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ストーリー:一九三三年、ナチス台頭の時代。
ルール地方に巨大な権勢を誇る、
製鉄王ヨアヒム・フォン・エッセンベック男爵一族の上にも、
その暗雲が忍び寄ってきていた。
総支配人フリードリッヒは、男爵の子息の未亡人ソフィと愛人関係にあり、
性格異常のその息子マーチン(H・バーガー)をおとりに男爵の地位を狙っていた。
感想:ドストエフスキーの「悪霊」をモチーフにしたであろうヴィスコンティの傑作。
特にマーチンの人物造詣と親衛隊による突撃隊殺戮劇「血の粛清」シーンは白眉だろう。
分厚い制服を着た男達が、
乱痴気騒ぎのパーティーで酔い潰れた裸同然の同類達を一斉に射殺する。
迫りくる映像に僕らは完全に宙吊りにされるしかなかった。
同類による同類の粛清という震撼すべき絶対的空疎。
それは退廃した様式とイデオロギーという悪霊に一直線に繋がっている。
悪霊とは何か?
ここでマーチンよって語られる「スタブローギンの告白」は、
ナチスという悪霊に憑かれることの危うくも美しい幸福感を見事に描いている。
神の黄昏として表現される巨大な空疎⇒退廃。それは地獄の入口でもあるのだ。
ナチスやソ連が滅んだ今でも、そのモチーフ、現代的意味は全く死んでいない。
この映画を観たのは数年前でありますが、その内容を思い出すに付け、
それは麗らかな春の昼間に朧見る悪夢に似ている。
ぞっとして跳び起きた瞬間、まるで其処こそが地獄の入口であるかのように感じるのだ。
キャッチコピー:巨大な物量と雄大な構想!
怒濤のごとく歴史をくつがえし
世界支配をめざす 第三帝国ナチス・ドイツの 恐るべき真相!
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