「ただし」のブログ 「 あの日、そのとき」。

自分探しの旅路。お付き合いいただき、ありがとうございます。

空っぽの壷・2011

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転落。

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転落。

 
  赤い腰巻を端しょって、川で洗濯をしていた若い女の白い脛(はぎ)に見惚れて、神通力を失った仙人が、雲の上から足を踏み外して落てきたという故事がある。
 
 難行苦行の果てに、煩悩の炎を焼く尽くした白髪の老人でさえも、かくのごとき有様なのだから、修行半ばの自称聖人君子ぐらいではどうにもなるはずがない。
 
  一国の首相、大臣から、謹厳実直な風情の有名人、牧師や教師からタレント、スポーツ選手に至るまで、千差万別の転落劇には事欠かない。選挙中の遊説カーの中でセクハラして首になった知事さんだっている。
 
  目に映ることごとくの事象、現象は、すべてこころの鏡が映し出す虚妄であるとするならば、この甘美にして魅惑的な肉体を賛嘆の眼で眺めている己の本性とは一体なんなのか。手足をバタつかせながら、雲の上から転落してくる、枯れ木のような哀れな仙人の姿が目に見えてくる。
 
  紀元前400年前、ブッダは人々に説いた。「淫欲の交わりに耽る人は、車が道からはずれたようなものである。かって彼らの持っていた名誉も名声も、すべてが失われる。世の人々は彼を「卑しい」と呼び、また「凡夫」と呼ぶ。このことわりをも見たならば、淫欲の交わりを断つことを学べ」。
 
  にもかかわらず、人々は自明の理と知りながら、何ゆえに苦悩の泥沼に向かってかくも易々と落ちていくのか。

いよいよ九月。

 
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 いよいよ今日から九月に入る。列島に大型台風がゆっくり近づいていて、二三日前から断続的に雨が降り続いている。色づきはじめたこのあたりの田圃では、霧雨に濡れた稲穂が重く頭を垂れている。朝から降ったり止んだり、時には青空が見えて日が差してきたりしている。予報では間もなく本土に上陸するらしい。                                      
 カレンダーのSeptemberという抑揚に、なぜか旅愁という言葉が重なってくる。あれから何年になるのだろう。遥かな記憶の断片を手繰り寄せたりしている。昨夜のTVでゲリークーパーの「真昼の決闘」を観た。そのせいなのかも知れない。思いつめたグレイスケリーの仕草がこころに残った。
 
 家人にせきたてられて、庭先の鉢物を取り込んだり、家の周りの片付けや戸締りなどを見回わったら正午になった。部屋の窓から雨足を眺めている。  三ヶ月前から手をつけはじめたが、なかなか捗らずに投げ出したままの片づけもののことを思案している。先日の新聞の書評に、「人生がときめく片づけの魔法」という本が紹介されていた。著者によると、本当の人生は『片づけたあと』に始まるのだそうだ。片づけた後は「仕事も家庭も、なぜか人生全般がうまくいきはじめる」と言うのだが・・・・。『捨てる』。捨てるといいながら、整理さえもままならない煩悩の深さに、つくづく嫌気が差している。なんとかならないものか
 
 できなければ、できないでいいじゃないか。そのまんま、そのまんま。「南無そのまんま。そのまんま」。思い出したように、どこからか、念仏の声が聞こえてくる。
 雨足が次第に強くなってきた。風も出てきたようだ。まあいいか。台風が通り過ぎててからでも遅くはあるまい。
 兎に角、いよいよ九月。Septemberは、物思う季節なのだ。
 
 
 
 

日記断章。

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 なにげなく図書館はから借りてきた荷風の断腸亭日乗を読んでいる。過年亡くなった異色の文藝評論家、磯田光一が編集した岩波文庫のワイド版(上下)である。寝つく前の数時間を、枕もとのヘッドライトを調節しつつ転々としながらページをくくる。自らを散人(世間に無用なひと)と号し、世間と距離をおいた自由人の息づかいにひきこまれながら、ときには時間を忘れて耽溺してしまうことさえある。荷風は、いずれ誰かが読むだろうことを想定して綴っているのかも知れないが、文明や時局批評から風俗や性生活に至るまで、筆致は実に率直で屈託がない。それに、その時折の風景描写が時代の空気をを活写して、ことさらに見事である。
 
 いま、昭和9年から11年、荷風56〜7歳のころの日記を読んでいる。二・ニ六事件をはさんで、日中戦争前夜の殺伐たる世相が手にとるように伝わってくる。その年の正月元旦の記述には、「晴れて風なし。朝の中臥褥にありて鴎外全集補遺を読む」とある。元日早々から寝床の中で森鴎外全集をひも解いているのである。両手に余る女性遍歴をこと細かに記し、遺書を書き、連日、私娼窟の玉の井界隈を彷徨する。かの有名な「墨東綺譚」を執筆したのは11年の夏から秋にかけてである。面目躍如たる荷風の独壇場であろう。日記はいよいよ佳境に入る。今夜もまた眠れそうにない。
 
 荷風の日乗(日記)は、まだ学生だった18歳ごろから始められたといわれている。いづれにしても、80歳で吐血して死ぬ前日まで連綿と書き綴っていたのであるから、まさに驚嘆、鬼人の才というべきであろう。まるでドキュメントな長編小説を読む思いである。落魄する江戸の情景を追いながら、蝙蝠傘を手に日より下駄をはいて墨東の裏町を歩く後姿が目に映るようである。散人は記す。「人生に三楽あり。一は読書、二には好色、三には飲酒。これ以外には落々として、すべてこれなきところ・・・・」「勉学もおもしろく、放蕩もまた更に愉快なりしとは、さてさて楽しみ多きに過ぎたるわが身ならずや」。
   
 
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 ところで、日記代わりに、書き散らしてきたこのブログ゙も、間もなく6年目にはいる。去年の今頃はどうだっただろうとページをくくってみた。中村元が訳した原始仏教のスッタニバータ (ブッダの言葉)を読んでいたころで、蛇の章の冒頭の一句などは暗誦して得意になっていた記憶がある。以下の文章は、まさに、その受け売りの最たるもので、読み返してみると、「よくもまあ、ぬけぬけと言ってくれましたましたね」と、赤面して身の置き所がないほど恐縮するお粗末。
 
 よほど削除しようと思ったけれど、これもまた、自分探しの旅路の幻想、わが身の分身と思い返し、恥晒しを承知でそのままにしておくことにた。
 いずれにしても日記は面白い。十年たてば、どんなピンボケ写真も立派な記録というからね。
 
 
 
 
  かって夢見た郊外の一戸建て住宅に、夫と子供と一緒に住み、外見ではなにもかも満ち足りているように見える人でも、心のどこかに満たされないものを抱えている。そしてその不満を口に出していい、悩み、そして愚痴る。まるで、こころの奥底に毒矢が突き刺さっていて息苦しく、抜くこともできずに苦しんでいるかのようだ。
 
 あれもしたい、これもしたい、ああなりたい、こうなりたい。汗水たらして働いている亭主の給料にも物足りなさを感じている。不倫だってやりかねない危うさも燻っている。バーゲンセールの広告に目を通し、スーパーの食品売り場の品定めも慎重だ。髪型や服装にも気をつかい、いつまでも若くありたいと願う。あの人がこういった、ああいった。パートの職場でも人間関係にこころを砕く。ああしよう、こうしよう。こうしてくれそうなものだ。
 
 いま暮らしているこの娑婆は、市場経済に支配された大量消費、カネ万能の社会である。テレビをつければ、あの手この手の商品の宣伝合戦が24時間連綿と続いている。あふれでる物と欲望の洪水である。「今すぐ、あなたもこれを手に入れることができる」などとのたまう。あれも欲しいこれも欲しい。これは便利だ。あれもいいな。          
 この文明社会では、人間の価値はその人の支払い能力で評価される。カネがないのは首がないのと同じで人格まで否定されかねない。「カネで買えないモノはない」と嘯いた若者がいたが、人間のこころまでカネで買えると思い込んでいる。
 カネを目当ての詐欺、横領、虐待、嫌がらせ、人殺しまでする。ノイローゼになって自殺する人が年間3万人。この10年間で30万人以上の人が追い詰められて死んだ。相対的観念の格差という言葉が生まれ、自分の影のような幻想に追いかけられている。昼も夜も・・・・・・・。
「あの人には負けられない」「人並みのことをしなければ」。身の程を忘れて他人のレベルに自分を合わせようともがく。
 
  政府のお偉いさんたちは自立と自己責任を口にする。一握りの金持ちが支配する近代資本主義社会では、競争に耐えられない弱いものは必ず落ちこぼれ、見捨てられていく。高齢者医療制度なんという法律まで登場した。優勝劣敗の思想が国全体を覆っている。頼りにする政治はまことにお粗末で無力だ。 どこかが間違っているとみんな感じているが、どうしていいかわからない。たとえば水の中にて、喉の渇きに苦しみもがいている地獄絵の亡者のようなものだ。
 
  不満ってなんだろう。何が不足なんだろう。いつからこんなことになってしまったんだかってこの国には、清貧の思想があった。煩悩の矢を抜き去った人々の、静かで人間味豊かな暮らしがあった。
 
 
 
 なんという生半可な鼻持ちならない言い分であろう。おそらくその日に、なにか無性に腹立たしい出来事があって、鬱憤晴らしに自戒を込めて書き散らしたものだと思う。                                 それでいいのだ。庭先の狸は、今日もそ知らぬ顔で そっぽを向いている。
所詮、日記とはそういうものなのだ。
 
 

今日このとき。

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 曽根綾子の「老いの才覚」が80万部を突破して100万部のベストセラーを続けているという。そういえば、このところの新聞の書評や広告に老後の生き方についての書籍が頻繁に目につく。「人生は五十から変えられる」「楽老のすすめ」「本物の生き方」「老年の品格」などなど。               
 
  一瞬の内に全てを暗転させた東北大震災は、これまで世間一般の常識に首までつかってなんの疑いも持たず、至極安穏と過ごした時間を問い直す鮮烈な場面を突きつけてきた。蛇行しながら全てを押しつぶし飲み込んでいく、巨大な生き物のような津波の咆哮が、いつまでもこころに焼きついている。 
  高校のころ教科書で知った「方丈記」や「徒然草」、「平家物語」の断章が蘇ってくる。度重なる天変地変や動乱に、なすすべもなく右往左往する民衆の生き死にや、世間を捨て去って隠棲した人の面影がダブって見えてきたりする。生死を分かつ諸行無常の現実を目の当たりにして、わがことに置き換えてあれこれと思い巡らしている。
 
 深夜便でついた駅前の舗道の向こうにホテルのネオンが滲んでいる。帰るべき家があり、家族が待っていてくれる暮らしがある。過去はすでに過ぎ去り、明日は、まだ遠くまどろんでいる。あるのはここにある今日のこのとき。呼吸が穏やかになり、なぜかこころがほどけて、胸の中がほっこり温まってくる。かけがえのない愛おしいいのち。人は、この世に生まれ、生かされて、生きて、死んでいく。ただそれだけのことなのだ。
 
 

花は散らない。

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 このところ庭の手入れを早朝の日課にしている。
 毎年、五月の終わりと師走の二回、植木屋さんが三人でやってきて二日がかりで手入れをしてくれるが、それ以外は生来の不精と忙しさを口実に、気が向けば草むしりをする程度で、あとは自然のままに放置していた。ここのところこれといって時間に追われる仕事もない。やり始めたら次第に興が乗ってきて、楽しみに精をだしている。植木屋さんが丹精に形を整えてくれているのに、素人が勝手に枝などを剪定して、あとで叱られても知りませんよなどと家人はいうが、やり始めたら途中半端ではすまなくなってきた。ひとつのバランスを崩すと全体の調和が気になって仕方がない。朝、縁側に立って仔細に点検し、あれやこれやと作業の手順を思案してみたりする。
 
 水場のまわりの皐月の花殻を摘んでいたら、岩場の苔の上に、名も知らない草が黄色い小さな花を咲かせていた。いつの間にか風が運んできたのだろう。連綿と続くいのちの不思議な営みにしばらく手を休め眺めている。この地球に人間が生まれてから、気の遠くなるような時空を超えて、ずっと一緒に生きてきたんだなと思う。可憐に伸びたか細い茎の先が風もないのにゆれている。生きていることのいとおしさがゆれている。                
 花びらは散っても、花は散らない。形は滅びても、人は死なないという言葉を思いだしている。花に語りかけながら、これまでに出会った沢山の人々と面影を偲んでいる。あの日、あのときのことがつい昨日のように浮かんでくる。人は生きて、いつか必ず死ぬ。花びらは散ってしまうけれども、いつまでも人のこころの中に生き続けて、時には風となって大空を駆けめぐったりている。時間がゆっくり流れている。小さな庭だけれど、ここは大きな宇宙なのだ。
 

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