我が家の色々+αへ、いらっしゃいませ。

ご無沙汰です。ただ今う〜た中3、ゆったん小5になりました。

創作のお部屋

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退院して、三人の生活が始まった。
 
赤ちゃんのいる生活は思ったよりも大変だった。
なかなか泣き止まないし、寝付いてくれない・・・一日何回もの授乳とおむつ替え・・・
 
「大丈夫ですか?」
「・・・しんどいわよ。」
「少し眠っていいですよ。亜衣の面倒は見ますから。」
「大丈夫?」
「甥や姪の面倒を見てたんで慣れてますから。」
「・・・なんでも出来るのね。」
「いえ、何でもは出来ませんよ。」
夫の腕の中で、落ち着いたかのように亜衣が微睡んでいた。片腕で亜衣を抱っこしながら、
もう片方の腕で私の体を引き寄せ、キスをくれた。
 
この人の、子供をいつか産みたい・・・
ふっとそんなことを思った。
「いつか、あなたの子が欲しいわ。」
「・・・子供は、亜衣だけでいいです。これ以上望んだら・・・
罰が当たってしまう。」
「罰?」
「私と血のつながった子供・・・欲しくないと言ったら嘘になりますけど・・・その子と亜衣を同じように愛せるのか不安なんです。
いつか、本当の父親のことが亜衣に・・・。」
「ばかね・・・」
私は両腕を伸ばして、夫の首を抱き寄せた。
「父親は剛、あなたよ。そう決心したんでしょ?」
「でも・・・」
「秘密なんて、いつかはばれてしまうかもしれない。でも、死ぬまで隠し通すって覚悟で私にプロポーズしたんでしょ?」
「そのつもりですが・・・。」
「じゃ、大丈夫よ。きっと。」
「何を根拠に・・・。」
「・・・貴方の子供が欲しいってことは、あなたとあなたの子供のために命を掛けるってことなのよ。あんな痛くてつらい思いを、誰のために我慢できるの?すべて、好きな男と、子供のためじゃないの。」
「亜梨沙・・・」
 
その夜、私たちは義理ではなく、本気で愛し合うために一つになった。
 
「あ・・・あぁっ・・・!」
ベッドの上、隙間なく密着する体、体温が熱い
初めての時とは違った。全く。激しくて、思わず腰をくねらせて逃げ惑う
「つよ・・・し・・待って・・・あ、だめっ・・・」
「待ったなしですよ・・・。今夜は手加減しませんからね。」
そう言って、余裕たっぷりの顔をして、ほほ笑む夫に思わずどきんとした。
「受けて立とうじゃないの・・・。」
そうは言ったものの、実はとんでもない食わせ者に愛され、愛してしまったのではないかと
思った。
 
でも、それが私の選んだ最愛の人なのだから仕方ない・・・。
きっと、幸せになれるはずだから。
 

ラブ&ベイビー 

「子供の名前…決めてくれる?」
「・・・いいんですか?」
「何言ってるの?あなたの子でしょ?」
「・・・亜梨沙から一文字とって・・・亜衣。」
「・・・とてもいい名前だわ。」
 
大前亜衣・・・私と大前の、二人の赤ちゃん・・・
 
「お・・・剛、今日は立ち会ってくれてありがとう。」
「今、なんて?」
目を丸くする大前
「・・・ありがとうって行ったのよ・・・。」
「いや、その前に名前・・・」
「結婚して子供も生まれたんだから、いつも大前じゃおかしいでしょ?私も・・・大前なんだし。」
「いえ、その・・・」
「何よ。」
「たけし・・・ではなくつよしなんですが。」
「あ」
初歩的な間違いに、私は顔が赤くなったのを感じた。
「・・・ごめんなさい。」
「・・・いいですよ。慣れてますから。」
静かにほほ笑む大前
その表情からは、大前の真意が読み取れない
ずっと、知りたいと思っていた気持ちを私は大前にぶつけてみた
「ねぇ、教えて。とても・・・大事なことなの。」
「なんですか?」
「なぜ、この子の父親になろうと思ったの?」
「それは・・・」
「誤魔化さないで、大前の本当の気持ちを知りたいの。」
大前の目をじっと見つめた。
「あなたが・・・・私を頼りにしてくれたからです。あなたが、病院の前から、私のところに連絡をくれた時、嬉しかった。だから、決断できたんです。あなたと、あなたの子供を守っていこうって。」
「それだけで?あなたの一生のことなのに?」
「一生のことだから、それだけで決断できたんです。」
「・・・バカね。」
「バカですか・・・?」
「バカよ。・・・でも。」
嫌いじゃない。むしろ・・・
「あなたで良かったわ。」
私は夫である大前のほほに、口づけた
 

ラブ&ベイビー

9か月に入った。
時々お腹が強く張る
「少し休んだらいいですよ。」
様子を察して、大前が抱き枕を持ってくる
産休に入って、豆男な大前はさらに豆男になった気がする
「ハーブティー、入れましょうか?」
「ハーブティー?!」
「カモミールとかジャスミンティー、あとハイビスカスローズヒップとか色々ありますよ。」
「・・・本当に豆男ね。あなたって。」
「尽くすのが好きって訳じゃないですけど、喜んでほしいだけなんです。」
「なぜ・・・私と結婚しようと思ったの?」
「・・・貴方が好きだったんですよ。ずっと・・・」
「でも・・・・」
「それ以上は言わないでください。」
そう言って、大前は私の唇に軽く口づけた。
「貴方と結婚できて、幸せなんです。」
そう言われて、それ上は何も聞けなくなってしまった
 
そしていよいよ臨月に入った
 
「は〜、もうお腹が苦しいったらありゃしない。」
ソファに座ってお腹をさする私に
「もう少しの辛抱ですよ。」
大前はとても落ち着いた様子で言う
「・・・なんで女ばかりこんな苦しい思いをしなきゃいけないのかしらね。」
「女だからですよ。」
「不公平ね。」
「いいえ、とっても幸せだと思いますよ。」
「そうかしら。」
「そうですよ。」
大前の言葉は、不思議と素直に心に感じてくる
優しく落ち着いた声のせい?それとも大前が本気でそう思っているからなのか・・・
 
出産予定日より、少し早く陣痛が来た
分娩室に入って早一時間、大前も立ち会っての出産になった
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわよっ!痛いし苦しいし・・・・」
「それだけ声が出せるなら、まだ大丈夫ですね。」
「・・・こんなに苦しいなんて思わなかったわよ。」
強い痛みが来る。それを逃すように息を吐き出す。
「でも・・・男には耐えられない痛みだと聞いたことがあります・・・。私には、出産の痛みを知ることも出来ないですけど・・・。
体内で胎児を育てるのも、産むことができるのも・・・女性だけでしょう?そしてその痛みや苦しみに耐えられるのも・・・だから、頑張ってください。」
「頑張るわよ・・・」
頑張ってやろうじゃないの。女の意地をかけて。
痛みがさらに強さを増す。
「ほら、もう少し、もうすぐよ!」
助産師さんの声、ふと、大前の手が私の手を握る。力強くて、温かな手・・・・
私はその手を思い切り握り返してやった
産んでやる、大前のために、赤ちゃんのために、命かけてやろうじゃないの!!!
「あと一回いきんで!」
力いっぱいいきむ。その瞬間、すっと体が軽くなった
そして次に、産声が聞こえた。
「おぎゃー・・・」
「生まれた・・・」
「おめでとうございます。女の子ですよ。」
「女の子・・・」
生まれたばかりの赤ちゃんを抱かせてもらう
とても小さくて、でも、温かくて柔らかい・・・
「頑張りましたね。」
「大前・・・。」
「本当に、よく頑張りました。」
私の頭を撫でてくれる大前の手と、生まれたばかりのこの子がとても愛しく感じた
 

ラブ&ベイビー

入籍をして3か月、ようやく安定期に入った。
 
大前と暮らし始めて気づいたのは、意外に豆男だという事
見かけとのギャップに、しばし目を丸くすることが多かった。
 
「朝食、出来てますよ。」
「・・・大前が作ってくれたの?」
「簡単なものしか出来ませんけどね。」
食卓を見ると、ご飯、卵焼き、青菜のお浸し、鮭の塩焼き、お味噌汁が並べられている。
おみそ汁の具は、人参、油揚げ、ネギだった
「洋食のが良かったですか?」
「・・・出来るの?」
「オムレツとかフレンチトーストくらいなら。」
アパートの小さな台所で、大きな体の大前がオムレツやフレンチトーストなどを作っているところを考えると、思わず笑ってしまった
「何か?」
「・・・何でもないの。せっかく作ってもらったんだもの。頂くわ。」
「良かった。どうぞ召し上がってください。」
椅子に座って、お味噌汁に口を付けた
ふんわりとお味噌が香り、口の中に上品な出汁の味が広がる
「美味しい・・・。」
「ありがとうございます。」
「・・・カツオと昆布からわざわざ出汁を取ったの?」
「妊婦さんにはその方が良いと思いまして。」
「・・・やるわね。」
 
そんな風に、大前の意外な一面を知っていくたびに新婚生活に不思議なわくわく感を覚えた。
 
6か月を過ぎると、大分お腹も膨らんできた。
 
「あ、西野さん?」
偶然、元彼に出くわす。
ちょっと驚いたが、不思議と元彼に対して未練も後悔も何も感じなかった
元彼は私の膨らんできたお腹をみて、びっくりしている
「あら、久しぶりね。」
「・・・驚いたよ。何か月なの?」
「もうすぐ7か月に入るところ。」
「7か月・・・。」
そこへ大前がやってくる
「亜梨沙、どうしたんだい?」
私を捨てた元彼は、大前を見て少し驚く
「あ、知人に偶然会ったの。」
「・・・この方は?」
「夫よ。」
「夫?!」
「どうも、大前です。亜梨沙、この方とはどう言う知り合い?」
知っているくせに、わざとらしく聞いてくる大前に、思わず笑いそうになる
「うちに営業に来ていた原田君で・・・私を捨てた元彼。」
「あ、そうなんだ。」
顔はにこやかに、でも元彼のほうはちらりとも見ない大前
「・・・それにしても西野さんが結婚したなんて知らなかったよ。その・・・。」
元彼の原田君は私のお腹を見ている
「何?このお腹が気になるのかしら。」
「え、いや・・・」
「このお腹の中の子は、正真正銘大前の子よ。あなたに本命がいたように、私にも本命がいたってこと。」
半信半疑といった元顔の彼が一瞬凍りつく
「・・・あなたには感謝してるのよ。あなたと別れたおかげで、大前と結婚できたんだもの。お礼を言わなくちゃ・・・。」
「あ、ああ、そんなお礼だなんて・・・。あ、俺はそろそろ失礼するよ。それじゃ・・・。」
顔を引き攣らせて元彼は去っていった。
 
「君って意外に意地悪なんだね。」
笑いをこらえながら、大前が言った
「あら、当然よ。この私を二股にかけて振ったんだもの。それに大前だって・・・。」
「私が何かしましたか?」
「・・・ふふ。恍けるのが得意ね。」
「そうでしょうか。」
「まあいいわ。お腹もすいたし、帰りましょうか。」
「そうですね。」
大前がにっこりと笑った
 
時折思う
なぜ大前は自分の子でもないのに、父親になろうと決心できたのか
今も、その決意に迷いはないのかと・・・・

ラブ&ベイビー

次の日、有休をとって病院へと足を運んだ
でも・・・もし本当に赤ちゃんが出来ていたら?
別れた男は上司の娘と結婚するというのに。
病院まで足を運んだものの、中に入ることが出来ずに途方にくれていた。
 
「主任、どうしたんですか?」
途方に暮れて悩んだ末に、私は大前に電話をして呼び出した。
「もし、本当に妊娠してたら・・・って考えたら入れないのよ。未婚の私が妊娠なんて、主任の立場上、こんなこと・・・。」
「一人じゃ心細いんですか?」
「そ、そういう訳じゃないけど・・・」
「まずきちんと診察してもらいましょう。後のことはそれから考えたっていいじゃないですか。」
「でも・・・」
「私も一緒に行きますから。ね?」
「・・・そうね。」
 
「7週目に入ってますね。」
淡々とした口調で医師が言う
「・・・失礼ですが、ご結婚は?」
ちらりと私の隣にいる大前をみる。
「ご心配なく、元々入籍する予定でいましたから。」
大前の言葉に、私は目を丸くした。
 
「どういうつもりであんなこと言ったの?」
「なにがです?」
「・・・入籍だなんて、私が誰と入籍するっていうのよ。」
「・・・じゃ、堕胎しますか?」
 
堕胎・・・そう言われて気づく
どうしようかと迷ってはいたけれど、堕胎という考えは無かったことに
「堕胎するつもりがないなら、結婚して出産するのが当然でしょう?」
「でも、相手がいないんじゃ・・・。」
「・・・私がその子の父親になります。」
「大前?」
「主任のこと、前から好きでした。」
「・・・この子は、ほかの男の子よ?別れた男の置き土産だっていうのに正気?」
思ってもみなかった告白、驚きというより呆気にとられてしまった
「正気ですよ。私じゃいけない理由がありますか?」
「・・・条件ならあるわよ。」
「条件?」
「私好みのセックスが出来る男じゃないと・・・。大前、経験ある?」
どうみても、モテそうなタイプではない
「試してみますか?」
 
その夜、私と大前はホテルの一室にいた。
 
予想外だった。私の体を気遣っているのもあるだろうが、187センチという大きな体に不似合いな優しくて、穏やかな、それでいて情熱的なセックスだった
 
「亜梨沙・・・」
耳元で囁く熱っぽい声に、いつの間にか流されて・・・気づけば大前の腕の中で朝を迎えていた。
「おはようございます。主任。」
「・・・おはよう」
「及第点はもらえそうですか?」
「そうね。嫌いじゃないわ。合格よ。」
「・・・良かった。」
そう言って、大前は細い目をさらに細めた。
 
そして、私は「西野亜梨沙」から「大前亜梨沙」になった
 

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