障がい者福祉
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全国精神障害者社会復帰施設協会(全精社協)が08年度、厚生労働省から受給した補助金1980万円の一部を、授産施設運営費として栃木県から受けた補助金の剰余金返還分へ流用していたことが、大阪地検特捜部の調べで分かった。返還期限に間に合うよう、厚労省の補助金交付が早められた疑惑も浮上した。厚労省の補助金を巡っては、07年度分3130万円の不正流用も発覚しており、特捜部は補助金適正化法違反容疑を視野に、補助金の交付経緯を慎重に捜査している模様だ。 栃木県などによると、全精社協は07年度、障害者支援施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)に併設された障害者授産施設の運営費として、県から補助金7000万円を受給。うち6200万円の使用実績を県に報告した。県は残り800万円を剰余金として08年12月末までに返還するよう求めた。 一方、全精社協は08年度、厚労省から障害者自立支援の調査研究事業を受託。08年11月、1980万円の補助金交付が決定し、翌12月に交付された。その直後、県へ800万円を返還したという。 捜査関係者らによると、全精社協は県の補助金の剰余金800万円を既に不正流用していたため、厚労省から交付された補助金の一部を充当したという。全精社協の元幹部は取材に「返還する資金がなかったため、厚労省の補助金交付を早めてもらったと聞いている」と証言した。07年度分の補助金は08年3月末に交付された。 厚労省の担当者は「補助金の交付時期はケース・バイ・ケースで、当時のことは分からない」としている。 08年度の補助金を巡っては、調査研究事業の委託先選定に全精社協元理事の厚労省専門官が関与していたことも判明している。【毎日新聞・久保聡、村松洋】
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障害者が働く作業所などの施設で利用者の工賃が低下している。不況で企業からの受注が激減したせいだ。工賃アップに結びつけるため、「読売光と愛の事業団」からの助成を新たな自主事業の一部に充てようとしている施設を訪ねた。(読売新聞・野口博文) 調理場で仲間2人とともに、パン生地を40グラムずつ取り分け、手で次々に丸めていく。パン作りはこの4月に始まったばかり。三原さんは「戸惑うこともありますが、売れるのを期待してます」と笑みをこぼした。 主力だった自動車部品の組み立て作業の受注が昨秋から徐々に減り、今年1月以来ゼロのまま。作業が早々と終わり、ビデオを見て過ごす日もあった。この影響で昨年7月に月額9300円台だった平均工賃は今年2月、4800円強にまで落ち込んだ。 施設長の原田淑子さん(37)は「下請け作業だけでは限界。十分な工賃を支払うには、どうしても新たな事業が必要なんです」と強調する。 コッペパンなどを製造するのは週に3日間。製造個数が少なく、工賃アップは実現していない。今は障害者施設の給食用に卸したり、温泉施設で販売したりするにとどまっているが、これから販路を広げる予定で、原田さんは「地域の人にパンを喜んで食べてもらえ、働く張り合いも大きい」と語る。利用者の一人、原紀代子さん(69)はパン屋で働きたくて、3店で面接を受けた経験があり、「希望がかなって本当に幸せです」と満足そうだった。 Tシャツ工房名古屋市の地域活動支援センター「花*花」でも、自動車部品の仕事が激減した。和田貴之さん(19)の工賃は、昨年9月の月額9000円に対し、今年5月は7500円強に。1日当たりの施設利用料550円と昼食代の350円に、工賃のすべてが消えてしまう。 指導員の安島一樹さん(30)は和田さんの個性的な絵に注目した。太陽などをモチーフに毎日100枚もの絵を描く。それをTシャツにプリントして売り出せないか。思いついて「Tシャツ工房」の準備を始めた。 同センターを運営するNPO法人理事長の江部真弓さん(51)は「施設の魅力作りのためにも得意な面を伸ばしたい」と積極的だ。 売り上げ26%減厚生労働省が全国の授産施設などを対象に緊急調査した結果、今年1月の平均売り上げは昨年10月に比べて26・7%、平均工賃は7・3%、それぞれ減っていた。東京都社会福祉協議会の調査でも、都内の作業所などの約6割が「企業からの受注が減った」と回答。この調査を担当した都社協総務部の森純一さん(39)は「新たな事業は利用者の喜びや自信につながるのでは」と評価する。 作業所などの全国組織「きょうされん」(東京)は今年6月、全国各地の独自製品を通信販売するホームページ「TOMO市」(http://www.tomoichiba.jp/)を新設。現在、約60か所の製品約700点を紹介する。事務局長の多田薫さん(48)は「全国にアピールし、収益、工賃アップに結びつけたい」と期待している。
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統合失調症に苦しみ、自ら命を絶った画家志望の若い女性の遺作展が、20日から南房総市のギャラリーで始まる。心の奥底からほとばしる激情のような自画像など60点余り。没後初めての個展には「(社会の)偏見をなくしたい」と、生前、自ら病名を明かした女性の思いが込められている。(朝日新聞・福島五夫) 「画家になる気です。(中略)いつかずうっと先だけど、私は、個展を開きたい」。館山市の故愛沢綾子さん(享年24)が小学校の卒業文集に書いた一節だ。幼い頃から描くことが大好きで、姉と地元の絵画教室に通った。 03年に地元の高校を卒業して東京の大学へ。しかし、「監視されているように感じて」不安が募り、学業を続けることが困難になった。「統合失調症」と診断され、退学して館山市の自宅に戻り、療養に努めたがなかなか回復しなかった。 転機は思いがけない形で訪れた。姉彰子さん(30)の薦めで地域の絵の愛好者たちの展覧会に出品したところ、画廊喫茶の店主の目にとまり、06年3月、初めての個展を開くことに。絵も売れた。綾子さんは将来に希望を抱いた。 昨年4月、館山市で開いた2度目の個展で「私は統合失調症です」と明かした。「偏見にさらされるのでは」と両親は懸念したが、綾子さんの意思は固かった。 「発病の自覚がないことが多い病気であるため、気付かないで苦しんでいる人が身近にいるかもしれません」。周囲の人たちの理解と協力が大切であることを訴えた。 綾子さんは、自殺願望が強かった。同居する3人の家族は綾子さんを1人にしないように努めたが、昨年7月、自宅で自らの命を絶った。 「描くことが綾子の生きる支えだった。最初に評価して個展の場を与えて下さった喫茶店のオーナーや、絵を通じて心を通わせて下さった方に感謝している」と母香苗さん(60)。父伸雄さん(57)は「娘は、直面している苦しみを周囲に理解して欲しいと願っていた。社会への適応が困難な人たちを包み込む人の輪の大切さを作品からくんでもらえたらうれしい」と語る。 会場は南房総市富浦町青木123の1、道の駅とみうら枇杷倶楽部ギャラリー(0470・33・4611)。23日まで、無料。
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