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貧困ビジネスの定義

 「貧困ビジネス」とは、どういったことを指すのかご存じだろうか。たまに誤解されていることがあるが、貧困ビジネスとは「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」という意味。そもそも貧困ビジネスという言葉は私が考えたものなので、これが正式な定義と言っていい(笑)。


 貧困層をターゲットにしているさまざまな活動には、いいモノも悪いモノもある。しかし私が呼んでいる貧困ビジネスとは、貧困状態を固定化したり、貧困からの脱却に資さない、そういった悪いビジネスを指している。なので定義上、良い貧困ビジネスというモノはない。貧困は克服されなければいけないモノであって、貧困ビジネスも克服されなければいけないのだ。


 貧困に関してはいくつかの特徴があるが、まず「複合的」であることが挙げられる。さまざまなトラブルが折り重なって起きていて、「五重の排除」から成り立っている。五重の排除というのは、家族、教育、企業、公的から排除されるということ。さらに自分の尊厳が守れず、自暴自棄になる、つまり自分自身からも排除されてしまう。


 その結果、いろんな分野でトラブルが複合的かつ必然的に起きてしまうのだ。複合的なトラブルというのは、労働、金融、住宅、福祉のトラブルであったりする。例えば、当座のお金がないためにハローワークに行っても、月払いの仕事を選ぶことができない。そういう人は必然的に日払いや週払いの仕事をせざるを得ない。それは本人が選ぶ、選ばないという問題ではなく、本人に選択の余地がないということ。



 そして月々の家賃のほか、敷金、礼金を支払えない人たちは、安い宿を渡り歩くしかない。サウナやカプセルホテルなどで泊まるわけだが、こうした行動も本人に選択の余地はない。複合的なトラブルを抱える――これが貧困の特徴だ。このような状況に追い込まれる人たちは、障害者であったり、ドメスティックバイオレンスの被害者であったり、多重債務者であったり、生活保護者であったり、いろいろな人たちの間で起きている。



 金融の分野にはサラ金やヤミ金があったり、労働では悪質な人材派遣会社があったりする。また住宅ではいわゆるゼロゼロ物件(敷金、礼金なしで入居できる物件)があったり、福祉の分野でも悪質な無料低額宿泊所があったりする。1つ1つを見てみると、バラバラで存在している。しかし貧困という枠で見てみると、バラバラに活動しているビジネスがつながってくる。つまりヤミ金や悪質な人材派遣会社、ゼロゼロ物件などは貧困層をターゲットにし、貧困を固定化する役割を果たしているのだ。




 貧困ビジネスは金融や福祉などさまざまな分野に広がっているが、その中でもキーになるモノがある。それは住宅だ。なぜ住宅がキーになるかというと、住む所がなくなれば人は無抵抗になるから。




 仕事を辞めれば収入がなくなるので、当然、生活が苦しくなってくる。しかしそれよりもさらに問題なのが、住む所を失うということだ。逆に言うと、住宅さえ押さえてしまえば、強い支配力を持つことになる。貧困ビジネスというのはさまざまな分野に及んでいるが、住宅にからんでいるケースが多い。無料低額宿泊所しかり、囲い屋(部屋と食事を提供する見返りに生活保護費の大半を天引きするビジネス)しかり、追い出し屋(家賃滞納者を強引かつ暴力的な手法で追い出す業者)しかり。また飯場(はんば:建設現場などの労働者のために、現場付近に設けられた宿泊設備)については、食と住居が一体化している。



 例えば「エム・クルー」という人材派遣会社は、かつての飯場をブラッシュアップしたようなもの。この会社は建築現場に人を派遣しながら、偽装請負を行っていた。エム・クルーはレストボックス(家のないフリーターが安く宿泊できるホテル)を持っていて、そこに泊まっている人に仕事を紹介していたのだ。また不動産会社「スマイルサービス」という会社は、敷金ゼロ、礼金ゼロ、保証人不要を強調。低所得者でも安心して入れますよ、ということをうたい文句にしていた。



 住み込みの仕事というのは、自分の大家と社長が同一人物であることが多い。大家による支配力、社長による支配力・・・この2つの力を兼ね備えているので、とても強い。そして大家兼社長はその強い力を背景に、いろいろなことを言ってくる。もし彼らに抵抗すれば、住む所と職を失うかもしれない。なので必然的に、言いたいことが言えなくなってしまう。そして大家兼社長は、低所得者の弱みにどんどんつけこんでいくのだ。


 貧困ビジネスの理屈というのは、基本的に2つある。
1つめは「嫌だったら、(サービスを)利用しなければよかったじゃないか」というもの。よく「本人は『利用しない』という選択肢があった」と言ってくるが、これは貧困ビジネスを利用する前の立場に立った理屈。
もう1つは「嫌だったら、(サービスの利用を)止めればいいじゃないか。でも止めたら、困るのはあなたですよ」と、利用後の立場に立った理屈。


 例えば、悪質な不動産会社は
「(ゼロゼロ物件を利用することで)低所得者は喜んでいる。契約のときにきちんと説明しているので、嫌だったら断ればいい」と主張してくる。またヤミ金も、同じようなことを言ってくる。実際にお金を借り、助かったケースを例に挙げ「ほら、役に立っている人もいるでしょう」というのが、彼らの理屈だ。

 この2つの理屈は貧困ビジネスに常について回ってくるが、実は人身売買でも同じようなことが起きている。例えば海外から売春をするために来日した人たちのことを、悪質業者はこのように言う。「本国にいるよりお金はたくさんもらえるし、『良かった』という人がたくさんいる。嫌だったら、来なかったらいい」と。一方、本人に対しては「お前はココを出て行けば、本国に強制送還させられるぞ」と脅したりする。

 本人は拾ってもらってありがたいと言っている。嫌だったら、辞めればいい・・・
という彼らの理屈はおかしい。もし時給100円で働いていても「0円よりましだ。それでいい」と本人が納得していれば“問題ない”というのであれば、最低賃金もいらなくなり、労働法上の規制もいらなくなる。彼らの理屈を突き詰めていくと、こうした荒唐無稽の話になるのだ。


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