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障がい者福祉

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販路拡大、付加価値PR

 障害者が福祉作業所などで働いた場合の給与(工賃)は、月に平均して1万円程度の“超低賃金”だ。このままでは障害者の自立につながらないと、給与を少しでもアップさせようとする取り組みが全国の作業所で広がっている。(産経新聞・清水麻子)

 生まれつき知的障害がある多田沙織さん(40)は、東京都調布市の作業所「すまいる」でパン作りをし、月に約3万5000円の給与をもらっている。多田さんの給与はかつて1万円程度だったが、3倍以上アップした。

 「すまいる」の渡辺益男施設長によると、「月に1万円という額は安すぎるのではないか」と作業所の職員らから疑問が出て7年前、パン作りを通じて障害者の給与を1年ごとに倍にする「バイバイプロジェクト」を始めた。

 パンをできるだけ多く買ってもらうため、近隣の一般企業や大学に協力を依頼し、昼食時に販売させてもらうよう販路を拡大。障害者が作れるパンの種類を200種類以上に増やした。売り上げは1日17万円以上あり、障害者の給与に還元できているという。

 障害者が一般企業で働くハードルはまだ高い。厚生労働省によると、特別支援学校から一般企業に就職できる障害者は約25%、社会福祉施設から一般企業への就職は年間わずか1〜2%にとどまる。障害者の収入は、作業所からの給与に頼らざるをえないのが現実だ。しかし、同省の平成19年度の調べでは、全国の作業所の平均給与は月約1万2600円と低い。

 障害者の就労事情に詳しい福祉ベンチャーパートナーズ代表取締役の大塚由紀子さんは「平均1万円程度という作業所の給与がもう何十年も変わっていないのは、おかしなこと。近年、全国の作業所で給与をアップさせようという動きが広がってきているが、まだまだ努力や工夫が足りない印象がある。一般企業へ販路を拡大したり、付加価値をつけて販売したりすることで売り上げを伸ばせるはず」と全国の作業所を激励する。

 兵庫県三田市の作業所「WELnetさんだ」では、発達障害のある利用者らが作ったオーガニックタマネギのいため物「オニオン・キャラメリゼ」を販売することで、利用者の給与を月2万円以上アップさせることに成功した。

 仕掛け人は、障害者の働く場を増やすことをコーディネートする株式会社「プラスリジョン」代表取締役の福井佑実子さん。福井さんは「発達障害のある人はきちんと作業をすることが得意で、補助具を利用することで作業効率も良くなった。地方では障害のある人の働く場は限られているが、レトルト処理で長期保存が可能な商品にして東京へ販路を拡大し、しっかりした品質管理でビジネスとして通じる一品で給与をアップできた」と自信をのぞかせる。

 神戸市北区の喫茶店「Caf‘eぽてと」では、障害者が作った三日月形のウィーン菓子「バニレキプフェル」が好評だ。統合失調症の内海友人さん(34)らが昨年、プロのパティシエに学んだ技術を生かして作っている。

 カフェを運営するほっとステーションぽてと」の安福ひとみ施設長によると、菓子を目的に訪れる客も増加。内海さんの時給も50円上がり、300円になったという。

生産ライン請け負いで成果

 一方で、福祉ベンチャーパートナーズ代表取締役の大塚由紀子さんは「売り上げを伸ばしても工賃の上げ幅は小幅にとどまるが、工賃を一気に増やす方法がある」という。

 作業所では物作りを行い、できた品々を外で販売するケースが主流だが、そうではなく、作業所の外に出ることだという。高収益を出している企業はあり、生産ラインを丸ごと請け負えば時給を数百円アップできるという。

 三重県伊賀市の作業所「びいはいぶ」では、地元の美容室向けにヘアケア用品を作るメーカーの製造ラインの一部を請け負っている。作業はシール張りや検品などだ。

 施設長の奥西利江さんによると、交通費込みで時給500円。毎日6時間働き、月給は6万円に上る。収入が増えたことでグループホームに入り、自立できた利用者もいるという。

 奥西さんは「企業が負担する人件費も低くなり、障害者の給与も増え、双方にメリットがあった。こうしたやり方が全国に広がれば障害者の自立につながるはずだ」と話している。
 全国精神障害者社会復帰施設協会(全精社協)が08年度、厚生労働省から受給した補助金1980万円の一部を、授産施設運営費として栃木県から受けた補助金の剰余金返還分へ流用していたことが、大阪地検特捜部の調べで分かった。返還期限に間に合うよう、厚労省の補助金交付が早められた疑惑も浮上した。厚労省の補助金を巡っては、07年度分3130万円の不正流用も発覚しており、特捜部は補助金適正化法違反容疑を視野に、補助金の交付経緯を慎重に捜査している模様だ。

 栃木県などによると、全精社協は07年度、障害者支援施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)に併設された障害者授産施設の運営費として、県から補助金7000万円を受給。うち6200万円の使用実績を県に報告した。県は残り800万円を剰余金として08年12月末までに返還するよう求めた。

 一方、全精社協は08年度、厚労省から障害者自立支援の調査研究事業を受託。08年11月、1980万円の補助金交付が決定し、翌12月に交付された。その直後、県へ800万円を返還したという。

 捜査関係者らによると、全精社協は県の補助金の剰余金800万円を既に不正流用していたため、厚労省から交付された補助金の一部を充当したという。全精社協の元幹部は取材に「返還する資金がなかったため、厚労省の補助金交付を早めてもらったと聞いている」と証言した。07年度分の補助金は08年3月末に交付された。

 厚労省の担当者は「補助金の交付時期はケース・バイ・ケースで、当時のことは分からない」としている。

 08年度の補助金を巡っては、調査研究事業の委託先選定に全精社協元理事の厚労省専門官が関与していたことも判明している。【毎日新聞・久保聡、村松洋】

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作業所、新事業に活路

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 障害者が働く作業所などの施設で利用者の工賃が低下している。不況で企業からの受注が激減したせいだ。工賃アップに結びつけるため、「読売光と愛の事業団」からの助成を新たな自主事業の一部に充てようとしている施設を訪ねた。(読売新聞・野口博文)

パン作り

 「はい、パンの時間です」。島根県出雲市の「ワークケアみずうみ」で、指導員がそう呼びかけると、三原俊弘さん(37)は、白衣を羽織った。

 調理場で仲間2人とともに、パン生地を40グラムずつ取り分け、手で次々に丸めていく。パン作りはこの4月に始まったばかり。三原さんは「戸惑うこともありますが、売れるのを期待してます」と笑みをこぼした。

 主力だった自動車部品の組み立て作業の受注が昨秋から徐々に減り、今年1月以来ゼロのまま。作業が早々と終わり、ビデオを見て過ごす日もあった。この影響で昨年7月に月額9300円台だった平均工賃は今年2月、4800円強にまで落ち込んだ。

 施設長の原田淑子さん(37)は「下請け作業だけでは限界。十分な工賃を支払うには、どうしても新たな事業が必要なんです」と強調する。

 コッペパンなどを製造するのは週に3日間。製造個数が少なく、工賃アップは実現していない。今は障害者施設の給食用に卸したり、温泉施設で販売したりするにとどまっているが、これから販路を広げる予定で、原田さんは「地域の人にパンを喜んで食べてもらえ、働く張り合いも大きい」と語る。利用者の一人、原紀代子さん(69)はパン屋で働きたくて、3店で面接を受けた経験があり、「希望がかなって本当に幸せです」と満足そうだった。

Tシャツ工房

 名古屋市の地域活動支援センター「花*花」でも、自動車部品の仕事が激減した。和田貴之さん(19)の工賃は、昨年9月の月額9000円に対し、今年5月は7500円強に。1日当たりの施設利用料550円と昼食代の350円に、工賃のすべてが消えてしまう。

 指導員の安島一樹さん(30)は和田さんの個性的な絵に注目した。太陽などをモチーフに毎日100枚もの絵を描く。それをTシャツにプリントして売り出せないか。思いついて「Tシャツ工房」の準備を始めた。

 同センターを運営するNPO法人理事長の江部真弓さん(51)は「施設の魅力作りのためにも得意な面を伸ばしたい」と積極的だ。

売り上げ26%減

 厚生労働省が全国の授産施設などを対象に緊急調査した結果、今年1月の平均売り上げは昨年10月に比べて26・7%、平均工賃は7・3%、それぞれ減っていた。東京都社会福祉協議会の調査でも、都内の作業所などの約6割が「企業からの受注が減った」と回答。この調査を担当した都社協総務部の森純一さん(39)は「新たな事業は利用者の喜びや自信につながるのでは」と評価する。

 作業所などの全国組織「きょうされん」(東京)は今年6月、全国各地の独自製品を通信販売するホームページ「TOMO市」(http://www.tomoichiba.jp/)を新設。現在、約60か所の製品約700点を紹介する。事務局長の多田薫さん(48)は「全国にアピールし、収益、工賃アップに結びつけたい」と期待している。

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 統合失調症に苦しみ、自ら命を絶った画家志望の若い女性の遺作展が、20日から南房総市のギャラリーで始まる。心の奥底からほとばしる激情のような自画像など60点余り。没後初めての個展には「(社会の)偏見をなくしたい」と、生前、自ら病名を明かした女性の思いが込められている。(朝日新聞・福島五夫)

 「画家になる気です。(中略)いつかずうっと先だけど、私は、個展を開きたい」。館山市の故愛沢綾子さん(享年24)が小学校の卒業文集に書いた一節だ。幼い頃から描くことが大好きで、姉と地元の絵画教室に通った。

 03年に地元の高校を卒業して東京の大学へ。しかし、「監視されているように感じて」不安が募り、学業を続けることが困難になった。「統合失調症」と診断され、退学して館山市の自宅に戻り、療養に努めたがなかなか回復しなかった。

 転機は思いがけない形で訪れた。姉彰子さん(30)の薦めで地域の絵の愛好者たちの展覧会に出品したところ、画廊喫茶の店主の目にとまり、06年3月、初めての個展を開くことに。絵も売れた。綾子さんは将来に希望を抱いた。

 昨年4月、館山市で開いた2度目の個展で「私は統合失調症です」と明かした。「偏見にさらされるのでは」と両親は懸念したが、綾子さんの意思は固かった。

 「発病の自覚がないことが多い病気であるため、気付かないで苦しんでいる人が身近にいるかもしれません」。周囲の人たちの理解と協力が大切であることを訴えた。

 綾子さんは、自殺願望が強かった。同居する3人の家族は綾子さんを1人にしないように努めたが、昨年7月、自宅で自らの命を絶った。

 「描くことが綾子の生きる支えだった。最初に評価して個展の場を与えて下さった喫茶店のオーナーや、絵を通じて心を通わせて下さった方に感謝している」と母香苗さん(60)。父伸雄さん(57)は「娘は、直面している苦しみを周囲に理解して欲しいと願っていた。社会への適応が困難な人たちを包み込む人の輪の大切さを作品からくんでもらえたらうれしい」と語る。

 会場は南房総市富浦町青木123の1、道の駅とみうら枇杷倶楽部ギャラリー(0470・33・4611)。23日まで、無料。

全精社協 元職員証言、領収書も

 補助金の不正流用疑惑が浮上している社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」(全精社協、東京)の幹部が、厚生労働省障害保健福祉部の元部長(58)に70万円分以上の商品券を渡した疑いがあることが20日、分かった。全精社協の経理担当の元職員(58)が証言、領収書も発見された。

 受け渡し時期は、全精社協が障害福祉施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)の運営権を破産した財団法人から譲り受けた平成19年4月前後とみられる。元部長は当時、譲渡に深くかかわっていた独立行政法人「福祉医療機構」の理事を務めており、商品券の授受が運営権譲渡に絡んでいた可能性がある。

 厚労省によると、今年4月に実施した全精社協への特別監査で、協会名義で購入した商品券78万円分の領収書が見つかった。一方、元職員は産経新聞の取材に「ハートピアを引き継ぐため、幹部が政治家や厚労省幹部に働きかけていた。商品券のほとんどは元部長に渡した」と証言している。

 全精社協関係者によると、元部長は18年から今年7月に辞任するまで、福祉医療機構の理事を務めていた。同機構はハートピアの建設費約20億円のうち4億5千万円を融資する債権者だった。全精社協は19年4月に厚労省や同機構の了解を得て運営を引き継ぎ、20年7月に施設を約4200万円で買い取った。

 元部長は、郵便不正事件で障害者団体証明書を偽造したとして、大阪地検特捜部に虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕、起訴された厚労省元雇用均等・児童家庭局長、村木厚子被告(53)の元上司。国会議員から証明書の発行を依頼され、村木被告に指示したとされる。

 元部長は取材に応じておらず、同機構は「全く知らない」としている。(産経新聞)

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