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それはまだ少し肌寒さが残る2011年4月半ばのことでした。 ブログ仲間のおっさん二人のつぶやきを垣間みてしまった時から、 私の無謀なる挑戦が始まったのです。 おっさんの名は ただ者ではないのに自称普通のおっさん「ジェームスボンド」氏と サイクリング界に一石を投じようとする熱い男、銀輪舎店主「てるぼう」氏。 おっさんAジェームスボンド氏が言います。 「今年のツールドのとに向けてそろそろ練習・・・・」 おっさんBてるぼう氏が答えます。 「今年は自分も参加を・・・」 ツールドのとか・・・ いつかそんな大きな大会に出られたらいいな。 何気ない気持ちで募集要項を覗いてみました。 「ツール・ド・のと400」 起伏に富んだ能登半島の海岸線を3日間で一周するサイクリング大会。 総距離400キロメートルを超え、国内最長級の大会として全国から多くのサイクリストが挑む。 はは、こりゃ無理だわ。 それまでの私のロングライド最高距離は40km(で、くたくた)。 あまり起伏に富んでないしまなみ海道を走ったくらい。 しかも、右足に麻痺を抱えています。 (最近訪れてくださってる方はご存知ないかもね、詳しくはこの辺に) 動かない右足をトウクリップで固定しながら、 ストップ&ゴーもままならない、 そんな状況で走ってましたから。 でも、つい余計なひとことを口走ってしまうのは昔から・・ 冗談のつもりで言ってみたのです。 「あのお、98%無理なんですが私も出てみよっかなあ (心の声:ナンツッテ…)」 全く、余計なことを言ってしまったよ。 おっさん達がワクワクし始めてしまいました。 ジェームスボンド氏が言います。 「来年はもっと症状が悪化してるかも、やろうと思えば今だ」 おおジェームス、なんてこと言うんですか。 40kmしか走ったことない私に・・・ でも、彼は続けて言いました。 「1日コース(124km)がある。これなら可能性があるかも」 『可能性』 病状の悪化でどんどん歩けなくなる自分に、 諦めたくなかった私は、 もしかしたら・・それはミラクルかもしれないけれど、 いつも「可能性」を捨てなかった。 一度立てなくなったけれど、 リハビリして、装具付けてなんとか支えがあれば立てる様になりました。 そして自分には無理だと思っていた自転車も、 トウクリップを付けながら乗ることができた。 可能性があるならいっちょやってみるか。 まあ、ダメもと・・・ 私の人生いつもダメでもともと。 5月には能登半島入りし、実際に走ってみました。 124km・・・!? とんでもない。 半分の65kmで日が暮れました。 足はパンパンです。 翌日はゴール間近250mの峠超えができず、途中で車に乗りました。 箸にも棒にもかからないよ・・ 夫が言います。 「まあ無理じゃろ、止めといたら?」 多分このひとことで火がついたんでしょう。 無理ってなんだ。 決めつけるな! それからの私は完走できる可能性を求めて、 一夏がむしゃらに走りました。 70km・・・80km・・・ 少しずつ距離が延びて行きます。 クロスバイクからロードバイクに変え、 姿勢の違いで激痛になりながら走りました。 本番一ヶ月前の8月半ば。 おっさん二人に現地で夏合宿をしたいと相談してみました。 地元で過去2年出場のジェームスボンド氏は コースの先導やペース配分など指導してくれ、 ロードバイクをオリジナルカスタムに仕上げてくれたてるぼう氏は、 わざわざ宮城から駆けつけ「絶対完走させてやるから」と熱くなり、 ど真夏の暑い中、熱っ苦しい3人が能登半島を駆け抜けます。 瀬戸内の島では味わったこともないような起伏のある道。 軽い熱中症で体力は消耗され日も暮れた20:00前、 残り24kmを残してリタイアでした。 「ごっち、初100km越えだよ!」 おっさん二人はそれでも私を励まそうとしてくれます。 分かってました。 「やったー、100キロこえたー」 と、喜びながらも完走できない自分に情けなかった。 残り24kmには、高低差250mの円山峠という私にとっては厳しい坂が待っています。 そこまでも辿り着けない。 本番まで後1ヶ月・・・ 夏にがむしゃらに走り続け、股関節をおかしくしてた。 決めました。 残りはリハビリとストレッチの強化。 本番の季節は秋、気温は下がってる。 体力はもう付いてる。 柔軟な筋力を少しでも付けよう。 麻痺した足では取り外しができないと思っていたビンディングペダルにも変えました。 案の定うまくはまりません。 感覚で分かんないなら形で覚えるしかない。 一度はまった角度と方向を覚え、何度も練習です。 車の走らない小さな島に渡り、プロテクター付けてたくさん転けながら走りました。 バタバタ転けるので通りすがりの方が何人か心配して声かけてくれます。 私は答えます。 「転ける練習してるんですよ、ほらプロテクター付けてるでしょ」 そっか、転ける練習だ。 転けても倒れても負けない練習だ! ふと、そう自分に気付くのです。 夏合宿を終えて可能性は50%だと思ってた。 半々です。 最初の2%よりよっぽど高い。 『可能性があるならやってみるか。 まあ、ダメもと・・・ 私の人生いつもダメでもともと。』 もう一度そう唱える。 病状が悪化した足で満足に歩けない。 でも自転車に乗れば何十キロも自力で行ける。 可能性に懸けてみよう。 2011年9月17日 ツールドのと本番、朝から雨。 124.2kmの道のりを走り出そう。 半分の可能性を信じて・・・ (その2へ続く) |
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