向日葵を忘れられなくて♥

シリーズ第2弾「向日葵を忘れられなくて供彜扱襪靴泙靴植

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖隠系


『慌てて帰ってごめんね。もう遅いからそっちに行かないけど
話したい事があるんだ。返事待ってます。』

家について早速ユキコにメールを打ち、くわえ煙草で返信を待ちながら
パソコンを開いた。

・・・カチカチ・・・ポチッ

『婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子供は・・・・
・・・・・・・かりに他の男性との間に生まれた子であっても・・・・』


ガ━━━━━━(゚д゚iii)━━━━━━ン


・・・師長さんの説は正しかったのね・・・


『子供の戸籍と姓は変更することも可能・・・』

・・・・・そう・・・ですか・・・・_| ̄|○

サキが俺の戸籍に入るのを拒む為に、調停をする事も出来ると書いていた。

もし入籍させたら、父親だと認める事になる!扶養義務も発生する・・・
ユキコと子供が出来たら、兄弟になって・・・相続権もあって・・・そんな!!!
面倒だなんて言ってる場合じゃない。裁判所に絶対行く!

そのまま検索を続けると、戸籍について書かれたサイトが沢山出てきて
三面記事的なニュースしか気に留めない奴の、間抜け面が脳裏に浮かんだ。

それは、俺だ!自分には関係ないと、全く気に止めていなかった。

その後、確か職場に通達も回ってきていたが、それも戸籍係じゃないからと・・・

超関係あるじゃねーか!アホ!!!

自分の身に起きてから、問題になっていた法律の重要さに気付くなんて
大人の男には、あるまじき行為だ。

「人が失敗した時に、関係ない顔をする。君のそういう所が駄目なんだよ。
自分は関係ない、と思う奴が次に同じ間違いをするんだ。なんだね、その
飄々とした態度は!人のふり見て我ふり直せ。だよ!」

俺が失敗した訳でもないのに課長に叱責され、ムカついた時の事を思い出した。

あの時は何で俺まで?って思ったけど、全く仰る通りでした!!(_ _(--; ペコペコ

この長い夜は、俺の欠点探しの為にあるみたいだ。
今夜程、自分をやめたくなった事は無かった。今まで気付かずに居た様々な俺の
駄目な所を箇条書きにされ、目の前に貼り付けられたような気分だ。

マキは一体、サキの戸籍をどうするつもりだろうか?
俺の戸籍に入れるとか、扶養義務があるとか言われたら、全面戦争だ!

しかし迅速に解決する為に、揉める事は何としても避けたい。
怒りの感情のままに言うと、マキは心を閉ざし、こじれかねない。
怒りは反発を招くだけ。人の心を動かすには・・・と自分の経験に重ねてみる。

カッとしそうになったら、ユキコの笑顔を思い出して落ち着くんだ。

明日の俺のミッションは3つある。マキを迎えに行く事。
父親の病院へ行き、母親にマキを託す事。
そして戸籍の事を話し合う事―――
3つとも無事に終わらせる。ユキコの為だと思えば俺は、何だって出来る。
そこだけは、昔から変わらない。変えようとも思わない。

長い時間検索を続けたが、ユキコからメールの返信は無いままだった。


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖隠僅


戸籍係ではない俺は、そんな事は知らなかった。
離婚した時も、あれこれと調べたりしなかった。
職場で聞くのは簡単だけれど・・・恥ずかしいから、後でネットで調べよう。

マキはこの事、知ってるのか?いや、知ってるから俺を頼って来たんだ!

「ちょっと!聞いてます?」

呆然としていた俺は、師長が苛立ち気味にコツコツコツコツと事務机を爪先で叩く
音で、我に返った。

「本当のお父さんはどこに?」
「行方不明らしくて・・・」

一度眼鏡を外し、こめかみを揉んだ師長は、大げさに深いため息をついた。

俺も頭が痛いよ・・・

「最近の若い人は全く・・・もう・・・」
「あの、今から会えますか?マキさんに」
「駄目ですよ。薬が効いて眠っているはずです」

今すぐ、マキがこの事実を知っているのか確かめたかったがはっきり断られ、
諦めざるを得なかった。師長は益々いきりたった顔をして、貴方が戸籍で
父親なのだから、面倒を見るのは当然。と言わんばかりの態度を貫き通し、
その後もクドクドと産後鬱やサポートについて語った。

ユキコの家に戻りたい・・・。。・゚・(ノд`)・゚・。

その話では、産後鬱は誰でもなる可能性はあるが、特にマキのように何らかの
トラブルがあったり、誰かの援助が受けられない人がかかりやすいとか。
子供の笑顔を見ると、落ち着く人もいるらしいけれど、色んな事情から
子供に愛情を持てない自分に悩み続けて、虐待に到る人もいる。
しかも師長の判断では・・・マキの鬱度は高いと・・・

俺に一体どうしろと?

威圧的な態度に恐れおののいた俺は、退室した時には知らず知らずのうちに
明日の退院も迎えに来ると約束させられてしまっていた。

でも丁度良い。そのままマキのパパの病院へ連れて行くんだ!
そしてそのまま実家に戻らせる。赤ん坊とマキの世話なんて俺には無理だ。

『娘・命』に見えた人達だから、マキの顔を見れば喜ぶのは明確だろう。
それにひょっとしたら、パパもマキが言う程の病状じゃないかも知れない。

車に乗り、背もたれにぐったりと体を預けて、師長がしたよりももっとじっくりと、
こめかみを揉んだ。
そうして、起こった出来事を頭で整理していると合鍵の事を思い出した。

明日だ・・・明日会う。その時に返してもらおう・・・。

ユキコに全ての事情を説明しようと電話をかけたが、
コール音が十数回続いた後、留守番電話に切り替わった。
その後、かけ直してもこない事で、ユキコの怒った顔が目に浮かんだ。

事情も説明せず、明らかに挙動不審で帰ってしまったんだ。自業自得だ・・・

けれどこの前みたいに、またユキコの家に行く余力はとても残っていない。
すぐにネットで戸籍の事を調べようと、自宅に向かい車を走らせた。

あの産院の電話から3時間しか経っていないとは、とても思えなかった。
失敗した振りをして、ユキコとの子供を作ろうかと考えていた幸せに浮かれた
熱い気持ちは消滅し、代わりに間抜けな自分への怒りがこみ上げてくる。

まさかこんな問題が潜んでいたなんて!

これを片付けなきゃ、結婚なんてとても出来ない。
こんな大問題があった事を今頃知るなんて、笑い者もいい所だ。
けれど知らずに居たら、まんまと父親にされてしまう所だったのか。

そんな事させてたまるか!

鬱状態は本物だとしても、マキの行動は全て計算済みに思える。
だけど俺の人生を ユキコとの未来を マキの好き勝手にはさせない。
俺は戦う。もう間抜けは卒業だ。
一つ一つ、確実に冷静に、でも迅速に、問題を解決してみせる。
ユキコと結ばれる為に、やり遂げてみせる!



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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖隠杵


「パパとママ・・・許してくれるかな」
「絶対許してくれるよ」
「うん・・・」

ひと段落ついて、マキはやっと車から降りた。
トボトボと産院に入り、詰所までマキを送り届けたら、ミッション完了のはずが
別室に行くようにと、看護師さんに命令された。俺だけが。


長い夜になりそうな予感がし、気が重いまま個別相談室という部屋に入った。

「看護師長です」

簡素な机とパイプ椅子だけの部屋で、でっぷりと太った怖そうな看護師長は
俺を待ちかねていたのか、入るなり大きな声で言った。
座るようにと促されたが、俺は立ったまま、先に絶対これだけは言わせてくれ。
と思った事を言った。

「先に言いますが、僕、彼女と結婚してません」

師長は、不機嫌な顔で俺を上から下まで眺めた。

「と言う事は?これからですか?」
「いっっいえっ違いますっっ別れたんです!」

師長の眉根の間の深い皺、眼鏡の奥の冷たい視線・・・
まるで俺の人格スキャンでもされているかのようだ。

そっそうだ。また動揺しちまった。
そりゃ、子供が腹にいるのに別れたなんて、最低な奴に思われる。

「僕は子供の父親じゃないんです」

実はこの事はあまり口にしたくない事だった。妻に浮気されて、他の男の子供を
身ごもられた旦那みたいだからだ。

最初から話すと、もっと自分が馬鹿に思えるけどさ。

「・・・・とにかく座ってください」

_| ̄|○
ああ、口が上手く回らない。まだ俺を悪者扱いしてる目をやめて下さい。

「奥さん、ちょっと欝気味です。
明日退院ですが、ちゃんとサポートしてあげて下さいね?」
「あの、だから奥さんじゃ「ご実家はどうされたんです?」

うぅ。苦手だ・・・人の話に被せるように話す人・・・(´;ω;`)ウッ…

「お父さんが病気らし「ではお母様は看病に忙しいと?」

最後まで話させてくれよ・・・(´;ω;`)ウッ…

「貴方、さっき別れたと言いましたね?いつ?」
「8月です・・3ヶ月になります・・・」
「戸籍では貴方が父親になりますよ?ご存知かとは思いますが」

Σ ゚д゚≡(   ノ)ノ エッ?
硬直した俺を見て、師長は嘲るような口調で言った。

「新聞でも賑わっていましたが、ご存知なかった?」

固まったままの俺に、師長が更に衝撃の事実を続ける。

「結婚していたんでしょう?だったら、出生届を出すと
貴方の子供として記載されます。扶養義務も発生します」

マジ? (゜┏Д┓゜ ;)

「でも血の繋がりは「まぁその辺は奥さんと相談なさってください」


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖隠艦


病院につくと、マキは車から降りるのを嫌がった。
俺が助手席に回り、マキの細い二の腕を引っ張ったら突然叫び声をあげた。

「嫌だぁ!病院なんて嫌ーっ」

産婦人科の駐車場で、つんざくような女の声が響く午後10時・・・

「お、おいおい。頼むよ・・・しーっしーっ!!」

これじゃぁ、誰が見ても俺って悪者じゃない?

「だって皆幸せそうなの。誇らしげに母乳をあげてるの!
私だけ!私だけおっぱい出ないし、サキちゃんは保育器だし!
家族も誰も来ないんだからっ」
「だったら、実家に電話すればいいだろうがっ」
「・・・だって・・・」

シクシクシクシク・・・

あ゛―――――っもうコイツわぁっっ!!!

「パパ、病気なの・・・入院してるの・・・」

Σ(- -ノ)ノ エェ!?あの頑丈そうな義父さんが?

「パパ、どうしたの?」
「癌だって・・・見つかった時には・・・もう・・・」
「え・・・」
「喧嘩した後で知ったの・・・ママ、看病に疲れてるんだもん・・・パパに
付きっ切りだし・・・気まずくて戻るに戻れない。来てなんて言えないよ」

先にそれを言え!全く、いつも後で重要な事を言う奴だ!

「誰にも頼れない・・・私・・・一人・・・」
「お前、ママになったんだろ?一人じゃないじゃん。
強くならなきゃ!!」
「・・・でも・・・自信ないの・・・」

くぅっまた「だって」と「でも」!

俺の前髪はかき上げられすぎて、セットも何もあったもんじゃなくなっていた。

なんで運命の人とまで言った人と別れたんだよ?

「たまにでいいから手伝って欲しい。言ったよね?手伝うって」
「言った・・・けど・・・」

やっぱりマキには、口約束が伝わってなかった・・・俺のアホ・・・

シクシクシク・・・
イライライラ・・・

「だったら、やっぱり養子に出そうかな・・・」
「馬鹿な事言うな!いつまでも人に頼るんじゃないよ。
世間では一人でも、立派に子育てしてる人はいるだろ」

マキが「この子、貴方の子供じゃないの」と告白した時に見せた柔らかい母の顔。
あれを演技だとは思えない。母性を持っているはずだ。
今のマキの状態は、電話をかけてきた看護師さんの「産後鬱」という言葉が
ピッタリあてはまると思われた。

俺は助手席のドアを開けっ放しでしゃがんだまま、足りない頭をフル回転させた。

「手伝ってくれる友達とか、居ないの?」

言ってから、マキには結婚式に呼びたい女友達も居なかった事を思い出した。
それにマキには兄弟も居ない。夫や友達が居ないのは、自業自得に思えるが、
誰にも助けてもらえない。と、孤独感に囚われる気持ちは少し分かる。

「やっぱり実家に戻らせてもらおうよ?それが駄目ならまた考えよう。
でも俺には仕事もあるし、恋人も居る。分かってくれないか」

マキが大人しくなると、この苦難を何故ユキコに話さなかったのだろうと
自分の行動に疑問を感じた。動揺してしまい、冷静に考えられなかった
なんて、28歳になっても俺はまだまだ子供だ。
マキの問題は大き過ぎて、とても一人で抱え込める状況じゃない。
情けないけど、ここにユキコが居たら、どんなにか心強かっただろうか?

帰ったら絶対全部話そう・・・もう二度と嘘はつきたくない・・・


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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖隠穫


半分泣きながら帰った俺の自宅には・・・・明かりが点いていて・・・
まさかと思ったけれど・・・マキ様がおりました。
ちょこんとソファに座っていらっしゃいます。

「おかえり♡」

Σ(・ω・ノ)ノ!初めてじゃない?にっこり笑って『おかえり』って。。。
ってそれどころじゃないっ

「おっお前っ!!ここで何やってんだよ!!」

初めてマキ様をお前と言ってしまいました。

「やっぱりいいわ・・・この家だったら気持ちが落ち着く」
「何言ってるんだよ!訳わからねー事するのも
いい加減にしろっ!!!」

初めて人に怒鳴った気がした。でもマキに動じる気配は見受けられない。

こんな奴が俺の元妻だったなんて・・・情けなさすぎて涙でてくらぁ。

「私、明日退院なの・・・サキちゃんは置いて先に退院なの」
「病院から失踪したって俺に電話が来たんだぞ?
こんな所で何やってんの?」
「・・・何してるんだろうね・・・」
「もう頼むよぉ!マジで。ほら立てよ。病院に送ってってやるから」

マキはのんびりとソファに寝転び、伸びをした。
俺の話が聞こえていないみたいなのは、相変わらずだ。

「早くしろって」
「明日退院なんだよ?二度手間じゃない?」

は?

「病院は、お前がすぐ帰ってくるって思ってたみたいだぞ?
荷物は?」
「あ。忘れてた、そうだ私・・・タクシー代だけ持ってたんだ・・・」
「とにかく、送るから」

良く見ると、マキはパジャマ姿のままだった。
俺への対応もなんだか変で・・・気持ちが悪い。
とりあえず、産院には無事に見つけた事を伝えて、ソファから中々動こうとしない
マキの腕を引っ張って車に乗せた。
渋々ながら、ゆっくりと走り出した車に揺られたマキは、また驚く事を言った。

「明日から、ここに住みたい」

は?

「あの家に戻りたくない」

ちょっとw

「一人で住むなんて嫌」

だからって

「子供の面倒は見られない」

何だと?

呆れた俺が黙っていると、そればかりを繰り返し始めた。
一点を見つめたままなのが、運転していながらも分かった。
カリカリという音が聞こえて、助手席を見ると爪をひたすらにかじってる元妻・・・

・・怖いんですけど・・・

二度と逢う事は無いと思っていたから、ユキコの事を言っていない。
でもそれが重大なミスを犯していたらしい事にやっと気付いた。

「無理だよ」

今のマキには何を言っても通じないかも知れないが、少しでも分かって欲しい。

「俺には大事な恋人がいるんだ。もうこれ以上かかわらないでくれ」

「・・・・・」

うんともすんとも言わないマキに俺の話が理解できたかは、判断出来なかった。



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