読書日記

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「緘黙―五百頭病院特命ファイル」 春日武彦・作 新潮文庫

緘黙(かんもく)、というのはウィキペディアによると、「原因によらず、明瞭な言語反応が欠如した状態を指す」そうです。
今回は15年間、一切言葉を発しない男性に対して、3人の精神科医が様々な角度から治療していこうとするお話です。
とんでもない緘黙の理由がありました。

15年間ずっと仏壇の前で横になったまま、一言も発しない男性がいました。
この家には彼の祖母が住んでいて、こまごまと世話を焼いていたのですが、亡くなってしまった為、手に負えなくなった家族が精神科の病院に入院させました。
15年という長期間に及ぶ緘黙は、世界的にも例がありません。
最初に担当したのは一番穏やかな男性医師。
一番シンプルな治療を施しますが、何の効果もありません。
2番目に担当したのは院内きってのイケメンでテレビにもよく出演する男性医師。
少し治療が強引で、強い薬を使ったりしてみましたが、やはり効果がありません。
もうこの2人が担当した時点で、精神科医ができる事はほぼやりつくされていました。
3人目に担当したのが女性医師です。
何もしない訳にもいかず、過去の事例から、本を読み聞かせるという事を試してみました。
そして、ある日突然、患者が何事もなかったかのように会話し始めました。
女性医師の治療が正しかったと言う事なのでしょうか?

勿論、緘黙の理由を知りたいというのがあって、あっという間に読んでしまいました。
それに加え、現役の精神科のお医者さんが書かれている所為か、医師同士の会話や病棟内の雰囲気がとてもリアルに感じられます。
精神科に入院、となると今でも色々な目で見られてしまう事もあるようですが、この病院を見ていると、どこにでもありそうな感じにも思えます。
そんな中でにあるからこそ、緘黙という症状の患者さんがとても際立って見えます。
かなり勉強にもなりますし、面白かったです。



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「命の遺伝子」

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「命の遺伝子」 高嶋哲夫・作 講談社文庫

バチカン・遺伝子工学・ナチス…
帯の煽り文句にこの3つが並んだら、つい気になっちゃうんですよね。
遺伝子工学なんて、何冊読んでもちんぷんかんぷんなのに、こういう並び方をされると手を伸ばさずにはいられません。

日系アメリカ人の遺伝子工学の第一人者はドイツでの留学を終え、後数日でアメリカに帰る所でした。
ところが、突然拉致されてしまいます。
そこはユダヤ系組織で、ネオナチ、というよりも第2次世界大戦直後からナチスの残党達と戦ってきた一団でした。
先日起きたネオナチの集会で無差別テロが起きていたのですが、その現場から拾ってきた右手をDNA鑑定してほしいというのです。その比較対象はナチスの中心人物でした。生きていたとしても110歳。
ところがその手は若者の物のようでした。
彼が研究室に持ち帰り、アメリカに戻ってからも助手になりたいと飛び込んできた女性研究者と一緒に調べると、DNAが一致しました。
とすると、今から80年近く前にナチスはクローン技術を完成させていたのか?
アメリカに戻っても、ユダヤ人組織やネオナチ組織の影を感じながら研究を続けていると、ナチスの遺伝子の研究において、今まで知られていたよりも数段上を行っていた事を知らされます。
そして、その研究は戦後南米のアマゾンで続けていたらしい。
そこには研究を更に飛躍させる遺伝子を持つ人々が住む村があるらしい。そんな情報が聞こえてきます。
実は主人公には時間が余りありません。それは自身の遺伝子に関わる問題があったからです。
彼は女性研究者、ユダヤ系組織のメンバーとともにアマゾンに向かいます。そこで出会った人々は…?

しばらくはナチスと遺伝子工学の話ですが、後半、主人公の秘密が明らかになると、遺伝子工学についての部分が更に専門的な表現になります。
ついていけなくなってしまいそうでしたが、この作者の方の特徴でもあるので何とか乗り越えました。
それよりも、ハリウッド映画のような男性と女性の関係は、あまり繰り替えさないでほしかったかな、とちょっと思ってしまいました。



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「骨の記憶」

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「骨の記憶」 楡周平・作 文春文庫

何だか本当に救われないストーリーで、読後感が微妙でした。

プロローグとエピローグは本編とは別の視点で語られます。
死期の近い夫を看護する妻はプロローグでは献身的に尽くしています。
ですが、プロローグの最後に彼女の元に、嫌な記憶を思い起こさせる差出人から、頭蓋骨が送られてきます。それは彼女が幼かった頃に亡くなった父親の物だというのです。

本編でそのいきさつも含めて、とにかく救われない話が語られます。
主人公は骨を送った男。最終的には彼も死に近づいていました。
元々、彼が育ったのは骨を送った先の村でした。
そこの元地主で当時は素封家の息子だった同級生がいました。それが最初に出てきた死期の近い夫です。
2人は小学生の時、山にトンネルを掘っていた所、妻の父親であり、小学校の教師であった男性に見つかります。
かなり掘り進んでいた所だったので、「早く埋めなおせ」と言われた途端、そのトンネルが崩れてしまいます。埋まってしまったのは男性教師だけでした。
2人は大人達が行方不明になった男性教師を探している間もずっと口を噤んでいました。
父親を亡くし、仕事のない母と暮らしていた娘は一旦、一番近い都会に越します。
2人も大きくなり、片方は進学し、本人は東京に集団就職に出ることになります。
食堂で下働きをし始めた彼に更に不思議な運命が降りかかり、自分自身は事故で死んだ事とし、別人として生きる事になります。
別人が持っていた金を元手に会社まで起こします。
不思議な運命が巡り巡って…

地方の更に田舎町の元地主と元小作達の関係は、戦後の農地解放があっても、子供たちの関係にまで影響を与えていました。
解りやすい階級制度ができていたのです。見えない力関係。
それが都会に出て見れば、また新たな力関係による階級制度が彼を縛ります。
どうして彼はいい方向に踏み出せなかったのだろう、と思ったりもしますが、戦後からバブル期までの一連の流れは彼を押し流し続けました。
そして、彼を更に苦しめる不幸な結婚。
彼は死期を悟って、各方面へ復習する準備を始めます。その一つが、冒頭の頭蓋骨を送りつけ、初恋の女性だった彼女を結果的に権力で奪った同級生に復習する事だったのです。

最初はこの男の厭らしさが不愉快で、何度か読むのをやめようかと思ったのですが、ストーリー展開の上手さで最後まで持っていかれてしまいました。
最後の最後、エピローグのエグさも、もう慣れてしまったのか、「さもありなん」という感じになってしまいました。
でも、今思い返すと、かなり痛いお話ですね。
誰もどうやっても救われない感じです。



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「いつかのきみへ」

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「いつかのきみへ」 橋本紡・作 文春文庫

「橋をめぐる―いつかのきみへ、いつかのぼくへ」というのが単行本の時の本のタイトルだったそうです。
私はこちらのタイトルの方が好きです。
ただ、ちょっと説明しすぎだって思う方もいらっしゃるんでしょうね。
単行本の大きさでしたら、これだけの文字数も入れられますが、文庫だと難しい、という物理的な問題もありそうですし。

短篇が6篇。
サブタイトルに深川にかかる橋の名前が付いていて、舞台が深川付近、という以外共通点はありません。
独立して読んで、問題ないでしょう。
一番最後の「永代橋」。
ある理由から夏休みを深川の祖父の家で過ごす事になった小学生の女の子のお話。
短篇の中に人と人の繋がりの難しさ、楽しさ、窮屈さ、嬉しさがさり気なく、でも、しっかり詰め込まれています。
銀座の名バーテンダーだった男性が、60歳前後になってようやく自分の店を持つ「亥之堀橋」はよそ者だった自分が、バーという人が集まる場所を利用して、人々の中に溶け込み始め、よそ者と地元の人間の対立もほぐしていく、というお話。
お酒にはプロの主人公の男性がちょっと振り回され気味に、人々の輪を作っていく素敵なお話です。

どれも読みやすくて、前後の話と繋がりがなくても全く気にならないですね。



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「仮想儀礼」

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「仮想儀礼」 篠田節子・作 新潮文庫

さすが篠田節子さんですね。
途中でもう嫌だ、続きを読むのが怖いというか、苦しい、って思うのに、つい先が気になってしまって、最後まで一気に読みきってしまいました。
現代を生きる日本人と新興宗教の関わりの描き方が、本当にありそうだと思えるくらいの迫力で迫ってきます。

東京都の公務員だった主人公の男性は、実はゲームの原作を書くなど、副業をしていました。
本当は公務員の副業は許されていないので、プロとしてやっていこうと編集者に持ちかけられて、妻にも相談せずに公務員を辞めてしまいます。挙句、プロ第1弾になるはずだった作品がほぼできた時、プロダクションが倒産。編集者との口約束だけだった為、何の保証もされず、彼はいきなり無一文になり、その状況を知った妻に離婚されてしまいます。
ある夜、逃げた編集者を街で見かけ、無理矢理自宅に引きずり込んで文句を言おうとしたら、彼もある意味被害者で、ホームレスになっていました。
仕事のない者同士がぐちゃぐちゃ呟き合って、自分のできる事をつき合わせていったら、「宗教を立ち上げよう」ということになってしまいました。
教祖は主人公、もう1人は最初は雑務を引き受けていました。ちょうど書き上げかけていたお話がチベット密教をベースにしたものだった為、頭の中に色んな呪文やら仏教の言葉が主人公の中に残っていたのです。
HPや仏像制作はもう1人が担当しました。すると、HPのアクセスが増え始め、マンションの1階を買い取って道場らしき物を作ると、信者が集まってくるようになりました。
主人公は時に気味悪がったり、せせら笑ったりしながらも、続々と集まってくるその状況に飲み込まれていきます。
そして、中小企業のオーナー社長がスポンサーとなって、建前は中小企業の持ち物ですが、実際は道場という場所を掴み、関西にまで進出するようになりました。
その絶頂期から、突然転がり落ち始めます。

主人公は新興宗教に嵌る人達を内心では馬鹿にしていました。
馬鹿にしていないまでも、ここで自分達の宗教に染まりすぎるのを嫌がっていました。
だから、出家はさせない、なるべく家族に理解してもらって通うように、辞める者は追いかけない、棋譜もできる範囲で構わない、強要しない、という方針でした。それが余計に信者を増やしたところであり、嵌っていく人達にとっての不満で、時に内部対立を起こします。
ですが、彼の意向とは別に、本当に嵌っていく信者達がいて、親族が奪還しようと周りを煽り立てます。

読めば読むほど、現代の日本にありそうな話です。
本当は教祖に当たる人達はこういう冷静な計算をしているのではないだろうか、とも思います。
それ以外の「嵌っている人」、「嵌めた人」の怖さが赤裸々に描かれていて、気持ち悪くて読んでいられない瞬間も何度もありました。
でも、それ以上の力でぐいぐいと話に引き込まれて、読み終えた時、物凄くほっとしました。
余りのパワーの強さに、正直、しばらくあの本は手に取りたくありません。
色んな意味で強くて、怖くて、素晴らしい作品です。



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