有理静樹の短編物語

前回公開したものの加筆版を再掲載します。

L.I.D(最終)

全体のあらすじ

 数万年から数百万年に一度、地球上に起きる「地表流動化」現象。いま、地球はその危機に直面し人類は滅びようとしていた。その危機を回避すべく科学者たちはプロジェクトを組み、人類の英知を結集して研究を重ねていたが、いまだ解決策を見いだせずにいた。そんな中、この研究に30年を費やしていた科学者がついに解決策を見つけだすが、落雷事故で関係資料のデータとともに科学者自身の命も失われてしまった。
 もう、人類を救う方法はないと思われた時、もう一つの極秘プロジェクトに白羽の矢が立った。それは、死後の世界を研究している「タナトス・プロジェクト」。
そしてここに、死後の世界に行って科学者を現世に連れ戻してくるという、人類史上前代未聞のミッションが始まろうとしていた。


最終章 3つの墓

 1年後、当時のミッションL.I.Dのメンバーが恐山に集合した。
墓参りのためだ。
1年前、ミッションの成功で、異常気象も、地殻変動もすっかり小康状態に入った。
そして、地表流動化対策プロジェクトとタナトス・プロジェクトは解散した。
特にタナトス・プロジェクトはミッションL.I.Dの成功のあと、施設を完全に閉鎖した。
その時、恐山のひと目に付かない場所に、祖父、スー師、そしてサトーの墓を作ったのだ。
3人とも、身内がいないか遠いかのため、その日は1年ぶりの墓参りになるはずだった。
みんなが、墓に花束を置ことしたところ、なぜかサトーの墓にだけは、既に花束が置いてあった。
彼は、みんなには内緒にしていたが、日本に恋人がいたようだった。
花はまだ新しい。命日を知って墓参りにきたのだろうか。
その恋人もこのミッションの犠牲者だなと親父達は話した。
そして横でタンジンが静かにうなづいていた。

 …病室の親父の話はそこで終わり、静かに眠りに入った。
その寝顔はとても末期患者とは思えないほど、清々しい表情だった。
そして翌日、親父は逝った。
死ぬことに全く恐れを抱かず、むしろ喜んで逝ったように思える。
きっと、いまごろ祖父達と仲良く再会していることだろう。
そう願いたい…。

  西暦2035年1月  
                  デビッド・グレイ


「L.I.D」(Light in Darkness) 終わり


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