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年末、お出かけの方も多いんじゃないかな? そんな方のために、ケータイからも読める「年末ホラー」はいかがでしょう。ホラーが苦手な方はスルーしてくださいね。
なんだ? あれは……。 直也は地面に落ちているものに目を見張った。 手?……じゃないか?……まさか……? 日曜日の昼の雑踏の中で、直也が見つめようとしている物に、反応し足を止める者は他にいない。皆、平然とした顔で、通り過ぎ、店の中へ吸い込まれていく。 なぜだ? ここは最近どこの地方都市にも見られるような大型ショッピングモールの南正面口。 明るく、新しく、開放的で、大規模で、にぎやかで、清潔な……客を呼び寄せるために必要な全ての要素を取り込んで構築された大型店の入り口のど真ん中に、唐突に落ちている片方の手? ……一瞬、マネキン人形の腕先が落ちたのではないかとも考えたが、どう見ても直也の目に映っているのは、本物の人間の手だ…… 指の付き方からしてそれは右手で、手首から上が十センチほどついている。多分、大人の手だろうが、体液が流出したせいか、ふくらみがなく、異様に骨張って見えた。
腐敗臭が、その断面にむき出しになった骨や肉や何やら赤黒いグニグニしたものから、発しはじめていた。
まだそれほど古くなく、かといって新しいものでもなく、腐敗臭はこれからひどくなるのであろうが、とりあえずはまだ鼻をつまむ程でもなく、断面から流出した血液は、まるで子どもが床に落としていったコーンつきアイスクリームの溶けたヤツのように、とろりとした丸い小さな池になり、そのまま乾燥するのを待っているようであった。
しかし、だれもそれに目を留めようとしない。平気で素通りしていく。 何十人、何百人もの通行人がだ。
開店から2時間ほど経ったショッピングモールは、これから買い物や昼食や映画を楽しもうとする客たちがぞくぞくと南正面口へ集まり中へ吸い込まれていく。家族連れ、若いカップル、中高生の友達グループ、主婦たち、熟年カップル……誰もが何の不安も疑問もないといった幸せそうな顔をして店内に入っていく。
どうして?
他の人々には、これが見えないのか? いや、見えている。 よく前を見ずにふざけて歩いていたひとりの少年が、その手を踏みつけそうになって、あわてて宙でその足を止めた。そして歩幅を大きく変更し、その手をまたいだ。 「げっ、汚ねぇ。」と少年は言って、友達の顔を見て意味もなく笑った。ちょうど道ばたの犬の糞を踏みつけそうになったときと同じ、幼稚で品のないはしゃぎ方だった。
直也はどうすればいいのか、分からなかった。こんなものを見てしまったせいで、何かものすごい犯罪の共犯者の一味にむりやりさせられた感覚を覚えた。
誰か一人でも、この手のことで足を止めて欲しかった。これは大変だ、警察を呼ぼう、と騒ぎ、皆に呼びかけて欲しかった。
なのに誰も警察を呼ぼうとしない。あるいはもう警察を呼んであるのか。いや、とてもパトカーを待機している様子はない。
手をうっかり踏みつけそうになる客が、何人も店内に吸い込まれていった。 誰かに話しかけてみようか、「あの手が見えませんか? これは大変なことです、警察を呼びましょう。」と。 ……そうだ、そうするべきじゃないか? 直也の目の前に落ちている手は、間違いなく犯罪が関係している。誰かの命が奪われた可能性も高い。それを見過ごして通報しなければ、自分も犯罪者になってしまうじゃないか。
直也は勇気をふり絞り、通行人に声をかけた。
「あの……。」 あまりはっきりした声にならず、誰も気づいてくれなかった。 「あのう……。」
自分と同じくらいの年頃の大学生風の男にねらいを定めて、もう一度声をかけた。だが、無視された。
「あのう……。」
次の若者に声をかけたときは「宗教の勧誘なら、間に合ってるよ。」と言われた。
「なんですか?」「あのう。」 ありったけの勇気をふりしぼり、かなり大きな声で、通りかかった初老の婦人を呼び止めた。縁のない薄いメガネをかけ、軽くパーマをかけた上品な印象の婦人。
婦人はやさしげな表情をちょっと、堅くした。直也は言葉が見つからずに、咄嗟に落ちている手を指差した。
「確かに。本当に迷惑ですね、不衛生だし……。でもじきに掃除夫が来てかたづけてくれますよ。」「そういうことじゃなくて……け、警察を。」 「警察?」 婦人は眉をひそめた。 「スリにでもあったの? 具合が悪いの? なんなら救急車を呼びましょうか?」
婦人は直也の顔をまじまじと見つめた。直也はひどい動悸におそわれ、顔がこわばり、思わずその場で頭をかかえこんだ。
「大丈夫? あの……失礼ですが……あなた何か、頭の病気とかあります?」 婦人は平気な顔で落ちている手をまたぎ、つかつかと直也に近寄って、頭を抱えた直也の肩に手をかけようとした。直也の心臓は小さく小さく収縮していくようだった。
ああ、やめてくれ。近づかないで。肩をさわらないで!
えも言えわれぬ不安に襲われた直也は、一歩、二歩と後ずさりし、その後、くるりと背を向けると店の外へ向かって一気にかけ出した。 |
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●百物語●
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怪談とかホラーは好きですよ(^^)
DVDで呪いのビデオ一人で観てる時もあります(^^)
こういった小説好きです(^^ポチ^^
また、楽しみにしてます(^^
2009/12/29(火) 午後 10:27 [ ぺけ ]
ぺけさん、さっそく読んでくださってありがとう。このお話は続きはどうなると思いますか? 明日をお楽しみにね。
2009/12/29(火) 午後 10:56 [ keiko ]
こんばんは (^^)
読ませて頂きました、私も、ホラーや推理小説が
好きなのです、つぢきが楽しみです、私なりに
どうなるのか想像しているのですが? 凸ポチ☆
2009/12/29(火) 午後 11:16
こちら覚えてました( *´艸`)ムププ
心理的にコワイ作品ですよね…
転載させてもらいますね
(*ゝω・)σ凸<☆ポチ
2009/12/29(火) 午後 11:47 [ - ]
宿ちゃん 買おうとしたけど 色々入力したけど 駄目だった!
どうしたら 買えるかなぁ?
一応ツタヤでやったけど パスワードが何度やっても駄目だった。
2009/12/30(水) 午前 0:21
おはよう♪
真冬のホラーもいいですね
携帯かも読めるんですか、後で試してみますよ
ポチッと転載して宣伝させてね(はぁと)
2009/12/30(水) 午前 5:29 [ KORO ]
演歌人さん、みさとちゃん、panjiちゃん、koroさん、ご愛読どうもありがとうございます。みなさんが読んでくださって、とってもうれしいです。panjiちゃん、通販で購入するためには、きっと最初に登録をするんじゃないかな?と思います。いろいろどうもありがとう。
2009/12/30(水) 午前 6:09 [ keiko ]
光田ちゃんさんの小説、初めて読ませていただきました。
手が落ちている、それだけのことをこれほどに膨らませるって、素晴らしいと思います。
本当に手なのか、或いは精神の病なのか、興味がつのっていきます。
次回を楽しみにしております。
傑作ポチン☆彡
2009/12/30(水) 午後 6:16
百物語読めるのが嬉しいです。
これからが楽しみです。通販で簡単に購入できますよ☆
ポチ(^0_0^)
2010/1/31(日) 午前 9:56