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舞台はニューヨーク。ファッションデザイナーを目指すゲイの男とバレエダンサーの女。
その2人が住むアッパーイースト地区のロフトでの共同生活。
子供の頃から女装やおしゃれが大好きだったせいで、周りから変人扱いを受けてきたクリス。
理解してくれるのは近所に住んでた独り者の画家のおじさん。
一方、祖父の代から続いている芸術家の家で生まれ育ちながら、落ちこぼれと疎外されているジョアン
ナ。彼女は子供の頃性的虐待を受けた過去も持っている。
お互いにトラウマを抱えながら、それでいてソレをいつか克服しようと傷つきながらも前を向いて
生きている。そんな2人が、会話の中でお互いに惹かれあっている事に気付き受け入れようとする場面
のダイアローグ。
普段は強く振舞っているが、ガラス細工で出来たようなハートを持つキャラクター。
その両極端な2面性をどう表現するか?ヨーコもオレもソレに集中してキャラクターを自分の中で
育てていった。2人とも 「気の強いトコ」 はそのまま。それが邪魔してリハーサルやってると
すぐに言い合いになってた。
「ストップ、ストップ。タクあんたどうしてそう雑なの?体育会系じゃないのよ。ゲイなのよ!」
「ヨーコ!ジョアンナってお嬢さん育ちなんだろ!お前タバコ屋の娘じゃないんだぜ!」ってな具合い。
でも不思議なもんで、共同作業ってのは人をゴールに向かわせる意識を高めてくれる。
それを勘違いすると、実際の生活で恋愛関係に発展したりする、かなりエッジな共同作業だ。
幸か不幸かオレ達にはその機会は訪れなかったけど。
本番では、ヨーコはかなりハイテンションだった。キスするシーンはリハより長かった。
役者の良し悪しはこの度胸の据わった「開き直り」から差が広がるのかも。
「キスはマジでやろう」とあらかじめ決めていたのにも関わらず、
ドキドキしている自分を舞台の上で初めて感じた。と同時に身体の一部が開かれる感覚も味わった。
まぁキャラ的にはゲイが女のコと初めてキスする、という状況にリンクさせるコトはできたけど。
オレ自身としては「くそ〜!ヨーコにやられた!」って感じ。
舞台ソデに帰って来た後もヨーコは涼しい顔。他の連中から絶賛されている。
「タク、いいよなぁ〜!ヨーコとキスできて」アントニオがニタニタしながら近づいてきた。
「バカ!じゃあお前舞台の上でやってみろよ!次のセリフ忘れかけたんだぞ!」周りの奴らは大笑い。
「忘れたら押し倒すしかない!」この陽気なラテン野郎は底抜けだ。笑いが一層広がる。
「みんな、さっさと片付けして打ち上げ行くぞ!」ロバートの一声で舞台裏の全員が嬌声を上げた。
絶賛されようが、クソミソ言われようが関係なし。みんなアドレナリン出してハイになっている。
この感覚、1度味わうとそうカンタンに止めれそうにもない。
この後全員が2日酔いで次の日学校は休み。
オリビア校長はカンカンだったけど......。
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