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関東〜南東北、そして特に甲信地方に記録的な大雪をもたらした2/14-15の南岸低気圧(※以下:“南岸”と略記)。
今冬は関東地方に多量の積雪をもたらす南岸が2度襲来したわけだが、「ほとんど雪が降らない」「大雪の予報が空降った」南岸であることの方が多い。つまり特別な南岸だったわけだが、この“バレンタイン南岸”がどうして前記地方に大雪をもたらしたのかは、複合的な理由だと私は思う。
【大雪の原因】
1.南岸南側の空気が、かなり(暖かいため)水分を含んでいたこと。
2.南岸の進路が悪かったこと。
温帯低気圧は北東部に広い雨域が形成される→こちら
バレンタイン南岸の進路は下記の通り。
ヤマテンの社長さんは、この理由が大きいと述べられている→こちら
3.関東甲信地方に下層寒気が滞留していたこと(だから雨ではなく雪が降り続いた)。
4.そして南岸そのものがさらなる寒気を引っ張り込んだこと。
偉そうにのたまう私だが、降り出しである2/14未明も実は軽視していた。全週2/8のときのように、すぐに雨やみぞれに変わり、大した積雪量にはならないだろうとタカをくくっていた。
だがバレンタイン南岸は、私の住む関西、そして奈良市内には予想以上の積雪量(観測値で15㎝)をもたらした。JR大和路線もまともに動かなくなり、大阪に出張していた私は戻るのに苦労した。
翌日(2/15)は休日出勤の予定日だったが、会社からの通達で中止となった。もちろん外出などできるわけもなく、自宅で事務仕事。
昼下がりに、あと半年でハタチになる愛猫にちょっとイタズラをして、久しぶりの雪を味わせてあげた
昨年秋に、19年間生活を共にしてきた兄弟のadagio君に先立たれたvivace君は、もちろん人間年齢に換算すると100歳ぐらいのお爺さん猫。こりゃ冷たいわ〜
2/16(日)、強い冬型の気圧配置だったが、近畿地方はほぼ全域で思いもよらぬ青空に回復していった。
登山口までのアクセスで苦労したくなかったので、不精してお手軽(とは言え、天ヶ滝新道の登山口も20cmぐらいの積雪で簡単には入れなった)のお山へ登った。
この山でこんなに白い景色は、見たことがなかった。
災害とも言える大雪のため支障の出ている地方にお住まいの方々には申し訳ないが、このバレンタイン南岸によって、いい思いもさせてもらったのも事実だった。
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気象蘊蓄
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季節の変わり目とあって、暖気
昨日から本州南岸と日本海を東進していった低気圧は一体化し、そして発達(暖気と寒気の温度差が大きかったことを示す)したため、東海〜関東〜東北太平洋側では強風に見まわれた。
これは季節性のもので、異常気象でも何でもないが、週末にもう一発やってくるヤツはかなりヤバそう
何故かというと、今回(4/2-3)の上空の流れはゾーナル(東西流)
500hPaというのは気圧の単位で、地上気圧のおおよそ半分、つまり上空5500m付近の気圧である。その500hPaの高度の分布を予測したものである。500hPaの高度が下がると空気は縮んでいることを示すので、その場所には寒気が溜まりやすいことになる。
そして上空の空気の流れに注目。上空ではこの等高度線に沿って偏西風が吹く。よって今週末の日本列島上空の流れは、北東方向に大きく蛇行
こうなると、北の寒気と南の暖気の混ざり合いに拍車がかかり、低気圧はより発達しやすく(気圧が下がりやすく)なる。低気圧の急発達→爆弾化
【週間アンサンブル予想図(=地上気圧配置のフォーキャスト)】
このように低気圧とヒトコトに言ってもいろいろな性質があります。ほとんど発達しない小さなもの,発達するが足早に過ぎ去っていくもの,爆弾低気圧となって大きくダメージを与えるコースをとるもの・・・その内容を理解して登山や釣りなどのアウトドア計画に役立ててください。
気象庁HPの各地域の天気予報・週間天気予報のコメントなども参考にされるといいでしょう。晴れマーク・傘マークだけを見てレジャー計画を立てるのはハッキリ言って不十分ですね。
昨年の4月初旬にも同じような爆低が襲来したことを覚えていますよね。
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山岳も平地もそうだが、雪景色は美しい。しかしその美しい表の顔も、暴風を伴えば無慈悲に大量の人命を奪う“裏の顔”へと豹変する。
先先週末(3/1〜3)、日本海を急速に発達する低気圧が通過し、その影響で道東地方では9名の尊い人命が奪われたのは周知の事実だろう。
湧別において9歳の娘さんをかばって亡くなられた漁師のお父さんには涙を禁じえないが、その近くの気象台(紋別)の3/2のデータを参照していただきたい。
1時間おきのデータ→こちら
10分ときのデータ→こちら
日中の降雪量はさほどでもない。また朝方には日射も観測されていることから、風は多少強いもののさほどの悪天ではなかったと読みとれる。
だが、爆弾低気圧の中心が通過したと思われる12時すぎ(気圧の最小値から読みとれる)から最大瞬間風速が20m/secを越え、気温も降下(ただしこの地方の気温としては異常に低いわけではない)。
最大瞬間風速が記録されたのは19:10頃、秒速30m近いというのは台風並み
気温は約-6℃(相対湿度94%)だが、体感温度はこのサイトで計算すると、-34.7℃!!
これではひとたまりもない。ゴアテックスの冬山アウターや目出帽・オーバーミトンや防寒具を装備していても、おそらくは一晩はもたない暴風雪だ。
ちなみに雪だけでも、低温だけでも、そして風だけが強くても、そう簡単には死なない。この災害時には降雪はさほどではなかったが、積雪した雪が暴風で吹き飛ばされ吹き溜まりとなったためクルマが動けなくなった。そして仕方なくクルマを降りて徒歩で知人先に向かったが、ホワイトアウトで身動きがとれなくなり、悲劇は起こった。
飛んでくるものが風だけはない。雪は体温で融け、そしてそれが体温を急速に奪っていく。
私は今まで八ヶ岳クラスの強風は経験し、また目出帽をかぶらなくても頬は凍傷にならなかったので甘くみていたが、同日(3/2午後)北アルプスの1600m付近、それもスキー場のゲレンデ近くで凍傷になりかけていた。それは飛んでくる雪と風によってなされたのであり、実に甘ちゃんだった。
(この記事は別項で掲載)
この爆弾低気圧が去った後(3/6以降)は、東日本までは季節通りに“春”がやってきた。
500hPaの高度の推移を観察するとそれは明確だ。
※この高度水位は東経135°地点におけるもの。
※500hPaというのは気圧のこと。地上気圧の約半分、すなわち上空5500m付近で500hPa気圧がどの高度にあるかを示したもので、等圧線ではなく等高度線で表記する。
※高度が高い=空気が膨張=暖かい空気となる。高度が低いのは逆(冷たい)。
ただ、春の空気のエリアが北に上昇するということは、すなわち高緯度地方の北海道・東北では、その境目にさらされるということでもある。そしてその境目では、冬と春の空気が入り混じり、低気圧がしばしば通過する。またその温度差が大きいと爆弾化し、非常にキケンな気象状況となる。
上の500hPa図でも北緯40°付近で、ハッチング部分の冷たい空気が下に突き出た(気圧の谷)形が小刻みに出てきているが、これは冬の再襲来(荒天)を示している。
上図のように4日間で別の低気圧に続々と襲来されている。私も含めてこのブログの読者のほとんどには、無縁な地方の特異な気象としか映らないだろうが、もっと理解されるべきである。
関東地方において南岸低気圧によって降雪が有る無しなんて、これに比べたら赤子のような気象条件である。
どこかのバカ都知事は気象庁に懲戒をと全くの的外れな発言をしていたようだが、単に都心の降雪による機能低下が脆弱すぎるだけなのにね。
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多くの人が誤解している・・・
先週月曜日の成人の日(1/14)に関東方面で大雪(この地域では)をもたらしたのは、低気圧が“爆弾”だったからではない。そのコースが“南岸”低気圧であったからだ。
そもそも爆弾低気圧という文言は気象庁では使用されない。“急速に発達する低気圧”という長ったらしいネーミングが採用されている。これはコースに関係なく、つまり日本海低気圧でも爆弾化することは、しばしばある。
※爆弾低気圧についての記事は→こちら
さて、この南岸低気圧だが、それが発生するとき台湾付近で等圧線が坊主(僧侶という意味よりも海坊主sea monkを彷彿するように思う)みたいな形になることから、今から40年ぐらい前まではよく使われていたコトバのようだ。1/13のお昼ごろには、それが顕著に現れている。
先週の南岸(低気圧)が急発達したのは、(温帯低気圧)発達のエネルギー源となる温度差が大きかったこと。つまりこの台湾坊主の南側には台風の卵とも言える熱帯低気圧があったため、そこから暖かく湿った空気が流れ込んでパワーアップしたためである。
そこからはみるみるうちに気圧が下がり(寒気と暖気が混ざろうとするチカラが強く働いた証拠)、そのため予想以上に北からの寒気を引っ張り込んだ、というのが大雪の原因らしい。
※上記の一般的とされる説に異論を唱える有識者もいる。その意見の方が理にかなっていると私も思うが、難しくなるのでリンクだけ貼らしていただくことにする→こちら
あとは爆弾化し、『猛烈な台風』並みの中心気圧となって、東海上に抜けて行った。
ちなみにこの低気圧が南岸ではなく日本海を東進するコースならば、太平洋側には大雪は降らない。
1/14、関東では予想以上の大雪になったが、その結果を(気象庁や気象予報士に対して)非難している愚か者もいるが、それはとんだお門違いだ。南岸によってもたらされる太平洋側の気象現象が雨になるか雪になるか、そしてその量とタイミングの予想は非常に難しいからだ。
奈良県内の例で検証してみよう。当日私の住む奈良市街地は雨だったが、それより西部に当たる桜井市笠地区や旧都祁村針地区では大雪となったらしい。笠や針は標高が400〜500mと奈良市街地よりも少し高いが、当日の気温はさほど変わらなかった。
上表にあるように、当日の最高気温は何と11時!!
一時的に冷たい空気が地表付近に流れ込んできた様子がよくわかるが、その差はわずか1℃にも満たない。しかし、片や大雨、片や大雪という全く違う気象現象となっている。これだけでも予測技術的な困難さがよくわかるだろう。さらに地形的な因子や、大気の立体的な動き(上層が温度が高く、下層が低くなる逆転現象になるケースもある)の因子もあり、スーパーコンピューターをもってしても信頼度は低いのが現状だ。
南岸もいろいろなパターンがあり、1/21-22のタイプは発達せず、しかもコースが本州南岸ギリギリを通るタイプだった。
上記パターンだと寒気を大きく引っ張り込むこともなく、また中心が陸地に近過ぎるため低気圧の南側すなわち暖気が優勢となり、降っても雨としかならなかった。
また1/23の夜(つまり現在)、伊豆地方や関東南部で雪か雨が降っているが、これも南岸の小型タイプだ。ただし『台湾坊主』のような顕著な出現の仕方ではなく、いきなりポっと出たような感じだ。
実はこの小型南岸、5日ぐらい前からその存在(発生)は予想されていた(ただしタイミングはちょっと早くなったが)。これは私的にはスゴイ精度だと思う。
さて、昨日(1/22)の21時頃、大阪や名古屋や福井において奇妙なドーナツ状の雨雲が、気象レーダーにて観測された。これは一体何?
まさか某国の核攻撃が始まった
それともUFO
実はこの原因も、南岸低気圧にあったのである。
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高見山も明神平も山上ヶ岳も武奈ヶ岳も御池岳も、雪が例年になく少ないらしい(2013年1月2日現在)。
こんなに寒い日が続いているのに何故?
その理由をデータを交えて考察してみた。
1.ホンマに寒かったのか?
これは本当だ
※山の上には観測地点がないため、山麓のそれで判断している。
ちなみに一昨年(2011年)の11月、以上に高温だったが、そのときの風屋の平均気温は11.9℃!
昨年のそれと比べると2.5℃も高いから、そりゃあ寒く感じるわ〜(月平均気温が0.5℃違うと、かなりの差となって感じます)。
2.降った雪が少なかったのか?
これは山域によって異なるが、そんなには少なくなかったと思われる。
降雪量の値をみると、朽木や余呉ではむしろ多い。鈴鹿北部では平年並みぐらいか。比良もおそらくは平年並みではないだろうか。
紀伊山地、すなわち大峰・台高の山麓では降雪を記録していないので何とも言えないが、もしかしたら平年よりは降っていないのかもしれない。
その理由は、(地上気圧配置図の)等圧線がしばしば“寝る
クリスマスから年初にかけての気圧配置図の推移をご覧いただこう。
まず、12/24の正午。いわゆる「タテジマ模様」の典型である。
しかし、半日もするとこれが一旦崩れる。
これは日本海のJPCZ上に小低気圧(寒冷渦)が発生し、その前面では等圧線が横に寝る形になる。そうなるといつもの北風は西寄りに変化し、日本海からの雪雲は紀伊山地には流れ込みにくくなる。
この小低気圧は地上図ではあまり目立たないが、それが接近する北アなどの日本海側の高峰においては壊滅的な暴風雪をもたらす。そしてこれが東海上に抜けると、再び強いタテジマになって近畿も含めて雪が降りだす。
3.寒暖の差が大きいため、数回降った大雨が雪を融かす!
少雪の本命理由はコレ。表Bの降水量をみてもわかる通り、12月の降水量は5割増しだった。
高層気象図をたびたび出して申し訳ないが、東経135度地点における500hPa(上空約5500m)の経時的な変化をご覧いただこう。
高層気象図では、等圧線ではなく等高度線で表わすためとっつき難いだろうが、同じようなものと考えていただいて差し支えない。低い高度の等高度線が南下すればするほど、冷たい空気も南下してくるイメージと思っていただこう。
そして下(南)にある5880mの等高度線は、しばしばこのブログで“サブハイ(亜熱帯高気圧)”として出てくるもの。真夏の主役が南海上とは言え、このクソ寒い時期に活動しているわけである。それが少しばかり北へと出てくると同時に、(この時期としては)過剰な暖気がアッパーカットのように突き上げてくることが何度かあった。
たとえば、12/15,22,30・・・など。
この暖気は水蒸気を多く含んでいるため、冷たい空気と混じると大雨の元となる。
この12/30の9時における850hPa(上空1500m)の高層図をご覧いただこう。
※実線が等高度線,点線が等温線,ハッチング部分は降水域
0℃の等温線を水色で示したが、東北北部までこれが上昇している。ちなみに冬型が強いときは、東北北部では-15℃ぐらいだから、かなり寒暖の差が大きいことがわかる。
ちなみに雨雪の境界温度は+3℃がひとつの目安であるが、このときは北アルプス南部の標高2000m地点ぐらいでも雨だったとのこと(ちなみにこの雨が、明神岳他の雪崩遭難の引き金となった可能性大)。
雪を融かす力は、日照よりも雨の方がはるかに大、なのである。
さてこの少雪傾向、3月上旬まで続くのだろうか?そうなったら魅力半減・・・雪がない雪山ほどショボイものはないからねぇ。 【おまけ】
晦日の大雨の後も同じようなパターンの繰り返し。この等圧線が寝た形は、紀伊山地には比較的青空をもたらすようである。すぎちゃんさんが行かれた1/2の大峰も、いわゆるタテジマの気圧配置が崩れていたわけである。
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