読書日記

ちょっと気分を変えたくて、背景を変えてみました

文学史的小説

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「女系家族」

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「女系家族」 山崎豊子・作 新潮文庫

山崎豊子さんというと、テレビドラマ化された作品しか知らなかったので、重そうな作品、とこれまでは回避してきました。
この本を手に取ったのはタイミング以外の何物でもなく、読み始めたら一気に読んでしまいました。
大阪の商家を舞台にしたシリーズの中の1作です。

女系がずっと続いてきた商家。
女主人は先に亡くなっており、婿が商いを続けていましたが、病死します。
彼の子供も3人とも女性で、本来家を継ぐはずだった長女は出戻り、次女が婿を迎えていて、三女はまだ結婚の気配はありません。
また大きな商家ですので、婿とはいえ主代わりだった男が亡くなると、一門への遺産分けが必要でした。
大きな商家ともなれば、大番頭もおり、この家の大番頭は数代にわたって家を支えてきたため、一番内情をよく知っているのはこの男でした。
彼は婿から遺言状を預かっていました。
一見、平等に分けられているようにも見える遺言状でしたが、最後に明らかになったのは自分が囲っていた女性の存在と、彼女へ誠意を見せてほしいという一文でした。
まさかの展開に、遺産相続に思惑を持っていた者達は仰天します。
それまでは仲の良かったように見えていた姉妹は露骨にいがみ合い、隠し財産を作っていた大番頭もそれまで以上に欲をかこうとします。
当の女性は「家を頂いておりますから、お気持ちさえいただければ…」とあくまで低姿勢なのですが、それが当人達にとってはますます疑る原因になります。
プライドのぶつかり合い、騙し合い、出しぬき…
それぞれのブレーンとなる人間達も巻き込んで、時に静かに、時に激しくぶつかり合います。
最後に笑う者はいるのでしょうか?

3姉妹のぶつかり合いも面白いのですが、それぞれのブレーンや大番頭の方が世間を知っていますから、余計に話を大きく複雑にしていきます。
それがとても面白いです。
敬遠していたのは勿体なかったなぁ、とこれからの出会いのタイミングを楽しみにしています。


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「肉体の悪魔」

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「肉体の悪魔」 レ−モン・ラディゲ・作 新庄嘉章・訳 新潮文庫

久しぶりの文学史的な小説です。
今まで読んだ中で、特に外国文学のこのジャンルの中で、一番読み易かったような気がします。
表題作だけですが…

あらすじはご存知の方も多いと思います。
未成年の少年が年上の人妻と恋に落ちるお話、というと何だか18禁ものかベタすぎる恋愛物か、という感じですが、少年の独白のせつなさがありきたりな小説にならないように持って行っていると思います。
意地悪な私は、それが作者の力なのか、翻訳者の技量なのか、と斜めに視線を送ってしまいますが…

ラディケが早熟だったから書けた、とか、若い頃に描いたから瑞々しいのだ、などという解説が付いていますが、果たしてそうでしょうか?
若くても苦しい恋をする人はいるかもしれないし、その体験を文章に起こせる人は全員ではないはずです。
なので、やっぱり力なのだと思います。

それでも疑ったのは、その後ろに載っていた2編の戯曲がそれほどピンとこなかったからです。
もちろん、小説と戯曲は表現方法が全く違うのはわかりますが、ここまで味気ない感じになったのは不思議です。
どちらが本当のラディケの技量なのでしょう?



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「ビギナーズ・クラシックス 万葉集」 角川書店・編 角川ソフィア文庫

万葉集の抜粋です。
まず歌が書かれ、その後に現代語訳があり、解説、という形です。
短歌だけではなく、長歌やその反歌も選ばれています。
歌自体、もしくは歌人が有名な物が多いのですが、「詠み人知らず」や「東人」なども取り上げられています。

全体的な印象ですが、本当に率直な歌が多いですね。
よく社会や古典の授業の時に「万葉集は率直で雄大な歌が多い」と説明されますが、選ばれた歌はどれもその印象に違わないものばかりでした。
後半の平安時代、編者の大伴家持の辺りは少し技巧がでてきますが、古今和歌集の二重の意味を持つ歌達よりもやはりシンプルですね。
自然を歌った歌が印象深いのは、その頃の人達が自然の猛威を素直に受け止めていたからなのかな、と思ったりしました。



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「お厚いのがお好き?」 小山薫堂・企画 富増章成・哲学監修 扶桑社文庫

数年前の深夜番組で、私が大好きな番組でしたが、今だったらもっと話題になってたんだろうな、と思います。
「ニーチェ」や「太宰」がブームになっていますからね。

本は番組を基本的に踏襲していると思います。
「ぶ厚い」からとっつき難いと思われている、哲学書を中心に、様々な本を「読み易く」紹介してくれます。
この「読み易く」が曲者。
何と、たとえ話がダイエットだったり、コンビニだったり、お笑い芸人だったり、日光金谷ホテルだったり…
それぞれと何かの本の主題が同じだと、想像できますか?
毎回、番組の冒頭、今回で言えば、章の冒頭にこう書かれているんです。
「○○で読み解く、××(作者)の『△△(本のタイトル)』」
例えば、下記の様になります。
「六本木ヒルズで読み解く、モンテスキューの『法の精神』 」
色んな疑問が沸きませんか?
私だったら、「モンテスキューは学校で習った覚えが微かにあるが、『法の精神』とはなんぞや?」
「そもそも、モンテスキューは何をした人で、『法の精神』とは何について書かれたものか?」
「例えばこれが哲学書だったとして、それが六本木ヒルズとどう関係があるのか?」
まだまだ疑問はいっぱいありますが、本を読んでみれば、殆どの疑問は解決しちゃうと思います。
しかも、「騙されてない?」って思うくらい、解っちゃうんです。
言葉が優しいからでしょうか?

そうそう、言葉といえば、元々は話し言葉の台本を起こしているのでしょう。
ですから、本の話をしているのに、なんと左綴じというところからぶっ飛ばしてますよね。
この型破りっぷりと、「小山薫同」が企画の中心、というところからも楽しみを想像できるんじゃないでしょうか?
番組が戻ってこないかな、とか、せめて本が2冊目が出版されないかな、とか、色々期待してるんですけど、無理かなぁ…



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「遠野物語」

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「遠野物語」 柳田国男・作 集英社文庫

京極夏彦、畠中恵などなど、硬軟取り合わせた妖怪物を結構読んでいる自負のある私。
ですが、実はその元ネタになった本を殆ど読んだ事がありません。
しかも、酷い事に、参考文献の本のタイトルも殆ど覚えていません。
毎回、小説の中で見かけては、すぐに忘れちゃうんですよね…
これで「自負してる」と言い切る私は、どれだけ鈍感なんだか…

妖怪と切っても切り離せない学問が、民俗学です。
その祖、柳田國男も名前しか知らず、「遠野物語」も全く読む気がありませんでした。
その私が変心したのは、今年の夏の文庫フェアにあわせて、表紙を漫画家さんが書き直したのを見たからです。
数年前からこの試みは各社で行われているのですが、今まで「これにつられて読むなんて邪道」と切り捨てていました。
ところが、偶々私の好きな作家さんが「遠野物語」の表紙を担当していて、あっさり宗旨替え。
何て変わり身の早い人間なんでしょうね。

「遠野物語」以外にも、数編の文章が載っています。
「遠野物語」は著者が友人から聞いた「遠野」地方の妖怪(妖怪と言う言葉は出てきません)を紹介しています。
私がそれ以上に頷きながら読んだのは、「ていきゅう…」です。
人が泣かなくなった、言葉でばかり表現するようになった、というのがメインです。
特に男性は「無口」を美徳とする時期がありましたが、今は誰もが言葉で説明しようとする。
その代わり、「無口」であっても、感情の発露はあるわけで、そのときにいろいろな種類の涙があったはずだ。
しかし、それを良しとしなくなったのは、「泣く」「涙する」など、柳田が活躍していた時代から既に、「なく」には「さんずい」のつく字が当てられており、それがあまり見栄えのいい物ではないとされたからではないか。
本当は「哭く」という字もあり、涙を見せず、抱えきれない感情の発露を発散させる為に声を上げる、ということも「なく」の中の一つだったはずだ。
特に子供は「なくのも仕事」であり、頭ごなしに「静かにしなさい」と怒鳴りつけると、感情の起伏のあまりない子供に育つのではないかと危惧する。
このような趣旨の事が書いてありました。
最後の部分は根拠はない、と柳田本人も言っていますが、今はますます「なく」ということに対して、周囲の人が余りいい感情を持たないようになっているような気がします。
それがいい事なのか、悪い事なのか…
問題提起として、今改めて取り上げられても、とても新鮮な話題だと思います。

あれ?
「遠野物語」はどこに行った…?



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