|
【目次】
「看護・介護労働黒書」発行にあたって 1 「看護・介護労働黒書」まとめ 2 わたしたちの要求 6 1週間の生活実態表(ケース①〜⑧) 7 識者コメント 佐々木 司(公益財団法人大原記念労働科学研究所) 15 林 千冬(神戸市看護大学教授) 16 曽我 千春(金沢星稜大学経済学部教授) 17 水谷 幸司(一般社団法人日本難病・ 疾病団体協議会(JPA)事務局長) 18 川人 博(川人法律事務所 弁護士) 19 看護・介護労働黒書 ●病院における看護職場の実態 20 1.絶対的な人手不足が職員にも患者にも影響 2.不規則なうえに長時間労働、人間らしく働きたい 3.ハラスメントの横行 4.医療・看護をとりまく状況の変化 5.手術室の働き方も深刻 ●病院と地域をつなぐ職場 31 1.医療・介護は誰のためのもの 2.救急外来、外来も人手不足 ●地域で「生きる」を支える職場 33 1.訪問看護 2.施設介護 3.ケアマネジャーの立場から ●家族、他職種、患者家族などから 38 1.家族にも大きな負担 2.他職種から 3.患者家族・患者から ●それでも看護・介護はやっぱり素晴らしい 41 1.医療をまもる 2.看護・介護の喜び 資料 45 日本医労連2016年退勤時間調査結果より 45 2016年度日本医労連「(看護)夜勤実態調査結果」概要 47 2016年日本医労連「介護施設夜勤実態調査結果」概要 49 各業態の夜勤の職員配置および夜勤加算要件 50 夜勤規制Q&A 51 労働時間の適正な把握のために使用者が 講ずべき措置に関するガイドライン 57 2013年度看護職員の労働実態調査結果(概要) 61 |
医療福祉:資料・文献紹介
[ リスト | 詳細 ]
|
【目次】
1.新たなビジョンの必要性
2.医療を取り巻く構造的な変化 3.働き方実態調査の実施と活用 4.新たなパラダイムと実現すべきビジョン 5.ビジョンの方向性と具体的方策 1 能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方をフル・サポートする ① 個々の医療機関の人材・労務マネジメント体制の確立と支援等 ② 女性医師支援の重点的な強化 ③ 地域医療支援センター及び医療勤務環境改善支援センターの実効性の向上 ④医師の柔軟なキャリア選択と専門性の追求を両立できる研修の在り方 ⑤ 看護師のキャリアの複線化・多様化 ⑥ 医療・介護の潜在スキルのシェアリング促進 2 地域の主導により、医療・介護人材を育み、住民の生活を支える (1) 地域におけるリソース・マネジメント ① 都道府県による人的資源マネジメントの基盤づくり ② 都道府県における主体的な医師偏在是正の取組みの促進 ③ 外来医療の最適化に向けた枠組みの構築 ④ 都道府県における医療行政能力の強化 (2) 地域を支えるプライマリ・ケアの確立 ① 保健医療の基盤としてのプライマリ・ケアの確立 ② 地域包括ケアの基盤を支える人材養成と連携・統合 ③ 住民とともに地域の健康・まちづくりを支える医療・介護 3 高い生産性と付加価値をみ出す 高い生産性と付加価値をみ出す 高い生産性と付加価値をみ出す 高い生産性と付加価値をみ出す 高い生産性と付加価値をみ出す ① タスク・シフティング/タスクシェアリング ② 医科歯連携・予防の推進等 ③ 薬剤師の生産性と付加価値向上 ④ フィジシャン・アスタト( PA )の創設等 ⑤ テクノロジーの積極的活用・推進 ⑥ 保健医療・介護情報基盤の構築と活用 ⑦ 遠隔医療の推進等 ⑧ 「科学に裏付けられた介護」の具現化 介護」の具現化 ⑨ 介護保険内・外のサービス柔軟な組み合わせと価格の柔軟化の推進 6.提言の実現に向けて |
|
論文:公正取引委員会の「混合介護の弾力化」提案の背景・意味と実現(不)可能性を考える-混合診療解禁論との異同にも触れながら
出所:(「二木学長の医療時評(143)」『文化連情報』2016年11月号(464号):18-22頁) 公正取引委員会は9月5日に「介護分野に関する調査報告書」(以下、公取「調査報告書」)を公表し、「混合介護の弾力化」(保険給付内サービスと保険給付外サービスの同時一体的提供及び保険内サービスの利用料金の自由化)を提案しました。これを受けて、規制改革推進会議(本年7月で設置期限を迎えた規制改革会議の後継組織)は10月6日の第2回会議で、「当面の重要事項」として「介護サービス改革」を決定しました。この改革は「介護サービスの多様化(介護保険給付と自己負担の組合せをより柔軟に)」と「担い手の多様化(特養の担い手の拡大等)」の2つで、前者が「混合介護の弾力化」に相当します。
そこで今回は、公正取引委員会提案の背景と意味および実現(不)可能性を、医療における混合診療解禁論との異同にも触れながら検討します。なお、「日本経済新聞」はかつての混合診療解禁論争時と同じく、いち早く社説「『混合介護』を大きく育てよ」(9月6日)を発表するなど、混合介護拡大に前のめりの報道をしていますが、他紙の報道は醒めています。私もそれが妥当と思います。
介護保険は当初から「混合介護」を容認まず「混合介護」と「混合診療」には違いが2つあります。根本的違いは、医療保険では混合診療は原則禁止されているのと異なり、介護保険では2000年の制度発足以来、居宅サービス給付での「混合介護」が認められていることです。具体的には、①要介護度別「区分支給限度基準額」を超えるサービス利用と、②保険給付内サービス(以下、保険内サービス)と保険給付外サービス(同、保険外サービス)の併用です。ただし、②では両者は明確に区分して提供される必要があります。言うまでもなく、両者とも全額利用者負担です。
もう1つは根本的違いから生まれる派生的違いで、多くの介護保険事業者や医療介護経営誌が保険外サービスの導入・拡大を早くから経営戦略としていたことです。雑誌論文でみると、もっとも早いのは、『訪問看護と介護』2001年7月号の特集「介護保険外サービスに注目」(6論文)で、介護報酬が大幅に切り下げられた2012年以降は、同様の特集や論文が激増しています。最近は、「無限の可能性を秘める保険外事業」、「『希望の光』の介護保険外サービス」などの誇大表現(?)も使われるようになっています(『日経ヘルスケア』2016年6,10月号)。公取「調査報告書」によると、保険外サービスを提供している介護保険事業者は株式会社等で57.6%に達し、社会福祉法人でも38.0%です(58頁)。この点は、医療機関の多くが差額病床以外の保険外サービスを提供していないのと対照的です。
公取提案の2つの背景それにもかかわらず、公正取引委員会が「混合介護の弾力化」を提案するのはなぜか?
私は背景・理由は2つあると思います。1つは、公正取引委員会が「事業者の公正かつ自由な競争を促進し、もって消費者の利益を確保することを目的とする競争政策」(つまり市場原理の徹底。そのカギは価格の自由化)を、社会連帯の理念に基づく社会保険により提供されている介護市場(正確には「疑似市場」・「準市場」)にもそのまま適用できると無邪気に信じているからです。公正取引委員会は介護保険制度発足直後の2002年に発表した「社会的規制分野における競争促進の在り方」についての報告書でも、以下のように「介護サービスにおける自由な価格設定」を提唱しており、「三つ子の魂百まで」と言えます。「介護サービスにおける価格競争を有効に機能させる観点から、家事援助等一部の介護サービスについて、価格設定を自由にするとともに、施設介護サービスにおいても、介護保険対象サービスと非対象サービス(自己負担サービス)との自由な組合せを認めていく必要がある」。
言うまでもなく、このロジックに基づけば、株式会社による医療機関経営の禁止も混合診療の原則禁止も、全国一律の診療報酬制度も、さらに究極的には国民皆保険制度も否定されることになります。公取「調査報告書」でも、「混合介護の弾力化」だけでなく、特別養護老人ホームの開設への株式会社等の参入が提案されています。
もう1つの理由・背景は、公正取引委員会が本来は独立性の高い行政委員会(いわゆる「三条委員会」。府省の大臣などから指揮監督を受けず、独自に権限を行使できる)であるにもかかわらず、今や安倍政権に従属し、同政権がアベノミクス・「成長戦略」の重要な柱と位置づけている「公共サービスの産業化」や「介護保険外サービスの活用促進」を側面から支援しようとしているからだと思います。
公取委提案の2つの新しさ-18年ぶりの「指名料」提案公正取引委員会の「混合介護の弾力化」提案には2つの新しさがあります。1つは、「保険内サービスと保険外サービスを組み合わせて同時一体的に提供することを可能とすること」、もう1つは「利用料金を自由化すること」(その中心は「利用者が特定の訪問介護員によるサービスを希望する場合には指名料を徴収した上で派遣すること」)です(公取「調査報告書」65,102頁)。
私は、前者は、特に制度改正を行わなくても、制度運用の柔軟化で十分に対応できると思います。公取「調査報告書」で紹介されている自治体のアンケート調査でも、保険内外のサービスを「一体的に提供することはできないが、区分が明確になっていれば、連続して提供することは可能である」と回答しているそうです(60頁)。それに対して、保険内サービスの利用料金の自由化や「指名料」導入は、全国ほぼ一律の介護報酬制度の根幹を崩す提案です。
実は介護保険の構想段階では、介護保険が支払うのは「平均的な費用を勘案した額」として、介護保険事業者は利用者からそれを上回る差額を徴収できるようにすることも検討されていました。その後は、医療保険と同様に全国ほぼ一律の介護報酬を設定する方向になりましたが、厚生省(当時)は1998年12月14日の医療保険福祉審議会老人保健福祉部会・介護給付費部会の第1回合同部会で、利用者が「特定の」訪問看護婦やホームヘルパーによるサービスを希望する場合、事業者は、1割の利用料に上乗せして「指名料」(自由料金)を徴収できるとする「素案」を提出しました。
当時、私は以下のように論評しました。<この素案は、直接的には、「高かろう良かろう」式の看護・介護サービスを販売している営利企業の参入を促進することを目的としているが、長期的には医師・歯科医師の「指名料」を合法化するための布石でもある、と私は判断している。/ただし、この素案には審議会委員が猛反対し、否定された-「バーやキャバレーじゃあるまいし」(橋本泰子委員の名言)。しかし、将来的にはそれが復活する危険性は残っている>(『介護保険と医療保険改革』勁草書房,2000, 11頁)。
残念ながら私の予想が当たり、「指名料」提案が18年ぶりに復活したと言えます。
混合介護の弾力化の実現(不)可能性最後に、公正取引委員会の提案の実現(不)可能性について、思考実験を行います。
私は、上述したように「保険内サービスと保険外サービスを組み合わせて同時一体的に提供すること」は、制度運用の柔軟化で実現する可能性が強いと思います。これには、利用者の利便性の向上という面もあるからです。ただし、それにより、全額自費の保険外サービス市場が急拡大するとは考えにくいと判断しています。
なぜなら、1割負担の保険内サービスですら、利用はごく限定されているからです。それは2つのデータで確認できます。1つは、居宅介護サービス利用者の要介護度別の1人当たり平均費用額は支給限度額の4〜6割にとどまっているからです。もう1つの理由は、居宅介護サービスの利用者のうち、区分支給限度基準額を超えて利用している方の割合は、要支援・要介護全体でわずか1.3%、要介護5ですら2.9%にとどまっているからです(共に平成27年度介護給付費実態調査(5月審査分)。厚生労働省老健局総務課「公的介護保険制度の現状と今後の役割 平成27年度」22頁)。前者の数値は介護保険後漸増していますが、後者の数値は、2000年の介護保険制度開始後ほぼ一定です(少なくとも、増加傾向にはありません)【注】。
定価の9割引と言える保険内サービスの利用さえこの状況であることを考えると、全額自費の保険外サービスの利用が急増することは考えられません。そのために、私は、大都市部の富裕層を主たる対象にした事業所以外の介護保険事業所では、「混合介護の弾力化」は経営改善の追い風にはならないと判断しています。このことは、混合診療の拡大で収益増が期待できる病院が「首都圏にある高所得層対象の一部の民間ブランド病院」に限定されるのと同じです(『医療改革』勁草書房,2007,55頁)。
他方、利用料金の自由化はもちろん、「指名料」の導入もきわめて困難だと思います。その根本的理由は、全国ほぼ一律という現行の介護報酬制度の根幹を否定するからですが、もう1つ、それにより介護給付費が急増する可能性が大きいからです。なぜなら、料金が自由化された場合には保険外サービスの料金は上昇する可能性が高いため、要介護者は、サービス利用を増やす場合、全額自費の保険外サービスに比べてはるかに自己負担が少ない保険内サービスの利用を優先するからです。厚生労働省はこのことを熟知しており、利用料金の自由化に徹底抗戦するし、財務省もそれを後押しするのは確実です。
上述したように介護保険での「指名料」導入は、将来的に医師・歯科医師の「指名料」導入に繋がる可能性が大きいため、日本医師会や日本歯科医師会等の医療団体も頑強に反対します。
混合介護の弾力化には、「介護の成長産業化」を促進する狙いがありますが、以上からそれは幻想と言えます。 【注】介護保険の居宅介護サービス利用者のうち区分支給限度基準額を超えている者の割合の推移この数値は、定期的には公表されず、社会保障審議会の介護保険部会や介護給費分科会で不定期に報告されるだけです。私が検索して得た要介護・要支援合計の数値は以下の通りですが、相当の漏れがあると思います。
【補足】「保険外サービス活用ガイドブック」を読むと営利目的の保険外サービスが普及しないもう1つの理由が分かる本文では書きませんでしたが、本年6月の一連の閣議決定と公正取引委員会の提案との間には、微妙だが重要な違いがあります。それは、前者が「介護保険外サービスの活用促進」(「骨太方針2016」38頁)、「介護を支える保険外サービス市場の創出・育成・見える化」(「日本再興戦略2016」69頁)と述べ、「混合介護の弾力化」にまでは踏み込んでいないことです。この点では、公正取引委員会は先走りすぎと言えます。
閣議決定の線でまとめられたものに、経済産業省・厚生労働省・農林水産省が本年3月末に共同で発表した「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集-保険外サービス活用ガイドブック」があります。これは「高齢者向け保険外サービスの企画・実践におけるポイント(事例からの示唆)」に続いて、39の「参考となる事例」を紹介し、「自治体向けのメッセージ」で終わっています。
この事例をみると、「保険外サービス」がきわめて多様であり、1回当たりの利用料から判断して高所得層だけでなく、中所得層も十分購入可能なサービスが大半であると思います。事業者も、大企業は少なく大半は中小企業であり、少数ですが、NPO法人や生活協同組合、社会福祉法人も含んでいます。39事例の(本社)所在地を見ると、大半(30)が首都圏・関西圏・名古屋圏で、残りも1個所を除いて県都またはまたは県の中心都市です。
提供されている「サービス概要」を見ると、家事代行、便利屋、見守り、買い物支援、宅配、コミュニティ拠点等は、すでに多くの地域で、先進的な社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO法人、医療法人、町内会等が、単独または市町村と協力し、無料または低額で提供しているものと重なります。
これらのサービスは、厚生労働省・自治体が地域包括ケアシステムにおいて「互助」での提供を期待しているものとも言えます。厚生労働省の「地域包括ケアシステム」の解説でも、互助の例として、「当事者団体による取り組み/高齢者によるボランティア/生きがい就労/ボランティア活動/住民活動」が例示されています。今後、各地域で地域包括ケアシステムが推進され、互助が活性化した場合には、地域住民の多くは、価格と信頼性の両面で、営利目的の保険外サービスの購入(「市場サービスの購入」=「自助」)よりも、互助を選ぶと思います。
さらに、個々の事業者間の競争を促進し(つまり、社会保障制度改革国民会議報告書とは逆に「協調よりも競争」を重視し)、個々の消費者に良質な「保険外サービス」を提供することを絶対化する公正取引委員会は、地域包括ケアシステムで強調されている「地域づくり」や「共生社会づくり」という重要な視点を欠いており、自治体や各種「互助」組織および地域住民の支持は得られないと思います。以上が、私が、公正取引委員会が目指している営利企業主導の保険外サービスが大きくは普及しないと考えるもう1つの理由です。
最後に一言。上記「ガイドブック」は「自治体向けのメッセージ」で、「公的介護保険と『自助』のサービスを併せて高齢者に提供する」ことや「保険外サービスの積極的活用」を強調するだけで、「互助」の役割についてはほとんど触れておらず、「地域包括ケアシステム」の理念に反していると思います。
[本稿は、『日本医事新報』2016年10月29日号(4827号)に掲載した「公正取引委員会の「混合介護の弾力化」提案をどう読むか?-混合診療解禁論との異同にも触れながら」(「深層を読む・真相を解く(57)」)に大幅に加筆したものです。]
|
|
■「地域医療構想 」の概要 と内閣府「専門調査会第一次報告」 と内閣府「専門調査会第一次報告」 と内閣府「専門調査会第一次報告」
■なぜ、多くの地域で なぜ、多くの地域で 病床 減と推計され るのか? るのか? 増えるところは、 これで これで いのか? ●GLの必要病床数と医療需推計には重大なカラクリがある ●レセプトは診療の結果。医ニーズそもでな レセプトは診療の結果。医ニーズそもでない ●平均在院日数相当で急性期打ち切り。さらなる短縮と超高速 回転の加速へ ●慢性期入院の一律削減、在宅医療・施設重度症化 ●ベッドが減る地域はもちろん、 増える地域でも、現場と患者・家族に過大な負担 ■地域医療構想と整合的に「従事者の需給見通し」を策定 |







