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65歳未満の働き盛りで発症する「若年性認知症」について広く知ってもらいたいと、2組の夫婦らが、演奏活動を通じて当事者の思いを伝えている。札幌市の活動現場などを訪ねた。(読売新聞・内田健司)
クラリネットで
札幌市白石区の住宅街にある若年性認知症専用のデイサービス「モア・サロン福寿」。夕方、その一室に、クラリネットとフルートの柔らかい音色が響き渡った。
クラリネットを演奏していたのは、デイの利用者の川窪裕さん(57)と、後藤静二さん(59)。2人は、2005年から06年にかけ、それぞれアルツハイマー病と診断された。
ここに来た当初、何をすればいいのか戸惑っていた川窪さんを見て、施設長の武田純子さん(59)は極力話しかけた。その過程で、川窪さんが高校時代にクラリネットをやっていたことを知り、早速、習い始めた。全くの素人である後藤さんと、それぞれの妻も仲間入り。計5人で、楽団「FUKU」を07年に結成し、各地で演奏活動を続けている。
家計の心配
後藤さんは、病名を告知されたとき、社員食堂の調理師として現場を任されていた。ガスを使う職場であることから、告知の翌日すぐに辞めたいと上司に伝えるほど、責任感が強かった。
会社は、1年間休職扱いとなり、退職後も、今年1月まで傷病手当金を受給した。「成人した子どもたちにも自分の生活があり、手当金は家計の大きな支えになりました。でも、すぐに経済的問題に直面してしまう。賃貸マンションなので、今後の住まいのことも不安があります」と妻の由紀子さん(55)は話す。
由紀子さんは当初、夫婦2人でひっそり生活するしかないと考えていたが、病気になっても前向きな夫を見て、「引きこもっている人が少しでも外出するきっかけになれば」と思い直したという。現在は、夫が出かけている間、近くのグループホームで調理補助として働いている。
「思い出をたくさん作りたい」と、買い物も散歩もいつも2人一緒で行動する。昨年は初めて海外旅行をし、オーストラリアで、実名を公表しながら同じ病気と闘っているクリスティーン・ブライデンさんに会った。今年は孫にも恵まれた。「最初は自分のことで精いっぱいで、主人のケアどころではなかった。でも今は、健康だったときより、ずっと楽しく充実した日々です」と言う。
川窪さん夫妻も思いは同じだ。ただ、妻のみどりさん(51)は「5分でいい。駅員さんでも店員さんでも、本人を気軽に見守ってくれるような社会になると助かります」と思いを述べる。
全国で4万人弱
演奏会は、年4、5回程度開催している。そこで病気の経緯や日常の様子、当事者ならではの思いを語る。会場で会った人とあいさつしやすいように、楽団の団長、事務局長の役職をつけた名刺を作るとともに、わずかではあっても演奏代を受け取るようにしている。後藤さんは、「演奏を聴いてもらった人に、やればできるということを知ってもらいたい」と、力強く話す。
厚生労働省が3月に公表した若年性認知症の患者数(推計)は、全国に3万7800人。東京都は、都の認知症対策推進会議に「若年性認知症支援部会」を設けて独自に検討を進めているほか、国は10月から、愛知県にある国の認知症介護研究・研修大府センターに専用のコールセンターを開設する。だが、若年性認知症への支援はまだ手探りなのが実情だ。
武田さんは「認知症の人を温かく迎え、当事者も周囲の人も楽しい思い出となるような地域での活動が広がれば」と話している。
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音楽はいいですね!!!
絶対よい効果が出ると思いますし、実際そのようです。
ただ実施するためには施設職員だけではできません!
関係家族の協力と理解と援助が必要です。
2009/9/24(木) 午前 8:01 [ - ]
傍の会さん、おはようございます。
武田さんとは大牟田で会いましたね。
2009/9/24(木) 午前 8:07