K線G駅を降りて坂をのぼるとあ、距離を置いて大きな団地群が2ヶ所ある。
団地Aは坂を登りつめると、というか坂を登ると即、団地の敷地だが、団地Bはそこからかなり南へ下がった所にあった。
ふたつともいわゆるマンモス団地である。T(長男)は中学2年生。団地Aの近くの中学校へ通っていた。

夏休みのある日、Tは夏休み前に団地Bへ引っ越したクラスメイトの家へ、遊びに行った。Tは にとっては初めての場所だ。Tは広い1本道を、自転車で走った。爽やかな風が気持ちいい。
友人宅でゲームや音楽鑑賞で盛り上がり、時計を見ると夜7時を過ぎていた。
Tはお礼を言って友人宅を出ると、団地のメインストリートを自転車で走った。
ふと見ると、一角に粗大ゴミが山のように積み上げられていた。
家電や機械類が大好きなTは、自転車を降りてその粗大ゴミを物色し始めた。テレビにCDプレイヤー、パソコン類。夢中で手に取り見ていると、左後ろの方でゴホッゴホッと苦しそうに咳き込む声が聞こえた。
振り向くと、道の反対側の電柱の下でひとりの男が下を向いて盛んに咳き込んでいた。
髪の毛はボサボサで顔を覆い、コートともシャツとも服をだらしなく着ていた。
助けなきゃいけないと思って、Tは男の方へ駆けつけようとしたが、Tの足はそこで止まった。妙なことに気づいたのだ。
夏の蒸しかえるような熱気の中、男の口からは白い息が湯気のように吐き出されていた!

へ、変だ!に、人間じゃない!!

やばい、逃げよう!!

Tは自転車にまたがり、ペダルを踏んだ。

動かない!ペダルが動かない!

後ろからの息づかいに振り向くと、あの男がいつの間にか道を渡って来て、自転車の荷台を掴んでいる。
汚い前髪は目まで垂れて、その間から見える目には…黒目がなかった!

化け物だ!

Tは満身の力で、何度もペダルを踏み込んだ。
やっとのことで自転車は前に出た。
振り向くと、おは地面に倒れて首を上げ、ゼイゼイ白い息を吐きながら、白目だけの目でこちらを見ていた。
Tは懸命に自転車をこいだ。
初めて来た場所は、方向感覚を狂わせる。広い大通りに出ようとするが、行き止まりの道へ入ってしまう。振り向くと男が何と!すぐ後ろまで来ている!ふゼイゼイハアハアと片足を引きずりながらやっと歩いているにもかかわらず、自転車と同じスピードで移動している。人間じゃない!
Tは早く大通りに出ようと焦った。かなりの距離を走って後ろを見ると、男が団地の角を曲がってこちらへ着いて来ているのが見えた。

逃げなければ!

やっとのことで、大通りへ出た。男も後を追って大通りへ違った。
歩道は夕方の人出でいっぱいだ。Tは車道を疾走した。男は歩道の人々を煙のようにすり抜けて、速いスピードで追いかけて来る。歩く人たちに、男の姿は見えないようだ。
やがて交差点に差し掛かった。
信号は赤だ。
止まれば男に追いつかれる。止まらなけれれば車が…。
男のゼイゼイという息づかいが聞こえて来る。

どうしよう!?

前に赤信号、後ろに恐怖の男…!

Tの全身から滝のような汗が流れた。
半ば朦朧とするTの頭に、2年前に亡くなった祖父の顔が浮かんだ。

おじいちゃん、たすけて!!

Tは赤信号を無視して、交差点に突っ込んだ。

全ての音が消えた。

祖父が何か言っている。

Tの背中の後ろを突風が通り過ぎた。

Tの自転車は、交差点を渡り切った所にある、カードレールに激突して倒れた。
Tの体は、硬いアスファルト投げ出された。

「ボク、信号見てへんかったんか!?なんちゅう危ないことするんや。なんものうてよかったけど、もう、絶対したらアカンで!」
どこかのおじさんが、怒鳴りながら助け起こしてくれた。周りには、人たちが集まって来た。
Tは交差点の反対側を見た。
そこにはあの男が白い息を吐きながら、大きく肩を譲って嘲笑していた。
それはだんだん薄れていき、お湯のような熱気の中に…消えた。

何気ない日常に、それは現れたのだ。

……魔物………!


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今日の夕食🍛

見た目をおもしろくするために、メンチカツをちょっと…

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野菜が苦手な長男のために、野菜は少し。嫌いでも「出しただけは食べる」が私流。
青汁のCMに、出とうないやろと☺

メンチカツは、小判型よりまん丸が作りやすいと思ったのに、作りにくいーっ!🤣
でもでも、メチャおいしかったですよ😚💖(自分で言うのおかしいけど)
ころもがパリッと、中はやわらかーい😃
ホントはミートボールくらいの大きさにして、串に刺して出そうと思ったのに、ほとんど重量オーバー💧

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サスペンスを視ていて、ふと思った…。

ドラマのラスト。
なさぬ仲の母と娘。
「お母さん!」と走り寄る娘。
「私はあなたの母親じゃない!」と、涙をこらえて突き放す母。

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母はふたりの刑事に両側から腕を取られ、泣きながら引き立てられて行く…。
カメラはその後ろ姿をずっと追って行く。遠くまで…。
次に娘に振られるカメラ。
涙涙で見送る娘。
カメラが母親に戻ると、…あ、?…あれ?
さっきまで寒々と泣いていた母親が、笑っている。刑事役の役者と肩を叩き合ってゲラゲラ😄
ああ、もう映ってないと思って、打ち解けちゃったんだぁ😑


…と、こんなことあったらおもしろくない?🤪

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👿💕

三家族同居しているこの奇妙な家の中で、母にうとまれ、親戚からも無視されてきた、このあまり美しからぬ娘にとって、は冷たい防空壕も夢殿のような神聖な場所なのだろう。金田一耕助はこの孤独な娘の魂の訴えを聞いて、ちょっと心を打たれずにはいられなかった。

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「美禰子さん、美禰子さん。」
金田一耕助はその肩を叩いて、
「泣くのはおやめなさい。今は泣いている場合じゃない。いろいろお尋ねしたいことがあるんですから。」
美禰子は頷きながら涙をふいて、紙のように蒼白んだ顔を上げると、

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「すみません。あたしもそう思っていがら、あまりお父さまはがお気の毒ですから…。お父さまはお亡くなりになってからも、悪い人たちに利用されていらっしゃるんですわ。でも、もう泣きません。なんでもお訊ね下さいまし」
美禰子は健気に姿勢を立て直した。
「それじゃ、まず昨夜のことからお伺いしましょう。これは大体ほかの方から聞いているんですが、一応、あなたの口からお伺いしましょう。
美禰子はうなずいて語り出した。
金田一耕助が帰って間もなく、亜希子の発作が治まったので、自分の部屋へ引き下がったこと。しかし昂奮しているので、なかなか眠れなかったこと。その時分玉虫もと伯爵がまたひとりで、あのアトリエにいたとは夢にも知らなかったこと。そのうちに、うとうとと眠ってしまったこと。三時頃お種が目賀先生を起こしに来た声で、目が覚めたこと。いっしょにアトリエへ行ったこと…。美禰子は要領よく順序立てて語ったが、別に耳新しい事実はなかった。
「その時、あなたは欄間から中を覗かれたそうですね。

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「覗きました。」
「あなたはそれで、とっさにどうお思いでしたか?」
「あたしは目賀先生のお言葉を待つまでもなく、すぐに人殺しだと思いました。菊江さんや三島さんは脳出血だのなんだのって言ってましたけれど…。」

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「どうして、そんな風に思われたんですか?」
「そんな予感があったからです。そのことは先生もよくご存じのはずです。それに、砂鉢にいっぱい血がこれれてましたし…。」
「そうそう、砂鉢の上に押されていた、あの奇妙な血の紋章でずがね。欄間から覗かれた時、あなたはあれにお気づきでしたか?」

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「いいえ、気がつきませんでした。」
金田一耕助は、もじゃもじゃ頭をかき回しながら、
」それに気づいたのは?」
「叔父様と三島さんが砂鉢の上で、何か言い争いを始めた時です。その時、あたしたち廊下へ追い出されていたんですが、それで中へ入ってみて、初めてあの紋章に気がついたんです。
「三島君の話によると、新宮さんはそれに砂をぶっかけて、消そうとしていたと言うんですがね。」

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「はい、あたしにもそう見えました。」
美禰子は、キッパリと言い切った。
金田一耕助と等々力警部は顔を見合わせていたが、やがて耕助が口を開いて、
「時に凶器として使用された雷神ですがね。あれはいつもあの部屋に置いてあったそうですね。」

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「はい、いつも置いてございました。」
「しかし、あれは雷神でしょう。そうすると風神と対になっていなければならぬはずのものですが、目賀先生も三島君も知らぬという。風神はないんですか?」
美禰子はちょっと目を上げて、耕助の顔を見る。そんなことがなぜ問題になるのかと言いたげな顔色だったが、それでもキッパリと、
「それはご存じないはずです。」
それからちょっと考えて、
「あれは去年の夏でしたか、三島さんがまだこの家へいらっしゃる前でした。あの晩、あの部屋に泥棒が入って、そこにあった置き時計やなんかといっすょに、風神も雷神も持って行ってしまったんです。

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↑風神

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↑雷神
ところがそれから二、三日経って、雷神の方だけがお庭の隅に捨ててあるのが発見されたんです。そういうわけで、今では雷神だけしかないんです。」
金田一耕助は眉をひそめて、
「しかし、どうして雷神だけ持って行ったんでしょう。」
「それは多分荷になったのだと、そんなものつまらないと思ったからではないでしょうか。」
「しかし、それはちょっと妙ですね。雷神の方はつまらないと思ったが、風神の方はつまると思って持って行ったんでしょうか。泥棒にだって、あれが対になっていることぐらいは、わかりそうなものですがね。」
「金田一先生、あたしにも泥棒の気持ちまでわかりません。」
美禰子は怒ったようにキッパリ言った。金田一耕助は恐縮したように頭をかき回しながら、
「いやあ、これは失敬失敬。それじゃこの問題は、これくらいにしておいて、次に移りましょう。美禰子さん、お父さんは三島君をよほど信用していらっしゃいましたか?」

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美禰子はちょっとためらったのち、
「信用って、どういう意味でしょうか?」
「例えばでずね。宝石を売ったりする場合、ほかの人に相談せずに、三島君にだけこっそり相談するという風な…。」
美禰子はこっくりうなずいて、
「そういう意味の信用なら、していました。但し、父は宝石類など、ひとつも持っていませんでした。母なら有り余るほど持っていますけれど。」

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金田一耕助はギョッとしたように、等々力警部を振り返る。それにもかかわらず密告状によると、椿子爵は三島東太郎と、宝石を売ることについて、密談さていたと言うのだ。しかも天銀堂事件の直後に…。

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「しかし、ねえ、美禰子さん、お父さんがお母さまのお許しを得て、宝石を売るということは、あり得ることでしょう。」
「いいえ、絶対にそんなことはあり得ません。」
美禰子は急にいつものねつい調子になって、
「母は宝石を売らせようなどということは、駱駝が針の穴を通るよりも不可能なことです。タイプの人にありがちな、母は宝石マニアなんです。」

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金田一耕助は、また等々力警部と顔を見合わせる。もし、あの密告状が事実とすれば、椿子爵はいったい誰の宝石を売るつもりだったのだろう。金田一耕助の心は次第に重くなってくる。彼は物憂げに頭を掻きながら、
「いや、それじゃ、まあ、その問題はそれくらいにしておいて、もうひとつお訊ねがあるんですがね。この家にタイプライターがありますか?」

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美禰子はびっくりしたように、耕助の顔を見直した。そして質問の真意を探ろうとするかのように、まじまじと耕助の顔を見つめていたが、やかまて、
「はい、ございます。」
と、キッパリと答えた。

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😈

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桜を詠んだ古の人の心

世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし🌸


(現代語訳)
この世の中に、桜というものが全くなかったならば、春を過ごす人の心はどんなにおだやかであるだろうか。
=桜は散ってしまうことで、気持ちが落ち着かない。だからいっそのこと…という意味。


これは在原業平(ありわらの なりひら)の詠んだ和歌で、古今和歌集に載せられている。
渚の院の桜を詠んだ歌とされている。

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私の実家の前の桜。
5本のうちの1本で、樹齢は私と同い年。

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