立派な大人の「街」

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それでもボクは・・・

イメージ 1

その日オイラは仕事で時間に追われて焦っていた。
汗をダラダラかきながら電車に乗り込んだ。

乗り込んだ車両は平日の昼間ということもあり
それほど混んでいない。
乗車率は70%程度だっただろう。

ハンカチで額の汗を拭って、つり革につかまり
車内吊り広告なんかを漫然と眺めていた。

すると、なんとなく視線を感じた。

感じた方向に目をやると人間一人分くらい空いた斜め前の位置に
30代前半と思しき女性がオイラの事を訝しげに見ている。
それこそ遠慮の無い視線を向けていた。

(なんなんだこの人は?)

オイラはその女性をチラ見して目線を外した。

しかし、その視線は容赦なくまだオイラを捕らえている。

(・・・なんだろうな、この女の人は・・・)

オイラはいささかイラつき、その女性を睨み返した。


だがその瞬間、『あ・・・もしや・・・』
あることが頭をよぎったのだ。

周囲を一瞥、いや注意深く見渡した。


・・・・女性ばかりだ・・・・・

予感は的中した!
扉の上部にピンクの文字でデカデカと掲げられているではないか。

「女性専用車両」


(ああ、やっちまった!焦ってたから確認せずに飛び乗ってしまったんだ)

イメージ 2




日本ではいくつかの都市部、乗降客数の多い路線に
鉄道会社で設けた「女性専用車両」というものが存在する。

もちろんオイラの故郷になどそんなものは無い。

混雑時に乗車率が200%以上にも達するような
都市部の路線のみ施行されているシステムであろう。

実はこの「女性専用車両」は鉄道が誕生した明治の時代にすでに
あったという。その頃の実施理由は「男女が狭い箱の中に一緒に入る事は不謹慎」という
時代的背景が成したことで、現代の実施理由と若干ニュアンスが違っていた。

それから「廃止、実施〜」を繰り返し、昭和40年代にようやく「痴漢行為」からの
防止策という考えの下再開し、また廃止。

そして2000年に入り現在の形に落ち着いたとのこと。


そして、この「女性専用車両」っていうのはやっかいなことに
規則化、法律化されていないから「乗る乗らない」は利用者の任意なのである。

つまり普段から「男性は乗ってはいけない」という意識が希薄だから
ついウッカリ乗ってしまうのだ。

しかもそれを言及する女性もあまりいないし・・・

まぁ、「みなさん、なんとなく男女別れたい人はこれに従いましょう」的
ユル〜いものなのだ。


だが、そんな背景や理由があろうが
自分がやってしまったことを正当化するつもりもなく

隣の車両に即移動しようにも、そこまで車内は空いていない・・・

その睨んでいた女性に対し、顔を見ることも出来ず
(早く次の駅に着いてくれ)と祈るのみだった。

いたたまれず周囲を見渡した。
他にもオイラに冷たい目線を送っている女性が山のようにいるんだろうなぁ、と
恐る恐る・・・

すると、他の女性はまーったくオイラに無関心。

本を読む中年女性、孫をあやすお婆ちゃん
音楽プレーヤーを聴く女子大生風、笑い合う女子高生、etc・・・

オイラを認識はしているようだが、まーったく関知しない様子なのだ
あの女性以外は・・・


(まだ見ている・・・ああ、ごめんなさい、完全なるオイラの過失です)

すると突然電車が急カーブ、車内の人の塊が揺れた
女性とオイラの距離が無くなり、ほぼ密接した状態になってしまった。

女性がオイラの顔を睨みながら、つり革に捕まらず下ろしている
オイラの右手のありかを確認するように見る。


『!!!!』


オイラは自分の下ろしている右手が、
女性の下半身に触れそうな状態なのを認識した!


そしてオイラは瞬時に察したのだ。


(ヤバイ・・・この流れは・・・痴漢の・・・)


そうなのである。その流れは完全に・・・

『この人痴漢です!』

『いや!僕は違います!やってないです』

的な流れだ。


故意でなくても触れてしまったら、申し開きできない。


自分が触れてなくても誰かが触れて、その罪がオイラにかぶさり
「冤罪」になる可能性だって多分にある。


しかもこの女性はハナからオイラに嫌悪感を抱いていた。


(ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!・・・)


すかさず、下ろしていた右手も、左手同様つり革に捕まらせ
「冤罪」の危機を回避したのだ。

また電車が揺れて、女性の体がオイラに当たった。

一秒が永遠に感じるって、こういうことなのだろう。


電車が駅に到着し、オイラは逃げるようにホームへ飛び出し
二つ隣の車両に飛び乗った。

後ろに女性の視線を感じながら・・・


オイラは騒がしい男子中学生の集団の近くで
ボンヤリ考えていた。


他の女性たちがオイラに無関心なのと対比して考えるから
「過敏過ぎる」と思ってしまいがちだが

あの女性は決して「過敏過ぎ」ではないのだ。

やはり「女性専用車両」に乗ってしまったオイラの100%過失である。

ひょっとしたら過去に「男性」もしくは「痴漢」などの
忌まわしい経験があるのかもしれない。

もしあの局面で、誰かの手が彼女の体に触れたとしたら・・・
そして最初から訝っていたオイラを「痴漢」と判断したら・・・
周りの人たちは無関心、逆にオイラの行動を逐一見ていた人がいない分
「触っていない」ことを証明できる人もいないということだ。
そうなると被害に遭った彼女の証言だけが有効になる。

そして・・・冤罪の地獄へとオイラは落ちてゆく


そう考えるとゾっとした。
体全体がブルブル震えた。

「女性専用車両」の在り方、規則化を問いたいわけではないのだが・・・






雑誌の車内吊り広告の

「裁判員裁判が始まる!」の文字が目に入った。




真実をこの目で見ていない人が・・・
法のスペシャリストではない一般の人間が
「人を裁く」ということ。


オイラが法廷の場で裁判員相手に
『それでもボクはやってない』と主張している場面・・・

そんな場面をボンヤリと想像した。
今年も父の日が来ました。昨年書いた記事ですが再投稿します。
初めての方で気が向いたらお読みください
BGM

イメージ 1



ある年の「父の日」に起きた、ある父と娘の物語。


女の子は父親に似ると幸せになれると云われている・・・
根拠の無い風説に過ぎないかもしれない。

だが、本当にそうなのかもしれない・・・

一組の父と娘がいた。


父親は今年で長年勤め上げた会社をめでたく定年退職し
静かな隠居生活を始めている。

一人娘は、30歳を過ぎても結婚をせず仕事に没頭し
今では何人もの部下を抱える、バリバリのキャリアウーマンだ。


父親は、自分が仕事から解放されたのも手伝ってか
娘がなかなか身を固めない事への小言を、毎日のように娘に言う。

『早く結婚しなさい』
『うるさいなぁ、大丈夫だよ心配してくれなくてもぉ』


今でこそ、ヤリ手のキャリアウーマンで
打たれ強く、押しも強く
男社会の現場でもバリバリ仕事をこなしている彼女だが、
幼少期は若干・・・というか、真逆の性格の少女だった。


幼少期の彼女は、それはもう繊細な精神の持ち主で
感受性が強く、植物や動物を可愛がる少女であった。


その繊細すぎる性格からか・・・
少女が育てていた花が枯れてしまった時は、熱を出して何日も寝込んだり
育てていた文鳥が死んでしまったら、食事を一切取らず
ふさぎこんで、衰弱してしまうほどのショックを受ける子であった。


そのたびに父親はオロオロし、うろたえ、よく会社を早退して
娘の面倒をみたものだった。


娘の病的なまでの「生命」への執着心。
父親は、その理由から
彼女に「一世一代の嘘」をついてきた。


彼女の母親・・・つまり父親の妻は、
彼女の出産の直後、不慮の事故で亡くなってしまっていたのだ。


彼女が物心ついてきた頃
『パパ、わたしのママはどこにいるの?』という質問に、つい・・・
『ワケがあって、違うところにいるんだよ』と・・・


そして、時が経ち自我に目覚め、くだんのような性格が明るみになってきた頃には
父親はすでに、娘についた「一世一代のウソ」を撤回できない状態になってしまった。


『ママはもうこの世にはいない。死んでしまった』などと
知ろうものなら、いったいこの子はどうなってしまうのだろか・・・?


時が経つにつれ
『どこか違うところ』から
『実は離婚した』と言う風に

娘の成長に合わせ、ウソの上塗りを続けていった父親。



父親は、娘を溺愛し、育てた。

その分・・・・娘は父親ベッタリの少女へと成長する。



子供の頃から、父親の後ばかり付いてまわる娘。
小学校の作文で
『大人になったら、パパと結婚したい』と・・・

しばらく時が経つと・・・
『パパに似た人と結婚する・・・』に、表現が変わった。


なぜ?という父親の問いに娘は

『だってパパの事好きだけど、親子では結婚できないじゃん
だから、パパに似た人と結婚するのっ!』

この頃の娘は、「父の日」には毎年、
父親の似顔絵を描いてプレゼントしていた。


やがて・・・

風呂も別々に入るようになった。
洗濯物を父親と同じ洗濯機で洗わなくなった。

どんな友達と付き合っているのか聞かれると嫌がった。

反抗期も人並みに迎えた娘。





娘は立派に成長し、
海外の大学に留学が決まり、父親の心配の元であった
「繊細すぎる性格」も驚くほど緩和され、
今では「現実を受け入れる強さ」みたいなものが備わっている。

4年間の海外留学の出発前夜・・・・

父親は意を決し、娘を食卓へと呼び出す。
母親の真実を伝えるために・・・・

(ここで伝えなければ、いつ伝えられるんだ・・・・)

娘は、父親の申し出をスルリと交わし
『明日早いからもう寝るね』

次の日、娘が旅立ったあとのテーブルの上に一枚の手紙。
娘から父宛である。

そこには・・・・
18年間男手だけで自分を育ててくれた感謝の意と・・・・

「母親の死」のことは知っていた・・・という事実が書き記してあった。

『ママが亡くなったことは悲しいけど・・・

それ以上に、パパの「優しいウソ」が本当に身に沁みたよ

本当に、ありがとう。行って来るね!』



手紙は、そう結んでいた。
父親は声を出さずに泣いた。


娘は留学中も、紫陽花の咲く季節に
毎年手紙を寄越していた。
「父の日」への感謝として・・・


娘は海外から戻ると現在の会社に就職し
海外で身につけた、語学力や行動力、パッション
価値観、方法論、スタイルなどを遺憾なく発揮し、現在に至る。

仕事の虫で、男勝りの彼女にはなかなか浮いた話がない。

歳をとった父親の小言は増す一方である。
ある晩、かなりの温度での口論になる。

『結婚する気はないのかっ!』
『無いわけじゃないけど、ちょっと放っといてよっ!
今、大事な時なんだからっ!だいたいパパ、最近ちょっとうるさ過ぎるよっ』

そんな口論をした数日後、
父親は倒れた・・・・・・



末期のガンであった。



病床に臥してわずか二ヵ月後に、
主治医から「あと一ヶ月もつかどうか・・・」と宣告される。



『私・・・自分の事ばっかだったね・・・パパの体の事なんか・・・
ちっとも気付かなかった・・・バカだよ・・・私、ホントにバカだよ』


自責の念にかられ
泣き崩れる娘。


庭の紫陽花が、六月の雨に打たれて揺れている。

カレンダーはもうすぐ「父の日」と告げている。



次の日娘は父親のベッドの横で「ある事」を告げる。

『パパ、私・・・結婚することになったの』

痩せこけて、顔色の悪くなった父親は、嬉しそうにうなづく。
『・・・そうか・・・良かった・・・本当に良かったなぁ・・・』


『だからパパ、早く良くなってね、早く治して結婚式に出てね』
『・・・うん、もちろんだ・・・パパはお前の花嫁姿を見るために
生きてきたんだから・・・治すさ、絶対・・・』


娘は病院長に直談判した。
「是非、父親の病室で結婚式を行わせてくれ」と懇願した。

理由を聞き納得した病院側は、異例の
「病室結婚式」を許可する。




ある年の「父の日」・・・

とある病院の病室から、賑やかな歓声が聞こえる。

紙ふぶきと、ライスシャワーの雨の中
純白のウェデイングドレスを身に纏った愛娘が・・・
その横には実直そうな青年が・・・
腕を組んで病室に入ってくる。

父親は、この上もない歓喜の表情で二人を見つめる。
目にはいっぱいの涙を浮かべ、微笑んでいる。

手には・・・子供の頃娘が描いてくれた自分の似顔絵が握られている。



父親が逝ったのは
娘が企てた・・・・「ニセ結婚式」の三日後のことだった。

結婚相手役は会社の同僚に頼んだ。


何年か経った、「父の日」・・・・
娘は、一通の手紙を読んでいる。

その手紙は、あの「ニセ結婚式」の直後に父親が
最後の力を振り絞って書いたもので、
彼が亡くなった翌日、娘の元に届いたものである。

B5サイズの便箋に、震えるような筆跡の文字が
バランス悪く並んでいる。

懐かしむように、手紙を読む娘。


素晴らしい結婚式をありがとう。

最後にお前の晴れ姿を見る事が出来てパパは本当に幸せです。


パパが逝ったあとに、本当の幸せをつかんでください。


お前はパパの娘です。

お前のヤリクチは承知しています。


「素敵なウソ」をありがとう。


なぜ、ウソだとわかったと思う?


彼はイイ男だったけど、

パパと少しも似ていなかったからだよ。


とにかく、幸せになれ!


パパより



娘は手紙を読みながら号泣する。
何度も何度もすすりあげては、号泣する。

『パパ・・・本当にごめんね・・・・
パパ・・・本当にありがとうね・・・・
絶対に、絶対に・・・幸せになるね、パパ・・・・』


庭の紫陽花が、六月の雨に打たれて揺れている。



娘の目の前には、

優しく微笑んでいる大好きだった父親の遺影が
飾られている。



そして、遺影を前に号泣する娘の肩に
そっと手を添える青年が・・・


父親の笑顔とよく似た青年が
娘を優しく包み込んでいる。


イメージ 2

偶然と必然

イメージ 1

オイラは都心の勤め先までバスを利用している。
その日も仕事を終え、かなり遅い時間の便に乗り込みシートに座った。

最終便に近いということもあり、帰宅するサラリーマンや若いカップル
買い物帰りの親子連れなどで車内はごった返していた。

いつもだったらもっと早い便に乗る。
ある程度決まった時間帯の便である。
すると「知り合いではないのだが何度か車内で顔を合わせている程度の人」と
同乗することはままあるのだ。

だがその日はあまり利用しない時間帯の便。
周りを見渡しても見知った顔は見当たらない。

そういうものである。


タイミングがずれれば状況が変わり、違う人に出会うし
タイミングがずれれば状況が変わり、いつもと違うことに遭遇するのだ。

逆を言えば、今このバスに乗り合わせている人たちは
オイラの様々な都合やタイミングの総合的な要因が引き合わせた

「偶然」でもあり、「必然」でもあるといえよう。

オイラの仕事がもう少し早く終わっていたら・・・
はたまたバス停までの道中にアクシデントがあり
このバスでなく、最終の便だったら・・・

この人たちとは同乗することも、出会うこともないのであろう。

オイラはムンムンとした熱気の充満した車内で
この「偶然と必然」の神秘性を漠然と感じていた。







バスは進み次々と乗客を吐き出していく。
しばらくすると、通路を挟んだオイラの右側のシートから声がする。




『こんなに間違えたの?』

『・・・うん・・・』

『ダメじゃない』

『・・・ゴメン・・・なさい・・・』




視界がひらけてきたその奥に30代前半くらいの女性と
小学校中学年くらい男の子が並んで座っている。

会話の関係性から察するに「母親と子供」であろう。
二人はなにやらテキストのような紙製の冊子に目を落とし
お互いの顔を見ずに話している。




母親 『ちゃんと予習したの?』

息子 『うん、したんだけどヤマがはずれちゃったんだ』

母親 『ヤマをはるなんてのは予習したことにはならないの!
    どんな問題が来ても対応できるように全てを網羅するのが予習なの』

息子 『・・・ゴメンなさい・・・』

母親 『どうするの?こんな成績じゃあ入れないよ?いいの?』

息子 『・・・・・イヤだ・・・』





(ああ・・・お受験だ・・・)オイラは会話の内容から邪推した。


恐らく・・・
まぁ、ほぼ的中しているだろうが・・・

母親の身なりや言葉遣い、子供の齢格好や雰囲気などから察するに
「有名私立中学」を狙っている親子なのであろう。


恐らく両親はその「中学」に息子が合格することを
心より熱望しているのであろう。

そして息子もその両親の期待に答えよう
希望を叶えようと必死で頑張っているのであろう。

だが今回のテストではその努力が実らず、思うような点数が取れなかった・・・
その結果に対し母親は人目をはばからず問いただしている・・・

そんな場面なのであろう。



「子供のお受験」

まぁ珍しくもない話である。

反対論者の「子供が可愛そう」とか
「競争に巻き込ませるな」とか「のびのびが一番だ」などももっともだし・・・
かと言ってオイラも否定論者でもない。

幼い頃から学習することを習慣化させることは良いことだと思う。

「良い学校へ・・・良い企業へ・・・良い暮らしへ」

「目的のための手段」または「手段の先にあるのが目的」

学歴社会や受験システムに関しては一概には正否は言えない。
難しい問題である。


親子の会話は続いていた。

さっきよりも母親の語気が強くなっている。
眉毛も少し吊り上っている気がする。



母親 『いい?何度も言うけど・・・』

息子 『わかってる。あの学校に入らないとあとあと困るのはボクだもんね』

母親 『そうよ。一つサボったり、一つ間違えたりするだけでアナタの人生が
    大きく変わって来ちゃうの』

息子 『・・・うん・・・』




オイラはその息子の健気さや素直さがなんだか
切なく思えて仕方なかった。

みればまだ小学3〜4年生である。

両親の事が大好きなのであろう。
その両親希望に答えるべく反発もせず・・・




母親 『パパもいつも言ってるでしょ?“パパももう少し勉強頑張ってれば
    違った人生になってたんだぞ。だから頑張れ”って・・・』



すると息子が始めてテキストから目を上げて母親を見据えて言った。


息子 『でも、パパの人生が変わってたらママと遭わないよ。
    そうなったらボクこの世にいないじゃん』



オイラは軽く噴き出してしまった。



母親は・・・・

半分照れたような、そして我が子をいとおしむような柔らかい表情になり

息子の頭を優しく撫でた。





この日オイラがこの親子に出遭ったのは偶然なのか必然なのか?
そんな神秘性を楽しんでいた。

アナタはどっち?

イメージ 1

人は大きく分類して「ウッカリさん」と「チャッカリさん」に分けられる。

オイラはどちらかといえば「ウッカリさん」の部類だ。

「ウッカリさん」と聞くと「善人」
「チャッカリさん」は「悪人」という印象が持たれやすいが

ウッカリさんは「善人だ」という理由で
自分の猜疑心の希薄さゆえにチャッカリさんから
欺かれたことの罪を免罪符にしているに過ぎないかもしれない。

この物騒な世の中・・・・

「のん気なウッカリさん」では渡っていけないのだ。

かといってチャッカリさんにはなれないし、
なれたとしても「ゴメンだよ」という
美徳が邪魔をする。











2台の自動車がフリーウェイで正面衝突した。

2台とも大破したが、どちらの運転手も無事だった。

先に車から這いだした老紳士が他方の車に駆け寄り、
運転していた中年の男を助け出してから柔らかい物腰で言った。

『お怪我はありませんかな?』

男は、相手の意外なほどに紳士的な態度に驚き、丁寧に答えた。

『ええ。あなたは?』

『私も無事です。こんな事故なのにお互いに怪我一つしないなんて、
 奇蹟としか言えませんな』


そう言うと老紳士は、
内ポケットから小瓶を取り出して男に差し出した。



『こんなときは気を落ち着けるのが一番ですぞ』

『おお、これはありがたい』



男は小瓶を受け取り、中身のウイスキーを半分ほど飲み干した。

『さあ、あなたも』


男が返した小瓶を受け取ると、
老紳士は小瓶の蓋を閉めて内ポケットにしまい、
皺だらけの顔に微笑みをたたえて言った。



『私は警察の事故処理が終わってからゆっくりと』









皆さんは、どっち?笑

雨と傘の因果応報

http://www.youtube.com/v/O6tkqJkuOLk&hl=1&autoplay=1&loop=1 BGM ♪Raindrops Keep Falling On My Head by B.J. Thomas






夕方から降りだした雨が夜になって
雨脚を強めた先日の事。
オイラは仕事を終え、仕事場のビルのエレベーターに乗り込んだ。

雨が降り出していたことは仕事中に認識していた。
と、同時に置き傘が一本も無いことも気付いていた。

エレベーター内でオイラは
『あ〜あ雨が降るなんて言ってたかよぉ、良純さん・・・』と
ひとりごちた。

仕事場から駅まで歩いて約10分。
その道のりのちょうど真ん中あたりにコンビニがあり
そこまで行けばビニール傘は購入できるだろうが、
濡れ鼠になるのは必至であった。

リュックの中には仕事道具のノートパソコンも入っており
気分は憂鬱の頂点であった。

『しゃあないよな、これも日頃の行いのせいだ』

エレベーターの階数表示がノロノロとカウントダウンしていくのを
漫然と見つめるオイラ。

階数表示が「5」で止まり扉が開いた。

その人はいつものようにゆっくりとした足取りで
エレベーターに乗り込んでくる。



その人とは・・・
このビルの最上階に住んでいるお婆さん。

二人姉妹で住んでおり、服装もオシャレで愛想の良い方がお姉さんに対し

今、オイラの斜め前に立っているのが、

日頃から無愛想で、華やかなお姉さんに比べ、服装には無頓着な・・・・
つまり「みすぼらしい感じ」の妹さん。

みすぼらしくて無愛想ゆえに
ビル内で働く人間からは、正直評判が良くない・・・妹さんの方である。

その「無愛想でみすぼらしい、評判のよろしくないお婆さん」と二人きりの空間。

誰もが経験したことがあるであろう、言いようのない
「気まずい空気」が箱の中に充満する。

みんなこのお婆さんに、何をどうこうされたとか
嫌味を言われたとかではない。

ただただみすぼらしくて、
無愛想で感じが悪いというだけなのだ。

そして同じ姉妹なのにお姉さんの方は華やかで愛想が良くて
いわゆる「かわいいお婆ちゃん」

『おやおやこんな遅くまでお仕事かい?大変だねぇアメをお食べ』なんて
声をかけてくれるし・・・
お姉さんは、ビル内のちょっとした「アイドル」なのだ。

比較の対象になってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。


階数表示のカウントダウンがマゴマゴと
いつもより遅く感じる。


そのとき、なにか声が聞えた・・・・気がした。

『・・・?・・・』
オイラはよくわからなかった。

『この雨の中、傘は持ってないのかい?』

今度ははっきり聞えた。

その声は後を振り向かない小さな背中から
聞えたのである。

首のあたりがヨレヨレのブラウスが見て取れた。

オイラは軽く狼狽する。

『え・・・?あ、はい。困っちゃいますよねぇ予報で言ってなかったですよね』

すると、お婆さんやにわに振り向いて
オイラにこう言った。

『濡れちゃうじゃない。ダメだよ風邪ひくよ』

びっくりしている内心をなるべく悟られないようにオイラは
『いや、まぁコンビニまで走っていけば傘売ってるでしょうから・・・』

エレベーターが一階に到着し、扉が開いた。

オイラより先にフロアに踏み出たお婆さんは
こちらに向かって

『管理人室の横の掃除道具入れに傘があったと思うから
それを持っていきなさい』

オイラはもう、隠し切れないくらい仰天していただろう。

『いや、大丈夫です!そんな・・・』

オイラの遠慮もよそに、お婆さんはスタスタと管理人室の方へ歩いて行き
手早く掃除道具入れの中から傘を取り出し戻ってきた。

ホコリがかぶっている傘を『ふっふぅ!』と息を吹きつけながら手で払い

『はい、ちょっと汚いけど濡れるよりマシでしょ?持っていきなさい』


オイラは胸が「ジーン」として、思うように御礼の言葉が出てこない。


今まで、良いイメージを持っていなかったお婆さんにこんな形で親切にされるなんて・・・

完全に誤解していた。


無愛想とか・・・
みすぼらしいとか・・・


その人の本質をよく知らずに、オイラという人間は・・・・

自分の浅はかさに自責の念を抱くと共に

こんな「人の優しさに触れた感動」に満たされていた。

丁寧にお礼を言うと「傘は元の場所に戻しておいてくれればいいから」と
言い残しお婆ちゃんは去って行った。

着くずしたヨレヨレのブラウスをなびかせて歩いてゆく姿は
もはや「みすぼらしさ」など微塵も感じさせなかった。


帰りの電車の中で、もう一度お婆ちゃんの言葉や行動を思い出していた。

何気ないけど大きな優しさとはああいうことなのだろう。

人に見られないように、少しだけ滲んだ涙を拭った。


翌日、傘を元の位置に戻し
ちょっとしたお礼を持参して彼女の部屋へと向かおうとエレベーターに乗り込んだ。

すると今度は、愛想の良い方のお姉さんに遭遇した。

お姉さんを通して妹さんにしていただいた事へのお礼をしようとした瞬間

『昨日の雨は凄かったわねぇ、アナタは大丈夫だった?』と
お姉さんが声をかけてきた。

オイラは「ちょうど良かった」とばかりにクチを開こうとすると
矢継ぎ早にお姉さんが

『昨日妹がね、傘も持たずに帰ろうとしていた人がいたから傘を貸したんだって』

(あ、それオイラのことです・・・)

『その人がねぇ、なんともみすぼらしい感じの人で
 濡れネズミみたいになっちゃうのは可哀想だなぁと思ったんだって!』






オイラは苦笑いで相槌を打った。

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