向日葵を忘れられなくて♥

シリーズ第2弾「向日葵を忘れられなくて供彜扱襪靴泙靴植

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖苅河


ユキコとカオリちゃんの間にいる兄弟3人は既に独立していて、
この家に残っている子どもはカオリちゃんだけ、とユキコに聞いていた。

幾ら面白いお婆ちゃんがいるとは言え、そりゃ寂しいよな・・・。

「カオリ、やめな。すぐ泣く癖に」
「お姉ちゃん?カオリ、高校二年だよ?泣く訳ないじゃん」

ズズズッズズズズッッ

お婆ちゃんはすごい音を立てて、ポン酢まで飲み干していた。
ユキコとカオリちゃんは、全く気にするそぶりもなかったが、俺は、初めてみた
豪快なすすりっぷりにマジマジとその様子を観察してしまった。
しんみりとした空気になりそうだったのを お婆ちゃんは見事にひっくり返した。
計算なのか天然なのか分からないけれど、妙に感心してしまった。

「ごっつぉさん!さぁ・・・風呂に入って寝るかの。お前ら呑みすぎる
なよ。来年の今頃には、ひ孫を抱かせてくれな。楽しみにしてるよ。
ヒヒヒ・・・お休み」

(´;ω;`)ウッ…ありがとうございますっっ

子どもの話に敏感になるのは止めようと、この時思った。
いちいち気に留めて考えていたら、世間を渡れなくなってしまう。
ユキコの気持ちを俺は知っている。悩みを二人で分け合い、考える。
それだけでユキコは救われるはずだ。

「お婆ちゃんたら勝手な事ばっかり言って」
「ねぇねぇ、何でまだ結婚しないの?早く結婚すればいいのに」

ユキコは少し眉毛を上げ、残り少なくなっていた鍋から残った野菜を取り出し、
雑炊を作り始めた。

「早くしないと、お兄ちゃんカッコいいから、浮気されちゃうよ?」

カッコいい!!久しぶりに言われた!!><

気持ちが高ぶった俺は、少し格好をつけて落ち着いた声で言った。

「お兄ちゃんは浮気しない。お姉ちゃんを泣かせるような事はしない」

カオリちゃんが黙ると、水を打ったように部屋がシーンと静まり返った。

「俺の事が片付いたら、すぐに結婚しよう。いいだろ?ユキコ」
「ユウジ・・・」

カオリちゃんはパチパチと手を叩いて、興奮した様子を見せた。

「良かったね!!お姉ちゃん♡」

ピピピ・・・ピピピ・・・

Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)

なんでこんな時に携帯が鳴るんだ!この・このタイミングの悪さ・・・
嫌な予感がする・・・まさか・・・いやそんなはずゎ。



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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖苅穎


4人でコタツに入り、夕飯の鍋を囲んだ。湯気が優しく漂っていて癒される。

大きくなったなぁ・・・最後に見たのは小学校2年生だったし。
いやしかし、ユキコにそっくりだよなぁ・・・イテ!!!

ユキコがコタツに隠れて俺のわき腹をつねった。
それぐらい、俺はカオリちゃんを見ていたらしい・・・いや、正直みとれてた。
高校生だった時のユキコの髪を長くしたら・・・そのまんまだ。
サラサラのロングもいいなぁ。なんて思い始めた。
今日はいい日だ!とテンションが高くなっている自分がいた。

「お兄ちゃんどぉぞ♬カオリが作ったから、美味しいか分からないけど」

お兄ちゃん!!!(*´Д`)/ヽァ/ヽァ

カオリちゃんが上手に取り分けてくれ、一口食べた俺は大げさに喜んだ。

「旨いっ旨いよぉ!!カオリちゃん、料理の天才だよ。今時、女子高生で
こんな美味しい料理作れる子なんていないんじゃない?」
「ただの水炊きなんですけど」

照れくさそうに下を向いたカオリちゃんを他所に、ユキコが冷たい声で
水を差した。

「いや、でもさぁダシが効いてるよぉ。
ポン酢と合って、素晴らしいハーモニーやぁ♡」
「なぁにぃ?べた褒めしちゃって。
しかも、物真似ちっとも似て無いし、面白くない」
「おお。ユキコが妬いてる。そうじゃそうじゃ。爺さんもワシの妹に
手を出しそうになってのぉ・・・全く、困った人じゃったよ」
「い・いやだなぁ・・・僕はそんな事しませんよぉ・・・ははは・・・」

心なしか、カオリちゃんは顔を赤らめている。

ああ・・・可愛い・・・女子高校生とご飯食べる事なんて、無いもんなぁ。
肌なんてツルツルだよ。ユキコも変わってないように見えたけど、
二人横に並べるときっと・・・

「イデッ」

またユキコにわき腹の皮をひねられて、さっき言われた事を思い出した。

別に浮気しようなんて思って見てる訳じゃなくて、
ただ可愛いと思ってるだけなんだけどwww

そんな所にムカつかれてるなんて、思ってもいなかったもんなぁ。
でも気を悪くさせるなら、気を付けますよ。はい。

「カオリね、ちょっと覚えてるよ。お兄ちゃん、よく家に来てたよねぇ?」
「え!覚えてたんだ!嬉しいなぁ♡」
「あの時は、お父さんもお母さんも・・・お兄ちゃんもお姉ちゃんも
一杯いたよね・・・」


第40話 絆

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖苅囲


「私はこの人を好きじゃないって、結婚してから気付いた。馬鹿よね。
別れて欲しいって言われた時は、ホッとしたわ。
だけど、失踪するなんて夢にも思ってなかった。まさか借金を私が返す
事になるなんて・・・でも愛の無い結婚をした、私の自業自得だと思って」

ここで俺はやっと口を挟んだ。

「ユキコは悪くないよ。自分をそんなに責めちゃ駄目だ」

頷いたユキコは少し言いにくそうに、でもはっきりと言った。

「・・・だけどあの人に感謝してる所もあるの。
鬱の時、死ぬ事ばかり考えてた私を止めてくれた人だから・・・。
あの時死ななくて本当に良かった。こうしてユウジに逢えたんだもの」

・・・そうだったのか。だからマキにあんなに気を使ってたんだ・・・

「生きていてくれて良かった・・・。俺こそ感謝しなきゃね」

腕の中のユキコが少し震えた気がして、俺はきつく抱きしめ直した。
もう二度とそんな事はしないでくれと、強く念じながら。

「あの時の私は、別人だったの。もうあんな馬鹿な事はしない。
・・・私の事、嫌いになってない?こんな奴だったのかって・・・」

何があっても折れない強い愛を自分は持っていても、果たして、相手も同じ
気持ちで居てくれるのかと、信じきれない所がユキコにもあったなんて。

「まさか!何があってもユキコを嫌ったりしない。それどころか益々尊敬
した。良く頑張ったと思う。ユキコは偉いよ。俺には真似できない」
「だけど。私と居るとユウジを不幸にさせそうで。時々凄く怖くなるの」

両親の突然の事故死や、俺が植えつけてしまった不安の種が、
ユキコの胸の中で深く、複雑な根を張っている。
どんなに時間がかかっても、俺が全部取り去ってやる。

「そんな事ありえない。俺はまた逢えた事が運命だと思ってるのに。
ユキコ無しじゃ、新しい道を一歩も進めないよ」

また涙ぐんでいるユキコの目元に唇をつけた。

「ユキコは俺の全てなんだ。一生この気持ちは変わらないよ。
不安になったらいつでも言って。何度でも安心させるから。
俺への不満も胸にためないで、すぐに言って。絶対改良するから」
「ありがと・・・」

安心したのか、ユキコは体の力を抜いて、俺に全身を預けてきた。
その様子を見た俺も少し安堵したけれど、逆に不安な部分が色濃くなった。
自分で気付かない間に、傷つけている事が他にもあるのじゃないだろうか。

「俺、ユキコに相応しい男になりたい。何処を直せばいいかな。
というかこの際、俺の悪い所を全部言ってくれ」
「えぇ?うぅん・・・・そのままのユウジが全部好きなの」

|艸゚Д゚|マジ?何かの魔法にでもかかってるのか?でもそれならそれでいい。
一生解けないでくれ!

感激のあまりに、俺はキスをしようと顔を近づけたが、
ユキコは少し瞳を上に向けて、考えてから意地悪くニヤっと笑った。

「思い出した!」
「何?何?」
「私と居ても、他の女の人の事見るよねぇ?あれムカつく」

ヽ(  ̄д ̄i)ノ エー!?全く身に覚えが無いんだけど!

真剣な話から一転、もう過去の話は終わりだと言わんばかりに、ケタケタと明るい
笑い声がユキコの口から出た丁度その時、襖が突然ドンドンと揺れた。

「お姉ちゃん、ご飯だよ。今日はカオリが用意してあげたからね」

ナイスタイミング!!!ε-(;ーωーA フゥ…

腹の減り具合で、かなり長い間話をしていた事に気付いた。
だけど俺達の絆は固く結ばれて、二度と離れる事はない。
有意義で何よりも大事な時間だったと、自信に満ちた自分が居た。


第39話 挨拶 <(_ _)>

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖械肱


大きな地震でも来たら倒れてしまいそうな、隙間風の入る古い・・多分、
昭和初期に建てられた家に入り、居間らしき所に通された俺は正式に
お婆ちゃんに挨拶をさせて頂いた。

「ユキコさんと結婚させてください!絶対に幸せにします!!」
「堅苦しい挨拶は抜きじゃよ。それよりなぁ、ひ孫の顔が早く
見たいんじゃ・・・頑張っての、えーっと・・・コウジとやら。
それにしてもお前は死んだ爺さんに良く似とるのぉ」

承諾してもらえたと取った俺は、嬉しさの余りに畳に付く程頭を下げた。

「(ユウジですが)はいっ精一杯頑張らせて頂きます!!」
「ユウジ!!ンモォー!! O(*≧д≦)o″)」
Σ(゜m゜=)ハッ!!

ひょっとして、こういう事もユキコを傷つけてるのか。と思ったけれど
腫れ物に触るように子どもの事を話題にしないのも、逆に嫌だろう。

「ヒッヒッヒ・・・今夜は一組の布団で良さそうじゃな。
夜と言わず今からでもどうじゃ。大丈夫、大丈夫、ワシの耳は遠い」
「お婆ちゃんっもういい加減にしてっ」

「うちのお婆ちゃんは最強なの」って聞いてたけど、ここまでとは。(;´∀`)




ユキコの部屋に鞄を置きに行くと、何となく照れくさくて二人で顔を見合わせて
笑った。大きいストーブをつけ、寄り添うように古い絨毯に座り、ユキコを
腕の中に抱いた。お婆ちゃんには風呂を沸かすから入れと言われたが、
ユキコの側で話をする事が何よりも俺を暖める。

「お婆ちゃん、ボケてる訳じゃないんだけど・・・やたらと下ネタが
好きなのよねぇ。最近益々酷くなって・・・」
「いいよいいよ。面白いじゃん!・・・お言葉に甘えて・・・今からどう?」
「駄目よ!カオリが居るもんっ」

あぁ、そうでした・・・(´・ω・`)ガッカリ…

18歳からこの部屋で過ごしたのか。と思うと感慨深くなり、辺りを見渡した。
土壁には、幼かった兄弟達が貼ったと思われるシールや、落書きがそのまま残さ
れている。この6畳間でユキコは・・・会いに来ようとしない、連絡も取れない
俺の事をどんな風に思っていたのだろうか。それを思うと苦しくなるけれど、
今ここに居る事で、俺の後悔はほんの少し薄れた気がした。

「借金はどのぐらい残ってるんだ?」

例え多く残っていたとしても、あの慰謝料を使う気は無かった。
俺が働いた金で、これから少しずつでも返してやろうと思った。

「大丈夫、心配しないで。あと少しで終わるの。
これも黙ってたけど・・・ユウジに逢うまで私・・・お水のバイトしてたんだ」
「昼も夜も働いて、借金を返してたのか?」

ユキコが頷き、俺は顔も知らない前の旦那に激しく怒った。

「昔から車と女が好きで、借金だらけで」

ユキコは寂しげに笑い、俺の肩に頭を乗せた。
そして甘えるように人差し指で俺の胸を何度もなぞりながら呟いた。

「何でそんな人と結婚したの?」

今まで聞きたかったけれど、遠慮していた事。扉が開いた今なら何でも聞ける。

「鬱状態だった時に助けてもらったの」

ユキコは遠く暗い目をして、今まで話したがらなかった過去の事を語り始めた。
お爺さんが倒れたのは、ユキコが21歳の時。
ユキコは昼間に介護をし、夜はスナックに働きに出て行ていた。
その店に出入りしている客だったのが、3歳年上の元旦那だとその話で知った。
精神的に参っていたユキコを優しく慰めていたのだろう。
そう思うと、少しはありがたいけれど、今の状態を見ると、その優しさは
上辺だけだったのじゃないかとむかっ腹が立ってくる。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖械枯


余りに突拍子も無い話で、俺は呆然と立ちすくんだ。

「前の旦那の保証人になった借金がまだ残ってるの」

全く初めて聞く事だったけれど、どうしようも出来ない理由には思えない。

「それぐらいどうって事ないよ。二人で返せばいいじゃん!」
「そんな事させられないよ」

ユキコの表情は、もっと重大な何かが隠れていると見てとれた。

「だけど、俺の家に来なかったり、急に田舎に帰ったりは、
それが理由じゃないだろう?マキの事、本当は怒ってたの?」

ユキコは寂しげに笑って震える手を口元にあてた。

「強がりであんな事言っちゃったけど、マキさんとよりが戻ったらどうしよ
うって本当は怖かった。ううん。でもその方がユウジにとって幸せだとも
思った。だって私は子どもが出来ないかも知れない。
子ども好きな貴方に、赤ちゃんを抱かせてあげる事が出来ないかも知れ
ないんだもの。そう思うと申し訳なくて」

そこまで言うと、後は言葉を詰まらせて、ユキコはただ泣いた。
子どもが出来ないかも知れないと言う事を ここまで悩んでいたなんて
思ってもみなかった俺は愕然とした。
情けないけれど、止まらない涙を見てやっと、能天気な俺の軽はずみな言動が、
愛する人を深く追い詰めていた事に気付いた。

「ごめん・・・」
「ユウジは何も悪くないよ」
「ううん。俺が悪いんだ。本当に・・・鈍感でごめん」

言葉にするのがもどかしくて、俺はかじかんだ両腕を伸ばしてユキコを思いっきり
抱きしめた。俺達を隔てていた扉が、ゆっくりと開く音を聞いた気がした。

「ユキコが居てくれるだけでいい。他に何もいらない」

胸の奥から涙声が響いた。

「私でいいの?」
「ユキコじゃなきゃ駄目なんだ」
「今は良くても何年か経った時に後悔するわ」
「子どもが出来ないから駄目になる夫婦なら、子どもが居たって駄目だ」

子どもなんていらない。と、言うべきだったかと思ったが、それは自分に嘘をつく
事になる。心にも無い言葉は、すぐユキコに伝わり余計に傷つける。

俺は今までユキコの何処を見ていたんだろう。
ユキコが本当に言いたい話の核心に触れようとせずに、何をしてたんだろう。
強がりばかりで実は弱いユキコ。それなのに気付かずに甘えるばかりで。

「愛してる・・・」

他にも言いたい事は沢山あるのに出てこない。だからその分、何度も囁いた。
思い返せば高校の時、ユキコには良く言ったけど、別れて以降9年もの間
他の誰にも使っていない言葉だった。まるでいつかユキコの為に使える事
が分かっていたから、封印していたみたいだ。
あの頃は何も考えずに使えていたのに、今は、錆付いた言葉を再び使えた事が
震える程嬉しくて、それと同時に重い責任感にも浸っている。
ユキコに対する気持ちが、あの時よりも、もっと真剣で現実味に溢れていた。







どのぐらいの時間が流れただろう。咳払いが聞こえて、俺達はパッと離れた。
声の主は、険しい顔をして立っている、俺の腰くらいまでしかないお婆ちゃんだ。

(☉ε ⊙ノ)ノ!いつの間に!!!

「やだ。お婆ちゃん、見てたの?」
「家に入れ!続きは布団の中でするんじゃ」

よ・良かった。怒られるのかと思った。随分話の分かるイカしたお婆ちゃんだ・・・

「はじめまして!僕・・・」
「そんなのは後じゃ。早よ入れ。都会のモンは風邪引くぞ」

涙の乾いたユキコはペロっと舌を出し、肩をすくめた。
お婆ちゃんが後ろを向いている隙に、俺はユキコに素早くキスをした。



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