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山峡の盆地の街に梅雨の季節がやってきた。
住宅地の中に点在する田圃に水が入り、いつの間にか早苗が植え渡されている。もともと田園地帯だったこの地域に、都心から人々が移り住んでから間もなく半世紀になろうとしている。開発されて都市公園にになったこのあたりは、かって志麻の荘といわれた有数の穀倉地帯であった。
夕暮れの遊歩道に、犬を連れた常連の年寄りたちが集まってくる。水田から風が立ち、古墳の丘に添って流れていく。一日が静かに終わり、何事もなく、すべてが記憶のなかの風景に溶け込んでいく。
夜のTVニュースを眺めていたら、日本柔道連盟の古参理事が、エレベーターの中で若い女性にセクハラした容疑で、業界から永久追放になったという。「それがどうした」といったら、それで話が途切れてしまい、家人からイヤねと睨まれた。陽が昇り陽が沈む。ただそれだけのことである。
亡き王女のためのパヴァ−ヌ / ラベル(Pavane pour une infante défunte/Ravel)
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