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●たった一人の勇気でも世の中は変わる!人権運動の母「ローザ・パークス」●
たった一人の勇気が、民衆を動かし、ついには世の中を変えることがあります。
黒人、白人。
同じ人間であるにもかかわらず、肌の色の違いによって、あらゆる差別の中で暮らさなければいけない時代がありました。
権力、法律、マスコミ、どれもが平然と人種差別をし、人間の権利を踏みにじっていたアメリカ。
そんな差別社会で「人種隔離は憲法違反」と、法律の上での勝利を勝ち取り、怒濤の公民権運動を起こすきっかけを作ったのは、たった一人の名も無き女性でした。
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アフリカ系アメリカ人、いわゆる黒人の歴史は、あまりにも悲惨です。
かつてアフリカから奴隷船で連行され、家畜の如く労働をさせられました。
子どもの目の前で母がムチ打たれ、親は我が子を売られていきます。
「奴隷解放」後も、あらゆる差別と迫害をうけ、気まぐれに殺されていきました。
当たり前のように虐げられ続ける世の中。
黙って耐えるしかった時代に、はじめて法律の上で人種差別の悪が証明されました。
その活路を開いた女性はローザ・パークス女史。
社会的な地位などまったくない、一庶民でした。
私はこの事実を知った時、この世には、一人の力では到底あらがいがたい巨大な「社会」に、たった一人で戦いを挑んだ女性がいたのかと、感動しました。
「もっと詳しく知りたい!」
そう思って書店で書籍を探し、購入したのが「ローザ・パークス自伝」と「ローザ・パークスの青春対話」の二冊でした。
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私は本を手に取り、はじめてローザ・パークス女史の写真を見て、驚愕しました。
国家権力や法律、マスコミにたった一人で戦いを挑んだ人物です。
私は、鉄の信念を持ち、鋼の精神力を備えた、眼光鋭き強面の女性の姿を想像していました。
しかし、女史の顔は私の想像とはまったく逆。
「なんという、優しい瞳なんだ・・・・・」
そこにあったのは、まるで全てを包み込んでしまいそうな、優しく温かな姿でした。
ページをめくると、別の写真があります。
やさしく微笑む表情には、心優しき人格がにじみでています。
「これがあの大闘争をやり遂げた人なのか・・・・」
どんな罪をも許してくれそうなこの優しい微笑みの、いったいどこに不撓不屈の信念が埋まっているのか・・・・
私は、この温厚そうな女性の姿と、大革命とがどうしてもつながらなく、不思議で仕方有りませんでした。
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今やパークス女史は、全米に止まらず、多くの国の教科書に紹介されるほど、歴史的な人物になっています。
一庶民だった女史が、世界を変える指導者になった日。
それが1955年12月1日です。
当時デパートで服の仕立てを手伝っていた彼女が、仕事を終えて帰宅しようとするときに事件は起きました。
場所はアラバマ州、モンゴメリー。
パークス女史は帰宅するためにバスに乗りました。
当時は、レストラン、待合室、広場の水飲み場でさえ「白人用」と「黒人用」に分けられていました。
黒人用はいつも一段下におかれ、白人用を使用したり、文句を言ったりすれば、殴られ、蹴られ、リンチされ、まさに殺されかねないくらいの人権侵害が横行していました。
当然バスにも差別があります。
女史はバスに乗ってから気がつきました。
「あの時の意地の悪い運転手ではないか」
12年前、バスの後ろがいっぱいだったため、女史は前からバスに乗りました。
しかしその運転手は「前から乗るな!」と、バスを降りさせたのです。
白人は前、黒人は後ろ。
座席も混んでくれば、黒人は立って白人に席を譲らなければいけません。
12年たっても、運転手は何も変わっていませんでした。
黒人は、白人に席を譲ることを強要したのです。
「混んできたから、席を譲れ。さっさと席を立った方が身のためだぞ」
乗っていた黒人は席を立ちました。
しかし、パークス女史は立ちませんでした。
「はやく立て!」
運転手が怒鳴ります。
しかし女史は
「ノー!」と叫んだのです。
「お前を逮捕させるぞ!」
「かまいませんよ!」
女史は、どんなに脅されても席を譲りませんでした。
やがて警察官がやってきました。
「どうして立たないのか?」
女史は警官を見据えて、逆に言い返しました。
「どうして、あなた達は皆、私たちをいじめるのですか!」
人種差別が当然のことのように存在し、逆らえば命さえ危なかった時代です。
誰もが「自分一人が何をやっても変わらない」と思っていました。
しかし女史は、たった一人で、とうとう声を上げたのです!
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女史は後日、この時のことを、席を譲らなかったのは体が疲れていたからではなく、「いじめられることに疲れていた」からだと語りました。
みんな同じ人間です。
なぜ、肌の色の違いだけで、差別され、虐げられ、殺されなければならないのか!
権力者が許しているからなのか!
法律やマスコミが後押ししているからなのか!
こんな転倒の理念がはびこった社会では、みないばりくさる人間ばかりになってしまったではないか!!
おかしな社会に、甘んじれば甘んじるほど、ますます彼らはつけあがり、横暴の度合いが増していきます。
こんな社会を、誰かがやめさせなければいけない。
いったい誰が・・・・・
いや、誰がではない。
私だ!
女史は、自ら一人立ったのです。
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時代を変えるのは、どこかの誰かではありません。
苦渋を余儀なくされていながら、いつ現れるかも知れない救世主を夢見ているだけでは、何も変わりません。
まさに、「もうたくさんだ!」と、立ち上がった勇気の一人から、時代が音を立てて変わっていくのです!
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席を立たなかったパークス女史には、これから生まれてくる子供達への慈愛もありました。
「こんなことは私の時代で、もう、いいかげん、やめさせなければ!」
女史の行動は、どこまでも人間に対する温かな真心に支えられていたのです。
「虐げられてきた、幾多の同胞達のために!
これから生まれてくる世代のために!」
その信念は固く、ついに女史は逮捕されました。
しかし、この逮捕をきっかけに、町の黒人の怒りは爆発したのです!
「彼女の逮捕を、黙ってみていていいのか!!」
パークス女史は、町のみんなから慕われていました。
いつも朗らかで、聡明で、優しい・・・・
あんないい人はいない!!
人間を愛し、誠実を貫いてきた女史には、戦う以前からその人柄によって、幾多の戦友を作っていたようなものです。
女史の人柄を知る同胞達は、共に立ち上がったのです。
そして「差別するバスには、もう乗らない!」と、あの「バス・ボイコット(乗車拒否)運動」に発展していきました!
これにはマーチン・ルーサー・キング牧師がリーダーとなり、三万人もの人々が団結しました。
皆誇り高く、バスに乗ることをやめ、何駅分も歩いて出勤しました。
また、車を乗り合わせたり、黒人のタクシー会社は、バスと同じ料金で運転し、運動を支えました。
当然、嵐のような妨害が起こります。
「黒人がなにをやっているのだ!生意気な!」
パークス女史は、デパートをクビになり、脅迫電話も鳴りやみません。
マスコミはデマで中傷を繰り返し、リーダーのキング牧師も、家が爆破されました。
しかし、どんな迫害にも団結は揺るがず、バス・ボイコットをはじめ抗議運動は続けられました。
このことは全米以外にも話題を呼び、世界の「良心」を揺さぶりました。
「人種差別はおかしい!」
徐々に世界的に世論が高まり、運動開始から一年後、ついに合衆国最高裁判所は「バスの人種隔離は憲法違反」との宣言をしました。
ここから一気に公民権運動が広がり、やがて「人種隔離法」に終止符を打ったのです!
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特筆すべきことは、この歴史的な大革命が武力を持たない「非暴力」によってなされたことです。
国家、権力者、法律、マスコミ、そして世間。
この壁はあまりにも大きく、武器を持たずに抵抗することなど、夢想だにできません。
事実過去の革命の歴史は、血で血を争う武力による闘争を繰り返してきました。
しかし、「平和」を求める手段として「暴力」を使うなど、おかしな話です。
結局革命を成し遂げたとしても、新たな暴君を生んだだけで、しばらくすれば、また同じような差別社会に戻ってしまいます。
しかし、人間の良心は武器よりも強かったのです!
人種隔離の革命は、たった一人の名も無き庶民の「ノー!」の声で始まり、民衆の連帯によって成し遂げたのです。
その最初に立ち上がった勇気の女性、パークス女史。
女史が持っていた最高の武器は、「優しさ」でした。
パークス女史が優しい人間だったからこそ、皆の心をつかみ、団結したのです。
まさに「優しさ」こそ、あらゆる巨大な壁に抵抗しうる、唯一にして最強の武器なのです!
私が驚愕した、あの優しい笑顔・・・・
その笑顔こそ、国家や権力に打ち勝っていける、真に強き人間の姿だったのでした。
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現在、人種差別以外にも、様々な差別がまだ存在するとおもいます。
「権力者」と「庶民」。
この間にも、理不尽な差別があるのではないでしょうか。
今、日本の国会はまさに激動しています。
庶民とはあまりにもかけ離れた金銭感覚をもつ政治家が、国の中心者として君臨しています。
景気を下降させ、国に借金を作り、その尻ぬぐいを国民の税金でしようとしています。
まさに「権力者の好き放題」です!
傲慢な政治家にいつも泣かされるのは、底辺にいる庶民ではないでしょうか。
いつまで「国民無き政治」に甘んじなければいけないのでしょうか。
黙っていればいるほど、彼らはつけあがっていきます。
「こんなことは、もう、いいかげん、やめさせなければ!」
今、誰かが立ち上がらなければ、取り返しのつかないことになるのは明かです。
「誰かではない。私が!」
たった一人の革命でも、「優しさ」を武器にすれば、必ず歴史は変えられるはずです!
パークス女史は毅然と当時を振り返っています。
「もうたくさんだ! と叫ぶ時がやってきたのです」
「その時、私たちは、それまで抑圧され続けた先祖たちと、これから生まれてくる世代のすべての人たちのために立ち上がったのです!」
今こそ、女史の叫びに学ぶときです。
「政治は、国民のために有るべきだ!」
「政治家よ!国民のための政治をしろ!」
今まで政治家の好き放題に耐えてきた人たちのために。
また、これから社会に羽ばたいていく青年達のために、毅然と声を上げるときだと思います!
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