いちご畑よ永遠に

山とロックを愛する自由人・・旅・歴史・音楽

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5月21日(木)。道の駅「日向」で起床。ここは日向灘の断崖の上にあり、時折日豊本線の列車が海沿いを走っていく。車で5分ほど走り、江戸・明治時代の白壁土蔵の町並みが残る美々津の重要伝建地区へ。国道10号線の美々津大橋の先を海方向へ下りると、四つ辻の高札場に出た。一本南の町屋の通りを右へ少し進むと日向市歴史民俗資料館の前に着いた。8時45分で9時開館より前であったが、受付の女性はどうぞといい、町並み保存会の無料駐車場は500m先だがここへ駐車していいとのこと。

美々津は神武天皇がこの港から東征したお船出の地と伝わる耳川河口にある港町で、古くから繁栄した。江戸時代は高鍋藩の支配下にあり、藩の番所・米蔵が置かれた。耳川流域の木材・木炭・和紙などを京阪神へ運び、絹・綿織物を持ち帰る千石船による舟運・経済・文化交流の拠点で「美々津千軒」とよばれた。大正12年日豊本線が開通すると、帆船を使った古い航海法や旧態依然の経営により、廻船業は衰退していった。町並みは虫籠窓・京格子や通り庭風の土間など京都・大阪の町家造りを取り入れ、今も当時の面影を残している。

イメージ 1日向市歴史民俗資料館の建物は美々津でも屈指の廻船問屋河内屋を修復したもの。安政2(1855)年建築。河内屋を屋号とした河野家を生家にした建築家の河野伝(つとう)は、フランク・ロイド・ライトのもとで帝国ホテルの設計に従事、目白文化村のN邸を設計し、のちトーキー映画の会社を設立した。河野伝の妹が結婚した黒木磐石は新聞記者で政治歴史方面の著作も多く、彼が寄贈した蔵書数百冊が2階にあり、貴重な本を調べに来る人もあるとのこと。この黒木家が建物を市に寄贈した。

イメージ 2まず、港側から俯瞰した美々津千軒の模型の前でもう1人の女性が説明してくれた。右上台地に藩主の屋敷があった。考古・歴史・民俗資料の展示も豊富である。

イメージ 3段構造の2階部が出色の出来で、太い梁2本と、下にある吹き抜けの取り合わせが印象的。窓からは海が見える。栗の箪笥は珍しい。箱階段は実際に使うことができる。

イメージ 4庭もコンパクトにまとめられており、柱状節理の岩を使った背景の石組みが素晴らしい。

イメージ 5「おきよ丸」の模型。紀元2600年を記念し、美々津から大阪へ埴輪をもとに復元した帆船「おきよ丸」を回航した。日向の青年150人が漕舟して昭和15年4月18日美々津港を船出し、28日に浪速に上陸、御盾を陸路橿原神宮へ奉納した熱狂ぶりが当時の新聞に紹介されている。「おきよ」とは、神武東征のさい、天皇一行が予定より早く旧暦八月一日の払暁に出発となったので、闇の中から神の声が住民に起きよ起きよと報じ、住民は見送りができたと伝わることから。団子用の米粉と蒸した豆を搗きいれて団子の代わりに天皇一行に献上した故事にちなむ「搗きいれ餅」はそのあやかりもの。

イメージ 6船マークが各戸の郵便箱には必ず付いている。埴輪の古代船をモチーフにして、船上の建屋は神社形をしている。

イメージ 7高札場の四辻から川湊方向を歩くとすぐに、町並みセンター、その先に美々津軒がある。いずれも明治時代の商家を活用したもの。美々津軒の中を見学すると、案内の女性はこの町は年金生活者ばかりで土産物もなかなか売れないと嘆いていた。土産物はどこにでも売っている物で、飽きられたという。関あじ関さばも本物は少ないとのこと。

イメージ 8日本海軍発祥之地碑は、川湊の岸壁前に建っている。紀元2600年記念事業の一環として2年後の昭和17年9月12日に建立された。題字は総理大臣海軍大将の米内光政。戦後米軍により、碑文は破壊されたが、昭和44年に復元した。

イメージ 9立磐神社。神武天皇が東征のおり航海安全を祈念してこの埠頭で奉斎した底筒男命ほかの三神を祀り、景行天皇の時代に創建されたと伝わる。境内には神武天皇が軍船の準備を親裁したさい腰掛けたという「お腰掛岩」がある。

イメージ 10橋口氏庭園(県名勝)。京都醍醐寺三宝院庭園を手本にした池泉回遊式の庭園。16世紀中頃の天文年間に柱状節理の岩肌を活かして造園された。橋口氏は天文年間に愛宕神社の神官として移住してきた旧家。町並みマップにしたがい捜すが分らず。愛宕神社への階段を上り、崖に沿って左に下りると、水場に続き、説明板がある庭園に出た。柵の外から眺め、母屋横の道を帰りかけると家の戸が開き50歳代の男性に呼び止められた。その人が神官の橋口氏で、いい庭ですねというと、柵を自分で開けて中から見てもよいとのこと。石橋や岩、花木も多い。池に水は少なくすくった泥が見える。広大な崖を利用した庭だが、10号線が上を開通してから岩肌からの水は少なくなったとのこと。

イメージ 11橋口氏が言うには、「管理が大変で、名勝解除の申請をした、無料だが団体が来てうるさい、見学者のマナーが悪い、老人だからマナーがいいわけでもない、住居横の祖霊殿でのお勤めに差し支える、50円・100円貰っても見学者に大きな態度をされたらかなわん、最近JAFが立磐神社を取材したが管理者の私に何の挨拶もない、それで、道路側の案内看板を外した。」「事情はよく分ります」というと、「私は悪い人間じゃないでしょ」といって、私に「立磐神社由緒記」「橋口庭園由来記」「聖郷美々津案内」の小冊子を手渡した。橋口家は廃仏希釈に伴い、神道に改宗したが、元は長福寺と称して醍醐寺の末寺としてここに開山した。神仏習合の時代で愛宕山に神を祀り、その中を権現として仏を祀っていた。

イメージ 12美々津灯台。正式には美々津港灯台。七ツバエという岩礁の上にある。「みひかりの灯」「みあかしの灯」ともよばれる。紀元2600年記念事業の一環として、お船出2600年に当たる昭和9年(紀元前5年?)に建造された。灯台の形は住吉灯篭を模したもの。守る会駐車場近くの波よけ防波堤の上から望む。

イメージ 13美々津県庁跡碑。国道10号線海側の高台には、藩政時代、高鍋藩主秋月氏の参勤交代のための宿所である、お仮所があった。明治4年11月に日向は美々津県と都城県の2県体制になり、この場所に美々津県庁が置かれたが、県庁は翌年富高に移った。

イメージ 14今は公民館があり、県庁跡碑が美々津港や日向灘を見下ろしている。その後、耳川沿いの道を走るが、道路工事の時間規制で45分待たされた。15時頃から雨。

イメージ 15美郷町・神門神社本殿。718年の創建とされ百済王族禎嘉王が祀られている。現社殿は寛文元(1661)年の建築。社宝の銅鏡は伝世品で、正倉院御物、見瀬丸山古墳出土品、長屋王邸跡出土品と同氾のものもある。屋根板の厚板の葺き方が平城宮と同じで珍しいという。百済が7世紀に滅亡したとき、遁れた百済王族が日向の地に流れ着き、この地に住んだが、新羅の追討軍により討たれたという伝説がある。

イメージ 16西の正倉院。奈良の正倉院を実物大に復元した建物。神門神社の下に隣接して建つ。神門神社に伝来する社宝などを展示。百済の館にはキム・ジョンピルが2001年に寄贈した金銅製の香炉がきらびやかに回転していた。

イメージ 17若山牧水生家。東郷町坪谷。川がせまった道路沿いにある。向い側の丘には若山牧水記念文学館があり、16時30分に入館した。同郷の園田小枝子との恋愛や沼津の千本松原保存運動に関与したことなどが分るコンパクトにして簡便な展示である。記念館は以前は生家横にあったが移転した。生家は祖父で医者の健海が弘化2(1845)年に建てた。健海は今の埼玉県出身で、江戸で医学を学び、日向出身の知人に勧められてこの地に移ったというエピソードは興味深い。
「幾山河 こえさりゆかば さびしさのはてなん国ぞ きょうも旅ゆく」「 白鳥は かなしからずや 空の青海のあおにも 染まずただよう」は有名。

イメージ 18牧水歌碑。生家の裏山にある。「ふるさとの尾鈴の山のかなしさよ 秋もかすみのたなびきてをり」と牧水の筆跡で自然石に刻まれている。牧水が大正元年父の死で帰郷したさい、近親から故郷にとどまることを要求され、この石の上で悩み考え、瞑想や読書に没頭した由緒ある石である。
雨も激しくなり、本日の御宿「道の駅とうごう」へ移動。

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美々津は記憶に新しく、岩と岩の間を、神武は通ったと聞きました。百済王族の神社も、興味深いですね。 削除

2009/7/17(金) 午前 8:36 [ 博光 ] 返信する

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尾鷲に友あり、美々津の美酒を持参する。

神武東征出発の地は、宮崎県の天孫降臨で有名な高千穂峡や西田原古墳群近くの美々津である。

神武天皇到着の地は、尾鷲の九鬼と伝えられている。
熊野の人の目に神武がどう映ったのだろうか。

図書館や歴史資料館で、尾鷲市と宮崎の日向市とが姉妹都市として連携し、神武東征の考証や、黒潮による文化や環境について、情報を交換し共に考える意義は大きい。

熊野にも不労長寿の薬を求めて秦からの徐福伝説の地がある。
2200年前の秦時代の半両銭と言う古貨幣が出土しているので、秦時代に大陸から直接来ていることには間違い無いようだ。

熊野には九鬼や鬼が島等の鬼の字が付く地名が多い。黒潮に流されて熊野に漂着したのだろう。
日本の古代史を考えるには、海路を中心に据えると分かり易い。

すなわち、瀬戸内海路文化、黒潮漂着文化および環日本海文化圏である。

2011/8/14(日) 午後 0:41 [ 底質汚染 ] 返信する

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