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近頃は、温泉好きの外国人も多い。
ある日、外国人の夫婦と、その二人を接待する若い日本人の男性を、タクシーに乗せて、佐賀の嬉野温泉まで行く事になった。
外国人のおやじは40歳前後、白人にしては小柄な人で、それに引き換え、奥さんの方は35歳前後、グラマーなムラムラと来そうな体で、車の中にフェロモンをまき散らしていた。
男二人は、途中で薬局に立ち寄り、車の中に戻って来るなり、まむしドリンクを眺めながら、
「ジスイズ、ジャパニーズバイアグラ」
「オーッ、ジャパニーズバイアグラ、サンキュー、サンキュー」
と、卑猥な笑みを浮かべ、その他は、全て英語で会話をしていたが、中学の頃に英語が得意だった俺には、時折り夫婦で発する、「オオッ、イエッ」以外は、何の事だかさっぱり分からなかった。
嬉野温泉のホテルに着いて、三人を降ろし、トランクの中の荷物を出して、帰ろうとしていると、そのホテルの支配人らしき人がやって来て、
「今度来た時に使って下さい」
と、言って、入浴料無料の招待券をくれたが、
「今度いつ来るか分からんし、今日使ったらいけんのな?」
と、聞いてみると、
「大体この次からなんですが、どちらからお見えですか?」
と、尋ねてきたので、
「福岡の山の中」
と、言ってやると、少し考えて後、
「そんなに遠くからなら、特別ですが、いいでしょう」
と、言ってくれたので、早速、温泉に入れてもらう事にした。
勿論、混浴の大浴場である。と言っても、未だ真っ昼間なので、誰一人入ってなく、まさに貸し切り状態であった。
そこへ入って来たのは、さっき乗せて来た案内人の若い人である。
「ああ、運転手さんも入ってたんですか」
「ああ、折角嬉野温泉に来たんだし、今度いつ来るかも分からんので、入らせてもらってるよ」
二人で雑談をかわしながら、湯船でくつろいでいた。するとそこで、思わぬ事態が起こった。
あの外国人夫婦が、スッポンポンで、前も隠しもせずに、入って来たのである。
さすがに、広い大地で生まれ育ったらしく、おおらかと言うか、当然日本人の夫婦なら、男の方が、
「こらっ、隠さんかっ」
と、奥さんを怒鳴り散らし、じっと見つめている者たちには、
「こらっ、何を見とるんやっ」
と、文句の一つも言うところである。
ところが二人共、タオルで隠すどころか、夫の方は、小さな体ながら、大きなバットをこれ見よがしに見せつけていた。
奥さんに至っては、湯船の淵に寝そべり、足を上下させての体操で挑発する。
それどころか、湯の中から首だけを出して、じっと見つめる我々に対して、夫の方は、得意気な顔をして、ニコニコと笑っている。
そしてその目は、
“どうだ見てみろ、いい体をしているだろう。お前たちは見るだけだが、俺は抱く事が出来るんだ。ざまあみろ”
と、言っている様にあった。
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