向日葵を忘れられなくて♥

シリーズ第2弾「向日葵を忘れられなくて供彜扱襪靴泙靴植

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖械河


それにしても・・・マキって・・・こんなだったっけ?

髪の毛はボサボサで艶がなく、肌も前と違い、くすんでいる。
爪先は信じられない程に短くギザギザだ。

大変なんだろうな・・・

マキは、ミルクをやりながら顔を伏せた。
俺は頬杖をついてその様子をただ見守っていた。

部長と再婚するって言ったの・・・嘘だったの。

マキはミルクをやりながら、振り絞るような声で話し始めた。

部長の事、運命の人だなんて言ったけど、違う。
恋に恋してただけ。
子供が出来てる事を知ったのは、部長と別れた後だった。
途方に暮れて・・・「結婚しよう」って誰かに言ってもらいたくなった。
ただそれだけだったの。
部長が絶対に言ってくれなかった言葉を誰かに言ってもらえたら・・・
堕ろそうと思ってた。


なのに、気付いたらユウジ君の事が凄く好きになってて
離したくなくて・・・このまま嘘をつき続けようって思ったの・・・。


でも、出来なかった。
自分の子供じゃないのに、微笑んで私のお腹を見ていたり
育児書を読みふけったり、会社帰りにベビー用品を買ってきたり
お願い、もう止めて。って毎日つらかった・・・。
こんなにいい人をどうして騙したりしたんだろうって、自分が許せなかった。


だからまた、嘘を言ったの。部長と結婚するって。
私が結婚した後で、部長が離婚した事を人づてに聞いて知ってたわ。
もちろん、その離婚原因は私じゃない。
浮気癖の酷いあの人に、奥様が愛想を尽かせて出て行ったらしいの。
きっとよりを戻す為に、会社も辞めて追いかけたんじゃないかな。
奥様を愛してたのよね・・・よく知らないけど、そう思いたいの。
結局、サキちゃんの事も知らないまま、何処かに行っちゃって・・・
でも、丁度いいから利用させてもらったの。


だってそう言わないと、貴方、優しいから・・・
一人で子供を産むなんて言うと心配して
離婚に応じないんじゃないかって思って。


でも離婚してからの方が苦しくて、苦しくて・・・

・・・ユウジ君に会いたくて・・・たまらなくて・・・。

いけないって分かってても、自分を抑えきれなかった。

嫌われてるって分かってても、忘れられるよりマシだと思う自分も居て。

そればっかり考えて悩んで、頭がおかしくなりそうだった。





空になった哺乳瓶をテーブルに置くと、マキは空いた手で顔を覆った。
俺は、身じろぎもせずにその話を聞いていた。

何処かに嘘が潜んでる。騙されちゃいけない。矛盾があるはずだ。

けれども、探れば探る程、真実へと行き着いてしまう。

「ずっと思ってた・・・この子が貴方の子なら良かったのに・・・って・・・」



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案外早く、日曜日の朝にはマキの熱は平熱に戻った。

しかし、問題はユキコだった。
『土曜日、仕事が終わったら行ってあげる』と言ってくれていたのに、
俺は心待ちにしていたのに、やっぱり行けないと一言だけ。しかもメールで。
鍵のかかった扉がまた目の前に立ちふさがり、拗ねた俺は、サキの世話に
専念する事だけに執念を燃やした。
ユキコとやがて出来るはずの、子供の世話の予行演習だと思い続けて。

そのお陰か、土日のたった二日間で、俺はどこに出しても恥ずかしくないパパに
仕上がった!・・・と自認した。
風呂だって入れるし、哺乳瓶の消毒も、ミルクの温度も、オムツ交換も完璧。
煙草はマキと結婚していた時と同じくベランダで。
そして自分達の食事の支度までも。

ユキコは子供が出来にくいと言っていたけど、俺とはどうだろう。
もちろん今は避妊してるけど・・・結婚したら出来るだろうか?

こんな風に所々でユキコを思いながら、サキに決して情を入れる事なく。

「さ、帰れよ」

熱が下がったのを確認し、すぐさま俺は冷たく言い放った。
半分諦めていたけど、昼からユキコの所へ行ける!バスケの練習へも。

「ここに居ちゃ、駄目?」

ケンタの言う通り、俺は甘かった。
変に優しくして、付け上がらせる隙を与えてしまったようだ。

「は?馬鹿な事言うな。言ったよね。付き合ってる人がいるんだ。
すごく大事なんだ。君が部長さんの事を運命の人だって言った
みたいにね。何度も同じ事を言わせないでくれ」

ユキコが自殺なんて言葉を使わなければ、俺はとっくに追い出していたはずだ。

「あの広い家に二人で居ると息がつまっちゃって・・・
ママずっと病院だし・・・サキちゃんは笑わないし、
標準より小さいし・・・一人で考えてると気が狂いそう・・・」

逆じゃないの?狭い家に二人で・・・ってなら分かるけどさ。

「パパ、どうなんだ?」
「・・・もう・・・意識がないの・・・それ聞いて怖くて・・・
でも早く熱下げなきゃって。この方法しか思いつかなかった・・・」
「だったら尚更、早く帰らなきゃ!逃げてる場合じゃないだろ?」

マキはまたサメザメと泣き始めた。
途端に、寝ていたはずのサキまで泣きはじめた。
マキよりも先に俺が席を立ち、顔を真っ赤にして泣く赤ん坊の要求に答えた。

「はいはいはいはい、ミルクかなー。泣いてばっかりで
しょうがないママだ。ほら、マキ、抱いてて」
「あは。マキ、だって」

Σ(゚д゚lll)ガーン・・気をつけてたのに。

「私・・・どうして離婚しちゃったんだろう」

俺はそのしんみりした声が聞こえない振りをして、ミルクを哺乳瓶に入れた。

「ほら、ミルク」
「離婚した事、本当に後悔してる・・・ユウジ君の事が・・・
忘れられないの・・・」

サキを抱えたマキは、哺乳瓶を取ろうともせずに涙をうるませて俺を見上げた。

「気のせいだよ。今、頼る人がいないから、だからそんな風に
思うだけ。ほら、ミルク」
「・・・ありがとう・・・」
「それ、飲ませたら送るよ」

聞かなかった事にしましょう・・・((((;゚Д゚)))ガクガクガクブルブルブル


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全く。幾ら結婚していたとは言え、たった3回しかセックスをしていない
女に、どうしてこんなに振り回されなきゃいけないんだ?

そういえば・・・ユキコは前の旦那とどうなんだろう。別れたっきりであって欲しい。

普段は隠れている嫉妬心が、みぞおちでギュッと固くなった。

三年ちょっと結婚していた前の旦那と、何回ぐらいセックスをしたんだ?
・・・俺のテクとどっちが良いだろう・・・(・"・;)

こんな事を考えてしまうから、なるべく忘れる努力をしているのに・・・
マキが絡んだせいで、また思い出しちまった!

抱きなれたサキを胸に抱えて、10時頃起きてきたパジャマのままのマキと
ダイニングで向き合った。
今まで見た事がないぐらいに、マキの顔はむくんでいた。

「困るんですよね。こんな勝手な事されると」
「ごめんなさい。私、どうしても寝たくて」

それは分かる・・・これがずっと続くと、俺もそう思うだろう・・・

「でも俺はもう関係ない。離婚したんだ。この家に来るのは間違ってる。
熱がある割りに用意周到だし。一体何考えてるんだよ」
「ママにサキちゃんを預けて夕方に病院へ行って風邪だって言われて
帰るとママもとてもしんどそうでサキちゃんの泣き声がうるさいかなって
ちょっと寝てたんだけど気付いたらここにいたの」

くぅっ何なんだ?そのメチャクチャな喋り方と、理由にならない言い訳は!

マキはまた爪を噛み始めた。良く見ると、血が滲んでいる?

いやいや。見ない振り見ない振り・・・

「・・・駄目、まだ熱がある・・・」

勝手が分かっているマキは、居場所の変わっていなかった救急箱を
ゴソゴソと探り始めた。

「やっぱり・・・38度近くある、見て?」

(-ε-。)わざわざ俺の目の前に体温計を差し出しやがって。

体温計は37.8で止まっていた。

絶望的だ・・・まだ居座るつもりだ・・・

「・・・寝るわ・・・」
「熱が下がったら、帰ってくれよ?」

マキは無言のまま薬を飲むと、また俺の布団にもぐりこんだ。

・・・(´-ω-`)・・・

ユキコは繁忙期。今日の帰りは遅いはず。今すぐ来てと無理は言えない・・・

( ゚д゚)ハッ!そうだ!ケンタに来てもらおう!

「ケンタ、仕事か?休みだったら俺んち来てくれね?」
「あ?言ったろ?温泉旅行だって。何?何の用事?」

そうだった!!!ウワァァァヽ(`Д´)ノァァァン!だったら理由も言わない!つか、言えない!

職場の同僚一人に電話をかけたが、家族との予定が入っていると言われ、
俺は、携帯のメモリーを片っ端から見始めた。

ア・・・イ・・・イシダさん?そうだ!俺にはイシダさんが居た!!!

でも・・・もう彼の口が軽いのを知っている俺は、面白おかしく脚色される気がして
頼る事に、二の足を踏んだ。そのお陰でユキコと公認の仲になったんだけれど。
・・・もういい。恥ずかしくて誰にも言えない。夜になればユキコが来てくれる。

(iiiノ`□´)ノ〜〜それよりも、一刻も早くマキの熱が下がりますよぉにっ!!

またサキが泣いたが、抱くと泣き止み、そのまま寝入り始めた。

寝顔を見てるだけで、疲れなんて飛んじまうよ・・・♡
(;・∀・)ハッ
駄目だ駄目だ。変な情なんて入れるな。この子は俺の子供じゃないんだから。

俺の腕でスヤスヤと眠るサキをゆっくりと布団に寝かせた。
この二人が帰ったら、絶対引越ししよう。と誓いながら。


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「俺が育児?ありえね!だったらユキコがこっち来てくれ」

ユキコは俺より頭のネジが足りないのか・・・?

「私今寝てたの。明日も早いし・・・。ユウジは明日休みでしょ?
大丈夫。マキさんに熱があるなら襲えないよね♪」
「熱が無くてもしねぇよっ」

あぁ訳が分からなくなってきた・・・

「まぁまぁ落ち着いて。マキさん、ユウジの所に来るなんて、
鬱が酷くなってるのかも。自殺する人もいるんだから。
そうなったら、一生後悔するでしょ?きっとユウジしか頼れないんだよ」
「自殺?」
「そう。だからカッカせずに頑張って♪いい事したら、また返ってくるよ。
明日、私の仕事が終わってもまだ居るなら、行ってあげるから」

ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン…

電話を切り、振り返ると二人は俺の万年床で寝息を立てていた。

_| ̄|○

『赤ちゃんは清潔が大好き♪』育児書に書いてたじゃねぇか。
そんな、いつ干したか覚えてない布団に寝かせるんじゃねぇ!
って言うか、熱があるのに、隣に寝かすなんてとんでもない!

いや、そんな問題じゃない・・・よね・・・北風さんの負けです・・・。

抵抗を諦めた俺は、押入れを開き、ユキコ用の布団を出して乾燥機をかけた。

俺、こんな夜中に何やってんだろ・・・( p_q)

そしてフカフカに出来上がった布団にサキを移動させて、自分は毛布を引っ張り
出してソファに寝転がった。




――朝を迎えた時は、新しい世界が広がっていた。

゚・*:.。.(T▽T).。.:*・゜

世の中の母全員を尊敬する自分に変わっていた。
軽々しく飲み会の席で子供が欲しいと口にしていた事が恥ずかしく思えた。

・・・そう。マキはコンコンと眠り、全く起きないので俺が全部やったのだ!
マキの見よう見真似と缶に書いてある説明書でミルクを作り、おぼろげながら
覚えているオムツ交換のページを頭で開いて・・・・・・。
何で泣いているのかわからない時もあり、ほぼ一晩サキを抱いていた気がする。
マキはミルクだけれど、母乳だったら誰にも代わりは出来ない。
皆、何食わぬ顔をして子供を大きくしているけど・・・
陰でこんな苦労をしていたなんて!!!

エライ。エライよ!!母って偉大だ!!(TДT)

あの、とても男には耐えられないという陣痛と、獣のような声をあげた出産・・・
疲れた体での育児・・・
パートで旦那さんの悪口ばっか言っているあの人も、あの芸能人も
皆こんな事していたなんて衝撃だ。
たった一晩の出来事が、俺の人生観と女性を見る目を変えた。

男って、男って・・・なんてチッポケなんだ!!!

最近連絡をしていない、実家の母親の顔まで思い浮かべた。
今の時代は便利な物が沢山あるけれど、それでも一晩だけで俺は目の回る
忙しさを痛感した。
俺が生まれた時代には、こんな便利グッズは無かったはず。
育ててくれてありがとう。とお礼を言いたくなった。
照れくさいから言えないけど、次逢った時にもっと優しくしよう。

しかし。この先、どうするよ?

自殺という言葉に多少束縛されてはいるが、まさかそんな事はしないだろうと
朝からマキのママに電話をかけ、苦情を言って引き取ってもらおうとした。

「すいません。よろしくお願いします!」

慌しく、逆にお願いされて、すぐに切られた。
これが平日だったら・・・俺は仕事に行けなかったかも・・・・

土曜日で良かった・・・>┼○ バタッ


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖横枯


「ユウジ君・・・」
「なっ何してんの?こんな所で!」

サキを布のようなもので包み、斜めに体に巻きつけているマキは、一目見ただけ
で分かる程、青い顔をしてガタガタと震え、苦しげな息をしていた。

サキが退院したのはいいけど、何故ここにいる??!!

「お願い・・・入れてくれない?」
「どうしたんだよ?何なんだ一体?いつからここに居たんだ?」
「お願い、今日だけお願い。お願いだから・・・」

何か様子がおかしいと思った俺は、戸惑いながらマキの額に手をあてた。
久しぶりに触った額は、明らかに熱を持っていた。

「病院に」
「いいの。行ったの。寝かせて欲しくて来たの」
「って何で俺に?ママがいるだろ」

ケンタに話したのは・・・ふと思い出したのは・・・虫の知らせとは、この事か!

「ママ疲れてて・・・サキちゃんの世話頼めないもの・・・」

俺だったらいいのかよ!!!凸(´口`メ)

優しくしてあげて?

ユキコの声が聞こえた気がした俺は、ポケットの中で鍵を握り締めた。
しかし開ける訳にはいかない。こんな事を許したら、また繰り返しだ!

鬼だ。鬼になれ。

・・ふ・ふ・フギャァ・・フギャァ!

(ii゜Д゜)ヒィィィ!(゜Д゜ii)そんな大きな声で泣かないでくれぇ!

「ミルクの時間だわ。お願い、このままだと周りにも迷惑だし」

何故、周りや親には気遣うのに、俺には気遣えない?馬鹿にしてんのか?

夜の静かな廊下に赤ん坊の泣き声が響き渡り、このまま押し問答を続ける気が
失せた俺は、その声に急かされるようにポケットから鍵を取り出した。
マキは開けてくれるのが分かったのか、足元にあった大きなリュックを持ち、
ノブを回すと、一目散に台所横に敷きっぱなしの俺の万年床に向かった。
そして重そうなリュックを乱暴に下し、泣いているサキを布団の上に置くと、
コートも脱がずに布団にもぐり込んだ。

「おいっ何してんだよ?」

。。・゚・(ノд`)・゚・。何回目?この台詞・・・・

「お願い。寝かせて。もう私、何日も寝てないの」

うつろな目をしたマキは、泣いているサキを布団の中にいれて鏑鼎閥燦気鮹,。
ごまかしがきかないサキは、益々大声をあげて泣き喚いた。
泣き声に耳がつんざかれそうになった俺は、たまらずにサキを抱き上げた。

「おーよしよし。良い子だね〜」

本能なのか、俺は体を優しく揺すり、サキをただなだめた。

「泣きやまないぞ?」
「ミルクなんだってば。オムツも替えないと・・・」

そういうと、マキは諦めたようにのっそりと体を起こして、リュックを手繰り寄せ、
オムツ類と哺乳瓶とミルク缶、水筒を取り出した。
青い顔だけれど、慣れた仕草でミルクを作るマキ。赤い顔で泣くサキを抱く俺。

まるで夫婦じゃねぇかぁ。イヤ(T△T 三 T△T)イヤ

ミルクの温度を確かめたマキは、サキを渡せと言いたげに腕を出した。
サキを渡した俺は、んっくんっくと喉を鳴らしてミルクを飲むあどけない姿を・・・

ハッ!(`ロ´;)見惚れてる場合か!

我に返り、万年床に二人を置いて、ユキコに電話をかけた。
元妻の事情をユキコに話しておいて良かったと心から思った。

「奴が来たんだ!サキも一緒に!今から俺、そっち行くから!」
「びっくりした。何事かと思ったじゃない。奴ってマキさんの事?」
「そうなんだ。熱があるらしい。もう訳わかんね!!」
「えーっそれは大変!ユウジ、育児してあげなよ」

(._・)ノ コケ




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