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本編では終始ガスの中で展望には恵まれなかったと書いた。ただ、永田岳山頂からちょっと下ったローソク岩展望台の上で、一瞬ガスが晴れて視界が広がった。永田岳山頂
斜面には赤・黄・黄緑・緑のパッチワークと、その中に淡いピンク〜白のヤクシマシャクナゲが散りばめられ、この世のものとは思えない景色が広がった。
この赤〜黄緑のパッチワークの正体だが、実はアセビ(ヤクシマアセビ)の新芽のなせる技である。このアセビの存在なくして、ヤクシマシャクナゲの景観は成り立たないと、私は思う。
ローソク岩が見えたときは、私も山ノ神も、両のマナコがマンガちっくに飛び出しそうになった
(右の画像、もう少し背後のガスが取れれば永田岳北尾根の岩場が見えただろうが、そこまで望むは欲張りか) ガスから解放されたそのときは、天空に別世界が広がった。来たよかったと、つくづく実感。
鹿之沢へ向かって下降していけば、もしかしたらスカっと晴れるのかも、と期待を抱かせたが、その願いは叶わず刹那的なショーに終わった。
下のローソク岩の展望台から再び眺望を期待したが、再びガスが山頂方面から下降してきたため、いわゆるローソク岩の展望画像はこれが精一杯。
(右の画像の左側にぼやっと見え隠れするのがローソク岩) しかし永田の集落と海はみたび拝むことができたので、感動の瞬間だった。永田岳バンザイ
(右の画像には障子岳の岩峰がちょっとだけ見えている) 撮影機材:PENTAX k-5,12-24mmF4
これで今回の屋久島山行記録は終了です。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。 |
屋久島と九州の山
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蘚苔林のコケも素晴らしい屋久島だが、山頂帯にある高層湿原に生えるコケが特に素晴らしかった。
屋久島のコケの種類は600を超えると言われ、まさにコケの楽園。
今回、沢を遡行することはできなかったが、雨の屋久島ならではのみずみずしいコケを堪能することができた。
天から下りてきた雨粒はコケの表面で水滴となり、『水の屋久島』をその小さな球形に写し込む。
そしてまたまたお気に入りの場所で申し訳ない(詳しくは書けない)のだが、この場所では思いがけない小さな妖精たちを見つけることができた。
この美しい新緑を思わせる萌黄色のコケは、以前から気になっていたのだが、今回はその中にヤクシマミヤマスミレが可憐な花を咲かせていた。
コケのベッドに健気に咲いているからではないだろうが、本土の乾いた露地に咲いているスミレに比べると、後ろ姿も美人に見えてくるからフシギだ。
この美しい高層湿原のコケをいつまでも・・・後世に残すことができますように。
撮影機材:PENTAX k-5,12-24mmF4,100mmF2.8macro |
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今回の訪島のいちばんの目的は、ヤクシマシャクナゲを観るためだった。
本土のシャクナゲもそうだが、ヤクシマシャクナゲはそれ以上に色の変化が大きい。これはまだ硬い花芽の状態で、濃いピンク色の蕾が姿を現そうとしている。
そしてツボミは徐々に膨らみ、花弁の先から淡いピンク色へと色を変えていく。
そして開花。本土の桃色とは異なる、清楚な薄ピンクの色合だ。しかも個体ごとの開花時期の差により、その濃淡がグラデーションとなって、奥岳の山頂帯を素晴らしい景観に変える。
それはこんな感じ
ヤクシマシャクナゲも2通りあって、山頂帯(風衝低木林帯)のものは背丈が低い。標高1500m以下の樹林帯のものは、本土と同じように背丈が高い。
そして最期は真っ白になって燃え尽きるのだが、落ちる直前はちょっと花弁の裾が黄ばんでくるので、これが落花のサインでもある。
もちろんヤクシマシャクナゲばかりが、屋久島山岳の花ではない。以前紹介したように、山頂帯の高山植物は、矮化しているのが特徴だ。
これはキバナコマノツメ。本州の中部山岳や石鎚山にもあるが、九州地方では屋久島にしか無いらしい。
こちらはヒメコイワカガミ。もちろんイワカガミの変種で、コ(小)+ヒメ(姫)という重箱読みの冠詞が付くぐらいだから、コイワカガミよりさらに小さくて、白くて、とてもカワイイ
夏山アルプスにあるお花畑や大群落を形成するわけではなく、登山道や岩場の片隅にそっと控えめに咲いているので、注意して観察する必要がある。そして撮影にはマクロレンズ(できたら望遠マクロ)が最適だ。
お次はヤクスギ林(標高1000〜1500mぐらい)のお花を紹介しよう。いちばん多く見掛けたのはハイノキの白い花だったことは既に述べたが、他にもサクラツツジがちらほらと残っていてくれた。標高にもよるが、GWぐらいが最盛期なのかも。
林床にはマムシグサが。これは本土と同じもの。ちなみにマムシグサって、コンニャクと同じサトイモ科なんだってね。
花山歩道の林床には、フタリシズカが開花していた。花序(花の配列)はその名の通り2本が基本だが、1本のものも3本のものも見掛けた。ちなみに1本のものであっても“ヒトリシズカ”とは別種なのでご注意
そして今回のお花でいちばん驚いたのが、この小さな小さなお花
葉っぱの大きさが1cm以下、そして花弁は2〜3mmで、ルーペを使わないと判別ができないぐらいの極矮小な花だった。山頂帯でコケを撮影しているときに偶然見つけたもので、マイヅルソウの変種でヤクシママイヅルソウと言うらしい。
ちなみにwebサイトではしばしば“マイズルソウ”とカタカナ表記されているのを見かける。インターネットの検索の世界においては、“ズzu”も“ヅdu”も同一文字とみなされる夜の中のようだが、美しい日本語を残したい私にとってはそれはいただけない。
“舞鶴”は“ツルが舞う”のであって、“スルが舞う”のでは断じてないのである!!
よって“マイヅルソウ”と表記されるべきである。
※じゃあ漢字で書けば?ということになろうが、動植物名の表記は生物学的の慣例にならって、やはりカタカナ表記が判り易いだろう。杉や桜などならまだしも、菫(スミレ)・竜胆(リンドウ)・金鳳花(キンポウゲ)と書かれると、読めないしね
最後に脱線したが、お次はその山頂帯のコケを紹介しよう・・・ |
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6/3(日)早朝、宿の近くの温泉へと向かう。地元の方々のものだから、ちゃんと寸志を入れましょうね。
今日は青空が拝める日だろうと、安心していた(だが実際は天気は不安定だった)。ほんのりと焼けた東の空を眺めながら、海辺の露天風呂に独り浸かる。一応浴槽は男女別に分かれており、簡単な間仕切りもある。
ハマナデシコのピンク色が鮮やかだ。遠くの突堤では、釣りをする人の姿も。
一度入ってみたかったこの温泉で、海を見ながらまったりと至福の朝を味わった。
もちろん宿にも、コテージ毎に露天風呂がある。
こちらも素晴らしいロケーション。さっきまで公共の温泉に居たばかりなのに、宿の五右衛門風呂の浴槽にも心ゆくまで浸かった。
ちなみにこの宿からは海が見えるばかりではなく、山(前岳だが)もバッチリ見える。この集落の岳参りの対象である烏帽子岳は、この朝はちょっとお隠れになっていたが、ワタクシ的にはそれよりも登攀意欲を湧きたてられるこの
さて、これまた手抜き感が全く感じられないばかりの豪華な朝食を食べ、レンタカーで滝めぐりへと出発する。
一つ目は有名な千尋(せんぴろの)滝。週末なので、もう既に観光客(我々も今日は同じ身分だが)でいっぱい。
この展望台からでも迫力は伝わってくるのだが、なんちゃって滝屋としては豪瀑の直下まで寄りたいキモチが強いのだが、さすがに人目の多さからそれは憚られた。
この千尋滝は鯛ノ川(たいのこ)の下流部にある豪瀑だが、その右岸が大スラブになっているのがアリアリと判るだろう。まさに花崗岩でできた島。
そしてそのスラブから西方向へと尾根を辿れば、モッチョム岳のとんがりが。
もちろん海も近い。ここは島の南側に当たるため、この黒潮から供給される湿暖流は山を駈けあがって、おそらく日本で最も多雨地帯である淀川周辺へと雨を降らせるのだ。
次はこの鯛ノ川のさらに下流部の滝へと移動する。これは近年名前が付いたらしい竜神の滝。車道の橋から簡単に撮影できるが、樹林がジャマをして全景は見えない。天気は良くなるどころか、小雨が降ってくる始末
そして鯛ノ川が海に注ぎ込むところにあるトローキの滝。これも有名だが、展望台から眺めた姿はちょいと遠いので、イマイチ迫力には欠ける(直下には舟で行くしかない)。 さて鯛ノ川に別れを告げ、昨日の宿に近い湯川(ゆーご)へとクルマを走らせる。渓流沿いには、初夏の花であるサツキの赤も見え隠れする。
林道の途中から見上げた湯川の滝。滝が一つに見えるが、実は大ゴルジュの中にある連瀑帯で、突破するのはものすごく難度が高いとのこと。右の拡大図は、ピンが合ってなくて申し訳ない。
次に向かうは西部林道。3年前はママチャリで駆け抜けたなぁ〜
西部林道の照葉樹林の森にも、ちょっくら寄ってみよう。
そして2日前にローソク岩付近から見下ろした永田集落のいなか浜。昨日はウミガメちゃんは、上陸したであろうか。口永良部島をバックに、貝殻を拾う山ノ神。
そしてラストの滝は、一湊(いっそう)集落近くにある布引滝。
あまり期待していなかった滝だったのだが、どうしてどうして繊細かつ美しい瀑布だった。
ほぼ屋久島を一周したカタチになったが、この日も充実した最終日となり、最終のフライトで帰路に就いた。
この大川の滝
さてこの4日間の屋久島山行記にお付き合いくださり、まことにありがとうございました
と言いたいところですが、この後にもオマケ(いや、一応とっておき)の画像がありますので、また覗いてやってください(新着通知はしません)。 |
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ハリギリの巨木のある森を過ぎ、緩やかに下って行く。神秘の森は、まだまだ続く。ヤクスギに絡みつくヤマグルマ。いつかは宿主を絞め殺してしまうかもしれない。
もうすぐ8:00になるが、幸いなことにまだ雨は落ちて来ない。できうればあと3時間、もってくれと淡い期待を抱く。
花山歩道のもう一つのお気に入りの場所は、この花山広場。環境省の看板があるので、すぐに判ると思う。
名前はないが、やはりステキな樹々に囲まれた、癒しの空間がそこにある。
林床の苔から生えるフタリシズカが、密やかに神秘性を応援する。
しばらく行くと大竜杉と書かれた看板が。しかしこの名前アリのヤクスギは、イマイチ存在感に欠けている(と私は思う)。やはり前述のハリギリの森や花山広場の方が、私にとっては魅力的な場所だ。
ようやく標高1000mを切ると傾斜が増し、また徐々にヤクスギが減ってくる。地面を見れば一目瞭然だが、今までメジャーだったヤクスギの落ち葉から、広葉樹の落ち葉に切り替わるのを覚えておこう。
ずいぶんと植生が変わった薄暗い森の中へと急降下していき、そして森にガスが立ち込めてきた。
木々に雨粒が当たる音が聞こえてくるが、豊かな森、懐の深い森は、しばらくは雨粒を吸収してくれるようで、我々はそんなに濡れない。
花山歩道入口(標高約520m)近くになると、もうそれは亜熱帯の森に近い。
そして11:20、林道へと到着。ただし、ここから大川林道をてくてくと約5kmほど歩かなければならない。
4年前に同じ花山歩道を下ったときは、思いがけない恩恵にあずかることができたが、今日は雨の林道歩きをしなくてはならない。
(大川林道は、道が悪いという理由から、タクシーも入ってくれない) ちなみに登山口でヒルチェックをしたら、多数纏わりつかれていた
靴下の中には献血の痕跡も。さすがにこの時期、島の西部はヤマビル天国ですな
(標高1000m以下に棲息しており、鹿之沢や花山広場では見掛けません)
大川を挟んだ対岸にあるP431.1峰を見ながら、途中サワガニを踏みつけそうになったりして、林道を下って行った。コースタイムで2:10となっていたが、ゆっくり歩いても1:30で林道入口に到着。カモシカ永井さんなら、1時間ぐらいで駈け下りてしまうのでは
で、この県道との分岐が終着地点ではない。西部林道を500mほど北上した、“大川の滝バス停”がゴールとなる。13:25、強雨の中、灰色の雲と暗い色の海が、我々を出迎えてくれた。
山行日:2012/6/2(土)
コース:鹿之沢〜花山歩道入口〜大川の滝
形態:ペア
天候:曇り後雨 撮影機材:PENTAX k-5,12-24mmF4,16-50mmF2.8
さて、バスの時間(15:15発)まで2時間近くも時間があるので、大川の滝を見学する。前の2回は渇水のためかなりショボイ水量だったが、さすがに今回はまずまずの水量だ(雨がジャマだけど)。
ここは完全に観光地(しかし携帯電話は通じない
バスを待つまでが長かったが、路線バスにしてはずいぶんと大きくて立派なバスが現れ、ビショビショのままで乗り込む。運転手さんに申し訳ないが携帯電話を車内でかけさせてもらう旨を伝えたら、快諾してくれた。
レンタカー屋にいきなり電話したら、ラッキーなことに空きがあるとのこと(この時期はやはりシーズンオフなので空いている模様)
気を良くして電話を切った。そして首筋に違和感を覚えたので手を触れると、丸々と太ったコイツ↓が、食い付いていた
(さすがに首を食われたのは初めてだ)
そして宿の近くのバス停で、山ノ神を独り下車させ、私は安房(あんぼう)まで乗車を続ける。そこでレンタカーを借りる手続きをし、再び宿のある集落までレンタカーで戻る。
もちろんこの宿はずいぶんと前から予約済みだ。ひとっ風呂浴びて3日分の汗を落とした後は、海の見える宿のレストランで、至福のディナータイム。
屋久島の食材をふんだんに使った洋食(といっても和食のテイストが溢れる味付け)は、器も、盛り付けも、そして素材そのものの味も最高に美味しかった。
ウミガメが上陸するかもしれないとのことで、栗生浜まで2回もクルマを走らせたが、残念ながら今宵は産卵休業日だったようだ。
ただ、昼間にあれだけ降った雨は上がり、明け方近くには宿の屋根の向こう側に、天の川まで見えた。海抜ゼロmから見る天の川は、ずいぶんと久しぶりのような気がする。
※samyang 14mmF2.8,O-GPS1使用 さて、明日は屋久島最終日。さすがに山に戻るつもりはないが、レンタカーを利用して観光することにしよう。
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