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朝夕はめっきり涼しくなり、季節は確かな足取りで、やさしく逞しく新しい舞台を繰り広げてくれています。
人生峠の下り坂も残り僅かとなり、いよいよ最後の曲がり角が見えはじめました。あの森を過ぎれば、浮世の沙汰ともお別れすることができると思えば、わけもなくこころが落ち着いてきて、思わずほっとため息がでてきます。
それにつけても思い出すのは、あなたと共に過ごした青春の日々の、あの日あの時の記憶です。なけなしの財布をはたいて買った青いシャツを着て、初夏の日差しが散っている銀座の大通りを、肩を並べて歩いたころが懐かしく思い出されてなりません。なにもなく、先行きの見通しさえもなかったけれども、柳の並木に風がかおり、こころは軽く豊穣だったあのころのことは、遠い昔の幻灯のように、胸の底に廻り続けています。
このところ、古い友人たちは冥土の道に足早に去っていきます。初七日の法要の席で語りあうのは、白雲なびく青春の懐旧談。いつの間にか自責と後悔の迷路に迷いこみ、寂しさが募るばかりです。
中学卒業の送辞のなかで、人生はいばらの道だと語ってくれた国語の教師がいましたが、ふりかえれば、よくぞここまで生き延びてきたものだと我ながら呆れています。 おかげさまで、親からもらったからだだけは達者で、今のところ医者にもかからず、ほとんど薬も飲んだことはありません。
それにしても、浮世は苦娑婆の言葉通り、現役を退いたとはいえ、世間の沙汰は、あとからあとから追いかけてきて、積み重なった悪行のあと始末に、あと一歩、あと一歩と、ウンウン唸りながら日を送っています。
なにか愚痴めいた話になってしまいましたが、そうは言いながらも、ここまできたら何事にも逆らわず、修行僧の心境で、目の前のことは何でもありのままに受け入れて、あのころのように、晴ればれとした気持ちで生きたいものと、朝夕こころの中で念じています。
今朝は、子供たちの早朝ラジオ体操に出かけてきました。
まだまだ、暑い日が続きます。お体に気をつけて乗り切ってください。
いつか、お目にかかる日を楽しみに。
この秋は 雨か嵐か知らども、
今日のつとめに田草とるなり。
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