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いままで昇ってきた緩やかな斜面を振り返ると、そこからは雄大な景色が一望できた。ゆるやかな起伏
をみせる明るい緑の丘々が遥か遠方まで連なり、さらに遠くの方には、白い残雪を戴いた北アルプスの稜
線が、青空との境界にくっきりと銀色の線を描いて輝いていた。鏡のように澄んだ湖は、明るい空の色を
映し出し、山の麓にはカラマツの森が広がりシラカバの林へと繋がる。遠くに臨む林の木立の中には、あ
ちこちに点在する旅館や別荘が微かに見えた。草原を渡るやさしい春風がかぐわしい若草の香りを運び、
恭子の可愛らしくお下げに結った髪を揺らしている。いつもは黒髪に見える恭子の髪がのどかな春の陽射
しに透けて、栗毛色に照り映えている。恭子が微笑み、歌いだす。
風にゆらめく金色{こんじき}の木漏れ日よ 我は歩みだす光の中を
小鳥らの歌うしあわせの歌 我も口ずさむ、その歌に合わせて
梢を渡る青嵐{せいらん}のように 駆け抜ける聖霊の息吹
満つる想いは果てしなく 神よ我と共にいまし給へ
恭子が歌った歌は、新エデン教会の聖歌二十一番だった。歌が終わりに差し掛かると、母さんがハミン
グをはじめた。次は恭司が歌う。
いのち輝く緑の沃野よ 我は駆け出す喜び急ぎて
谷を渡る風のさやけさ 我も渡らん、その風に乗って
呼び交わす谺{こだま}のように 響き合う聖霊の歌声
湧き立つ力は神のため 神よ我が想いを受けとめ給え
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訪問ありがとうございました。ぜひゆっくり拝見させていただきます。
2007/1/25(木) 午前 1:16 [ グッチ ]
ありがとうございます!お暇なときで結構ですので、是非お願い致します。
2007/1/25(木) 午前 6:39 [ yuzukijoutrou ]