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図書館で加藤咄堂の「大乗仏教百話」第10版を見つけた。初版本は明治33年10月10日発行である。定価は金40銭。B5版150ページ。紙質は昔懐かしい藁半紙で、全文にルビが振られている。
仏法の入門書とあって解説はきわめて簡明率直。難解な仏教用語を噛み砕くように平易な表現で語りかける。最初のページに「仏法は、転迷開悟、離苦得楽、止悪修善を目的とする」とあり、真善美を具えた人間の完成を目指すと説く。著者の言葉を借りれば「大乗仏教の大意を俗談平話に綴った」問答集ということである。黄ばんだ表紙に若い仏教学徒が手にした時代の手触りと百年の星霜が滲んでいる。
総論に続く転迷開悟の第2章では、「14話・仏教の所詮は何でありますか」の問いに答え、続いて「15話・迷いといい悟りというのは何でありますか」について考えながら百話を語りつくしていく。 第3章〔止悪修善〕第4章〔離苦得楽〕。第5章では仏教の伝播と歴史に触れている。老師の仏教興隆への熱い思いが行間に溢れて胸を打つ。 窓外の緑を映して風が流れる法堂で、師と向かい合っている思いを込めて、静かに耳を傾けたいと思う。
加藤咄堂 かとう-とつどう
1870−1949 明治-昭和時代の仏教学者,布教家。
明治3年11月2日生まれ。島田蕃根らに師事して明治30年代に太子信仰の上宮(じょうぐう)教会の講師となる。雑誌「新修養」(のち「精神」),「こころ」を主宰。昭和3年中央教化団体連合会の結成にくわわり,講演と著述で仏教の大衆化につとめた。昭和24年4月2日死去。80歳。京都出身。英吉利法律学校(現中央大)卒。本名は熊一郎。著作に「大乗起信論講話」「維摩経(ゆいまぎょう)講話」など。 |
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