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桑原 水菜 著 「炎の蜃気楼」27巻
『怨讐の門 黄攘編』 冒頭
― 第三十三章 風にならぬ生き物 ―
終わっていくものたちの悲鳴が聞こえる・・・・・・。
失速して墜ちていく。
哀れな鳥たち。 風は常に飛び立つ者たちに味方し、飛び疲れた者たちはやがて力尽きて
墜ちていく。だけどそれで死ねるのは、天に愛されたごくひと握り。
強く放熱した者にだけ許される十字架。
本当に悲しいのは、神様。
十字架にすらかけられなかった者たち。
墜ちてしまったのに生き延びている。成層圏の息苦しさには耐えられず、
そこそこの高さで輝いた半端者。
もう一度飛び上がることもできず、高い雲を見上げて、
「ごらん、私も昔はあんなに高いところを飛んでいた」。
これが一度でも高所の空気を知った代償だというのか。
刺し殺されるためには、どこまで輝けばよかった?
成層圏まで行きたかった。ジェットが足りなかった。
だから天に叫んだ。 何が足りなかったのか。私には何が足りなかったのか!
終わっていくものたちの悲鳴が聴こえるようになった。・・・あの日から。
今まで聴きとることができなかったそれは、終わっていく者たちの怨嗟の声。
世界から、「もう必要がなくなった」とでも言われるように、あらゆる力を剥奪されて、
箒にかけられる人々の悲鳴が ――。こんなにも世界にはあふれていたなんて。
もしかしたら、今オレを待っている「死」は最も幸福な「死」なのかもしれない。
何もかもが砕け散る。オレ自身は素粒子にまで崩壊する。
もうその先は確実に、ない。 理想的な ジ・エンド。
完全無欠な 「無」 が手に入る。
死してなおもがく怨霊にはならない。あんな呪われた時間はない。
後悔に苦しむ事も確実にない。決してない。
きれいに消えられる。まるで奇跡だ。
その先にはもう絶対に苦しみはない。輪廻しない。来世への恐怖もない。
真のジ・エンド。 これほどに完璧な「死」があるだろうか。
ああ。 もう苦しみはなくなるのに。
すべての苦しみから解放されるのに。
なのになぜ、いざ現実を前にして、その懐に安らかに身を委ねることができないのだろう。
完全な ジ・エンド――
だけど・・・
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( ノД`)
ミラージュを読み返して約二か月でここまで差し掛かりました。
今一番辛いところです・・・
最終巻、今年こそは・・
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土曜日に奈良に行きました。「まほろば」ではあんなに穏やかだった奈良だけど、終盤、直江が高耶さんの為に刀を手に入れようとしたあの舞台なのだと思うと、見える景色が平和なだけにかえって痛いものがありました。。。
yuuneちゃんの切り取るミラは絶望がいっぱいで、、。確かにそういうストーリーなんだけれど、それだけではない話だから、最終巻はかみ締めるように読んで欲しいです。。もうすぐ直江の誕生日ですね。。
2008/4/29(火) 午前 10:07