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小姓とZENの俳句と言葉
俳句の解釈は読者の感じたことが正解です

書庫一般教養としての俳句

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謹賀新年

 
 
謹賀新年
 
 
元日やされば野川の水の音
小西来山(1654〜1716)
元日ともなれば普段見慣れているものでも、正月らしく見える。
そんな人の心持を詠んでいる、「されば」は、それだから、野川の水の流れも普段と違う音で流れている、と、感覚で捉えた句。
 
 
元日や草の戸越の麦畑
黒柳招波(1727〜1771)
表通りは門松で飾り賑やかで正月らしい。
裏(草)の戸越しに見える麦畑はいつもと変わらず静かで淋しい。
 
 
擦粉木のすりこぎらしく年迎う
後藤光冶
元日の厨に、擦粉木がふと目にとまったのである。
それをしみじみと見て「すりこぎだなァ」と改めて感じたのだ。
たとえば「擦粉木のすりこぎとして年迎う」だったら平凡な句。
 
 
本年もよろしく
 
 
 
―――――・―――――
旅人と我が名よばれん初時雨_芭蕉
潔い初時雨に濡れながら、道々で「もし旅のお人よ」と早く呼ばれる身になりたいものだ。
「よばれん初時雨」は旅に勇むこころの弾み。
(新潮日本古典集成・芭蕉句集・今 栄蔵 校註)
 
この句解には納得出来ない。
夏山、登山の途中、雨に合い上は雨具を着て、下は濡れるに任せて登り続けた、汗も引いて快適な登山、雨は少しも気にならなかった。
ところが山小屋に着いたとたんに登山の経験の浅いことに後悔が襲う。
濡れたままでは体温が奪われ五分と居られなかった。
 
「旅」は旅行ではない。
命をかけての旅だ、「芭蕉は命を削って句を詠んだ」森澄雄。
これは頷ける。
ひきよせて結べば柴の庵なり解くればもとの野原なりけり
慈円
紐で結んだだけの苫屋。
「ひきよせて建てれば柴の庵なり壊せばもとの野原なりけり」

旅人と我が名よばれん初時雨
何も初冬(十一月)に旅立たなくてもいいと思うのだけれど、来春まで待てなかったのか、疑問が残る。
又山茶花を宿々にして_長太郎
門弟の一人が脇句を付けている。
行く先々悪いことばかりではない、山茶花ぐらいは出迎えてくれるでしょう。
草庵に暫く居ては打ちやぶり_芭蕉
「打ち破り」勇ましいけれど、また帰ってきたら結べば庵は簡単に出来る。
「菰を着てたれひと在ます花のかげ」芭蕉は無一文、乞食の身。
いのち嬉しき撰集のさた_去来
生きて帰って来て下さいよ、撰集のお便りを楽しみにしています。
俳句の基礎は芭蕉。
 
――――・――――

一茶で・いっぷく

じつとして馬に嗅るる蛙かな=一茶
奥には「蛙よ怖がることはない、そうやってじっとしているがよい」と、小さいカヘルの肩を持つ
句の表には馬と蛙の所作を描写している。
小動物を愛護する一茶の句は実に多い。 
 
初蛍なぜ引き返す俺だぞよ
とぶな蚤それそれそこは隅田川 
 
又も来よ膝をかそふぞきりぎりす 
 寝返りをするぞそこのけきりぎりす
きりぎりす(蟋蟀)は寝床にまで入り込んでくるのでしょう。
コオロギには天敵はいないのでしょうか。
 
うらだなは陰気か蚤も外へ跳ぶ
うらだなは五尺の空に蝶の舞ふ
五尺の空って何なんだろう、初学のころはこの句の意味が判らなかった。

一茶と芭蕉

菰を着て誰人います花の春=芭蕉
(菰を着て誰人います花の陰)
乞食に徹する求道心は芭蕉日常の願望。
本当の風雅の道を究めるのには乞食になって自分を消して新しい心で桜を眺めて見ることだ。
芭蕉の句の中でワースト10に入る句。
僕はそう思う。
 
この句に一茶は激しく憤る。
お前さんなどはいざという時は大尽がついているから助けてくれる、
俺なんぞの暮らしは毎日が菰をかぶっているようなものだ。
蓮の花虱を捨つるばかりなり=一茶
蓮の花がいかに綺麗とはいえ俺には愛でる気分にはなれない、
虱をひねって捨てるだけのこと。
俺は景色の罪人である。
泣くな虫治るときには世は治る=一茶
海に出て木枯らし帰るところなし
=山口誓子・・・昭和19年作。
【木枯らしの果てはありけり海の音】=言水
 
言水の木枯らしは変貌するが、誓子の木枯らしは消え去るのである。
野を吹き、小の葉を落としながら吹きすさんで行った木枯らしは、何も吹く物のない海上に出て消え失せるのである。
当たり前の現象がこの作者の頭を通ることによって、たちまち一つの驚異となるのである。
定本現代俳句・・・山本健吉・・角川
 
 
さすが物書きを職業にしているだけのことがあり言葉を尽くしての批評も解説も見事です。
でも、言水の木枯らしが変貌して、誓子の木枯らしが消え去ってもこの句からそれほどの感動は湧かない。
 
海に出て木枯らし母に帰らざる=zen
木枯らしを特攻隊の少年兵に置きかえれば・・・涙・・涙
 
俳句の解釈、鑑賞に絶対はない。

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