臆崖道の山日記

何かこのブログも閉鎖されるみたいですねw

気象蘊蓄

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本質理解をすべし

天気は変わらない。変えられない。だから悪天に対してボヤいても、ぐずついた天候に文句を言っても、何も生まれない。
だいたい現在の本州は梅雨真っ盛りなので、ほとんどの山ヤは嫌に決まっている。しかしそれはレジャー的な観点、つまり刹那的そして得手勝手な希望であって、農業従事者にとっては日照り続きの方が死活問題だ。そして山ヤ側にとってみても、雨が降らなければ、渓谷美も高山植物も悲惨なことになるではないか。

自身の日記に何を書こうが構わない。ただ毎回晴れたら喜び、事あるごとに雨が降ったら嫌だと悪態をつくのを読むと、笑ってしまう。本人は時候の挨拶がわりと思っているのかもしれないが、そんな高尚な前置きでもなかろう。まあ私に言わせれば「不毛」という印象である。

それよりも何が原因で、そういった気象が起こっているかを理解すべきだろう。そうすることによって、現在置かれている環境もわかるだろうし、明日明後日・・・の予想にもつながるはずだ。



気象傾向の基本は気圧配置図から読み取ることができる。それも上層(500hPa図、すなわち上空約5500mの等高度図)のものだと、この書庫の記事において、うるさいほど述べてきた。

現在の本州の気圧配置は、“西谷”傾向である。
“西谷”とは何か。それは日本の西側に、上空の気圧の谷(トラフ)がある、ということである。
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じゃあ、谷とは何か?
これは地形図と同じで、等高度線(等圧線と同じようなものと考えてよい)が、南方向に凹んでいるところがそれに当たる。上図を見ると、明確な谷が西側に形成され、それは続く予想になっていることがわかる。また樺太北に気圧の尾根(リッジ)が形成されており、これが梅雨時の名物と言えるオホーツク海高気圧を地上に形成する役割に当たる。つまり、まだ梅雨明けは読めない、ということだ。

話を元に戻すが、西谷の気圧配置は、日本の西南方向にある暖かく湿った空気(湿暖流と言う)が偏西風に乗って本州に流れ込み易くなる。つまりは曇りや雨の多い天気となりやすいわけだ。それは下図の週間地上予想図にも反映されている(ハッチング部分は、前24時間における5mm以上の降水域を示す)。
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暖候期の西谷が続くと、特に山岳では連日雨やガスに支配されるので、禁忌の気圧配置だ。顕著だったのは、2014年の8月。お盆前から1箇月以上もその傾向が続き、非常に天候不順な盛夏となったのは記憶に新しい。このときの500hPa図を下に示すが、見事な西谷になっている。
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ではどんな気圧配置の夏が山ヤにとって好ましいかと言うと、
①とにかくサブハイ(上空の亜熱帯高気圧、5880m等高度線がそれの目安に当たる)が、北海道ぐらいまで張り出すこと。猛暑になるが。
②そこまで張り出さないにしても、本州の西側が尾根(リッジ)になっている状態。朝鮮半島までサブハイが張り出せば、必然的に本州の東側が谷(トラフ)になる。

上記②は西谷の反対で、東谷の気圧配置になる。こうなると、入ってくるのは大陸北部の乾いた空気で、中部山岳では青空続きとなる。また地上気圧配置図でも、安定した夏の代名詞である“クジラの尾型”の高気圧に覆われる。
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猛暑となった2013年の㋇は、まさに東谷で、いい思いをした山ヤさんも多かっただろう。
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また、上空の気圧配置は西谷・東谷以外にも、ゾーナル(コンタが東西平行に走る)や本邦谷、そして逆相などいろいろなパターンがあって、夏冬に応じた山行計画を立てることができる。
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このように500hPa図だけでも、いろいろと気象概況を読み取ることできる。
気象学には、等温線図(温度の分布)、相当温位図(水分量の分布)などいろいろあり、しかも地上からの高さ別に状況が変わるし、さらには時々刻々と変化していくので複雑なことは否めない。
ただそれらを読み取る作業も、地形図から情報を読み取ることと、大きくは変わらない。何故読図ができる山ヤが、高層天気図を学ぼうとしないのか、私には理解できない。自分の趣味のために必要なことではないだろうか。





10日間予報も気象サービスの各会社が提供するようになってきているが、基本的にマーク(ほとんど意味なし)と降水確率と気温の予想数値のみ。
山ヤ(そうでなくてもだが)としては、気圧配置図を元にした気温や降水域のデータが欲しい。

現在、一般的に入手できる気象図としては、HBC専門天気図がデフォルトだが、それは初期値から192時間先の予想が最長である。
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最近ではGPV気象予報のサービスが便利である。以前はやはり192時間先までだったが、現在は264時間先までの提供となっていて、内容も降水量雲量、気温湿度、気圧風速と3パターンの情報で、とても重宝している。
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上の2つはいずれも7/16(木)のJTC21hのMSLP図だが、計算方式が異なっていると私は思っている。HBCのFEFE19は間違いなくアンサンブル予想だが、GPVのそれはメソモデルか局地モデルでの計算値だと思う。
つまりFEFE19は先の予想ほどブレを曖昧にした平均化の図や数値が描かれており、それは等圧線も降水域もアバウトな形となっていることを考慮して見るべきだ。気象庁発表の週間予報でもそれは同じことで、よく1週間先の天気予報が「曇りで降水確率40%」というのは非常に怪しい(晴れ、雨どちらにも転びそう)と思った方がいい。
GPVのように局地モデルだと、たとえ10日間先でも非常にシャープな形状や数値となって描かれるが、これは誤差を反映されていないため、次の日にはコロコロと変わる。

ところで、10日間以上先の中期予報には、海外モデルもあり、私はこれも参考にしている。
まずは世界一当ると言われているヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)のモデル。MSLPは気圧のみの予想だが、これよりも500hPaのコンタや850hPaの等温図が割と当りやすいことで知られている。しばしば民放のテレビの気象コーナーでも使われるようになってきたので、信頼度もそれなりにあることの証左だろう。
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今まで何度も言ってきているが、山ヤなら高層天気図は読めるべきだ。しかしこれは一夜漬けではどうしようもない。とにかく毎日見て、自分なりに考えれば自然に理解できるようになってくる。そして冬の天気が比較的先でも当りやすいが、夏期(特に前線が絡む梅雨)は一日先でも当り難いことも、だんだんとわかるようになってくるだろう。
次は韓国モデル(韓国気象庁)。信頼度がイマイチ?のような気もするが、一応。
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そしてアメリカ海洋大気庁(NOAA)のモデル。こちらは太平洋気象の豊富な蓄積データがあるようで、侮り難い。
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なお、NOAAは15日先までの中期予報を出しているので、これも私は参考にしているが、日本が含まれているものは北半球モデルなので、一般の方は見づらいだろう。ちなみに7/24(金)まで予想が出ているが、現時点ではサブハイの張り出しは非常に弱く、梅雨明けは全く見えない(ECMWFではそうではないが)。
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さて、この記事に登場した画像は、7/16(木)のJTC9hあるいは21hのMSLPを含むものだが、ハッキリ言ってこの予想が現実的になったら非常にマズイ。
そうなったらナンカーが、西日本太平洋側に大打撃をもたらす可能性が非常に高いからである。
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気象庁の定義する『冬(=12〜2月)』が終わり、『春』がやってきた。もっとも私はまだまだ雪山モードだが。
気象庁は“季節予報”という長期予報を実施しており、その発表のタイミングはリンク先の通り。よくニュースなどで、『今年の夏は猛暑になる(とみられる)』などと報道されるのは、この季節予報がベースになっている。
で、今シーズンの冬はどのように予想されたのと、その結果はどうだったのよ?というレビューは、ほとんど話題には挙がらないのがフシギだ。

【予想】
2014/11/25に発表された2014/12〜2015/2月の3ヶ月予報は、以下の通り。
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気温は東日本より西が高めの予想となっており、北日本は平年並み。
降水量は東〜西日本の太平洋側が多め、降雪量は北陸・山陰地方が少なめとなっているが、上の高温予想と相関関係の予測だ。その構図は以下の通り。
●寒気の影響が例年より少なめ→●冬型持続せず日本海側は寡雪の予想
                    →●南岸低気圧や湿暖流の影響で太平洋側の降雪は多めの予想


【結果】これは気象庁の実測データである。
(1)気温は12月が低温、1月が高温と極端
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3ヶ月トータルでは暖冬か寒冬かニュートラルか微妙だが、北日本(特に北海道)では完全に暖冬という結果だろう。西日本はどちらかと言うと、少しだけ寒冬かな?(沖縄・奄美は寒冬)
各地点の詳細を検証してみよう(右下の平年差の図の方がわかりやすい)。
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沖縄〜九州南部・四国・中国・山陰・東海と北陸三県・甲信越は完に寒冬と言えるだろう。近畿・関東・東北南部は微妙、そして東北北部と北海道はかなりの暖冬だったということがわかる。
私としては、初っ端の12月が極端に寒かった印象が引きずっているのか、そんなに暖かい印象はないのが実感だ。

(2)降水量(雪も含んだ数値)
群馬県など一部の地域を除いて、全国的に多め(よ〜降ったことになる)
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(3)降雪量と現在の積雪深
●累積降雪量は、北海道と日本海側平野部で少ない。内陸部で多め。特に長野県と岐阜県で多かった。
●期間後半が暖かかったため、平野部での現在の積雪深は平年より少ない。
●道東の現在の積雪深が多いのは、直近になって降った雪が多いから?


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(4)日照時間
●道北と関東以外は少なかった。これは降水量、降雪量と相関関係にあるので、当然の結果だろう。
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私のレビューは大体こんなものだが、気象庁がどのようにレビューするかはわからない。もしトータルで“暖冬”という評価を出しても、その内容は事前(11/25付3ヶ月)の予報とは大きく内容が異なっているので、“お見事”ということにはならないだろう。

ちなみに私は1ヶ月単にの季節予報でさえ、まるで信用していない。3ヶ月予報なら、話半分どころか、ほとんど信用していないのが本音だ。だってそんな先のことは、現在の技術では 当 ら な い から。

では、こんな当らない季節予報はヤメてしまった方がいいのでは?と言われそうだが、それは将来の予測技術の発展のために続けていくことにも意義はあると思う。



トータルでは暖かかったかもしれない今冬だが、雨も雪もよく降ったわけである。これは寒暖の差が激しく、激しい気象現象をもたらす低気圧や前線が何度も日本列島を通過したことの証左でもある。
その原因は?
温暖化による海水温の上昇という説も持ちあがってきているが、暖候期も含めて、どんどんと我々の気象環境は激しさを増しているように思う。

大切なのは、山ヤでなくとも、都市部に住む我々の生命を脅かすシビアウエザーを予測・回避するためにも、もっともっと気象について積極的に勉強する必要が高まってきている時代だと私は思う。
気象学なんて専門的に学んだことがないからわからない、と言い訳をする御仁・・・死んじゃってもいいんですか?

赤銅の月

昔から天文現象は好きだった。今宵はさほどめずらしくないが、皆既月食の夜。
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高度もまずまずの皆既月食だったので、海や山岳、渓谷とのコラボも撮ってみたかったが、さすがに平日はそれを許さなかった。
天文現象も自然現象のひとつ、山岳写真を含むネイチャーフォトと同じジャンルだと私は考える。今回は被写体単体のありきたりの“見飽きた”絵しか撮れなかったが、それでも最低限の撮影はこなしたかな。
そんなことを考えながら、地球の影から脱出していく満月に向かって、再びシャッターを切った。
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撮影日:2014/10/8
撮影機材:PENTAX k-5,300mmF4
※トリミング有

梅雨前線なき梅雨入り

実は本州の多くの地方は、まだ梅雨入りしていない
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上の地上気圧配置図は、今年の6/3(火)の午前9時のもの。梅雨前線が鹿児島県辺りにかかっているが、その左上(東シナ海)にある低気圧は、寒冷渦(上空の寒気を伴った低気圧のこと)によってできたもの。
これは地上図は控えめな低気圧となって描かれているが、500hPa図(上空5500m付近の等高線図)では顕著に描かれている。
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この寒冷渦が先週のノロノロ低気圧による西日本〜東日本の不安定な天候(ゲリラ雷雨)や局所的な集中豪雨を呼んだ。この寒冷渦は梅雨の気候とは直接関係がない。よって、まだ本州は梅雨入りしていないのである。
上図のように切り離された低気圧(カットオフロー)や、その東側にある背の高いリッジ(気圧の尾根)があると、上空の流れは渋滞状態となる。だから同じような天候が続くわけである。
※下図のような気圧配置は真冬の“鍋底寒気”とよく似ている。
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(左から6/4、6/6、6/8の500hPa図)
 
 
寒冷渦は上空にバランスを崩すような寒気があるため、上昇気流が起こる。そして地上の低気圧は南海上から湿った空気を送り込む。この2重の効果で大雨をもたらされたのが関東地方である。
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九州や四国地方でも記録的な大雨となった地域はあったが、それ以上に広い範囲でダメージを受けたのが関東地方。北海道の東側にある強い強い高気圧(これは梅雨時期に現れるオホーツク海高気圧とは違うもの。非常に背が高かった=まるで夏の太平洋高気圧のような存在=ため、6/3には北海道の遠軽などで記録的な高温をもたらした)がブロッキングしていたため、東海〜関東南岸の小低気圧が出現&消滅を繰り返した。そして大雨が続いたわけである。
関東は北側〜南西側は山地によって守られているが、南東方向は無防備だ。このような南東方向からの湿った気流の攻撃には弱いと言える。
 
現在、下図のように梅雨前線はまだ沖縄付近の緯度にある。そしてエルニ―ニョ現象のためかサブハイ(夏の高気圧)の勢力は弱く、梅雨前線はまだ押し上げられていない。そしてオホーツク海高気圧も明瞭でないため、梅雨特有の気圧配置にはなっていないのである。
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では何故気象庁は、東北南部まで梅雨入り宣言の速報値を出したのか?
気象庁における「梅雨」の定義は梅雨前線の存在に関係なく、「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」とある。下表は6/7(土)時点での週間予報だが、梅雨入り宣言を出したときはほぼ全国的に雨や曇りマークの連続だった。よって「定義」に当てはまるわけである(あと、防災的な見地の点もある)。
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でも今日の週間予報を見てごらんなさい。近畿地方なんか晴れマークの方が多くなっているもんね。多くの人は「いきなり中休みかいな〜」とか「また気象庁がフライングしてるよ」とつぶやくだろうが、それはこの先1週間ぐらいも、“本当の梅雨入りはまだしない”ことの裏返しなんだよね。
 


 
梅雨前線が活躍するような本当の梅雨はこんな感じ↓
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いずれも前線北側にオホーツク海高気圧(背は低く、寒冷で、湿った気団)、そして南側には太平洋高気圧(背は高く、暑く、湿った気団)があって、その境界面に梅雨前線が形成されている。結露するガラス窓の状態なわけだ。
湿気の絶対量は南側の多い。そしてそれは、太平洋高気圧の縁辺を回り込む。すなわち西南西方向から襲ってくるパターンがほとんどだ。
だからいつも九州・四国・山口県が災害に遭うのである。
上中図はキンクした前線上に小低気圧が発生したキケンなパターンだが、関東中心が大雨にさらされることは少ない。それは箱根や丹沢で守られていることや、そこに至るまでに他の地方に雨を落としているからである。
よって関東は梅雨には強い
日本海側の地方でヤバいケースは、梅雨末期。上右図のように前線が押し上げられた場合は、日本海の西南西方向から雨の元が多く供給される場合だ。2004年7月の福井県豪雨災害や1995年7・11豪雨災害(姫川)などが知られている。
 
梅雨前線の位置だが、大雑把だが500hPa図の5820mコンタが目安となる。そして何度も言っているが、5880mコンタがサブハイ(真夏の勢力圏)の目安。この500hPa図は特に山岳天気予報の根幹をなすものだから、HBC専門天気図などで毎日確認することが望ましい。
 


 
梅雨の走り(初期)に活躍するオホーツク海高気圧からの冷涼かつ湿った気流は、オホーツク海(本州から見ると北東方向)から吹き出すことが多い。この北東気流は奥羽山脈やアルプスなどの高い山岳を越えられないので、脊梁山脈の東側の山麓では濃霧だが、標高の高い稜線上では晴れている場合がしばしば見られる。

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