向日葵を忘れられなくて♥

シリーズ第2弾「向日葵を忘れられなくて供彜扱襪靴泙靴植

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖横河


翌朝、俺は布団脇に置いてあった、自分の携帯のバイブ音で目を覚ました。
手を伸ばして必死で音の先を探り、ガラガラの声のまま電話にでた。

「もしもし・・・」

日曜日の朝は、好きなだけ睡眠をむさぼる事にしている俺には、まだ早朝の
気がした。目もちゃんと開かない。

・・・誰だよ。こんな早くから・・・

「おはよう♪」

は?聞いた事のある女の声・・・寝ぼけながらでも嫌な声なのは覚えてる・・・

「寝てた?」

思わずガバっと飛び跳ねてしまった。

マキ様じゃないですか!!!

「な、何?何か用事?」

何故、この声を聞くと俺はドモリ気味になるんだろう・・・

「ううん。用事は無いけど眠れなくて・・・。
今実家から。ユウジ君のお陰だわ」

長電話をする気はさらさらないけど、寝ているユキコを起こさないように
そぉっとつづき間のリビングへと移動した。

ユキコは離婚時に引っ越すお金が無かったとの事で、結婚していた時のまま
2DKのこの家に住んでいる。
部屋が広く見えるようになのか、俺がこの家に通うようになる前から、
リビングと、寝室にしている和室を仕切る襖は外されていた。
仕送りを続けているユキコは、自分の為にあまりお金を使いたくなさそうなので、
和室だった所にカーペットを敷き、セミダブルのベッドを購入したのは、俺だ。
新しいものが増える度に、少し嬉しくはなるけれど、本当は二人で新しい家に
引越しできるのが一番だ。
俺はユキコが結婚をしていた事を思い出すと、嫉妬に燃える。
どんな人だったのだろうと考え出して止まらなくなるから、俺の中では
無かった事にしていたい。
元パートナーの持ち物はもちろん処分されているけれど、やはり何処かに、昔の
名残を感じてしまう。

頭を冴えさせようと、携帯を持ったまま煙草に手を伸ばして、火をつけた。
引越ししたいなぁとチラリと思ったと同時に、忘れていた事を急激に思い出し、
一遍に目が覚めた。

俺がマキに言おうとして忘れてた事は、鍵じゃねぇか!!!

「かっ鍵!俺んちの鍵返してくれ!」
「え?あ・・・そっか・・・ユウジ君、まだあそこに住んでたんだね」
「だって敷金がもったいな・・・ってどうでもいいだろ?鍵、頼むよ」
「ん、じゃ送るね」

ε-(;ーωーA フゥ…物分りが良すぎて、逆に怖いけど・・・

「私ね、あのアパートは引き払う事にしたの」
「それがいいよ。安心した。パパの事はつらいだろうけど
ママと力を合わせて、頑張れよ」

冷たくあしらえないのは、マキの父親と母親の姿が浮かぶからだ。
俺の肩の荷は降りたけれど、あんな状態の人に、更なる負担をかけてしまった
みたいで、せいせいしたとは思いがたい。

「ごめんね!迷惑一杯かけちゃって」
「ぃぃ・いえいえ」

マキの声は元気で、あの鬱はやっぱり一時的なものなんだと思い
胸を撫で下ろした。

「ママもお礼を言っておいてって・・・」

昨日の夜から一杯になっている灰皿に灰を落とそうとして
ふとユキコの寝室が目に入った。
って、(☉ε ⊙ノ)ノ!目を見開いて俺を見ている!!!

アワ((゚゚дд゚゚ ))ワワ!!いつから聞いてらっしゃったの・・・

「あの!!切るね!じゃまた!!」


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖横穎


12時、いつも二人で見ているバラエティ番組が終わった時に、玄関のドアが
開いた音がした。

「あれぇ?きてたんだ?」

やっとユキコの声が聞けたと思ったのもつかの間、酔っている様子に俺は・・・
かなり肩を落とした。

「何してたの?」

計画は見事に崩れ、こんな事を言ってしまった。

「あはは♪呑んで来ちゃった〜あれ?今日約束してたっけ」

してない。してないけどさ!!土曜の夜は、ほとんど泊まってたじゃん!
暗黙の了解だと思ってたのは俺だけかよ〜!

「・・・じゃあ夕飯は?」
「いらな〜い。お腹一杯!」

「そういう時は連絡してくれたっていいと思わない?」
パートのおばさん方の愚痴を思い出した。
心が狭いなぁ。と思った自分を反省した。

「風呂、入れたけど」
「えー。もういい。今日は呑み過ぎたぁ〜朝シャワーする〜」

まぁ俺が勝手にやった事だもんね。(;д;)

「電話したんだけど」
「ほんと?鞄に入れっぱなしで気付かなかったぁ!あはは!」

ユキコは廊下でおもむろに服を脱ぎ始め、その辺りに散らばらせたまま
隣の寝室へと向かった。

「何処で誰とこんな時間まで呑んでたんだ?」

服を拾いながら、下着になった後ろ姿に向かって、俺は少し声を荒げた。

ああ、これじゃあ最低な奴だよ・・・でも気になって仕方ない・・・
_| ̄|○

「え?病院の友達だよぉ。だめ、もう眠い・・・おやすみ〜」

今夜一緒に寝たかったベッドに大の字になり、ユキコはいきなり
軽いイビキをかいた。

(´;ω;`)ウッ…シドイwww

話を聞いてくれっ起きてくれっ

と思ったけれど・・・酷く酔ったユキコは、つついても何をしても起きない事を
知っているし、ユキコが呑みに行ったのは俺のせいだと、自分を戒めて
ベッドの横の狭いスペースに、自分用の布団を敷いた。

カレーは一晩寝かせた方が旨いって言うし。(ノД`)シクシク

俺が狂わせた歯車は、俺が絶対に食い止める。
もう一度筋書きを思い出しながら、ゆっくりと眠りについた。



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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖横囲


義父の変わり果てた姿を見、死を身近に感じた。
もしも自分が突然死んだら、嘘をついたままの状態では後悔が残る。
そう思うと、ユキコに逢いたくてたまらなくなった。
もしも時間があるのなら、少しでもマキの事を話したいと思い、
ロビーに下りると、事務服を着ている人に声をかけて、ユキコを呼び出した。

受付の横のドアから出て来たユキコは、ロビーで立っている俺の姿を見ると、
少し険しい顔をした。
そして近くまでやって来ると、そのままの表情でコソっと言った。

「なぁに?仕事中なのに。恥ずかしいじゃない」
「話があるんだ。時間、無い?」
「返事をしなかったから来たの?確かにちょっと怒ってた。
でももう許したから、帰って。今、超忙しいの」

唇を尖らせて早口で言うユキコ。本当にもう許したのか判別不可能だ。

「ここに来たのも訳があるんだ。何時ごろ終わる?待ってる」
「駄目駄目!きっと残業!」

・・・(´;ω;`)…追い払われた・・・しかも空気読めとばかりに冷たく・・・

きびすを返し、せわしなくドアの向こうへ消えたユキコの後姿を見送った俺は、
何が何でも今日中に嘘を告白して、起こった出来事を全部話す!と思い、
その足でユキコの家に向かう事にした。そこで落ち着いてゆっくりと話すのだと。

車を走らせている途中で夕食にカレーを作ろうと思いつき、スーパーで材料を
購入。並びのケーキ屋でユキコの大好きなミルフィーユも買い、その隣の花屋を
覗いたら、この季節には珍しいと思われる小さな向日葵の切花があったので、
それを主体にした花束を作ってもらった。
それらを持って浮かれそうになった俺は、はたと立ち止まった。

・・・なんか・・・これじゃぁご機嫌を取るみたい・・・?

再び車に向かって歩きだして、そんな事を思った自分を否定した。

いや、そんな事はない。俺はよく手土産を持参する。決してご機嫌取りじゃない!

ユキコに部屋で待つとは言っていないけれど、土曜日は殆ど泊まっているから、
暗黙の了解だと思いながら、合鍵でドアを開けた。

部屋に入るなり、俺はユキコのジーンズ生地のエプロンを素早く身に着けた。
少し小さいけれど、男女兼用だから着れない事はない。
そして夕食のカレーを作り始める。俺が夕食を用意するのは久しぶりだ。
以前にカレーを作った時、ユキコはとても喜んでくれた。
その時気を良くした俺は、三日置きに作って流石に少々飽きられていたけれどw
作りながら、言い訳せずに順序よく、全部話す筋書きも考えた。
掃除、洗濯も済ませ、花も飾り完璧!我ながら満足だ。
くどいようだけど、ご機嫌を取る訳じゃない。
仕事から疲れて帰ってきたユキコが、喜ぶだろうと思ってしたまでの事だ。
そしてこれは俺の勝手だけれど、何かに夢中になる事で無心になりたかった。

帰ってきたらその時だけでも明るく・・・

「お帰り!ハニー!!」と言ってみようか。

それとも「お帰りをお待ちしておりました、姫」にしようか?

・・・うーん・・・やっぱり普通が一番かな・・・・・

色んな事を考えながら、ユキコが家に帰る時間を心待ちにしていた。

しかし、9時を過ぎても10時になってもユキコは帰ってこない。
残業だとは言っていたがそれはいつもの事で、遅くても8時には帰ってくる。
レセプト作業やカルテの整理のある時は、もっと遅いけれど、あれは月初
だけで月中は無いはずだ。

何かトラブルでもあったのか。

携帯にかけたがコール音が鳴り響くだけで、電話に出ない。
やっぱり怒ってるのか、と思ったけれど帰ってくるのは間違いない。
何時になってもここで待ち、今日中に話すんだと、自分に言い聞かせた。

先にカレー食っとこう・・・。

11時・・・

まだ帰ってこない・・・先に風呂入ろう・・・。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖隠肱


ユキコは裏方で事務をしているから、殆どロビーや病棟に顔を出す事はない。
バッタリと出くわす事もなく、沢山の人でごった返すロビーを抜け、
俺とマキはエレベーターに乗り、病棟へと向かった。

マキの父親が入院している個室のドアを開けると、沢山の薬品が入り混じった
何とも言えない匂いがムっと漂ってきた。

「パパ!!」

マキはすぐさまベッドへかけより、ごめんねごめんね・・・と言った後
母親に抱きつき泣き始めた。父親は眠っているのか、反応がなく
よく似た背格好の二人は抱き合いながら、静かに泣いた。

二人が落ち着いた頃、ドア付近に立ったままだった俺は、やっと口を開いた。

「こんにちは・・・お久しぶりです・・・」
「ああ、ユウジさん・・・来てくれたんですか・・・」
「ママ、あのね、ユウジ君に出産立ち会ってもらったの。
今日も迎えに来てもらって・・・」

マキが一通りの事を話している間に、おずおずとベッド脇へ進み
マキの父親の枕元へと移動した。顔を見て、胸が重くなった。
あんなに精悍だった義父が・・・同一人物とは思えない程に、痩せこけていて
顔色もどす黒い。想像していた姿とは全く違っていた。

たった三ヶ月の間で、こんなになっちまうのかよ・・・人ってなんて脆いんだ・・・

マキは、眠っているのか意識がないのか、分からない父親の目の前に
写真を差し出した。

「パパ、この子ね、サキちゃんって言うの。ママがアキで私はマキ、
この子はサキ・・・上手に名前つけたでしょ?ねぇパパ・・・
サキちゃんはまだ入院してるけど・・・退院したら見せに来るから・・・
だから・・・・ぅ・・・ぅ・・・っごめんなさい。悪い娘で本当にごめんなさい・・・
心配ばかりかけて・・・・ごめんね・・・」

マキの涙に俺も泣きそうになり、慌ててマキの母親に話しかけた。

「実家に戻らせてやってもらえないでしょうか?」

泣いていた母親は目元を拭い、頷いた。

「もちろんですとも。一人暮らしなんて反対でしたし・・・
私達一緒に帰りますから、ユウジさん、どうぞ帰ってください。
本当に色々とありがとうございました」

やった!ミッション完了!とは、とても思えない。

いつも綺麗にしていた人が、化粧けもなく一回り小さくなった様子に胸が痛んだ。

何か出来る事があれば、手伝ってあげたい・・・

口にはせず、病室を後にした。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖隠枯


長い夜が明けた。退院したマキを乗せた車の中で、俺は説得にかかった。

「なぁ、体調がいいなら、このままパパの病院に行かないか?」

そしてそのまま是非実家に・・・!(≧人≦)

「・・・・・」
「マキの姿を見たらきっと喜ぶよ。許してくれるさ。病院、どこ?」

マキが、思いがけずユキコの勤める私立の総合病院の名前を口にしたので、
昨夜のメールの返事をまだもらえていない俺は、少し弱気がちらついた。
しかし、それは仕方の無い事だと言えた。建物は古いが腕の良い医師が多く、
病床も多いとの事で、この辺りで有名な病院だからだ。

いやいや、弱気になってる場合じゃない!ここで止まる訳に行かない!

俺のついた嘘は結局、何の得も生まずに自分を困らせただけだったと、嘘の
反省を重ねて、次の事を考える。
何をしでかすか分からないマキには、俺の彼女がそこで勤めてると言わない方が
いい。と思った俺は、一番の問題を口にする事にした。

次は戸籍の話だ・・・。落ち着いて話すんだ。

「ユウジ君にお願いがあるの・・・家庭裁判所で『父親じゃない』
って証言して欲しいの。面倒だけど、私がちゃんと証明するから
すぐに終わると思う。迷惑かけてごめんなさい・・・。
私全然知らなかったから、ネットで見てびっくりしたの。
ユウジ君に言わなきゃ!って、電話しようとしたら破水しちゃって・・・
その後も言うの忘れてた・・・私、取り乱してたものね」

マキの方から先に口火を切られた俺は、度肝を抜かれた。

あの行動は、計算じゃなかったのか?

だったら何故に俺に固執したんだ?とは思ったが、元々マキの考える事は理解
できない俺だ。出産で混乱したのだろう。と考える事にした。

「そのつもりだったよ」
「良かった。市役所に勤めてるんだもん。知ってたよね」

昨日知りました・・・_| ̄|○

俺が昨夜あんなに悩んだのが、まるで嘘のようなあっさりさ。
心でファイティングポーズをとっていたから、不思議な気持ちにさせられた。

命拾いしたぁ!揉めずにも済んだぁ!(●´Д`●)ヨカッタ…

どうやら俺の戸籍にサキの名前は載らずに済みそうだ!
余りにも良い方向へ行くと多少不安にはなるけれど、マキの顔を見ると
父親の病院へ向かっている事が、何より嬉しそうに見えた。
病院を出たから、鬱状態も良くなったのだろうか?

ホッとした一方で、戸籍に父親の名前が載らないサキの事が気にかかった。

サキ、可哀想に・・・。何の罪もないのに。マキにはムカつくけど、これも縁だ。
必要な時には、サキの父親代わりになってやってもいいかもしれない。
・・・本当の父親が出てくるのが、サキにとって一番いいのだろうけど。

もちろんこんな事、チラっと思ってもマキには死んでも口にしない。
もう一つのミッションを完了させれば、今度こそ俺は用無しであかの他人だ。

俺ってどうして先の事を考えずに、口先だけで物を言ってしまうんだろう?
安請け合いして利用され、後でバタバタして、痛い目にあったはずなのに。
この癖、絶対治そう。戸籍の事は知れて良かったけど
ここまでマキに関わるなんて悪夢の続きみたいだ。

全然成長していない自分に腹を立てながら、車を走らせた。

何か1つマキに言う事を忘れてる気がすんだよな・・・?何だっけ・・・

それが何なのか思い出せないまま、病院に到着した。



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