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横浜の相鉄本多劇場で以前芝居のワークショップを受講した。
その時の講師が椎貝路生さんだった。
彼が今度芝居を演出するというので、今夜それを観に行った。
「ラン・フォー・ユア・ワイフ」という芝居だ。
椎貝さんの日記を読んで、愉しそうな舞台だろうと想像していたが
予想をはるかに上回るすばらしさだったので、ちょっと驚いている。
芝居を観に行くと気になる所があちこちに出てきて、なかなか物語に集中できない事が多い。
ところが今夜はいつの間にか話に引き込まれて、次はどうなってしまうのだろう、どんな事件が起こるのだろうと思わず手に汗を握ってしまった。
結局芝居は脚本とか演出とか役者の演技の優劣とか、そんなものを観に行くのではない。
そこに存在している「人」を観に行くのだと思った。
今日舞台にいた「人々」は、それはそれは愉しそうにしていた。
そして「一緒に笑おうよ!」と私たちを手招きしていた。
だから私たちは彼らの輪の中にすっと入って行けた。
そこには不自然な空気など微塵もなかった。
すべてが美しく絡み合い、混ざり合い、溶け合っていた。
私は芝居を観ると、観る側よりも演じる側に回りたくなる事が多い。
しかし今夜に関してはどうだろう。
私は彼らのように美しい融合を分かち合えるだろうか。
自分一人が注目されたいと思わないだろうか。
今夜初めて、私は彼らのように美しい輪を作る事は出来ないのではないかと思った。
芝居の上限のない愉しさと同時に、底の見えない暗闇の怖さを感じた夜だった。
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