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ストーリー:第一次世界大戦中のシナイ半島。
砂漠の民アラブ人は、民族国家の建設と近代化を
いち早く達成したトルコによる侵略を受けていた。
アラビアの言語や文化に精通したイギリス軍のロレンス少佐は
英国の敵ドイツと組むトルコをアラビア半島から駆逐するため、
英土両軍が思いもつかない奇襲作戦でトルコの手に落ちたアラブ人の都市を奪還していく。
ロレンスの行動の目的は単にイギリスの権益を守ることではなく、
アラブ人に自信を回復させ、さらにはトルコ勢力一掃後のダマスカスを中心に
アラブ民族の統一国家を樹立することだった。
感想:60〜70年代に盛んに制作されたスペクタクル巨編のなかでも、この映画はダントツの完成度。
特にカメラが巧い。
オートバイが疾走するファースト・シーンでロレンスが事故死した瞬間を、
ロレンスの視線と同化させたカメラで観客もまた、
その人の視線になって事故を体験させられてしまうという幕開け。
次に、彼に面識のあった様々な人の口から主観像として語られる、
ロレンスに纏わる猥雑なエピソードの数々。
こうして一人歩きする虚像を意識化させる事で、
この映画のロレンスもまた、一つの虚像に過ぎないと教えているかのようだ。
ロレンスの視線の先に広がる炎熱の陽炎でゆらめく砂の地平線の遙か彼方、
そこに小さな黒点が現れる。
その小さな人影が、此方に向かって徐々に近づいて来る場面のジリジリとした時間的、
空間的な緊張感の表現が凄い。
ロレンスの従者が何かを察知して慌てだした瞬間、
遠距離から撃たれ呆気なく倒れる衝撃的シーン。
族長アリとロレンスの邂逅を、見事なまでに劇的に演出した場面だ。
実際の出身がアラブ人(エジプト)である俳優オマー・シャリフが演じる、アリと
イギリス人俳優ピーター・オトールがロレンスを演じる
二つの際だつ文化的背景の違いを服装と風貌で観せるなど俊逸。
アカバ攻略に向かう途中、苦しい砂漠越えを敢行中、
引き返して落伍者救出を成功させるロレンスの強靱な意志力というか
狂気をピーター・オトールが憑依的演技で完全にロレンスに成りきったところが、
この映画を成功に導いている。
それに、果てしなく広がる砂が幻想的なまでの造形美と神秘性を秘めて素晴らしかった。
キャッチコピー:灼けつく大砂漠を越えて今ロレンスが進撃する!(リバイバル時)
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