臆崖道の山日記

何かこのブログも閉鎖されるみたいですねw

屋久島と九州の山

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垂直分布再び(4)

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安房(あんぼう)川の支流のひとつである荒川は、標高1300m付近でビャクシン沢と淀川(よどごう)に分かれる。淀川の上流部はさらに左・中・右俣と3本に分岐し、高盤岳南面付近に源流を辿ることになるが、淀川小屋から左俣までの約1kmはほとんど高低差がなく、水は澄み切ったうえにまるで日本庭園を思わせるような美渓が続く。



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乃木尾根を淀川登山口まで西進する。乃木岳ピークは通らないで、北側を巻いていく。過去の台風による被害か、倒木が多いという噂であったが、さほどではなかった。むしろ白骨樹の開放的な感じが心地よかった。
微妙なアップダウンに苦しめられる。水平道といった感覚はまるでない。もっとも屋久島の歩道すべてにおいて、登ったり下ったりを繰り返すもんである。屋久島とはそういうモンだと認識すべしなのかも。

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ようやく人の声が聞こえてきた。淀川登山口は近いということだ。尾之間大杉(別名:笹川杉→競艇団体のオッサンの名前らしい)が突然現れる。そういや今回はじめて名前のある屋久杉を見る機会ということか。

淀川登山口では中高年のパーティと、単独行の男性が登ろうとしていた。
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そして環境省のスタッフ2名が携帯トイレの販売ブースを設置していた。屋久島の銀座通りのし尿問題は深刻らしく、こういった啓蒙および実践活動は必要なんだなぁと認識。
もっとも私は人ごみ嫌いなので、できるだけ銀座通りは避けたい。特にGWは、縄文杉と白谷雲水峡そして宮之浦岳に登山客は集中する。そこで立てて誓いは・・・
縄文杉と白谷雲水峡だけは何があっても近づかないこと
宮之浦岳は縦走路のど真ん中にあるので、まあ外すことはできないけどね。

んで、いちばん混むのが荒川登山口〜縄文杉の登山ルート。GW期間中1000人以上/日が押し寄せるらしい。想像しただけで恐ろしい。何で屋久島まで来て人の波にのまれなきゃならないのか、理解に苦しむ。確かに縄文杉は風格があるけどねぇ。他にも屋久杉はいっぱいあるし、上記ルートは単調なトロッコ軌道歩きと植林帯の面白くない景色を長い時間見なければならないので、絶対にオススメはしません。

閑話休題。ここからは銀座通りだけあって、格段に整備されている。はじめてCT通りに歩けたのもそのせいか。
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淀川小屋に到着。時間が早いせいか、宿泊を考えている客はまだいないようだ。
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持ってきた沢靴に履き替え、鉄橋の袂から入渓する。水はしびれるぐらいに冷たい。早くからあきらめているけど、この水温じゃ遡行なんてわしゃ無理じゃーw
鉄橋から奇異の視線を浴びながら、三脚を担いだオッサン(私)が渓谷と戯れている。
足元は冷たくとも、この清流を1時間ぐらい眺めていた。
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(水が澄み切っているので深さがわかりにくいが、これでも膝ぐらいはある)

小屋に戻り、濡れモノを木の枝に引っ掛けて乾かす。餌付けされているのか、カワイイ小鳥が現れては消える。
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コケの中からミヤマカタバミの花一輪。
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まだ14時前で陽もバッチリ高い。今から石塚小屋までは2時間半ぐらいだから、じゅうぶん辿り着けるだろう。でも私の尻には、もう根が生えていた。ここでまったり過ごすのじゃー(ヘタレ)。
Aコープで買った茄子2本を炒め、味の素製『う○のごはん』を混ぜ合わせると、茄子の肉味噌炒めのでき上がり。貴重な野菜を摂らなくちゃね。
ラジオからは屋久島地方の乾燥注意報と明日の晴天が告げられていた・・・
(つづく)

山行日:2009/4/30(木)
コース:のりこし655〜鯛ノ川渡渉点735-805〜乃木尾根展望地945-955〜淀川登山口1130-1150〜淀川小屋1230
形態:単独
天候:晴れ

垂直分布再び(3)

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尾之間歩道第3の部分は乃木(ノンキ)尾根。鯛ノ川渡渉点から尾根に登りつめると展望がある。もっとも360度ババーンという展望ではなく、肝心の奥岳はほとんど見えない。しかしながら普段はあまり注目されない島の南東部の山々を一望でき、白骨樹の景観ともども開放的な気分を味合うことができる。
淀川登山口に至る尾根道は、地形図上ではほぼ水平ルートになっているが、屋久島の歩道ならではの微妙なアップダウンが幾度となく繰り返される。また屋久杉も点在している。



5:30起床。外はもうぼんやりと明るくなっている。朝食はパンをかじる。体は重たく、めずらしく食欲が回復しない。GW前にひいた風邪の影響が、これほどまで長引くとは。

6:30ごろテントを撤収していたら、幕営地の真ん前にあった樹林に朝日が当たった。今日もいい天気のようだ。
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6:55、2日目の行動を開始。まずは30mほど下って小沢を渡る。鯛ノ川の枝沢のひとつだ。
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そして再び50mばかり登り返して、別の支尾根を越える。屋久島の場合、樹相が密になっているので、晴れていても尾根と谷の様子が視認しづらい。大峰のバリエーションルートの方が、まだわかりやすい。
そしてここから200m近く降下。増水時はホンマに激ヤバな『鯛ノ川渡し』である。
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数日前から雨は降っていないので、水は平流以下のはず。それでも靴を脱ごうかどうか迷うぐらい、渡渉ポイントには悩んだ。屋久島の渡渉点、おそるべし。
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6月にはヤクシマサツキが咲き乱れるというこの川べりで、しばらくまったりと過ごす。というか、縦走2日目も歩調は遅々として進まない。本日の計画(予定)では、一般道でないコースを経て、とあるマイナーなピークに立ってしまおうという欲張りなことも考えていたのだが、早くも心の中で挫折の念が渦巻いていた(ダメだこりゃ・・・涙)。

腐りかけの丸太の橋を何箇所か渡る。コケの石畳も再び現れ、尾之間歩道の中でもいちばん神秘的な部分を登っていく(画像は前項のトップ『尾之間歩道』の黒枠内を参照のこと)。
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鯛ノ川渡しから乃木尾根までの300mの登りは、1時間40分もかかった(ちなみに標準CTはただの40分である)。
欲張りな計画は、もはや完全に撤回されていた。(今日はフツーのルートで石塚小屋泊まりにしよ)てなことを思っていた。ということで?乃木尾根の展望地でも大休憩(笑)。

デカい倒木の上に乗って、乃木岳の東にあるP1399峰(左)と割石(わいし)岳を眺める。その右手には鈴岳もなんとか見えた(トップの画像参照)。
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北方向には石塚山(左)と天柱石のある太忠(たちゅう)岳が。
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歩道はここから90度左折れし、尾根づたい(といっても北側を巻き気味だが)の森の中を歩く。
そこは屋久島の森ならではの光景があった。
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(つづく)

垂直分布再び(2)

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尾之間歩道は、大きく分けると次の3つの部分から構成される。ひとつめは前出の蛇之口滝分れまでのハイキングコース。次がそこから乃木(ノンキ)尾根に至る部分。そして標高1300m以上の乃木尾根を淀川登山口まで西進する部分。正確に言うと、淀川登山口から花之江河までのルートも尾之間歩道の一部なのであるが、ここは宮之浦岳登山道の銀座でもあるので、一般的に『尾之間歩道』と呼称されることは少ない。

尾之間歩道の概要については屋久島リアルウェーブをご覧ください。


遅い昼食を摂った後、重い腰を上げる。ザックが肩に喰い込むのが辛い。それでもこのあずまやで幕営するのは、あまりにも情けないので、その念を必死に払拭する。
名前がわからない照葉樹の花。少し元気が出てくる。
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(アリドオシの花だそうです。rasa-uneさんに感謝)

標高500mを越える。樹間から蛇之口滝上部の大スラブを遠望できることを期待したが、その願いは叶わず。覆い茂る樹林からはこのアングルが精一杯だった。写真家・志水哲也が空撮に踏み切ったのも頷ける。
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高度が上がるにつれて倒木とコケの、屋久島らしい風景に変わってくる。ただし杉はほとんど見られない。島の南部に位置するこのルートは、気候が温暖なのだろう。
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そしてもうひとつ特筆すべき特徴がある。それは水が豊富なこと---いたるところから水が湧き出している感じなのである。おそらく鈴川(すずこう)の源流の山である鈴岳あるいは割石(わいし)岳は、たっぷりと水を湛えた山なのだろう。
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標高1000mを越えた。視界が一瞬開け、その鈴岳が見えた。ただし陽は傾きかけている。時計は夕刻5時を指している。いくら日没の遅い屋久島でも、樹林が深いのであと1時間ぐらいしか行動できないだろう。
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再び樹海に埋もれる。足元は苔むした石畳がちらほら。ただし目の粗い花崗岩は、コケが付着してもさほど滑らない。古道の名残りを感じながら、ここで最後の給水を行う。登山地図に書かれた幕営地からの至近距離にある(水)マーク。さすがにこの先に水場がある保障はないので、プラティを満タンにする。
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この重量増が堪えた。幕営予定地までの標高差200mがやけに苦しい。ほぼ半泣き状態で足だけ動かす。って、そんな簡単な登山道ではなかった。ときおり手も使わないと通過できない箇所も。
そんなかんだで通称『のりこし』に到着。本土ふうの言い方だと『のっこし』か。ここが鈴川水系と鯛ノ川(たいのこ)水系の分岐点でもある。
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ザックを地面に投げ捨てるように置く。ん?何かお尻の辺りが濡れているゾ。
ガ━━(゚Д゚;)━━ン!
さっき汲んだプラティから水漏れしているではないか!!
なんちゅうこったい! ザックの中も一部浸水。幸いシュラフは濡れていなかったので一安心。
呆けたようにヘタヘタと座り込む。すると20m下からチョロチョロという湧水の音。

苦労して(水)マークで汲み上げることはなかったのねん(涙)。濡れた下半身から寒気が襲ってきて、シュラフに潜り込んだ。エサはご飯+すし太郎。そしてAコープで買った〆鯖。食欲はほとんどなかったが、クエン酸を補給したのはよかったのかもしれない。

こうして孤独と寒さに震えながら、漆黒の闇を迎えた。
(つづく)


山行日:2009/4/29(祝)
コース:尾之間温泉1040〜蛇之口滝分れ1245〜(蛇之口滝往復)〜蛇之口滝分れ1420〜のりこし1805
形態:単独
天候:晴れ

垂直分布再び(1)

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海抜85mの尾之間(おのあいだ)温泉が、屋久島登山の古道のひとつである『尾之間歩道』の起点だ。ここから花之江河(はなのえごう)まで、長く険しい道程が待ち受けているのだが、途中の鈴川(すずこう)にかかる『蛇之口滝』の下部まではハイキングコースと銘打たれてあるだけあって、前半部分は確かに歩きやすい。ただ後半は・・・



今から1年半前、つまり一昨年の晩秋にはじめて屋久島を訪れた。天候にも恵まれ、とても素晴らしい屋久島の山岳を歩けた。ただこの島の魅力をゆっくり味あうには、3日間では慌ただし過ぎた。
固く再訪を心に誓った私は、それ以来屋久島の本や資料を読みあさり、また知人から情報も積極的に取り入れる日々が続いた。
そして勤務先の休日カレンダーが配られた昨秋、2009年のGWは奇跡的に8日間の休日が並んでいた。

これはもう、行くしかない(笑)。
休日の合わない山ノ神を自宅に残し、4/28(火)の終業のベルと同時に、私は伊丹空港へと向かっていた。

翌4/29(祝)、朝イチの便で鹿児島から屋久島へと飛び、路線バスで尾之間集落へと移動。
まずはAコープで食料の買出しだ。これから山に篭る○日間、食料の補給は一切できない。屋久島の山岳部には営業小屋も売店もない。
オニギリや弁当の類はなかったので、パンやヤキソバ等を買ってザックに詰め込む。快晴の空とモッチョム岳を見ながら、温泉へと向かう。
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本来なら下山して飛び込みたい公営温泉を横目に、歩道入口へと向かう。右の鳥居の反対側がエントランスだ。
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いきなり亜熱帯のジャングルの中に突入した気分。空が見えない。
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ウラジロ(シダの一種)とコケが辺り一面を緑で覆う。
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それにしても背中の荷物がやけに重たく感じる。病み上がりというせいもあろうが、足取りは非常に鈍い。私の前に単独の先行者がいたが、彼は今日中に淀川小屋まで行くつもりなのだろうか。
逆方向から何名かの登山者およびハイカー(蛇之口滝まで往復)とすれ違う。皆さん足取りは軽いようだ。

標高を上げるに従って亜熱帯の植生は影を潜め、登山道も沢筋と交差するようになる。鈴川の左岸に注ぐ支沢との渡渉地点が何箇所か。ハイキングコースとは言え、大雨直後は危険な状態になるそうだ。
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やがて鈴川本流と接するようになり、視界も少し開けてきた。後方のピークは耳岳か(訂正:芋塚山のようです)。
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大きなあずまやのある蛇之口別れにザックを置き、カメラと三脚を持って滝へと向かう。500mほどの距離だが、楽勝気分で歩けるルートではない。
蛇之口滝の最下部、水は少なめだった。
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実は蛇之口滝の真髄は、この上部にある大スラブ(花崗岩の一枚岩)にある。ハイキングコースから見上げる滝は、幅広の落差30m滝にしか映らないのが残念だ。

再び分岐まで戻って一服。昼食はAコープで買ったヤキソバ。ここまで歩き出してから4時間近くかかっている。ちょっと遅すぎるようだ。この先このペースで大丈夫かオレ?
(つづく)

垂直分布の島(結)

紅葉に彩られた大川林道を海に向かって下っていく※13。
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※13:
Fさんのご好意で、登山口に駐車してあった愛車を使わせていただきました。これには本当に助かりました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

大川の滝バス停※14で、予約しておいたタクシーが迎えに来てくれた。
海が青い。県道の下は砂浜になっており、ビーチで遊んでいるファミリーもいた。
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※14:バス停には湧き水以外何もない。携帯は圏外。公衆電話もない。

さあ、温泉に向かうとするか。おっとその前に滝見物をしなくちゃね。
大川の滝は滝壷近くまで入って行ける。さすがに滝百選のひとつだけあって、大迫力だ。飛沫を浴びながら、その素晴らしさに見とれる。【ポジ】
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海岸線の県道をタクシーで尾之間(おのあいだ)集落まで走る。まずは腹ごしらえw
汚れた格好で入るのも気兼ねするようなピカピカの食事処『豆風庵』で、遅めのランチをいただく。美味しゅうございました。
窓の外にはモッチョム岳(979m)の威容が。【ポジ】
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尾之間温泉※15で3日分の汗を流してさっぱりとする。

※15:露天風呂とかはないが、200円と格安。また温泉裏手からは淀川登山口へと至る尾之間歩道の入口がある↓
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風呂上りは半袖シャツ1枚でも丁度ぐらい。気温は23℃。それもそのはず、ここは南の島だった。
ブーゲンビリアやポインセチアなど亜熱帯の花々が沿道を飾る。
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亜熱帯植物から照葉樹林、そして広葉樹林、針葉樹林、そして亜寒帯の低木帯へと至る---まさに垂直分布の植生を目の当たりにすることができた。ただ今回の山旅は屋久島のほんの一面でしかない。再訪を胸に秘めつつ、暮れゆく屋久島を後にした。
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(了)

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