向日葵を忘れられなくて♥

シリーズ第2弾「向日葵を忘れられなくて供彜扱襪靴泙靴植

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向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅穎


次の日、マキの家までは二人で行ったが、ユキコはどうしても家に入るのは嫌だ
と言い出した。どうやら一緒に行くと言ったのは、俺一人だと自分に気遣い、
行きにくいのではないか、と思ったユキコの配慮だったらしい。
俺はユキコを車に残し、一人でインターホンを鳴らした。

出て来たマキは少し驚いていたが、快く俺を家の中に入れてくれた。
離婚して4ヶ月。久しぶりに訪れたのに、マキの愛犬リックは俺の事を覚えていて
くれたのか、尻尾をちぎれんばかりに振り、嬉しそうに俺の周りをまとわりついた。


お焼香を済ませた俺に、マキはお茶を出しながらひっそりと言った。

「ママ、寝てるの。一気に疲れが出ちゃったみたい」

リビングに置かれたベビーベッドを覗くと、サキがすやすやと眠っていた。

「俺もゆっくりと休んで欲しいよ。すごく疲れてた感じだったし。
マキは大丈夫か?」
「大丈夫」

マキは俺の目を見て微笑んだ。泣き明かした後なのか、切れ長の瞳の周りは
赤くなっている。そんな顔を見ると、田舎であった電話の事には申し訳なくて
触れられなかった。

「ユウジ君、私、奇跡を信じるわ。だってこの目で見たの。
パパが・・・父が亡くなる前に、一目だけでもサキちゃんの顔を見て!
って病室で祈り続けてたの。そしたら一瞬、意識を取り戻したのよ?
先生も、看護師さんもびっくりしてた。
ゆっくりと目を開けて、サキちゃんを見て、嬉しそうに涙を流して・・・
喋る事は出来なかったけど、マキ頑張りなさいって声が聞こえて・・・
ありがとう。って私・・・感謝の気持ちしかなかった。
その時よ、サキちゃんが初めて笑ったのは。
ママと私、驚いて、こんな時なのに嬉しくて、二人して泣いちゃった」
「そっか。パパはサキを見る事が出来たんだ。嬉しかっただろうね」

マキは目尻に浮かんだ涙を必死にこらえ、高い天井に顔をあげて、
少し間を置いてからまた微笑んだ。

「天国にまで心配をかけたくない。って思うとやる気が出て来たの。
いつまでも病気に甘えてちゃいけない・・・働こうって決心したの」

マキのすっきりとした微笑みに、俺もつられて思わず微笑んだ。

「もしかしたら、前の職場に復帰できるかも知れないんだ。
サキちゃんの為にバリバリ働いて、キャリアを取り戻すの!
ママの事も、これからは私が守ろうって思ってる」
「無理すんなよ?マキはいつも極端だからなぁ」

マキはクスクスと上品に笑った。
一方、お茶に口をつけた俺は、甘くて渋い日本茶が余りに旨くて驚いた。

そっか。そういえば、茶道部だったって言ってたな。

結婚生活中、こんな旨いお茶を淹れてくれた事なんて無かったから、忘れてた。
やけにマキの良い所ばかりが目についた。
こんなに穏やかな会話が俺達の間にあるなんて、信じられない気持ちだった。


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