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横光利一「旅愁(上・下)」(岩波文庫)
上下巻合計1141頁の長編小説。
横光の死(1898年-1947年)により未完の作品となっている。
「旅愁」は、戦後の占領軍による検閲でかなりの部分が書き換えられたが(民族主義的な記述部分)、2016年に発売された岩波文庫版は、検閲前のテキストによるものとなっている。
横光の作品は、10代の頃に集英社の日本文学全集の配本として届いた横光利一集の中の「春は馬車に乗って」「機械」などの作品を読んだことがあり懐かしい作家の一人。長編の「旅愁」は読んでみたかった作品だった。
この小説の精神的な軸をなしているのは、西洋対日本、カトリックと古神道。
主人公の矢代は、横光のある部分での分身のような男。
矢代は、ヨーロッパへの遊学中、友人久慈(横光の別の分身ともいえる人物)の元交際相手で遊学中の千鶴子と一緒にチロルに出かけたりして交際するようになる。しかし、古神道に拠って立つ矢代は、結婚相手としてはカトリック信者である彼女とは相容れないものを感じ、一定の距離を置きながらの交際が続く。
この作品が完成していたら、二人の関係はどうなったのだろうか。
当時、横光がヨーロッパを訪れたときには日本から多数の芸術家や作家が留学していた。横光がそこで知り合った芸術家などがこの作品中に登場する人物のモデル(文庫版表紙写真左の岡本太郎は新進気鋭の写真家として)になっているところも面白い。
横光は、当時、「小説の神様」という異名を持っていた。
リズム感のある繊細かつ鋭敏な感覚で散りばめられた文章には魅了された。
これが横光利一のことを新感覚派と呼ぶ理由なのであろう。
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ページ数がすごい、大作ですね!
それでも未完なんて。。
横光利一は、おそらく読んだことがないと思います。
なんて、読んでない本はたくさんあるんですけど。
志賀直哉が「小説の神様」と学校で習いましたが、二人いたんですね笑
ところで、Yahoo!ブログからコメントも一緒に移せるのがFC2ブログだそうです。
タイタニックのようにそのまま沈もうかなと思っていたのですが、記録的に残してもいいかなと思いはじめました。
パソコンが古くて使えないので潮時なんですけどね。
2019/4/14(日) 午後 10:05
> moさん
「小説の神様」と志賀直哉と並び称せられたようです。もっとも横光利一は教科書に出てこなかったかもしれませんね。
移転はまだ何も検討していませんが、FC2に試験的に移している人がいますので、しばらくその様子を見ようと思っています。
ブログは誰も見ていなくてもボケ防止用に可能な限り細々と続けてみたいのですが。
2019/4/14(日) 午後 11:45