった。本来はこの家に置いておくものだと。
あまり動かすのは良くないが、いつかこの家に返して欲しいと言う事だった。

「爺さんが死んだ時、ユキコはひどく落ち込んでな。
じゃからつい泣かれて折れてしもた。あの子は、爺さんが死んだのを
自分の世話が足りないからじゃと言っておった。そんな事はない。
誰よりも世話をしたんじゃ。じゃから余計に辛かったんじゃろうの。
・・・孫という欲目を抜いても、あの子はいい子じゃよ」
「僕もそう思います」

俺はベッドに座ったお婆ちゃんを見上げ、正座しなおした。

「じゃからの。リョウジ、あの子を頼んだよ。幸せにしてやってくれ」
「(ユウジですが)はい!必ず幸せにします!」
「仏壇もな。もうユキコにはいらないはずじゃ」

皺々の手を差し出され、俺達は熱い握手を交わした。

「本当はな、お前は死んでしもた息子に良く似とるんじゃ」

ユキコの父親の顔を思い浮かべたが、共通点は背が高い事だけに思えた。

「持ってる雰囲気が似とるんじゃよ。ユキコが惹かれるわけじゃ」

こんなに有難い言葉を他に知らない。恥じないように。と背筋を伸ばした。
うんうんと何度も頷くお婆ちゃんの目尻に、光るものが見えた。





帰り際までも、お婆ちゃんは俺の名前を間違えて呼んだけれど、俺にはそんな
事はどうでもよく、感謝の気持ちが後から後から溢れ出した。
本当に来て良かったと、気を緩めると泣いてしまいそうだった。
楽しくて賑やかで、でも穏やかで、自然で居られて・・・素朴でいて暖かい。
ユキコとなら、そんな家庭が築ける。この家族を見れば分かる。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖苅枯


「だだ駄目だよ。そんな。妹としてならいいけど・・・」

その時襖が開いて、お婆ちゃんがのっそりと顔を出した。

「おお、オセロか」
「あ、お婆ちゃん!お兄ちゃんと遊んであげてたんだ。暇そうだったから」

ヾ(´ε`ゝ ふぅ。。。危機一髪・・・

「近頃老人会もつまらんのぉ・・・集まっても愚痴ばっかりじゃ」
「お婆ちゃん、いつもそう言いながら出かけてる」

カオリちゃんは、俺の右隣に陣取ったまま新しい石を盤に乗せた。

「いや、家にこうして若くていい男がいるとな・・・
皺々のじじぃなんて見たくも無いわぃ・・・ょぃしょっ」

掛け声をかけながら、お婆ちゃんは俺の左隣に座り、いきなり腕を組んできた。

(☉ε ⊙ノ)ノ!今度はお婆ちゃん?

「お前は本当に、死んだ爺さんに良く似とるのぉ。ヒッヒッヒッ」

そう言うと俺に寄り添い、体をぐいぐい押し付けて来た。
カオリちゃんとは違い、脂肪が無くて枯れ木のようだ。しかも醤油みたいな匂い。

お爺ちゃんの写真見たけど、一体どこが似てるのでしょう?(´Д⊂

右にカオリちゃん、左にお婆ちゃん・・・そのままの状態で続くオセロ。_| ̄|○

ハーレム取り消し!ハニ――!!

「やった♪勝った♡お兄ちゃん、鬼弱♡」
「何じゃお前は。アッチだけじゃなくて頭も弱いのかぃ。ヒッヒッ」

も?「も」って言った?あんた達が俺を動揺させたからだろうがー!
アッチは決して弱くない。弱くないぞ!試してみるか?とは言いませんけどねっ!

オセロを片付けたカオリちゃんは俺の前に戻り、何事も無かったかのように
みかんをむき、テレビを見始めた。お婆ちゃんはまだ俺の横にいる。

ハニ―・・・早く、早く帰って来てくれ・・・(´;ω;`)ウッ…

「ただいま!」

お婆ちゃんが俺の腕にもたれながらウトウトと眠りそうになっていた時に、
大声と共にユキコがバーンと襖を開けて、部屋へと入ってきた。
心なしかお婆ちゃんの舌打が聞こえた気がした・・・w

「おかえり(泣)」
「ごめんね、遅くなっちゃって。あ!オセロだ。やろ!やろ!」
「お姉ちゃん、私とやろう!」

お婆ちゃんが掛け声をかけて立ち上がり、解放された俺は、ため息をついた。
この家でのユキコは、俺が知る顔と少し違い、子供の頃が見え隠れする表情を
見せる。そんなユキコが微笑ましくて益々好きになる。本当に来て良かった・・・

・・・のですが・・・

その夜、ふとした拍子にカオリちゃんと二人になったり、目が合ったりしただけで
何か意図がありそうに感じ、俺の胸がドキドキと言った。

携帯をこっそり見ると案の定「★ヵ才レノだょ★」という件名で、ハートマーク
だらけのデコメールが入っていた。解読不能なギャル文字の文章を一瞬見て
目がチカチカし、すぐに携帯を閉じた俺は、これはヤバイ。と、布団に入るなり
ユキコに言った。

「明日帰ろうか」
「いいけど?カオリってば小さい子供みたいに、
すっかりユウジに懐いちゃって・・・寂しがるかもね」

だからなんですーー!!
カオリちゃん・・・(≧≦) ゴメンヨー!
お兄ちゃんは、お兄ちゃんは・・・カオリちゃんが可愛いけど・・・
やっぱり妹なんだよ・・・。泣いたりされたら・・・どうしようか・・・。
。・゚・(ノд`)・゚・。俺も泣いちゃうかも・・・。



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