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団塊世代が高齢化を迎え、介護が必要になっても住み続けられる地域づくりが課題になっている。2012年度に導入される予定の24時間対応の訪問介護サービスや、来年度にも始まる新しい高齢者住宅制度は、そうしたニーズに応えられるのだろうか。(社会保障部 小山孝、飯田祐子)
24時間型訪問介護…薬や体調、こまめに管理水分を補給する河合まつのさん(左)に、声をかける介護福祉士の林さん。生活のリズムに合わせて短時間訪問を繰り返す 「まつのさん、どうやね」
午前10時前、岐阜県 神戸 ( ごうど ) 町の河合まつのさん(89)宅を、介護サービス会社「新生メディカル」(本社・岐阜市)の介護福祉士、林友子さん(45)が訪れ、ベッド脇で声をかけた。
午前8時に続き、2度目の訪問。同居する息子夫婦と孫は出勤した後だ。林さんは、要介護5の河合さんをベッドから起こして排せつを介助し、水分補給のためにジュースを飲んでもらうと、次の訪問先に向かった。滞在時間は15分。この日は計6回、河合さん宅を同社スタッフが訪問した。
介護保険の訪問介護は最低20分間の滞在が必要だが、岐阜県が今年度から始めた「短時間訪問介護」のモデル事業は、訪問回数を増やす一方、必要な介護が終わればヘルパーはすぐに移動する。利用料は1回180円。時間のかかる入浴介助などは、通常の介護保険の訪問介護を利用する。
12年度に国が導入する24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護は、岐阜県で先行実施されている短時間の定期巡回に加え、利用者の呼び出しに応じてヘルパーや看護師を派遣する随時訪問も行われる予定だ。
自宅で訪問介護を受ける場合、多くは30分〜1時間の訪問が1日2回程度で、残りは家族が介護するか、一人で過ごすしかない。生活リズムに合わせて短時間訪問を繰り返す方式なら、ぬれたおむつで長時間我慢しなくて済むほか、トイレでの排せつも可能になり、服薬管理や水分補給もしっかり行える。体調の変化にも気づきやすくなる。
「このサービスがあれば、私が仕事をやめなくても、義母を家にいさせてあげることができる」と、まつのさんを介護している息子の妻の佳子さん(54)は言う。同社池田営業所の岡田テル子所長は「必要に応じて何度も訪問することで、安心感が生まれる」と強調する。
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医療や介護、配食などの生活支援が提供され、地域で暮らし続けられる体制を、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」と呼び、全国に広げようとしている。そのカギを握る24時間型の訪問介護について、慶応大の田中滋教授(高齢者ケア政策)は「施設のような安心感を提供することで、在宅生活がより長く続けられるようになる」と評価する。
国は今後、サービスの内容や料金体系などを決めるが、「夜間も介護職が確保できるか」「利用料が高くなりすぎないか」など、課題は多い。「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「見守りが必要な認知症の人など、短時間介護が向かない人もいる。従来の介護サービスも並行して充実させるべきだ」と注文する。
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年齢が高くなると、介護も医療も必要になることが多い。現行制度では看護と介護が別事業所から提供されるため、利用者の体調変化などが関係者に伝わりにくい。このため国は、12年度から訪問看護と訪問介護を一体的に提供する事業所の設置を進める。
12年度には、介護報酬と診療報酬の同時改定も行われる。医療が必要になっても、自宅やグループホームで最期まで暮らせる体制作りなどが議論される見通しだ。
サービス付き高齢者住宅…「見守り」必須、介護併設型も 地域での生活を続けるには、サービスの充実と共に住宅の整備も欠かせない。
「段差がなく、自宅より暮らしやすい。もっと介護が必要になっても住み続けられると聞いて安心です」
昨年7月から、神奈川県藤沢市の高齢者専用賃貸住宅「レジデンスタウン湘南台」に暮らす浜田ギンさん(81)は満足そうに話す。
4階建て、45人が暮らすこの住宅は、国が来年度から導入する予定の「サービス付き高齢者住宅」制度(仮称)のモデルの一つ。新制度では、介護サービスは必須ではないが、「湘南台」は、訪問介護や小規模多機能サービスの事業所、認知症の人用のグループホームも併設し、認知症が重くなった場合、移り住むこともできる。
浜田さんは東京都内で一人暮らしだったが、転倒して骨折したのを機に入居した。要支援1で、週2回、ヘルパーに洗濯や掃除、買い物を手伝ってもらっている。食事は、食堂で親しい入居者と食べており、「栄養バランスがよくなり、体調がいい」と笑顔を見せる。
運営する「ユーミーケア」の高橋正社長は「高齢者に配慮した住宅に24時間対応の訪問介護が提供されるようになれば、かなり重度の人でも暮らせるようになる」と期待を込める。
国は建設補助をすることでサービス付き高齢者住宅を10年間で60万戸確保し、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を、現在の1%から欧米並みの3〜5%にする方針。だが、十分なサービスが提供できるのか、訪問介護など在宅介護サービスだけで重度の認知症への対応が可能なのかなど、疑問視する声もある。
高齢者住宅のコンサルティングを行う「タムラプランニング&オペレーティング」(東京)の田村明孝社長は「重度化したら転居、では意味がない。住宅に施設並みのサービスを組み合わせるとともに、手厚い介護が必要になっても自己負担が大幅に増えない仕組みも必要だ」と指摘している。(読売新聞)
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