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小学生6人が死亡した栃木県鹿沼市のクレーン車事故など、運転手が持病のてんかんを免許更新時に申告せず、事故を起こすケースが相次いでいる。日本てんかん協会関係者は「責任感の欠如」と批判する一方、患者が病気を隠す場合、背景には周囲の偏見や車のない生活への不安もあると指摘する。ある患者は「病気への社会の理解は足りない」と訴えた。
相談4倍
「とんでもないことをしてくれた」。同協会栃木県支部の鈴木勇二事務局長は、鹿沼市の事故で起訴された柴田将人被告(26)への憤りを隠さない。発作を起こしたのが原因とみられている。
同支部によると、全国のてんかん患者は約100万人。平成14年から発作の恐れがないなどの条件を満たせば運転免許が取れるようになった。申告の必要性を理解していない患者もいるが、多くは薬を服用するなどして問題なく運転、申告ルールも守っている。
だが、偏見は根強い。事故後「正規に免許を取ったのに運搬業務から外された」など、運転をめぐる患者や家族からの支部への相談が約4倍に。嫌がらせ電話も増えた。
差別を恐れて臆病になる患者は多い。業務で運転することもある東京都の男性会社員(27)は「仕事を減らされるのが怖いので隠している」。
数年前、病気の事実が会社の上司に伝わり、運転業務と関係ないのに退職を迫られた横浜市の40代男性は「免許は身分証にもなり、持っていないと『なぜ』と聞かれ、告白すると差別される。病気を知っても冷静に話し合えるほど、社会の理解は深くない」と話す。
通勤できず
一方で鈴木事務局長は、「症状が重いのに、就労や通勤で不利になるため申告をためらう患者もいる」と心配する。40代で発症した栃木県の男性は発作が頻発し、会社に車で通勤できなくなり退職。自転車で通える就職先がなく「病気を隠したい」と相談を寄せてきた。たしなめて、仕事が見つかるまで生活保護を受けるよう勧めたという。
国土交通省などによると、てんかん患者にはJR運賃の割引がなく、バスやタクシーの運賃補助も自治体によってばらつきがある。
静岡てんかん・神経医療センターの久保田英幹医師は、相次ぐ事故で患者の社会参加が規制される事態を危ぶみ「免許手続きを患者に徹底することが重要だが、周囲にも病気を正しく知ってほしい。不当な扱いを受けなければ、自己申告も増えると思う」と話した。
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てんかん患者の運転免許
平成14年施行の改正道交法でてんかん患者の免許取得が可能になった。(1)2年以内に発作がなく、その後も数年間発作が起きないと医師が診断している(2)運動および意識障害の伴わない部分発作しか起きない−などが条件。免許取得や更新の際、規定用紙の「意識を失ったことがある」などの項目にチェックして申告。個別面談で症状を説明し、必要に応じて診断書などを提出、適性の判定を受ける。(産経新聞)
てんかんという病気をきちっと理解してほしい。患者は医師の指示を守り、そして告知すると一般の人と変わらない生活ができるのではないか。 |
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