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「もし JIN−仁 が現代のメイドカフェにタイムスリップしたら〜」 の設定で、 はうはうしくしく さんと共に無責任に書きなぐる、いわゆる二次 創作(妄想小説)コラボ企画です。 前回分はここ・はうさんち → http://blogs.yahoo.co.jp/yuusya62000/52040434.html さあついに… ついにこれで終わるのか… 長らくのお目汚し、大変失礼いたしました。最後はちょとマジメにシメます… ってカンジの第32回目。 半ば強引だけど、これが 最終回 です。。 非常階段を落ちていったはずの4人が叩きつけられたのは仁友堂の門前。 (なんて都合がいいんでしょ!) ちょうど使いに出るところだったチョンガー・山田さんは、 抱えていた包みをその場に落とし、暫く立ったまま気を失うこととあいなった。 「?? …山田先生、どうなさいました?」 玄関先まで見送りに出ていた咲は、門を出たところで固まっている山田さんに声をかけたが、 返事をしない背中を不審に思い、草履をつっかけ、急ぎ門前へと走る。 「…!! 福田さん、八木さん、横松さん、みんな来て下さいっ!!!」 すぐに仁友堂は大騒ぎになった。 気絶していた山田センセも、咲の声で目が覚めた。 「こ、こ、こ… 」 「山田先生、鶏みたいに鳴いてないで、早く四人を手術室へ!」 「は… は、は、はいっっ!」 血まみれで折り重なって現れた西郷、佐分利、しめこみにエプロン一つをまとった龍馬、 そして奇妙な衣装を身につけた仁を、仁友堂の人たちみんなで手分けして手術室へ運び込む。 四人の怪我の程度をサッと見渡した気丈な武家の娘、勉強熱心な医者の卵、そして恋する女でもある咲は、 必要になりそうな道具をテキパキと揃え、大量の湯を沸かし始めた。 「いったいどうしてこんな事に…」 デカ過ぎて移動が一番最後になった西郷どんを四人がかりで運び込んだ後、福田さんは呟いた。 四人とも気絶しているので、話を聞くことは出来ない。 「分かりません。でも今は、そんなことより怪我の手当てを…」 意識が無いということは共通しているが、怪我の程度はバラバラだった。 見たところ一番軽傷なのは、元々頑丈そうな西郷。次は佐分利。 半 裸…というか、ほとんどハ ダカに近い龍馬はかなりな傷を負っていた。 そして一番重傷に見えたのは、おかしな格好をしている仁だった。 「ああ、こんな時、いったいどうすればいいの?」 執刀医師の仁が倒れ、一番弟子の佐分利も倒れた今、なんとかメスを握ることが出来るのは咲だけ。 でも、これまでは助手としてしか手術に立ち会ってこなかった。 他の3人はともかく、重傷の仁の手当てをたった一人で行なう自信は無い。 そして咲はその場に膝をつき、仁の耳元で大声で叫ぶ。 「先生、南方先生、起きてください、どうすればいいのか、教えてくださいっ!」 仁友堂に試練の時が訪れたのだ。 やがて… 仁の頬を叩きながら…、泣きながら叫び続ける咲の耳に、一つの声が届く。 それは記憶の中から聞こえたのかもしれない。 「神は、乗り越えられる試練しか与えない」 咲は立ち上がり、用意しておいた手術着に手をかけた。 もう泣いていない。 「処置を… 手術を…始めます。 …山田先生、助手を お願いします… 」 * * * * * 遠く、潮騒の音が聞こえている ------- まぶたの向うの柔らかな日差しに誘われ、仁はそっと目を開けた。 そこはひと気の無い静かな、見知らぬ浜辺だった。 ゆっくりと起き上がり、その場に座ったまま辺りを見渡す。 それから、自分が着物を着ており、身体のどこにも怪我をしていないことを確認した。 見覚えのないこの場所にいることもだが、そのことにも違和感を覚えた。 「なんで… 確か 私は… 」 「ようよう目ぇが醒めたかえ、しぇんしぇい」 仁の少し後ろであぐらをかき、右手に猪口を掲げた癖っ毛の男が声をかけてきた。 「 ? …ここは…どこですか? 私たち、なんでここに…」 「なんち…言うて… ここがどこかが分からんち、言うがかえ? ほがーに酔ったがなが?」 眉を上げ、口を尖らせ、オーバーに驚いた表情をしてみせた男は、 そう言った後でイタズラっぽくニヤリと笑った。 「いえ、酔ってなんか…いま せんよ 」 言いながら仁は、例の頭痛が消えていることに今更ながら気付いた。 「ほうか? なら、まぁだ酒が足りんのじゃ。こっちへ来てちっくと飲みいーや」 こっちへ来て… と言った男は、言外に自ら仁に にじり寄り、無理やり猪口を手渡し、徳利の酒を注いだ。 「なんだか前にも、こんなことがあったような、なかったような… これは夢? 夢の中なのか? それともこれが現実で、これまでのことが夢だったのか?… 」 でも、陽を受けて光る波頭は、ぼんやりとゆらめく陽炎のように穏やかで、 その様子を眺めていると、 「なぜ今ここにいるのか」 、 「さっきまで自分はどこでどうしていたのか」 …と、そんなことを考えるのは、どうでもいい事のように思えてくる。 暫く沈黙が続いた。 「しぇんしぇ、こん世界は広い…海のようじゃ。幾つも名前があるようやけど、結局は一つに繋がっちゅう」 仁には この男が何を言おうとしているのかまだ分からない。 でも、黙って耳を傾けた。 「…での、人間はさしずめ、こん浜石のようじゃ。 とりどりの色、形、大きさ。 一口に 石 言うても… ちっくと似てるもんはあろうけんど、てきぶっちゅう(同じ)もんは二つと無い」 そう言われて仁は気が付いた。 二人が座っているところは砂地だが、 海へ続く浜は、青、緑、赤、白、黒… 5色の石に覆われている。 「潮が満ちる度、嵐が来る度に、この石らぁは、波にころころと転がされる。 明日はどこに置かれるか… 赤石の隣ぃか、黒石の下敷きぃか… 誰にも分からん。 これが神様のしわざっちゅうなら、せんばん気まぐれな神様じゃ。 どうこうしようと、しっかと考えてしちゅう事とは思えん。そう思いやーせんか 」 海を見つめたまま一人でぽつぽつと語り続けた男は、 大きくため息をついた後、猪口の酒をあおった。 「神の…しわざ…」 仁は、男の言った言葉を確かめるように呟いた。 特に意志を持たぬように思える波に、くるくると並べ変えられる石たち。 その結果現れる色模様… その風景… それもまた、二度と同じものが描かれることはないだろう。 「確かに、人間社会と似ているな…」 と、仁は思った。 一つ一つ… いや、一人一人には、それぞれ個性がある。 そして、集団の中で何かしらかの役割を果たす。 でも組み合わせが変われば、元々の個性は変わらずとも、新しい配置の中でその役割は変わる。 その変化は小さいかもしれないし、大きいかもしれない。 「役割」 は、さしずめ 「運命」 というところだろう。 そして、 「役割」 が大きいか小さいかは… 「運命」 の振幅幅が大きいか小さいかは、 それぞれの個性だけではなく、その配置によって変わってゆくのだ。 ただ、実際の所、人間は石じゃない。自分の意思で動く。 見えざる者…気まぐれな神によって決められた配置の中で、自分の運命と抗おうとする者もいる。 人間一人一人が自分の意思で動き、影響しあい、どのような未来を作っていくのか… それは、配置を決めた神にも、分かってないんではないのか。 その偶然が生み出す模様を… その結果を… 楽しむために、 神は気まぐれに石たちを動かしているんではないのか… そう… まるで、万華鏡を回すように… 「…ええ、そうですね。私もそう思います。 …龍馬さん 」 仁はそう言って、隣に座る男の名を呼び、微笑みかけた。 おわり。 |

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