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老化のことを考えるとき、私が一番印象に残っていることがあります。
10年ほど前、今は亡き父をはじめて、ショートステイへ連れて行ったときでした。
そこにいる人たちの顔が一様に無表情だったことです。
それからしばらくの間に、父もだんだんに無表情がふえていきました。
父は穏やかに感情が消えていったように思います。
最後のころは、ほとんど無表情の父が時々笑顔を見せてくれたときに、私はとても感動するようになっていきました。
母は逆でした。
なんでもないことに激情することが初めて起きたときには、私も戸惑ったことがあります。
激情が繰り返されるうちに、やがて、無表情になっていきました。
そういう中でも、かなり最後まで子供たちの生活を気遣ってくれている思いが伝わってきていたことが、忘れられませんが、それもとうとうなくなってから、数ヶ月で他界しました。
老化というものは、そういうものなのだなと体験しました。
無表情になっていくことは、自分から人間関係を作り出していく意欲がなくなっていくことですが、それは社会的な活動を維持する力も消えていく過程でもあると思われます。
話は変わりますが、筑波大学の征矢英昭先生と、坂入洋右先生の開発した2次元気分尺度というものを使って、ヨーガと呼吸法をすることで気分がどのように変化をするかを調べたことがあります。
その結果を調べていて、気がついたことがあります。
それは、ヨーガ・呼吸法をすると、自分自身に対する感受性が高まることでした。
自分自身の気分に対して鈍感であることは、無表情とつながるのではないかと想像をめぐらせています。
このことを客観的にきちんと調べるにはどうしたらいいのかは、まだ私にはわかりません。
ただ、主観的にはヨーガ・呼吸法を続けていれば、老化現象で無表情になっていく速さを遅らせられるのではないかと思っています。
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