向日葵を忘れられなくて♥

シリーズ第2弾「向日葵を忘れられなくて供彜扱襪靴泙靴植

向日葵

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全12ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

第56話 共に

第1話から読まれる方はこちら
向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅僅


「そうだ!夢を言ってみて?俺、ユキコの夢を叶えてあげたいんだ」

少しの酔いが来てるのだろうか。それとも死という言葉を打ち消したかったのか。
人ごみの中でも、恥ずかしい事を滑らかに言えた。

「何でも?」
「何でも!」

少し考えたユキコは、遠慮がちに言った。

「・・・欲しいものがあるの・・・」

(._・)ノ コケwそっちかぃっ
そういえば、職場の女の子も『いつかバーキンを持つのが夢』だなんて
超現実的な事を言ってたな。

バタバタしていて、クリスマスプレゼントを用意していなかった俺は
ユキコにしては珍しい催促だと思った。

「エルメス?カルティエ?何でもいいよ♪よし。明日買いに行こう!」

大きい事を言ってしまいましたが・・・バーキンって言われたら、どうしよ・・・
((;゚Д゚)オレシラナイ

「違うぅっお金でなんて買えないものが欲しいのっ!」

・・・?・・・

「もうっ!ホントにわからないの?じゃヒント。私とユウジの・・・」
Σ(゚Д゚)!!!
・・・それって・・・それって。ひょっとして!!??

そこで言うのを止めたユキコは、いきなり違う事を言った。

「あっ靴紐がほどけてるよ?」

立ち止まった俺が、解けていない靴紐を確認する前に、ユキコは駆け出した。

「急がないと、終電出ちゃうぞ!鈍感デク!」
「ほどけてないじゃん!待てよー!ズルイぞ!」

高校の時のあだ名で呼ばれ、休み時間によくやった競争を思い出した。
あの時からユキコは、足が速かった。時たま後ろを振り向く、昔と変わらない
笑顔を 人ごみで見失わないように追いかけた。

そうだ。この正月は、俺の実家へユキコを連れて帰ろう。

俺の両親は、久しぶりの再会に大喜びするはずだ。
ユキコと結婚する事が、俺の初めての親孝行になる気がする。

もうすぐ調停が始まる。俺は元妻の事を信じている。
きっとすぐに終わるだろう。そしたら結婚だ。
ユキコの夢は叶えられるだろうか。
それはまだ分からないけれど、その夢に向かい努力する事も
未知の世界に二人で踏み出すみたいで、嬉しくなる。


愛する人と結婚して子どもを持つ事。それが幸せだと、漠然と思っていた。
でもそれは、大きな勘違いだったようだ。
だって今の俺は充分に幸せだ。これ以上何か望むと罰が当たると思える程に。
幸せの定義は、自分が決める。もう誰にも左右されたりしない。
生涯をかけて愛し、守ろうと思う大事な人を見つけた。それだけで自分を誇れる。


ユキコと俺の歩く速度は、お互い無理をしなくともぴったり合う。

これから二人で歩んで行く道も、同じリズムで進めるはずだ。

共に手を取り合い、同じ景色を見て、ずっと一緒に歩いて行く。

果てしなく長い道のりの途中では、合わせにくくなる時もあるかも知れない。

いつも順風満帆という訳には行かないだろう。

でもそんな時はすぐに俺から歩み寄る。そうしてまた二人で歩き出す。

ユキコとなら俺は、どんな嵐も険しい道のりも乗り越えられる。

死だって怖くない。俺は、何度でも生まれ変わる。またユキコに出逢う為に。

そして世界で一番幸せにする為に、生きて行く。





呑んだ後で走っているからか、ロマンチックな事を一杯言いたくなってきた。


捕まえたら、一つ残らず言ってやる。





・・・


だ・だからっ!そんなに速く走るなってー!





開く トラックバック(1)

第1話から読まれる方はこちら
向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅杵


終電に間に合うように、ケンタとカヨとは別れた。
週末という事もあり繁華街はまだ賑わっている。
その人の波をかきわけて駅までの道を二人で歩き始めてすぐに、
ユキコが聞きたい事があると言った。

「田舎でお婆ちゃんと何話してたの?ユウジ言ってくれないんだもん。
ずっと気になりつつ、聞けなくて・・・」
「ん〜。結婚してから言った方がいいのかな?って思ってたんだ。
お仏壇を返して欲しいんだって」
「お婆ちゃんったら。私に言っても聞かないと思ってたのね」

ユキコが明るくケタケタ笑ったので、承諾したと取れた。

「ユウジ、お婆ちゃんに気に入られたね♪前の旦那なんて・・・」

うっかり前の旦那の話なんてしちゃった、と言いたげに話を止めようとしたので
俺は続きを促した。ヤキモチなんて微塵も感じなかった。

「前の旦那さんの事、お婆ちゃん凄く嫌がってたから。良かった♪」
「ホントに?嬉しいなぁ♡」

ユキコと俺の繋いだ手の力が少し強くなった。

「お父さんとお母さんも、ユウジが相手でホッとしてるだろうなぁ」
「マジで?本当はあんな奴で大丈夫か?って思ってるかも」
「大丈夫!高校の時、気に入ってくれてたじゃない?」
「そうだけど。結婚となるとまた話は別かも・・・」

また弱気な俺が顔を出した。相変わらずだ。人間、そんな急には変われない。

「バツイチ同士で色々あるけど。ううん。あったけど。
私はユウジじゃなきゃ無理。だからしょうがないって思ってくれてるって」
「しょうがない?何だよそれ」

とは言いつつも、その台詞が嬉しい俺はニヤけているはずだった。

「ユウジって何処かお父さんと似てる。だから一緒に居て安らぐの。
カオリがあんなに懐いたのも、きっとそれが理由じゃないかな」

そうなのかな?企みがあったみたいだけど・・・w

カオリちゃんの事はともかくとして、ユキコの父親と俺が似ていると、お婆ちゃんが
言った事を思い出した俺は、少々照れながらまたユキコの手を強く握った。

「何処が似てるんだろ?自分じゃわからないなぁ」

ユーモアに溢れていつも笑っていたあのお父さんと、似てるなんて光栄だけれど
恐縮でもあった。密かに憧れていた人だったから。

「こんな事言うとファザコンみたいで恥ずかしいけど、ちょっと似てる。
凄く優しい所とかね。私、お父さんに怒られた記憶が無いんだもの。
小さい時、お父さんと結婚したいって思ってた、お父さん子だったの」

こんな事を娘に言ってもらえるお父さんって素敵だ。と改めて憧れた。
こんな事を言えるユキコも素敵だ。

「お父さんの代わりにでも何にでもなる!俺頑張る!」
「そのままでいいよ。そのままのユウジでいいの」

ユキコの発する言葉の一つ一つに、愛を感じた。

「今思えば・・・お父さんとお母さんってロマンチックよね。
死ぬ時まで一緒だったなんて」

今まで二人の間に流れていたほんわかとした空気とは、全く似合わない『死』
という重い響きに、俺はただ戸惑い言葉を探した。

幸せな気分の時でも、ユキコは死の事まで考えているのかな。

「だったら俺達も一緒に。ただし・・・老衰で」
「そんな上手く行く?」
「愛があれば、何だって可能だ!俺は奇跡を信じるぞ」

もしも、ユキコと再び逢う事の無いまま死を迎えていたら、俺の魂は後悔だらけ
だっただろう。心の底から命のありがたさを感じた。



開く トラックバック(1)

第1話から読まれる方はこちら
向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅艦


「かんぱーい!!!」


いつもの居酒屋で「クリスマスパーティ」という名の飲み会が始まった。

「ほんっとにもう!パーティできないと思ったわよ」
「お前らがおかしくなるなんて珍しい。俺らはしょっちゅうだけどw」
「ちょっと聞いてくれる?ケンタってば、全然ロマンチックじゃないのよ?
旅行の最中に、カヨの『夢』は何?なんて聞くからさぁ?てっきり私、
プロポーズかと思ってね『海外で挙式がしたい!』って言ったの」
「・・・こんな所で言うか?」
「お黙り!そしたらさぁ、ケンタってば
『へー。俺はもう一度万馬券を当てる事なんだよなー』って!
超ムカついた。それでまた喧嘩よ」
「喧嘩する程仲がいいって言うじゃない」

ニヤニヤ笑ったユキコが俺の袖を引っ張り、こそっと耳打ちをした。

「まるで高校の時の私達みたいじゃない?」
「だろ?俺もいつもそう思って見てるんだ♪」

向かいのケンタが、メニューでビシッと、俺とユキコを割った。

「そこ!イチャイチャすんな!っったく!ヾ(`Д´)/」

カヨは、ケンタとは違う夢を持ってるよね?と言いたげに俺に詰め寄った。

「ね、ね、ユウジは、どんな夢がある?」
「ん〜〜w宝くじに当たりたいかな」

こんな席で、本心を言えるはずがない。ケンタに指笛を鳴らされるのがオチだ。

「はぁ?男ってホンットに子供なんだから!じゃ、ユキコちゃんは?」
「うーん。フランス人になってみたい」

ケンタとカヨがそっくりな笑い方で、ぎゃはははっと歓声をあげた。

そ、そんなの夢って言うのか?!

「ところでさ、ユウジ知ってた?この二人、合コン行ってたんだぜ?」
「え!!!」
「ケンタ!それは言わない約束でしょ?・・・ユウジ・・・ごめん。
私が悪いの。私が無理矢理ユキコちゃんを誘ったの」
「怪しいなぁって問い詰めたら、あっさり白状しやがって」

俺は喧騒の中で、記憶をたどっていた。ユキコの謎の行動の日・・・

( ゚д゚)ハ!そういえば一日だけ、分からない日がある!

ケンタからメニューを奪い取った俺は、ユキコの頭をそれで叩く振りをした。

「思い出したぞ!カレーを作って待ってた日だ!ひっでぇ!」

皆の手前、少し怒ったふりをしたけれど、実は不思議な程、腹の立っていない
自分が居た。

「まま、もういいじゃん。来た男の人、全滅だったしw
その後、カヨちゃんと二人で飲みなおしたんだよ?」
「ホント、酷いメンバーだったよね。もうこりごり。って事で、
かんぱーい!」

・・・・

「ちょっと!誰かが乾杯って言ったら乾杯って言うルールでしょ!」
「追加の飲み物頼もうぜ。ユウジも空になってる」
「罰として、ここの会計はカヨとユキコ持ちを命ずる」

お互いの財布がもうすぐ一つになるから、冗談で言えた事だった。
ケンタとカヨもその日が近いに違いない。

「おう、それがいい。ユウジ、珍しく良い事言った!メニュー貸せ!」
「ええーーー!!!」


そういえばユキコの夢って聞いた事がなかった。フランス人は冗談だとしてw
折角、話が出たんだ。後でユキコの本当の夢を聞いてみよう。

ユキコの夢を叶える事も、幸せにする為に絶対に欠かせない。


開く トラックバック(2)

第1話から読まれる方はこちら
向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅穫


ユキコのお陰で綺麗になった車に乗り込むと、彼女はピンク色の携帯を開けたり
閉めたりして、言おうか言うまいか、少し迷ったそぶりをして、ようやく

「あの・・・さっきカヨちゃんからメールが入ったの。
『クリスマスパーティ、どうすんのよ?』って。
どうしようか?ねぇ?こんな時に」

と言った。でも、その言葉尻には「するよね?」という期待が込められている。

「あはは。ユキコと連絡ついたってメールした時、激怒のメール
入って来たけどなぁ。もう許してくれたのかな」
「いい友達だよね♪」

本当にそうだ。俺って、なんだか凄く恵まれてる。

有り余るお金も、地位も名声も無いけれど、人に恵まれている。
『幸せ』という基準や定義なんて難しい事は分からないけれど、
改めて振り返ると、今の自分は上出来だと思えた。

「パーティしようぜ?つってもいつもの飲み会だけどさ。
これ以上カヨ様を怒らせたら、怒鳴り込みに来るかもよ」
「分かった!じゃ、メールするね♪」

ユキコは、どう思ってるだろう。俺と居て幸せだろうか?

アクセルを踏みながら助手席をチラっと見ると、一件落着と言いたげな顔でメール
を打っているユキコが居た。エクボを窪ませた明るい表情を見ると、考えるよりも
先に聞かずに居られなかった。

「ユキコ、今、幸せ?」

俺を見て、一瞬キョトンとしたユキコは携帯を閉じ、にっこりと頷いて言った。

「幸せだよ。ユウジが太陽みたいに暖かい人だから」

その微笑みは、俺の幸せ度を倍以上に膨らませた。

「やっぱり向日葵には太陽が無いとね♪」

居るだけで俺を幸せにしてくれるユキコ。
こんなに可愛い事を言うユキコ。
今まで幸薄かったユキコ。
これからは誰よりも、幸せを感じて欲しい。
その為に俺は汗を流し、我武者羅に努力する。
そうする事で、頼りない俺がやっと一人前の男に成長するような気がした。

今なら。
人の痛みや、哀しみが少しは分かるようになった今の俺なら。
ユキコを幸せにする資格があるんじゃないか?

急に体の中心に一本の太い芯が通ったのを感じた。
まるで眠っていた、侍魂が目を覚ましたみたいに、熱い血がたぎる。
不甲斐ない自分を変えたいと思ってはいても、どうすれば変われるのか。
その肝心な所が分からずに居た。けれど、その端くれを今掴んだと思った。

「俺、ユキコをもっともっと幸せにするから」

軽く聞こえないように言ったものの、その言葉が妙に恥ずかしくなった俺は左手を
伸ばし、愛しいショートカットヘアをグシャグシャとかき乱した。


開く トラックバック(2)

第1話から読まれる方はこちら
向日葵を忘れられなくて供 ‖茖毅河


「私、小さい時この家が嫌いだったの。必死でいい子を演じさせられてる
みたいで、重圧に押しつぶされそうだった。だけど今は。
サキちゃんを育てて、本当に親のありがたみが身に沁みたの・・・。
産んで良かったって心から思ってる。私、馬鹿だった。
こんなに小さいのに沢山の事を私に教えてくれてる。凄い先生なの」

養子に出すと言ったマキは誰だったのか。今、俺の目の前で微笑むマキは、
何よりも子供を愛しいと想う、守るものを持った優しく強い母親の顔をしていた。

マキ、俺嬉しいよ。もう安心してもいいんだね?

「私ね・・・自分の事、やっと少し好きになれそう。今まで、女なんて損。
って思ってたけど、今は生まれ変わっても女になりたいって思ってる。
そして、始めからやり直したいの」
「今からでもやり直しは出来るって。頑張って良い人を見つけなよ」

照れたように笑ったマキはとてもキュートだった。
険や角が取れ、初めて逢った時よりも すっきりとした美人に感じた。

「サキちゃんの為に、私、もう間違った事はしないわ。
私の背中を見て育つんだもの。正しい事をしないと」

母の顔になったマキを見て、産んだだけでは、母親にはなれないんだと思った。
育てて初めて母親になる。子供と共に成長して行くのだろう。

「そろそろ行くよ。彼女が車で待ってるんだ」
「そうだったの?ごめんなさい。私一人で話しちゃった。
あの・・・良かったら挨拶がしたい・・・駄目ならいいけど」

俺は快く頷き、マキと一緒に車に向かった。
待っている間に、車の窓ガラスを拭いていたらしいユキコは、俺達に気付いて
パッと雑巾を後ろに隠し、気を悪くするでもなく、恥ずかしそうに笑った。
元妻と、次期妻の対面だけど、俺に変な汗は出ていない。
マキとユキコも穏やかに微笑んで会釈をした。

「あの」

ユキコに向かって一歩踏み出し、そう言って下唇を噛んだマキは、
少しためらった後、口を開いた。

「・・・ユウジ君を宜しくお願いします!幸せになってください!
それだけどうしても言いたくて。それじゃ・・・」

少し後ろで二人を見ていた俺に、マキは向き直った。

「さよなら」

ユキコが言葉を発する前に、マキは深く一礼して、小走りで来た道を戻った。
俺は、言葉も無く後ろ姿を見ていたが、彼女が家に入るのを見届けると、
温かい気持ちに満たされたのを感じた。

さよなら。君こそ幸せになれよ!いい女なんだから。

離婚した時は、いや、ここ最近まで、こんな気持ちになれる日が来るなんて、
全く思っていなかった。マキが変わると、俺の気持ちまでも変わった。
元奥さんを憎むなんて、悲しい事だと思っていたから、余計に嬉しい。

「マキさん・・・ユウジの事が本当に好きだったのね」

・・・・どき・・・・

マキが言った「さよなら」は、もう二度と逢わない。という意思表示に思えた。
鈍感な俺が感じ取れたぐらいだから、ユキコもきっとそう取ったに違いない。
もう俺とユキコの間に、マキの事で悩まされる出来事は起こらないのだろう。


開く トラックバック(5)

全12ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事