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「今に見ろ、小文吾め、荘助め。今度こそ、息の根を止めてやる。」
さて、宿の方。
騒ぎを聞きつけて、役人が駆けつけ、鬼面組は一網打尽、ことごとく捕らえられる。

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犬田小文吾と、犬川荘助が、たったふたりで鬼面組を退治したと言うので、その武名、越後中に轟き渡った。
ニ、三日後、越後の国を支配する箙御前から、迎えの使者がやって来た。
「盗賊たちを討ち取った武勇伝をお聞きしたく、更には、国の害を除いてくれた礼も言いたい。」
と言うが、ふたりは即座に断る。
箙御前は、かつて気ままな政治をしていると言うので、、あまり評判が良くない。そんな女に会いたくない。
だが使者は引き下がらない。
ふたりは根負けし、迎えの駕籠に乗る。
行列は出発し
やがて駕籠は箙御前の館に着き、降ろされる。と同時に、声がかかる。
「犬田小文吾並びに犬川荘助
出ませい、」
その声、迎えに来た時とはまるで違い、さながら罪人に命ずるかのように高飛車てある。
驚いて駕籠の戸を引き上げ、荘助は更に驚く。
鎧武者たちがふたりの駕籠を、隙間なく取り囲み、槍を構えていた。
小文吾も異変に気付き、駕籠の窓を開け、見えない目であたりを見回している。
「槍で囲まれている。手出しはするな、小文吾。」
抵抗する気配を少しでも見せれば
鎧武者たちは一斉に槍を繰り出し、ふたりは立ち上がる暇もなく、

体中くし刺しにされるだろう。
なすすべもないまま、小文吾と荘助は、たかてこてに縛り上げられ、奥に連れて行かれ、庭先にひきすえられる。
座敷の正面に、老婆が座っていた。

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目も、鼻も、口も、人並みはずれて大きい。そこへ毒々しいほど、厚く化粧している。
髪は真っ白。でっぷりと太り、金糸銀糸で飾った豪華な衣服をまどっている。横幅は、側に控えている小姓たちの、ゆうに倍はありそうである。
どこか人間ばなれしていて、さながら年老いた巨大な雌狸、と言ったおもむきである。
綺麗に着飾った小姓に酒をつがせ、ぐいぐいと飲んでいる。
赤く濁った目で、、荘助と小文吾を見下ろし、縁側で平伏している女に声をかけた。
「船虫、この者たちに、相違ないかい?」
「はい」
平伏していた女 船虫は顔を上げると、荘助と小文吾を見た。

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「間違いありません。」
「そうか、鬼面組を退治した勇者とか何とか言っても、たわいのない物じゃな。」
ろれつのおかしくなった声であざ笑う。
「お願いがあります。」
船虫が言う。
「どうか、この者たちをわたしにお下げ渡し下さい。」
「どうするつもりじゃ?」
「成敗します。」
もし箙御前が許すと言えば、今すぐにても庭に飛び降り、コ文吾と荘助を殺したいと言うように、憎悪に萌えた目で、ふたりを睨みつける。
だが箙御前は、冷ややかに首を振る。

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「それはならぬ。この者たちは、千葉家と大石家に引き渡す。すでに、両家に使いが出してある。我が婿君たち、にっくき罪人を手中にして喜び、磔にするなり、打ち首にするなりするだろう。…そちには、褒美を取らせる。」
船虫は、次女が投げてよこした金を懐にねじ込み、ちぇっと舌打ちしながら、帰って行く。

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箙御前の手を借りて、荘助と小文吾を捕らえさせ、始末をつけるのは自分の手で、と虫のいいことを考えていた、その当てが外れ、悔しくてたまらないのである。
「あのばばあめ!」
と、声に出して、箙御前をののしる。
「奴らを他人に殺させてたまるか。成敗するのはこの船虫様。また、見てろって。」

半月ほどして、千葉家と関東管領から、荘助と小文吾引き取りの使者がやって来た。
千葉家とからの使いは馬加蝿六郎(まくわり ろくろう)と言って、犬坂毛野に殺された馬加大記の息子。
関東管領からの使者は、かつて犬山道節が関東管領上杉定正

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を襲った時、五犬士を追い詰めた籠山逸東太である。

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箙御前の娘は、大石家に嫁いでいて、この大石家が大塚の領主である。だから刑場破りをした荘助は大石家に渡されるべきだが、この大石家は関東管領の家臣である。それで、関東管領上杉定正は、籠山逸東太に引き取りに行くように
命じたのである。

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言うまでもなく、荘助たちは、定正の命を狙った犬山道節の仲間であるのだ。
ふたりは罪人護送用の籠 唐丸籠に入れられ、送られる。

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犬士たちが助けに来るかもしれない。籠には、誰が入っているかわからないよう、黒い袋が被せられ
出発した。

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三🐩箙御前

小文吾、目を開けると、枕元の刀を取り、耳を澄ませた。
ぴたぴたという足音が近づいて来る。
人数は十人、いやもう少し多いかもしれない。
足音の感じては、女も混じっている。
小文吾は起き上がると、床の間を背にして、刀を抜いた。
雨戸が乱暴に蹴倒され、足音が部屋の中に飛び込んで来た。
もちろん、飛び込ん目来たのは、船虫に手引きされた盗賊
鬼面組の一味である。

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小文吾を取り囲み、持って来た明かりを小文吾に向け、「おう!おう!」と、声だけ威勢良く出している。
盗賊たち、小文吾の目が見えないことは知っている。だが、無双の手練れだとも聞いている。迂闊には、切りかからない。
集団を組んで乱暴はするが、ひとりひとりは、結構臆病な男たちなのだ。
「なんだよ。なんだよ。どうしたんだい!」
船虫が、歯がゆそうに叫ぶ。

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「たったひとりの男を相手に、泣く子も黙る鬼面組のおにいさんたちが、屁っ放り腰かい、情けないねえ。それじゃあ、鬼面組の名が泣くよ。ほら、相手は目が見えないんだ。一度にかかって、なますに切り刻んでやりなよ!」
船虫の言葉に、盗賊たちは一斉に雄叫びをあける
小文吾は、床柱を背にして刀を構える。
周りで、光がちかちか踊っている。盗賊たちの刀が、明かりに反射しているのだ。
それを頼りに、戦うつもりである。
もちろん、盗賊の数は多い。
助かるとは思っていない、だが、ひとりでも多くの盗賊を道連れにして、冥土へ行こうと思い定めていた、
突然、盗賊たちのひとり 皆の後ろで、「やあ、やあ!」と声だけ勇ましいく上げていた男が、悲鳴をあげた。
「と、どうした、源助?」
皆は驚き、振り返る。
雨戸越しに槍の穂先がのび、源助と呼ばれたの脇腹深く、突き刺さっていた。
誰かが、雨戸の外から槍を繰り出したのだ。
「何やつ!」
盗賊たちが一斉に、雨戸の側から飛び退いた時、その雨戸が蹴倒され、ひとりの武士が飛び込んで来た。
頭には、きりりと鉢巻を締め、袴の股立ちを取った武士である
「てめえは!」
と、酒顛二は叫ぶ。
「いかにも、犬川荘助。」
武士は、にっこりと笑った。
「義兄弟、犬田小文吾の差助太刀に来た。」

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槍は盗賊に突き立てたまま、目にも止まらぬ早技で、右左へと、たちまち盗賊を二人斬倒す。
「おう、荘助!」
地獄で仏とは、この事だろう。
小文吾が見えない目を荘助に向け、喜びの声を上げる。

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「安心いたせ、小文吾。」
荘助も小文吾に叫び返し、左手で、先ほどの盗賊に突き刺したままになっていた槍を抜き放つと、小文吾に斬りかかろうとしていた盗賊に投げる。
槍は盗賊の背を貫き、盗賊は虚空を掴んで倒れる。
その隙を縫って、荘助は小文吾ので取り、庭に出る。
「逃がすな!逃がすな!」
船虫が、狂ったように叫ぶ。
盗賊たちも庭に飛び降りる。
荘助は小文吾を後ろにかばいながら
左手でで槍、右手で刀と、忙し振るい、ここを先途と戦うが、次から次へと襲いかかって来る盗賊のために、かいつしか小文吾と、離れ離れになる。
「ぎゃっ!」
小文吾に斬りかかった盗賊、血煙を上げて倒れた。
吾文吾が袈裟懸けに切ったのである。
それを見て、思わず荘助は叫ぶ。
「みごと!」
小文吾は見えない目を荘助に向けて、ニヤリと笑う。
「殺気が見えたのだ。」
そう言いながら、さっと体をよじると、振り向きざま今度は背後を切る。
その一刀はみごと、小文吾の後ろに回っていた盗賊の首に決まる。

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「小文吾、後ろにも目がで来たようだぞ。」
「いや、横も見える。」
良い様小文吾小文吾、今度は横をなぎ、盗賊の刀が宙を飛んで行く。
盗賊たちは、浮き足立って来た。
荘助ひとりでも持て余していたのに、そこへ小文吾が、目でも見えるかのような、見事な戦いぶりを見せ始めた。これでは勝ち目はな い。
船虫はとっくに逃げ出していた。
「船虫、肩を貸してくれ!」
傷でも負ったのだろう、酒顛二がしきりに悲鳴をあげているが、落ち目の男には 用はないと、冷酷な船虫は振り返りもしない。
さっさと逃げて行きながら、おのれ小文吾、どうしてくれようと歯噛みしながら、考えている。
盗賊の力を借りて、小文吾を亡き者にしようと図ったが、盗賊のごときの手に負える相手にではないと、わかった。この上は…。
何か、いいことでも思いついたのか、船虫は突然立ち止まり、にんまりと笑った。


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今も、荘助を一味の隠れ家へ連れて行き、ふところの金を頂くつもりなのである。
自分を救ってくれた人間の命を奪って、金を盗むなど、まさに天人共に許さざる所業だが、悪逆無道な船虫にとっては、ごく当たり前のことなのであろう。

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それにしても、命を取られるとも知らず、船虫を負ぶって行く荘助こそ、いい面の皮である。

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ところで船虫、荘助の背に負ぶさった途端、うっと顔をしかめた。
胸に、鋭い痛みが走ったのである。
小文吾に珠を見せられた時にも、また珠を飲んでいた雛衣のそばに近寄った時にも、同じ痛みが走ったことを思い出し、遠回しに船虫は訊く。
「お武家様、お名をお聞かせ下さいまし。命の恩人のお名も知らなかったでは、あまりにも罰当たりですものね。」
「いや、通りがかっただけのこと。命の恩人だなどとはおもはゆい。名乗るほどの者ではないが、犬川荘助と言います。」

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やはり、犬…川。
小文吾は犬田、角太郎は犬村、そうそう、それに旅の武芸者の現八は確か、犬飼…。

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どうやら、珠を持つ者は、<犬>の字がつく姓を名乗り、皆仲間らしいと見当をつけ、隠れ家までの道みち、船虫は荘助から、様々なことを聞き出す。
海千山千の船虫。荘助のような純朴な若者から、秘密を聞き出すことなど、赤子の手をひねるより簡単である。

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(まったく、わたしもついているね。)
荘助の背で船虫はつぶやき、にんまりする。
(ふところにたんまりお金を持っている、このお人好しが、小文吾の仲間だとは!)

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金を巻き上げた上、仇の片割れまで始末できるのだ。
(小文吾に取り押さえられ、<神慮まかし>にかけられた時は、さすがのわたしも、あえなく、これで一巻の終わりかと思った。ところがどうだ。そこへのこのこ、犬士のひとりがやって来て、命拾いするなんて、まだまだわたしの悪運も尽きちゃいないね。)
ほくそ笑んでいるうちに、人里離れた、山中の一軒家に着く。

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人相の良くない男たちが、酒盛りをしていた。

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泣く子も黙る鬼面組の一味である。
その中でも、とりわけ凶悪無残な面構えの男が、若い男に背負われて帰って来た船虫を見て、眉をひそめた。船虫の夫、酒顛二である。

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そんな酒顛二を船虫は目で押さえ、荘助には、酒顛二を兄だと言って紹介する。
そして酒顛二には、荘助に助けられたことを話す。それを聞いて酒顛二、
「それは妹が、とんだ世話になりまして…。」
と調子を合わせ、凶悪な面に精一杯の愛想を浮かべ、荘助をもてなす。
だが荘助、夜道を何時間も船虫を背負って来て、疲れていた。早々と奥の間に引き取って、横になった。
だが、寝付けない。

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今の男たちが気になる。猟師だと言うことだが、それにしては人相が悪すぎる。もし男たちが盗賊なら、荘助が助けた女も
当然一味。
せっかく、町の人が捕まえた盗賊を、自分は助けてしまったのだろうか?
---------------- 8×キリトリセン ----------------
今ごろわかったんか!あほんだら!😤💢

荘助は起き上がり、隣の間へ行き、男たちのひそひそ話に耳をそばだてた。そして、荘助、びっくり仰天した。
盗賊たちは、犬田小文吾を殺す相談をしていたのである。

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「仮にも船虫は、俺の女房。それをひどい目にあわすなど、許せねえ。その小文吾とやら、叩き殺してやる。」

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荘助は奥の間に戻ると、手早く身支度し、庭に飛び出た。
しばらくすると、すっかり武装した盗賊たちが、荘助の部屋にやって来た。
小文吾を襲う前に、荘助の金を頂いて行こうというわけである。
だが、荘助はいない。
「ちぇっ!風を食らって逃げたな。」
酒顛二は忌々しそうに言うと、荘助が寝ていた布団に手を差し入れ、
「すっかり冷たくなっている。逃げてから、だいぶ時が経っているな。今更追いかけても追いつくまい。ここはさっさと、小文吾を討ち取りに行くぜ。続け、野郎ども。」
盗賊たちは月明かりの中、小文吾襲撃に向かった。


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阪神大震災の犠牲者の鎮魂のために、始められたルミナリエ。
(12月7日〜16日)
私も、2人の知人を亡くしました😭
美しい光の芸術…見てるかな…?

合掌🙏

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この間、長男といっしょに東名高速道路を走行中、私たちの前を走っている、真っ白な車体がステキな某外車…✨
見ていると、どう見てもその前のワンボックスを、煽っている。すぐ後ろまで車間をつめて、クラクションこそ鳴らさないが、煽られた車が危険を感じるレベルだ。
「あの外車、何しとるねん?」
「危ないなあ、ホンマに😠」
「よし、見とれよ。」
長男は、横に置いてあったパメラを右手に持ち、ウィンドウから手首を出して、前の煽り車を撮影しているフリをした📹
すると、煽り外車、急におとなしくなって、煽るのをやめた。
「その程度の根性で、すんな(煽り)!」
「目噛んで、寝とけ!⇨私」😜

今は、すぐyoutubeなどにupされから、マズイと思ったんだろう😫

長男は、以前追い越しただけで、ワンボックス車に煽り運転で、追いかけられ、狭い道を迷路のように逃げながら、帰って来たことがあった。
1度は、仕方なしに車を降りて、
「なんや?」
と、相手の車へ近寄ると、
「す、すみませんでした!」
と、慌てて逃げて行ったらしい。
「オレ、何も言うてへんやんか。」
と、長男😪
まあ、見た目こわいから、しゃあないやろ…。
「オカンはもっとこわいで。」
「なんでやねん!?😤」
煽り運転事件が取りだたされているおり、お互いに少しことばや行動に気をつければ、防げる事故はあると信じている😋
長男は、初対面の人には、基本敬語だそうだ。
わ、私は、常に河内弁です、はい😁

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