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65歳未満でアルツハイマー病などの認知症を発症した「若年性認知症」の人が、働き盛りの40代後半で10万人に27人の割合でいるとの推計が厚生労働省研究班(代表=朝田隆・筑波大教授)の調査で明らかになった。30代前半は同5.9人、60代前半は同189.3人で、年齢が上がるにつれ急増していた。 06〜08年度に茨城、群馬、富山、愛媛、熊本の5県で、認知症の人が利用するすべての病院やグループホームなどを調べた。18〜64歳全体の全国推計は約3万7800人で、10万人当たり47.6人が若年性認知症という計算だ。別の手法による97年の推計では2万5600〜3万7400人で、厚労省老健局は「ほぼ横ばい」とみている。 家族への影響は深刻だ。87人の若年性認知症患者について調べたところ、介護する家族の6割が不眠や食欲不振を訴え、抑うつ状態にあるとみられた。家族を支える現役世代が発症したことなどで、7割で収入が減ったと回答。大半が専門的な支援サービスが必要と訴えたという。 厚労省は新年度予算案で、初めて若年性認知症対策に1億5400万円をあて、専門のコールセンターを開設する方針だ。(朝日新聞・中村靖三郎) |
高齢者福祉
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さん(仮名、60歳)は、父親(85歳)の「後見の申し立て」をするつもりだ。父親は母親が亡くなった後、認知症が進んで一人暮らしが難しくなった。そこで、介護職員などと相談して、父親名義の自宅を売って、介護付きの老人ホームに入ることになった。しかし、認知症の父親が自分で自宅を売却したり、老人ホームの契約をしたりすることはできないので、後見人が必要になった。 喬さんは、長男だから当然、自分が後見人になるつもりでいた。ところが、次男、三男から猛烈な反対が出た。もともと兄弟仲が良くなかったうえに、喬さんがサラ金からの借金が原因で、たびたび親に迷惑をかけたからだ。サラ金に手を出すような者に父親の財産管理を任せるのは心配だというのだ。 しかし、喬さんは「サラ金問題は弁護士に頼んで解決している。今更それを持ち出すのは不当だ」と考え、「自分が後見人になれないか。兄弟に内緒で後見の申し立てができないか」と、弁護士に相談した。 喬さんが、自分を後見人に推薦して「後見の申し立て」をすると、家庭裁判所は他の兄弟に、後見の手続きを必要と思うか否か、喬さんが後見人候補者になっているがどう思うかなどについての照会書を送る。家庭裁判所はそれらの意見を参考に職権で後見人を選ぶのだ。つまり、後見の申し立てを兄弟に内緒にしておくことはできない。 子どもの間で後見人について激しい対立がある場合、通常、どの子どもも後見人には選ばれない。中立の立場にある弁護士などの専門家が選任されることが多い。喬さんの場合、兄弟の反対に加えて借金の過去もあるので、後見人に選ばれない可能性が強い。喬さんは、弁護士の説明を聞いてやっと納得した。
(読売新聞) |
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「自宅では母と毎日ぎゃあぎゃあやり合っているのに、仕事では寄席でお笑いの人たちと交じってやんなきゃいけない。大変でした」(東京都内で)=冨田大介撮影 講談師の神田陽子さん(50)は2006年秋、母の河村雅子さん(81)が認知症と診断されました。その2年前に結婚し、母と夫との3人で幸せに過ごしていた神田さんの生活は、母の介護で一気に暗転しました。我が強くなって間違いを認めない母に対し、「親子げんかに明け暮れた」と振り返ります。 私は一人娘で、祖母がなくなってからはほとんど母と2人で過ごしてきました。04年の結婚後は、夫が栃木県のお寺の住職なので、週末そこに通い、月曜に2人で東京に戻って、母と夫との3人で暮らす形に変わりました。夫は都内のお寺で働いています。 母のことをおかしいなと思い始めたのは、私が披露宴を開いた05年秋の前後だったと思います。そのころからよく物をなくすようになっていたんですが、披露宴の夜も宿泊先のホテルでダイヤの指輪を二つなくして、一晩中探していたそうなんです。私は後から聞いてびっくりしました。 その後もなくし物は相次ぎましたし、冷蔵庫に財布を、げた箱にリンゴをしまうといった行動も数知れず。旅行先から夜中になっても帰宅せず、警察に捜索願を出したこともありました。その時は翌朝、母から電話があって、ほっとしましたが、いよいよおかしいと感じ、病院できちんと検査することにしたのです。 06年11月に、神田さんの母は認知症と診断された。小さな脳梗塞(こうそく)の跡も発見され、それが原因となっていたようだった。母は体力面で衰えがなかったこともあり、介護は神田さんが一人で行うことにした。 おもらしなどもありましたが、身の回りの世話は苦になりませんでした。ただ、変わった行動が収まらないことに戸惑いました。例えば、段ボール箱やデパートの包装紙を「使うから」と言って捨てない。これを取り上げようとすると、人が変わってしまったかのように怒るんです。 自分のやったことも、すぐ忘れます。ある時は、家中のリモコンを一つの箱に入れ、しかもそのリモコンの上に別の物を入れて、どこにあるかわからなくしてしまう。こちらはテレビもエアコンもつけられなくなって困り果てますが、母に問いただしても「知らないわ、そんなこと」。 江戸っ子で、もともと親子げんかは毎日のようにしてましたから、私も「何でこんな簡単なことできないの?」「どうするの?」と詰問し、どなり散らす。母も間違いを認めずに、逆に悪態をつく。私も「早く死んじゃって」とまで口に出すこともありました。もちろん、ひどい言葉だとはわかっているんですが、機嫌のいい時の母は昔のままなので、そうでない母をうまく受け入れられなかったんですね。 母とのつらい日々が変わり出したのは、母がデイサービスに通うようになり出してからだ。最初は嫌がっていたものの、徐々に慣れてきて、通う回数も週1回が週2回、3回と増えていった。 初めて行った時は、本人は働きに出されたと思ったようで、「あそこに通って、いくらもらったの?」と聞いてきました。ほかの通っている人の世話をしたとかで、それを仕事と受け止めたみたいです。 ショートステイの1泊体験をした時は、相部屋だったことがプライドを傷つけたようで、「二度と行かない」と怒りました。こうした施設に通うのは難しいかなと思いながら、デイサービス通いを何度か続けているうち、友達ができて、その人たちと会うのを楽しみに、自分から通うようになったのです。 デイサービスでは、介護がどういうものかを母が理解するのにも役立ちました。当初は入浴時に男性に介添えされるのが恥ずかしくて、「女性にお願いして」と文句を言ってましたが、「滑った時とかに助けてもらうには、力のある男性の方が安心」と説明されて、「あら、そうね」と納得するようになりました。 神田さんの母は08年9月、高齢者専用賃貸住宅に移り住んだ。自宅からはタクシーでワンメーター程度の近さ。医療法人が経営しており、クリニックを併設し、ブザーを押せば24時間いつでも看護師などが部屋に駆けつける態勢が整っている。神田さんは、こうした安心感が気に入った。 周囲はみな笑顔で接してくれるし、賃貸住宅内にも友達ができて、母はずいぶん穏やかになりました。私も落ち着きました。今でも母は週1回、泊まりがけで自宅に戻ってくるのですが、別れる際は「体に気をつけて」「本当にありがとう」という言葉が、どちらからも自然に出るようになりました。 子どもがそばに付いて、親をずっと面倒見た方がいいという場合もあるのでしょうが、我が家はそうではなかった。適度な距離があることで、かえって互いをいたわり合えるようになったんです。 最近は、あまり先のことは気にせず、きょう一日が楽しく過ごせればいいなと思うようにしています。これから先の話で考えているのは、もう少し暖かくなったら、母と温泉に行こうということぐらいでしょうか。(聞き手・田渕英治)
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認知症とうつ病では、いずれも初期に物忘れの症状が表れ、混同されやすい。だが、対処法は異なるため、香川大精神神経科教授の中村祐さんは、それぞれの特徴的な症状を整理し、どちらの可能性が高いかの判断の参考になるポイントを表にまとめた。 香川県の主婦(56)は2007年秋ごろから、家族から頼まれた用事を忘れ、知人の名前が思い出せなくなった。若年性認知症を疑った夫が病院に連れて行くと、脳外科医は画像診断などをもとに、アルツハイマー病の治療薬を処方した。 だが、状態に変化はなく、主婦は08年1月に香川大病院を受診した。中村さんは、日時や場所などを質問して点数化し、認知症の進行具合を調べる「長谷川式スケール」を使った問診を行った。 主婦は、「今日の日付」などは答えられたが、医師が挙げた「猫」「電車」など三つの言葉を記憶して後で答えることはできず、認知症が疑われてもおかしくない状態だった。一方で、身だしなみは整っているし、家事も問題なくこなしており、認知症の特徴とは食い違う面もあった。 そこで中村さんは、脳活動の程度を部位ごとに色で表示できる特殊な検査装置「単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)」で主婦の脳を撮影した。認知症では、理論的な思考をつかさどる「頭頂葉」と、記憶に関係する「後部帯状回」が異常を示す青や赤に表示される。ところが、主婦は、意欲や判断力に関係する「前頭葉」に異常が見られた以外に目立った特徴はなかった。 話を聞くと、元気がなく、身内の不幸を機に、体重が1年で20キロ減ったという。そうした経過も参考にし、「認知症ではなく、うつ病」と中村さんは診断した。物忘れは、うつ病のために、思い出す意欲がわかなくなり、頭の中から必要な情報を引き出すのに時間がかかるのが原因と考えられた。 主婦は3か月ほど抗うつ薬を飲んだ。「気分がすっきりして、物忘れも少なくなった」と喜ぶ。メモを取るよう気をつけて、物忘れで困らないようにしている。はた目にも見違えるほど元気になった。 高齢者では、うつ病と認知症が同時に進行する患者も少なくない。また、抑うつ状態などがあっても、うつ病ではなく、がんや慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)が原因だったというケースもある。そのため、治療前には脳と体の詳しい検査が必要だ。 中村さんは「認知症か、うつ病かの診断は医師でも容易ではない。病状の進行、あるいは、実際に薬を飲んでもらって、その効果などから確定することもある。まず、表を参考にして、症状の傾向を確かめ、医師に相談してほしい」と話している。(2009年3月13日 読売新聞)
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広島市安佐南区の特別養護老人ホーム「友愛園」が昨年8月までの5年間、介護報酬約7600万円を過大請求し、受け取っていたことが6日、広島市の調査で分かった。 介護保険制度の規定解釈が不十分だったのが原因で、隠蔽(いんぺい)などは確認されなかったとしている。市は4月以降に全額返還を求める方針で、友愛園側も応じるという。 市介護保険課によると、特養ホームで入所者が定員を超えた場合、介護報酬は一人当たり3割減額されるが、友愛園は90人の定員を上回った時期も満額を請求するなどしていた。 昨年7月、介護報酬約70万円を不正請求したとして、友愛園を運営する社会福祉法人「広島良城会」が広島県から居宅介護支援事業者の指定を取り消され、市が8月に行政指導。過大請求の事実が判明し、園側に報告書提出を求めていた |






