クルマと エネルギーと 地球の未来と ...

燃費ヲタ・エネヲタ・メカヲタのエコ者が綴る、クルマと環境問題についての 『自分用スクラップブック』

エネルギー

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温室効果ガス排出の削減を遅らせれば遅らせるほど、社会構造の急激な変化を伴わざるを得ない様な大幅な削減が必要となり、経済的にもより多額のコストが必要となる。 温暖化による被害金額は温室効果ガス排出削減コストを大幅に上回るため、早期の削減策の実施が経済合理的といえる。
  〜 東京大学 サステイナビリティ学 連携研究機構 〜

 Alternative Energy : 代替エネルギー
 Sustainable Energy : 持続可能エネルギー
 Renewable Energy : 再生可能エネルギー
 Energy Conservation : 省エネルギー

 『S+3E』 : Safety + Energy security & Economic growth & Environmental conservation
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http://nge.jp/2016/11/30/post-136445
溶解シリコンが次世代のエネルギーストレージになるかも
 FUTURUS 2016年11月30日 斉藤 精一郎  ECOLOGY, ENERGY, シリコン, 再生可能エネルギー, 

再生可能エネルギー、特に太陽光発電や風力発電をこれまで以上に活用しようという場合、大きな課題のひとつとして、その供給の不安定さが挙げられる。発電量が天候に左右されてしまうからだ。そうなると、余剰電力が生じた時にそれをなんらかの形で貯蔵しておき、電力が不足するときに補ってやる技術が必要になる。

そのような『エネルギー・ストレージ』の技術が要求されるなか、地球の地殻のなかでもっとも豊富な物質であるシリコンを使って、安価に、それでいて従来の10倍ものエネルギーの貯蔵を可能にする技術をマドリッド工科大学の研究チームが発表した。同大学のウェブサイトで紹介されている。


source:http://www.upm.es/internacional/UPM/UPM_Channel/News/de6cc416ade97510VgnVCM10000009c7648aRCRD

シリコンを1400度に加熱

冒頭にも書いたような自然エネルギーの性質から、エネルギー貯蔵技術の開発は、いま世界中で盛んに行われている。そのうちの一部はテスト段階まで進んで来ているし、なかには商業化の段階にまで来ているものもある。それらの技術の中には、太陽熱を使って塩を溶かし、エネルギーを貯蔵するという手法がある。

しかし、その溶解塩を使った手法は、コストや安全の問題、また将来的な材料資源の枯渇など、いくつもの問題を抱えている。そこで、より低コストで豊富な資源を使用し、危険性も低い手法がないものかと、世界各地で研究されている。

そして、マドリッド工科大学太陽エネルギー研究所のチームが開発したのは、太陽エネルギーあるいは再生可能エネルギーによる余剰電力を使って、シリコンを溶解させ、摂氏1400度にまで熱してエネルギーを貯蔵しようという手法だ。


source:http://www.upm.es/internacional/UPM/UPM_Channel/News/de6cc416ade97510VgnVCM10000009c7648aRCRD


シリコンは、1立方メートルに1MWh以上のエネルギーを貯めることができるというユニークな特性を持つ。これは溶解塩と比べて10倍以上の数値だ。このシステムにおいては、溶解シリコンは外部から熱的に隔離されて保管され、必要が生じたときだけその蓄えられた熱が電力に変換される。

シンプルな仕組みで発電

研究チームのアレハンドロ・ダタス氏は「そのような高温時には、シリコンは太陽のように強烈に輝きます。そこで、光起電セル、特にここでは熱光起電(thermophotovoltanic)セルによって、その光照射を電力に変えることができます。熱光起電セルの使用は、このシステムのキーポイントです。なぜなら、ほかのタイプの発電機では、この高温にはなかなか耐えられないからです」という。

ちなみに、この熱光起電セルは、従来の太陽光セルと比べると、ユニットの面積あたりで100倍もの電力を生み出すことができるという。この熱光起電セルは、50%以上のエネルギー変換効率を誇るというのだ。

その結果、このシステムは非常にコンパクトで、可動パーツを持たず、静かで、さらに安価で豊富な材料を使ってできるにもかかわらず、従来の技術の約10倍ものエネルギー貯蔵を可能にするという。

この装置の最初の適用は、太陽光発電の分野だと期待されている。熱を伝達するための液体やバルブやタービンといった複雑な装置を必要とせずに、電力を生み出すことができるのだ。このような簡単な装置で発電ができるようになれば、発電コストは大幅に下げることができ、再生可能エネルギーのひとつの選択肢になることも考えられる。


エネルギー貯蔵技術は、レドックスフロー電池を使うもの、水素やエタノールを使うものなど、バラエティに富んださまざまな技術が開発されていて、まだまだ決定的なものは出てきていない。まだ革新的な技術が出てくるだろうし、淘汰もされていくだろう。再生可能エネルギーの普及はエネルギー貯蔵技術にかかっているという面もあるので、再生可能エネルギーの技術自体と並んで注目の分野だ。

[参考]
Innovative molten silicon-based energy storage system – Universidad Politécnica de Madrid





カテゴリ : 《エネルギー貯蔵》 《省エネ》 ***

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http://nge.jp/2016/11/29/post-136119
360度動画も公開! MITが核融合炉でプラズマ圧力の新記録達成
 FUTURUS ENERGY 2016年11月29日 斉藤 精一郎

http://nge.jp/wp-content/uploads/2016/11/MIT-Alcator-Record-1_0-20161111082550.jpg
 source: http://news.mit.edu/2016/alcator-c-mod-tokamak-nuclear-fusion-world-record-1014



核融合は未来のエネルギーとして期待される技術だ。その開発は容易ではないが、それでも研究は確実に前進しているようだ。マサチューセッツ工科大学(MIT)の実験用核融合炉アルカトールC-Modトカマク核融合炉が、プラズマ圧力の新記録を達成したという。

プラズマ圧力は重要な要素

『核反応』というと物騒なイメージを抱くかもしれないが、核融合は原子力発電などに使われる核分裂とは異なる反応だ。海中から採取できる重水素や三重水素を燃料とするため、枯渇の心配はほぼない。核分裂のように暴走することがないので、制御が容易である。地球温暖化の原因となる二酸化炭素を出さない。そして、高レベル放射性廃棄物を出さない。

核融合は太陽の中心で起こっている反応と同じで、核融合炉というのはいわば人工的に太陽を作り出す作業になる。それを地球上で実現するためには5000万度とも1億度ともいわれる高温が必要になる。そんな温度に耐えられる容器が存在しないなか、なんらかの方法でその温度のプラズマを閉じ込めないといけないわけだが、トカマク型の核融合炉では磁場を作ってプラズマを閉じ込める。

 source: http://news.mit.edu/2016/alcator-c-mod-tokamak-nuclear-fusion-world-record-1014


核融合のためには3つの要素が重要になる。プラズマ粒子の密度、それを閉じ込めておける時間、その温度だ。そして核融合反応が起きたときに放出されるエネルギーが、核融合反応を起こすために必要なエネルギーを上まわれば、反応が続くというわけだ。

今回新記録を達成したプラズマの“圧力”は、上記の3つの要素のうち『密度』と『温度』の産物だ。つまり重要な要素の3分の2を占めるのである。そして、核融合炉で作り出されるエネルギーは、圧力の二乗に比例して増えるという。つまり圧力が2倍になれば、エネルギーは4倍になるというわけだ。

内部温度は摂氏3500万度に

これまでのプラズマ圧力の最高記録は、同じくMITのアルカトールC-Mod核融合炉が2005年に記録した1.77気圧だ。今回は、約15%アップして、2.05気圧を記録した。そのときアルカトールC-Modの中の温度は摂氏3500万度に達した。これは太陽の中心の約2倍の温度だという。ちなみに持続時間は約2秒だ。

アルカトールと似たタイプのほかの核融合炉でも、実験において同様の温度を実現したことはある。しかし、プラズマ圧力はせいぜい1気圧ていどだったという。

「これは、MITのアルカトールCーModの研究プログラムの成功を示す見事な成果です。このプラズマ圧力の記録は、実用的な核融合炉の実現にむけて高磁場方式の有用性を証明しました」と、プリンストン・プラズマ物理学研究所のDale Meade氏は評価している。

アルカトールC-Modは、ドーナツ型の容器に、高磁場を形成して超高温のプラズマを閉じ込めるコンパクトなトカマク式核融合炉だ。C-Modの高磁場は、最大8テスラ(地球の磁場の16万倍)に達する。これは、ほかの典型的な核融合炉の2倍の強さで、4倍のプラズマ圧を作り出す能力があるという。

興味深いことに、このアルカトールC-Modの内部を、360度撮影した動画も、MITでは公開している。ブラウザや端末によってはサポートされていないことがあるので、対応するブラウザや機種でご覧いただきたい。


 source: https://www.youtube.com/watch?v=nkMM61e8Ajw


現在フランスに建設中の核融合炉ITERは、このアルカトールC-Modの800倍の体積を持ち、2032年にフル稼働した際には、2.6気圧のプラズマ圧力を実現することが期待されているが、今回のアルカトールC-Modが達成した記録は、今後約15年間は続くと見込まれる。

このアルカトールC-Modの原理がどのように実際の発電に応用できるかを探るために、MITの核融合研究グループは、電力をあまり必要とせず、熱もあまり出さずに、より強い磁場を形成できる超電導体をあらたに採用しようと動いている。

その超伝導体が、Affordable Robust Compact炉(安価で頑丈でコンパクトな核融合炉。頭文字をとって『ARC炉』)と呼ばれる実験用核融合炉の中核をなし、最大で2億5000万ワットの電力を作り出す見込みとなっている。


10年、20年といった近未来にはまだ核融合炉が実用化されることはなさそうだ。しかし、研究は確実に進歩している。いずれ核融合がメインの電力源になっていく日が来るのかもしれない。

 
[参考]
※New record for fusion -MIT News
http://news.mit.edu/2016/alcator-c-mod-tokamak-nuclear-fusion-world-record-1014

[動画]
※Alcator C-Mod 360 degree tour -YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nkMM61e8Ajw





カテゴリ : 《核融合》 ***

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http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1611/17/news028.html
蓄電・発電機器:
世界初CO2を100%回収できる火力発電、米国で2017年に実証運転
 smartjapan 2016年11月17日

米国テキサス州で建設中の「超臨界CO2サイクル火力発電システム」の実証運転が2017年に始まる。東芝と米国の3社が共同で開発を進めているシステムで、発電時に排出するCO2を循環させて高効率に発電できる世界初の技術を実装する。東芝は中核の発電機の製造を完了して米国に出荷した。
  [石田雅也,スマートジャパン]

 化石燃料の産業復興を目指すドナルド・トランプ氏が米国の大統領に就任しても、火力発電に伴うCO2(二酸化炭素)の排出量を削減する取り組みの重要性は変わらない。米国の石油・天然ガス産業の中心地テキサス州で、CO2を100%回収できる火力発電プラントの建設計画が着々と進んでいる。

 「超臨界CO2サイクル火力発電システム」と呼ぶ最先端の発電技術を世界で初めて運転させる計画だ。開発メンバーは東芝のほか、米国最大の電力・ガス会社であるエクセロン(Exelon)、大手プラント建設会社のCB&I(Chicago Bridge & Iron)、超臨界CO2サイクル火力発電の技術を開発したベンチャー企業のネットパワー(NET Power)の4社である。このうち東芝はシステムの中核になる発電機と燃焼器の開発・製造を担当する。

 4社は2017年内にパイロットプラントを完成させて実証運転を開始する予定だ。東芝は発電能力が25MW(メガワット)のタービン発電機の製造を完了して、米国に向けて11月1日に出荷した(図1)。この発電機を使った実証運転の結果をもとに、商用レベルの250MW(25万キロワット)級の火力発電システムを開発することが次の目標である。

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図1 「超臨界CO2サイクル火力発電システム」のパイロットプラント向けタービン。出典:東芝

 超臨界CO2サイクル火力発電システムは燃料のガス(天然ガスか石炭ガス)と酸素を燃焼させてタービン発電機で発電する。この点は従来のガス火力発電と同様だが、発電に伴う排気ガスを冷却してCO2と水に分離することができる。さらにCO2を高圧の状態で回収して燃焼器に送り、ガスや酸素とともに燃焼させて発電に利用する仕組みだ(図2)。

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図2 「超臨界CO2サイクル火力発電システム」の構成。出典:東芝

 東芝によると、現在のガス火力発電で主流になっているガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル方式(ガスタービン複合発電)と同等の高い発電効率になる。コンバインドサイクルと比べて1つのタービンで発電機を構成できるため、プラント全体の規模が小さくなって発電コストを低減できるメリットがある(図3)。しかもCO2を分離・回収する設備が不要になる。

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図3 火力発電コストの比較。IGCC:石炭ガス化複合発電、CCS:CO2回収・貯留。出典:東芝

超臨界のCO2は気体と液体の中間

 CO2は温度が31℃以上、圧力が74気圧(7.4メガパスカル)以上になると、気体と液体の中間的な性質を示す超臨界と呼ぶ状態になる。超臨界CO2サイクル火力発電システムでは、30メガパスカルの高圧の状態でCO2を回収できる。

 超臨界状態のCO2は温度と圧力を変化させると、気体のような拡散性と液体のような溶解性を発揮する。拡散性によって燃料のガスと一緒に燃焼させることや、溶解性を生かして他の物質に吸着して回収することも可能だ。

 日本政府は火力発電に伴うCO2排出量を削減するために、次世代の火力発電技術の開発促進に力を入れている。2030年をめどに石炭火力で約3割、ガス火力で約2割の削減が可能な発電技術を実用化する計画だ(図4)。

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図4 次世代の火力発電によるCO2削減効果。USC:超々臨界圧、IGCC:石炭ガス化複合発電。IGFC:石炭ガス化燃料電池複合発電、GTCC:ガスタービン複合発電、GTFC:ガスタービン燃料電池複合発電。出典:資源エネルギー庁

 それでも大量のCO2を排出することから、CO2を分離・回収する技術の開発を並行して進めている。最大の課題は分離・回収にかかるコストを低減させることで、2030年までに現在と比べて4分の1程度まで引き下げることを目指している(図5)。

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図5 CO2分離・回収技術とコストの見通し。出典:資源エネルギー庁

 2030年の時点で実用化できる最先端の火力発電技術とCO2分離・回収技術を組み合わせた場合に、100万キロワット級の発電設備でCO2分離・回収コストは年間に50億円程度になる見通しだ。発電事業者にとっては次世代の火力発電によって燃料費を削減できるメリットがある一方で、CO2を分離・回収するコストは小さくない。

 そうなるとCO2を100%回収できる超臨界CO2サイクル火力発電システムは有望だ。政府が策定した次世代の火力発電のロードマップには、今のところ超臨界CO2サイクル火力発電は盛り込まれていない(図6)。テキサス州の実証運転の結果によっては、2030年に向けた有力な火力発電技術の1つになる。

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図6 火力発電ロードマップ。LNG:液化天然ガス。出典:資源エネルギー庁





カテゴリ : 《次世代火発》 《CCS》 《CCU》 ***

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http://www.afpbb.com/articles/-/3108802
2030年までに石炭火力発電所を閉鎖へ、カナダ環境相
 AFPBB 2016年11月22日 発信地:オタワ/カナダ

http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/2/8/280x/img_28f8550841434f8b4ea43cfb8167d9fa195568.jpg
カナダのキャサリン・マッケナ環境・気候変動相。カナダ・オタワで(2015年11月4日撮影、資料写真)。(c)AFP/GEOFF ROBINS


 カナダのキャサリン・マッケナ(Catherine McKenna)環境・気候変動相は21日、地球温暖化防止の新たな国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の下での温室効果ガス削減に向けた戦略の一環として、2030年までに国内の石炭火力発電所を閉鎖すると発表した。

 マッケナ環境相は記者会見で、カナダの4州にある火力発電所から排出される二酸化炭素(CO2)は、国内全体の排出量の約10%を占めており、閉鎖されれば車130万台分に相当する5メガトンの温室効果ガス排出量の削減につながると述べた。

 同相は「クリーンな経済成長を目指すわれわれ政府のビジョンの一環として、2030年までに従来の石炭火力からクリーン・エネルギーへの移行を加速させていく」という。

 カナダでは水力発電が多いことに加え、原子力、太陽光、風力を使った発電が多く行われており、国内発電量の80%では大気汚染物質は排出されていないが、マッケナ環境相は2030年までにこの割合を90%まで引き上げることを目標にしていると述べた。

 一方でマッケナ環境相は、カナダ国家エネルギー委員会(National Energy Board)が算出した数字を取り上げ、過去10年で風力発電容量が20倍、太陽光発電は2.25倍に増えたことを強調した。(c)AFP/Michel COMTE




カテゴリ : 《気候変動対策》 《化石燃料》 《温室ガス》 ***

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http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1611/10/news037.html
CO2を排出しない原子力・再エネに、「非化石価値市場」を創設
 smartjapan 2016年11月10日

政府は地球温暖化対策の1つとして、CO2を排出しない電源の環境価値を売買できるようにする方針だ。原子力・再生可能エネルギー・大型水力で作った電力の環境価値を「非化石証書」で取引する。小売電気事業者がCO2排出係数を低減するのに利用でき、国民が負担する再エネ賦課金も減らせる。
 [石田雅也,スマートジャパン]

第73回:「火力発電に容量メカニズムを導入へ、すべての設備を対象に」
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1611/02/news043.html

 日本政府は2030年のCO2(二酸化炭素)排出量を2013年比で26%削減する目標を掲げている。そのためにCO2を排出しない非化石電源(原子力+再生可能エネルギー)の比率を44%以上に高める方針だ。小売電気事業者が取り扱う電力についても44%以上を非化石電源で調達するように法律で規定した。

 非化石電源には原子力と再生可能エネルギーに加えて、従来からの大型の水力発電所が含まれる。この3種類の電源で発電した電力に「非化石価値(証書)」を与えて、卸電力取引所で売買できるようにする(図1)。そのために取引所の中に「非化石価値市場」を創設することを検討中だ。


 図1 「非化石電源」と「非化石価値(証書)」。出典:資源エネルギー庁

 現在の電力市場では、発電事業者と小売電気事業者が相対で取り引きした場合には非化石価値が認められる。ところが卸電力取引所を通すと、非化石電源と火力発電の電力が同様に取り引きされるため、非化石価値が認められない仕組みになっている(図2)。この状況では小売電気事業者が非化石電源の調達量を増やすうえで取引所を活用できない。


 図2 卸電力取引所で埋没する非化石価値(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 そこで取引所の中に「非化石価値取引市場」を創設して、電力と別に非化石価値だけを売買できるようにする。小売電気事業者や自家発電事業者は市場を通じて非化石価値を調達してCO2排出量の削減に生かせるようになる(図3)。法律で定められた非化石電源の比率に加えることができる。



 図3「非化石価値取引市場」の創設イメージ(上)、取引の流れ(下、画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁


 今のところ市場を開設する時期は未定だが、2020年4月に実施する発送電分離(電力会社の送配電部門の中立化)までに創設する見通しだ。電力会社の発電部門と小売部門にも市場を通して非化石価値を売買することが求められる。

FIT電気を「実質再エネ100%」と表示

 非化石価値取引市場を創設して期待できる効果は2つある。1つは小売電気事業者が非化石電源の調達比率の目標を達成しやすくなり、結果としてCO2排出量の削減をもたらす。もう1つの効果は再生可能エネルギーの電力に対して国民が負担するFIT(固定価格買取制度)の賦課金を軽減できることだ(図4)。


 図4 「非化石価値取引市場」の期待効果。出典:資源エネルギー庁


 FITの適用を受けて発電した電力には火力発電よりも高い買取価格が設定されている。現在は小売電気事業者が買い取った電力に対して国の機関から差額が支払われる一方、その費用を電気料金に賦課金として上乗せする仕組みだ。新市場を通じて国の機関が非化石価値を売ることができれば、その収入分だけ賦課金を減らせる(図5)。


 図5 FITの適用を受けた電力の取引イメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁


 さらに非化石価値を2つに分けて、再生可能エネルギーの環境価値を明確に示せる新ルールを設ける予定だ。CO2の排出量を低減する「ゼロエミッション(ゼロエミ)価値」のほかに、電源の種類による「環境表示価値」を小売電気事業者に与える(図6)。


 図6 「非化石価値」の分類。出典:資源エネルギー庁

 そのために非化石価値を取引する証書を2種類に分ける。1つはFITを含めて再生可能エネルギーによる電力を対象にした証書、もう1つは原子力や大型水力を含めて電源を特定しない証書も用意する(図7)。前者に対しては小売電気事業者が「実質再エネ」といった表現で需要家に訴求することを認める。


 図7 「非化石証書」の種類。出典:資源エネルギー庁


 2016年4月に始まった電力の小売全面自由化によって、小売電気事業者には販売する電力の電源構成を明示することが求められている。この中でFITの適用を受けた電力は再生可能エネルギーではなくて「FIT電気」と表示しなくてはならない。

 非化石価値の売買が可能になると、電源構成に加えて非化石証書の購入量を表示できるようになる(図8)。それと合わせてFIT電気による非化石証書に対しては「実質再エネ100%」と表示することも許容する方向だ。


 図8 電源構成と環境価値の表示イメージ。出典:資源エネルギー庁


 FIT電気に対する証書は国の機関が売り手になり、一方のFIT以外の証書は電力会社をはじめとする発電事業者が売り手になる。どちらも買い手は小売電気事業者で、法律で定められた非化石電源の比率目標(44%以上)を達成するために2種類の証書を利用できる(図9)。


 図9 「非化石証書」の買い手と売り手。出典:資源エネルギー庁


 ただし多くの国民にとって気になる点は、原子力で発電した電力が非化石価値を伴って増大することだ。CO2排出量の削減には有効だが、同時に放射能汚染のリスクが高まり、いまだ処理方法のめどが立たない使用済み核燃料も増えてしまう。同じ非化石価値とはいえ、種類の違いを認識したうえで小売電気事業者を選別する必要がある。







カテゴリ : 《気候変動対策》《温室ガス》 《再生エネ》 《原子力》 脱《化石燃料》 ***

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平山 滋
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