エッセイ、フィクション的 作文

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失ったもの

毎日、7時05分発の東横線急行に乗って通勤していた。

その日は、異常に混んでいて、かろうじて座席を確保した俺は

ガッツり睡眠体制になっていた。

混雑した車内は、もうもみくちゃ。

気づいたら、女子高生の太ももが挟まっている状態になった。

『うん』

一度自分の中でうなずいてみた。

『いい状況だ』

だって、しょうがないじゃない。

でも、『やっぱきまずいな』

と、心の中で思いながら座っていた。

もう気になってしまうから、終点の渋谷まで寝てしまおう!!

と思ってる瞬間に、明らかに故意のギュッというはさみがきた。

『おっ??』

気になってしまったが、いかんいかん!!

寝よう、寝るしかない。

毎日池袋から通ってた俺は、もう毎日疲労困憊状態で、立っていても寝てしまう程だった。

そんな状態だから、眠るまで5分とかからなかった。

うーんもう凄いいい夢見た気がする。

『渋谷〜、渋谷〜』

駅のアナウンスと人間の疲れた足音が、俺の目を覚ました。

立ち上がった瞬間、『ん?』

なんか忘れてる。

ない!!ないいーーー!!

















俺のちん○。

俺は、電車の中を探した。

俺の大事な、物。

どこだ!!どこだぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

あいつか??

あいつが切ったか?

どうなったんだ??

手で確かめてみた。

やはり無い。

交番に届け出たほうがいいかな??

血も出ていないのになんて荒業を。





慌てるもつかの間、山手線へ乗り換えた。

とりあえず職場へ行こう。

と思ったら、山手線のホームで俺のものが落ちていた。

慌てて、俺はそいつを大事につかみ、元に戻したのであった。

ゆきゆきどんどん

ゆきふきとんとん

あやめはとんこん

ふってりすってり

どんどんずぼむ

にーぬはよろろいひあさけまくい

へーこはこあつであるるなう

その日の昼ぐらいから

ものすごく軽くふわふわした感覚でふらついていた。

自分の身体を、100メートルぐらい上空にまでは自由にテレポーテーションでき

なにか、全身がきもちよくって、ふわふわ。

例えるならば、酒をかなり飲んで泥酔した気持ちよさで、

その中に常に共存するはずの、吐き気や、気持ち悪さを取りさらった感覚なんだ。

なんかおかしい。

こういう風になる前には、いったい俺は何をしていたのだろう??

ふわふわになり始めた前後の感覚や記憶は、全て記憶中枢から取り払われていたようだった。

その前に、俺の名前は何なんだ??

ここはどこなのだろう??

どんどん、空に近づいている。

がんばって、地上に戻らないと空高く舞い上がってしまう感覚がある。

何かに引っ張られている。

何か大きな手が、俺の頭を人差し指と親指でつまんで、引っ張られている感覚。

何とか地上に近づこう!!

思ってると、何か人だかりが集まっている。

なんだ??

救急車、パトカー、野次馬。

黒のクラウン系の車が路肩でグッシャリになっていた。

事故かな??

中央分離帯付近に一台のビックスクーターが倒れている。

なんか見たことあるな、あれ。

救急隊員の、真ん中に人が一人仰向けで倒れていた。

頭からは大量の血を流している。

なんか見たことあるな。

懐かしい感じがする。。。。。。

??

俺じゃん。

俺は交通事故に遭ったんだ。

じゃあ今は??

いい加減、抵抗するのもいやになってきた。

気持ちいいから、引っ張られていっちゃお。

俺から、地球が、どんどん離れてゆく。

サヨウナラ!!

地球!!

サヨウナラ!!

この世の中!!

朝のバス車内から

世の中の人間の図々しさに、嫌気が刺した朝でした。

朝のバスはまあ、ぎゅうぎゅうマデでもなく、でも座れない人も出るぐらいの

混み様でした。

私は、いつも出口に程近いところで立ち、つり革をつかまっていた。

シルバーシートには、4人の30代から20代の男女が、

朝の憂鬱な時間を、これから仕事に行かなければ行けないという、

ほぼ投げやり的表情で、座っていた。

死んだ魚の目というのが一番的確だろうか??

始発のバスは、川崎駅を出発する。

ブルン!!

出発の合図は、エンジンだった。

もう出ますよ、急いでくださいねブルン。

そういってたかはわからないけれども、

そう言ってる気がした。

そこに、手押し車を押した老婆が、申し訳なさそうにステップを上がってきた。

そして申し訳なさそうに、小銭入れをあさり始め

申し訳なさそうに、100円玉2枚を入れた。

運転手は、愛想無く彼女をあしらい

おつかまりくださブルン!!

老婆はバランスを崩してよろけた。

シルバーシートの4人は、気付かないふりをしている。

俺はその行為に腹が立った。

そして、一番右の恰幅のいい男の右のほうに横蹴りをしたんだ。

男は切れていた。

何をいきなりするんだ!!と。

でも、そういう問題じゃない!!

お前らが悪いんだよ!!

俺は切れ気味で、返してやった!!

だってよ。

シルバーシートだぜ。

譲ろうよ。

今までの時代を作ってくれた、先輩方に感謝をしましょうよ!!

俺と蹴られた相手は、いつしか涙があふれていた。

あふれる涙が、何に対するものなのかは、言わなくてもお互いわかっていた。

ひと悶着あり、シルバーシートに目を向けると、

別のひょろ男が鼻くそを食べながら座っていた。

ばかやろうばかやろう。

桜井さんの返事はなかった。

それも無理はない。

桜井さんはここ数日何も食べてなかった。

電気が止まり、電気が復活したらガスが止まり

ガスが復活したら、電気が止まる。

そういう生活を繰り返しているうちに、

ついには、なかなか止まらない水が止まり始め、

水と電気が止まり、ガスと電気が止まりしているうちに

ついには、全てのライフラインが止まってしまったのだ。

そしてまもなく









桜井さん自身も止まってしまった。

辺りには最近異臭が立ち込めていた。

異常に大きな季節外れの蝿。

そして、大家さんと、サングラス割烹着のオババ達が

玄関の扉を、不安一杯で開けたときには

もう変わり果てた姿で眠っていた。

『桜井さーん、桜井サーーーーーーーーん。』

桜井さんからは、昔漂っていた香水の匂いも

セクシーさも、低い声もなかった。

オババは、おもむろに桜井さんにハグを求めた。

もう借金なんてどうでもいい。

借金分、抱きしめてもらいたい。

変わり果てた姿で、異臭たっぷりの桜井さんが

一瞬微笑んだ気がした。



おわり

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