カオルコのジキジキな日々

いつかあなたとバックギャモンを

めおと楽団ジキジキ

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大阪公演 二日目

「牛馬頭のゲーム」二日目が終わった。
公演後お世話になっている「満天」にみんなで飲みに行って、ホテルに戻りお風呂から出たらもう何もする気力がなかった。ベッドに横になって二日目の様子を録音した音源を聞いていたら、第一幕の前半までしか記憶がない。
その日の内に日記を書いておきたかったが、ホテルからインターネットカフェにでかけるエネルギーなど、全く残っていなかった。
でも、しっかり睡眠が取れた今日になると、その方がよかったと思っている。
昨夜日記を書いていたら、恐ろしく後ろ向きの泣き言を並べて終わっていただろう。
今朝起きて準備をしていたら、今後その失敗を二度と繰り返さなければいいではないか、と思えるようになっていた。
野球で言うと、前の回守備でエラーをした時は、その裏でホームランを打てばチームの仲間もそのエラーを忘れてくれる。
今の私にホームランは無理だが、デットボールでいいからとにかく塁に出ようと思う。

初日を終えて「悔しかった」という気持ちを抱いたのが、うそのようだ。
二日目の悔しさにくらべたら初日の悔しさなど、ゴミのようなものだ。
二日目はそのくらいとても悔いの残る芝居になってしまった。

第一幕、私のしょっぱなの台詞は
「はい、やりましょう!パッと行っちゃいましょう!」
なのだが、実際にこの日言ったのは
「やりましょう!パッと行っちゃいましょう!」
つまり第一声の「はい」が抜けている。
意味がそれほど違うわけではないから、別に構わないのだが、
この最初の小さなつまづきが、実は大きな意味を持っていて、この日の私をすべて象徴していた。

まず前夜ほとんど寝ていない。体は疲れているのに眠れなかった。夜が明けても目が冴えて眠れないので困ったが、何とか眠ろうといろんな努力をした。
起きてやりたいことは山ほどあったが、絶対寝たほうがいい。寝ないまま現場に行って、ろくなことはないのだ。そうわかっていても何をやってもだめなので、結局起きることにした。

もう一つの「言い訳」として、変更になった箇所が気になり、その他の部分の集中力が欠けていた。
公演の前日であったりその日のリハーサルであったり、とにかく直前に変更が入る。
これは芝居をよりよくする為の改善なので、役者は即座に覚えてこなして行くのが当然なのだ。
他の人はそれをいとも簡単にこなしているように私には思えてならない。
私は自分がそんなに不器用だとは思っていなかったけど、それらを覚えるのにかなり苦労する人間なのだという事が判明した。
これまで全く間違えた事ないような場所でかんだり台詞が前後したり。録音音源を聞いてみると、なんとかごまかしているが、その時は気が気ではなかった。

私が自分の台詞の中で間違えるのは、まだいい。まずいのは他の人の台詞の途中で、自分の台詞を言い出してしまう、「食う」という行為だ。また、行動のきっかけが適度なタイミングより早いのもまずい。
昨夜はそれがひんぱんにあった。
まずは第一幕譲さんの台詞を丸々2行食ってしまった。
第一幕が終わって袖に椅子を持って下がって来た時、本気で人に文句を言ったのをあまり聞いたことのない譲さんから、さすがに「しなださん!」と小声で叱責されてしまった。
譲さんや、私が間違えた直後にからんだ帽子やお松さんに小声で謝って、私はさらに集中力を高めようと舞台袖の暗がりで深呼吸をした。
そして不安な部分をまず解消しようと、変更された台詞を何度も繰り返し、頭に叩き込んだ。

そしてその後、私は何とか持ち直した。
早替わりも1回目は問題なかった。
2回目は帯にはさむはずの携帯電話を床に落としてしまった。そこにいるスタッフに「あかり!あかり!!」と言って真っ暗な床を照らしてもらった。時間にするとわずか3〜4秒くらいだろうが、気持ちの上での衝撃は大きい。ただでさえ時間のない2回目の早替わり、さすが私もあせってしまった。本当は私が舞台上の定位置に戻ってから照明が明るくなるのだが、袖から(やっと見つけた)携帯電話を帯に挟みながら私が出てくるという、不自然な行動を取ることになってしまった。
録音した音源を後から聞いてみると、その後の台詞に不自然な点は感じられなかったので、表向きには大したことではなかったようだ。

第十二幕、問題の変更部分は思ったよりうまく行ってほっとしていた。泣く場面も昨日よりは指示通りの泣き方ができたと思う。初日にもここでは本当に涙が出てきたが、この二日目もしゃくり上げがなかなか止まらず、しばらく後ろ向きで呼吸を整えるのに時間がかかった。
これは迫真の演技だったからそうなったと思いたいが、本当にうまい人はそんな時でも、直後に冷静になれるよう、自在に感情を操作できるに違いない。そんな事今の私には全く無理だ。

私以外の役者のみんなには、そんなに大きなアクシデントもなく、二日目の幕が無事下りた。
懸案であった上演時間も、初日に比べると15分短縮された。
ほっとしていたのもつかの間、複数の仲間から今日はずっと食ってたねという指摘を受けた。
それが何箇所もあったという。思い出される限り挙げてもらったが、そういう印象があるのだからきっと他にもあったのだろう。
愕然とする思いだったが、またまた迷惑をかけてしまったことが判明した。
主に挙げられたのは、第四幕、しなだ家に私が入ってくる場面。
1回目の早替わりの直後、この時は着替えの時間に余裕があり、30秒くらいは袖で待っていられる。
だから全くあせることはないのだが、気持ちの上で早く出なきゃと思ってしまったのだろう。
ここは巨乳の三人姉妹が笑っているのにつられて婿も思わず笑ったため、三人からにらまれるというシーンだ。うまく行くと幕開けに笑いがとれる部分。
策やは婿が笑ったあたりで私が出てきたので、せっかく和むはずのチャンスを潰してしまった。
元々初日に比べると、二日目のお客さんは反応が薄くて、みんな舞台の袖で「今日のお客さん、重たいね」と言い合っていた所だった。
初日は第四幕の幕開けと同時にクスクス笑いがおこって、いい空気になっていた所だった。

また、もう一箇所も笑いが起こるはずの場面で、私が台詞を先走ってしまい、軽いギャグが不発に終わった。
録音音源を聞くと、確かに私の台詞が早い。そのためにお客さんの反応を待たず、強引に次に進めてしまった。
笑いを取るつもりの場面を邪魔された芸人さんはたまったものではない。私が逆の立場だったら、ただではおかないところだ。

そんな指摘を受けてしょげていた私にさやかさんが「まぁ、そんな日もあるよ」と慰めてくれた。
また今日も彼女の一言に救われた。

二日目は以前ライブでお世話になった「満天」に私がみんなを連れて行くことになっていた。
私は尻尾を巻いてホテルに逃げ帰りたかったけれど、私が行かなければ、話にならない。
満天の木村さんは、大きなキムチ鍋とトリ鍋を用意してくれていた。他にもいろいろつまみを出してくれて飲み放題で3,000円、とてもサービスしてくれた。
特に若いスタッフのみんながお腹いっぱいになって嬉しそうだったので、私も来てもらってよかったと思えた。

最初は、みんなと飲むのが苦手なのに来てくれた帽子やお松さんの横でいろいろ話していたが
後半お客さんを見送った譲さんが来たので、舞台監督の城田さんの横に座った。
そこで私は朝のエレベーター前で彼に会った事を思い出した。
初日に彼はだいぶ段取りの把握・指示などで苦労していたので、前夜眠れたか心配で、朝会ったら声をかけようと思っていたのだ。
会場に付いてエレベーターに乗ろうとしたら、他のスタッフと共に城田さんがエレベーターから出てきた。
私は心の準備ができてなかったのでちょっと言葉に詰まったがまずは「ゆうべ眠れた?」と聞いてみた。
彼は笑顔で「はい、ぐっすり眠りました」と答えてくれた。その次に何を言ったがあまり覚えていないが
「どんなアクシデントがあっても、私たちは城田さんたちスタッフを信頼してるから、城田さんたちも私たちに頼ってね」という内容だったと思う。
満天で横に座って少ししてから、城田さんに「今朝のあれは何だったんですか?」と聞かれた。
やはり自分でもわかってなかったけど、伝わっていなかったようだ。

飲み会では自分の失敗を考えていた所だったので、今朝のような能天気な事は言える訳がなかった。
人に「頼ってね」という前に、自分がやるべき事をやらないでどうする。
私は改めて、そんなに器用でもなければ度量の大きな人間ではない、という認識をここで新たにした。

昨日はそんな残念なことばかりではなかった。
救いと言えば、脚本を書く面白さを発見した事だ。
引き金を引く前に、しなだが家に電話をかける場面、2転・3転と変更があり、かわらさんもまだ最終案を出していなかった。
かわらさん自身、他にもかかえている懸案が山ほどあるので、私が自分で台詞の変更を提案して持っていくことにした。

かわらさんの意向を汲んでいろんなパターンを考え、自分なりの結論を出した。
ここはしなだがこう思っているので、こういう台詞にしました、という根拠も併せて伝えた。
ひとつの台詞を変えれば、後の台詞や他の人の台詞も変えないと、つじつまが合わない。
変更した前後だけを見ればいいのではなく、はるかかなたの台詞が影響を受けることもある。
実際に私が考えた場面は第十二幕だったが、ページにしたら20ページ先の樫須の台詞が変わる事に。
一番最後のページ、緊張する場面だ。

結局私の提案した台詞は却下になったけれど、それを考えている時間はとても楽しかった。
となりのファミリーマートでレポート用紙と筆ペンを買って、ト書き・音響を含めた台本を書いてみた。
インターネットカフェに行って、ワードで打ってプリントした方が読みやすいかと思ったが
そこまで出かけて行く時間が惜しかったし、筆ペン・縦書きの方が説得力があって
きっと採用されるに違いないという、またしても根拠のない確信を持っていたから。

変更時点をなるべく少なくすむように工夫して、その時のその人物の心理状態や方向を定めるのは、面白い作業だ。
飲んでいる時にかわらさんにそれを伝えると、まさにそれが脚本の醍醐味であり、そのパズルがうまく行ったときは実に気持ちがいいものだ、と教えてくれた。
こんな発見ができたのも、今回の芝居に参加したおかげだ。
拘束される時間も長く、衣装・小物など準備する物も多く、かなり苦労しても、きっとギャラは安いだろうけど
それを差し引いても今回の芝居に参加して、得るものが多いに違いないと私は今思っている。

さてあと4時間後に大阪千秋楽の幕が開く。
そしてその2時間半後、エンドロールが流れる舞台で頭を下げている私は、客さんの拍手をどんな気持ちで聞いているのだろうか。

大阪公演 初日

初日が終わった。
今はああしたかった、こうしたかったという悔しさでいっぱいだ。
大きなミスはなかったけど、第五幕の台詞のやりとりがちぐはぐになった。
打ち上げ会場で中村譲さんと二人、録音した音源を聞きながら、何が原因でそうなったか探った。
誰が原因ということではない、それぞれが前の人のきっかけで台詞を覚えているから、
それが一つでも狂うとグダグダになるのだ。
語り部の役割を持っている譲さんは、他の人の台詞もほとんど覚えいるから、何とか先に進ませようと道筋を作る。
その場にいる私を含めた他の5人も脳を最大限に回転させて、台詞でつなごうとする。
でも譲さんが先に進ませようとしているのに、思い出した台詞をはさんで後戻りしたりする。
みんなその場を何とかしようと必死なのだ。で、結果3歩進んでは2歩下がったりしていた。
きっとお客さんは私たちがすごい冷や汗をかきながら全員が必至で探り合いをしていたことに気付いていないと思う。
そんなに大きなダメージなしに筋は進んで行ったから。
そこに譲さん始め、出演者のプロ根性を私は見た。

今日は初日。幕が開く前に様々なアクシデントがあった。
誰かの衣装がない、靴がない。ここで着替えることなんか聞いてなかった。
舞台監督の城田さんは、本格的な芝居を手掛けるのが初めてだという。
彼の努力や苦労は計り知れないが、時間が間に合わなくて結局ゲネプロができなかった。
私たち役者は、幕間の段取りや音響・照明のきっかけなどが不完全なままなので
何が起こっても冷静に対応しなければ、という心構えで幕が開くのを待った。
不安を抱えたままステージに立った人もいた。
私には根拠のない自信があって、何が起こっても絶対乗り切るぞという意地がある。
その技術が完璧な訳ではないが意地だけはきっと誰にも負けない。
乗り切らなければ4,000円・4,500円を払い、2時間(会場までの往復を入れるともっと)という時間を拘束したお客さんに申し訳ないではないか。
学芸会ではないのだから。
準備不足は、きっと何か違う方法で補えたのではないかと思う。
城田さんを始め、これは誰が悪いということではないと思う。ちょっとした意識で改善できる事なのではないだろうか。

今日できなかったところは明日確認して、明日こそゲネプロをしっかりやろうと言われ私は唖然とした。
今日の失敗は、今日のうちに解決しなければ、明日出来る訳ないではないか。
譲さんも同じ気持ちだったと思う。だからこそ録音音源と台本を突き合わせて、飲み屋で確認作業をした。
どこから歯車が狂ったか解明しなければ、ホテルに帰ってぐっすり眠ることはできない。
二人で片方の耳に一つずつイヤホンを入れて、真剣に聞いている光景は、はたから見るとまるで恋人同士だ。
今それに気づいたけれど、その時はそんな意識を持つ余裕がなかった。
そんな二枚目俳優と接近できる機会などないのだから、もっとその気持ちを味わっておけばよかった。
そのあとも譲さんといろいろな話をした。結果、彼は薄っぺらな二枚目ではない事が判明した。
田舎から東京に出てくる時に、何とか女の子にもてたくて、ポパイを必死で読んだというエピソードには笑ってしまったが。

グダグダになったきっかけが判明したので、今はすごくすっきりしている。
いつも練習風景を録音していて、自分の反省の為に聞いていたが、それがこんなに役立つなんて
本番も録音しておいて本当によかった。
しかも全員の声がとてもきれいにはっきり撮れていて、ニュアンスまでがよくわかる。
これからホテルに帰って全体を聞いてみよう。いろいろ見えてくる事があるかもしれない。

さて、私の今日一日を改めて振り返ってみよう。
3:00頃目覚めてしまったことは、ひとつ前の日記に書いた。
あれからホテルに戻ってシャワーを浴びて出かけるで準備。
梅田駅近く、仕事にでかける会社員の波の中に混じって、あまり着なれてない感じの和服を着て大きなキャリーバックを持ったおばさんが歩いて行く光景は、ちょっと奇異に映ったに違いない。
9:55頃会場に着いて、大きな荷物を預ける。城田さん始め、スタッフはもう大道具の準備などを始めていた。
1階はパチンコ屋なので、エレベーター前には開店を待つ人が、階段にずらっと並んでいた。
この光景を見ると、朝からきちんと並んで開店を待つ熱意があれば、他の仕事をした方が効率がいいのではといつも思う。

10:05くらいに昨日見つけておいた美容院に到着。予約もしないでいきなり和装に合う髪型にして下さいと言われ、美容師さんも戸惑っていた。
10:30くらいに予約が入っているらしく、最初はどうしようか迷っていたようだが、私はここに断られると途方に暮れる。
私の強引さにあきらめたのか、ベテランの美容師さんはスタイルブックをぱらぱらやって、「こんな感じでいいですか?」と言ってくれた。
「ええ、簡単でいいのでお願いします」と拝むように答える私。
そして30分ほどで、私の頭は着物向きのアップにみるみる変わっていった。
ここでてきぱきと顧客の要望に応えるプロの腕をしっかり見せてもらった。
最初から和服を着て行ったので、出来上がって行くにつれ、私の気持ちも料亭の女将風に近づいて行く。
会計を済ませ、外に出て私が角を曲がるまで見送ってくれた、そのベテラン美容師さんに私もしとやかに会釈をして応えた。

集合時間の11:00までには、まだ少し時間があったので、お初天神にお参りした。
近松門左衛門さんにお願いすれば、きっと芝居はうまくいくに違いない。
またしても私の根拠のない楽観主義が顔を出す。
このお初天神は、以前大阪に少しだけ住んだ時によく来ていた、思い出の場所だ。
その時真剣に友達と話をしたベンチが、まだ残っていた。その石の冷たさは、今でもよく覚えている。
この近くで芝居をやる事になるなんて、その時は全く想像もできなかったが。

会場に到着すると、出演者は殆ど揃っていた。
かわらさんが衣装を取りに家に戻るというので、当日まであまり練習に参加できなかった平成ノブシコブシを交えて
軽く流しておこうと提案した。
もし私が彼らだったら、一分でもいいから稽古に参加したいと思うだろう。

結論を言うと彼らのプロ意識にびっくりさせられた。全くあせった様に見えなかった彼ら。
蓋を開けてみたら、本番で台詞はほとんど完璧に入っていたし、台本にない事まで言って笑いを取る余裕まである。
心配した私が馬鹿みたいだ。

私はと言えば、大きなダメージはなかったけど、小さな台詞の言い間違いがあった。
早変わりは、ヘアメイクの岩崎さんに助けられて、何とか間に合った。
それでも2回目の着かえの時はタイミングがギリギリで、携帯電話を帯に押し込みながらステージに戻った。
明日はもう少し余裕を持ちたい。
リハーサルで忘れそうになったぞうりも、岩崎さんの一言できちんと履いてでることができた。
ここでもプロの仕事を見せてもらった。私はメイクにほとんど興味がなくてヘタくそなので
一から岩崎さんに顔を作ってもらった。
最初はベースだけ頼もうと思っていたが、手が空いているというの最後までお任せして甘える事にした。
適度なしわを入れてくれて、根性の悪そうなおばさんが見事に出来上がった。

かわらさん、さやかさん、そしてきーちゃんにまで指摘された、引き金を引くシーンは
自分としてはかなり時間をかけて、もったいぶってから拳銃をこめかみに持って行ったつもりだが、
これから帰って録音を聞くと、きっと自分が思っているものより、はるかにあっさりしているに違いない。
明日はもっとねばってやろう。

また、今日になって台詞の変更があった。私が引き金を引く直前に家族に電話をかけるのだが
そこが丸々カットされた。今日になっての変更なので、電話をかける時に音効さんとのタイミングが合わずにちぐはぐになってしまった。
なんとかごまかしたけど、明日はきっちり打ち合わせしておこう。

途中泣くシーンでは、かわらさんの指示通り芝居くさく「え〜〜〜〜ん」と泣けていたように思う。
その場面では気持ちが高ぶって、意図しなかったけれど本物の涙が出てきたのには自分でも驚いた。
もう一ヵ所リットン調査団の水野さんの迫真の演技に引き込まれて、ぽろっと涙が出た場面があった。
いずれもお客さんは確認できないと思うので、あまり意味はないかもしれないが。

さあ、明日は二日目。初日の失敗の繰り返しは許されない。
周りのプロフエッショナルなメンバーに触発されて厳しい気持ちで臨むつもりだが、
ある程度のアクシデントを期待してしまう、悪趣味な私がいたりもする。

いよいよ今日初日を迎える。昨夜本番前日の稽古を終え、かわらさん、作家の佐藤さん
浜口浜村と四人で飲んで(いつものように私はお茶だが)ホテルに着いたのが23:00。
お風呂に入って足袋カバーを手洗いして干し、ベッドに横になったらそのまま寝てしまった。前夜ほとんど寝ていなかったので、さすがに疲れたか。
3:00頃目が覚めて、前日の稽古の録音を聴く。眠くなるかと思ったら目が冴えてしまい、眠れない。
だったら、と本格的に起きて昨日さやかさんに教わったように帯を手直ししてみる。
6:30頃ホテルを出てインターネットカフェに。

前日を振り返ってみる。
新幹線で少し眠れるかと思ったが、稽古の録音を聴いていたらあまり眠れなかった。
新大阪に早めに着いたので、会場の梅田アムホールへ行ってみる。懐かしいお初天神近く、閉館したウメダ花月に隣接している建物だ。近くに美容院はないか事務所の人に聞こうと思ったが、誰もいなくて自分で探すことに。周りには飲み屋は多くなかなか見つからない。
時間が来てしまったので、稽古場に向かう。BIG ISSUEの販売員から本場のBIG ISSUEを買って東梅田の地下鉄へ。駅ビルでマッサージの呼び込みのお姉さんに美容院を聞いたら、そこにあるとのこと。今日は休みだったが明日は10:00からやっている。だったら会場に入る前に寄れそうだ。

さて大阪で初めての稽古。大好きな天満天神繁昌亭のすぐ近くの稽古場。天神橋商店街はいつ来ても楽しい。昨日は祝日だったので、休みの店も多かったが。
みんなの衣装がすべてそろい、本番同様の衣装をつけて、音響のタイミングを確認しながらの稽古。カトリーヌの衣装がすごくきれい。
私は2度の着物の早着替えが、どれだけ短くできるかの勝負。
帯はさやかさんの知り合いの業者さんに頼んだので、ワンタッチでつけれらる。
着物は前日夜なべでお端折を縫いつけ、、ポイントにマジックテープをつけて短時間でさっと着られるようにした。本番ではヘアメイクの方が助手でついてくれるという。
でも実際決められた時間内でできるか確信はなかったが、やってみたら何とかなった。
さやかさんが帯を手直ししてくれたり、「背中きれいですよ、大丈夫」と励ましてくれてありがたい。
みんな本番前日でちょっと浮足立っている感じ。舞台監督の城田さんが、スタッフに指示しながら段取りを進めていく、今一番大変なのはこの人だろう。
私は引き金を引く場面を、思いっきりためてやってみた。本番で使う拳銃を初めて持ってみたが、すごく重くて長いのでこめかみに垂直に当てて引くことなんて不可能だ。
怖いだけじゃなくて、物理的に無理。そこは音響が合わせてくれるので引き金を引く振りだけでよくなった。助かる。
ここで私の泣く声がリアルすぎるので、もっと芝居くさく「エ〜〜〜〜ン」という泣き方にと直しが入る。
衣装合わせと音響・大道具類の確認をしながら1回通して今日の稽古を終える。

さてこれからホテルへ戻り、着物を着て会場に荷物を運び、美容院で髪をセットする。
着物は髪をセットしてからでもいいのだが、洋服で髪を整えても雰囲気が出ないだろう。
私も自分の気持ちを高めるために、着物を着て行こう。
いよいよ芝居の幕が開く。ショータイムの始まりだ。このワクワク感は何度経験してしびれるものだ。だからこの商売やめられない。

大阪公演を11/4に控え、東京での稽古は最後だ。私は夜ライブがあるので2時間ほどしか参加できない。
今日は今までと違って台詞を早口で言う練習で最初から通してみた。最初は意図がわからなかったけど、早口で言うことで前の人の台詞のきっかけをより早く把握しようとするし、動作の確認も早め早めにやろうとする。私は残念ながら第五幕までしか参加できなかったが、参考になった。
第六幕の途中で稽古場を後にした。帰る時に第六幕の出番がない帽子やお松さんと中村譲さんに「では大阪で」と小声で挨拶。譲さんから「忘れ物ないですか?」と言われ、もう一度棚を確認。こういう一言が嬉しかったりする。彼は最初あまりしゃべらず見た目通りの二枚目を通していたが、休憩時間におかまに誘われた話を実演付きでやった日あたりから、かなり砕けて面白くなった。元々そんな気取った人ではなかったのだ。

稽古前は東洋館出演の為、浅草に向かう。車の中できーちゃんに昨日の感想を聞いた。
私の台詞が一本調子なので、もっと抑揚をつけたらどうだろうと言っていた。その点譲さんはさすがプロ。
いろんなしぐさを交えながら、台詞に表情があってとても自然に聞こえたとのこと。
なるほど、そのアドバイスも参考になる。たまにはきーちゃんも役に立つではないか。

松戸若夏でのライブ、最後は輪になって踊りながら通路を回る(誰が名付けたか「若夏トレイン」と呼ぶ)のが恒例だが、昨夜もその例外ではなかった。
毎度お馴染みの人も初めてジキジキのライブに来た人も、ほぼ全員が輪になって踊りながら回る。
若夏は沖縄料理店なのに、そこそこのライブハウスよりも音響がいい。おとうがミュージシャンだからしっかりした設備があるし、ここを紹介してくれた、たかのしんがいつも音響を担当してくれて、細やかな心遣いで音を作ってくれる。
特にモニターのかえしが実にきれいで気持ちよく演奏できる。
音が良くて客が良くて店が良くて、そりゃあいいステージにならない方がおかしい。
ライブの後はおいしい沖縄そばをいただき、お客さんにシークワーサージュースをおごってもらって物販もTシャツ・CDなどが売れた。
チャージ\1,000円をまるまるバックしてくれるので、そこそこもらって帰れる。
こんないい条件は普通のライブハウスではあり得ない。
もう松戸への行き帰りの道も覚えたし、外環道路を使うとそんなに遠くないので「若夏」は定期的にぜひ出演して行きたい店だ。隔月出演と決めているので次回は予定だと12月だが、年末はいろいろあるので、次は1月にしてもらった。「そんなに先なのぉぉぉぉ」と言ってくれるお客さんの声も嬉しいものだ。

芝居の稽古十四日目

久しぶりに最初から最後まで稽古に参加できる日。そして着物を着て行く日。
前日の夜、着物の紐を縫いつけたり補正用の下着やさらしの縫ったりしていたらとうとう朝になってしまった。
そのまま自分で着付けしていたら、家を出るべき時間を過ぎてしまった。いろいろやり直したい部分はあったけど、仕方ないのでそのままでかけることに。
駅のエレベーターにある鏡などで見ると、直したいところばかり目についたけど、なんとか自分で着物を着て外出できた事は評価してあげたい。着物を着ただけなのに、自然と足が内またになったり、電車のつり革を持つ手もしとやかになるのは、面白い。
駅はエレベーターやエスカレーターを使ったけど、稽古場は四階で階段。今日は洋装で映像を撮るので着替えを詰めたキャスター付きのバックを持って階段を上がる。
稽古場に着いた頃はかなり息が切れていた。
さやかさんにいろいろ直してもらって稽古に参加。
着物だと勝手が違うから、歩幅やしぐさが変わってくる。心配していたけど、それほど違和感なくできてひと安心。
途中できーちゃんがビデオを持って来てくれた。練習風景を撮影してくれるとのこと。
今まで音だけで映像がなかったので、これは見るのが楽しみだ。
暗くならないうちに、私の洋装でのニュース映像を撮る。城田さんが用意したカメラの調子が悪いので、我が家のカメラを使うことに。
稽古場近くの住宅街で撮影、天気が良くて何よりだ。
設定は、ワンピースを着て手袋・日傘・サングラスをつけたしなだが歩いている。
そこへカメラがやってきて、「吉超」の偽装事件について問いただす。私はしらを切って知らないと突っぱねるが、しつこいカメラとリポーターを振り切り走って逃げるというもの。
2回撮影してOKが出た。なかなか面白い映像が撮れたようだ。私は違うパターンでもう1回撮って欲しかったが、そんなに時間はかけていられない。その為に稽古を中断してみんなに待ってもらっているのだから。
後半はまた着物を着たかったけど、稽古場に鏡もないし時間もないので、ワンピースのまま稽古。
この日はカトリーヌとしなだの対抗意識をなるべく出すように気をつけながら練習した。

帰り道さやかさんにまたしてもアドバイスを受ける。要点は主に三つ。
・台詞を言いに前に出た後、すぐ自分の立ち位置に戻るのはいかにも学芸会なので
しばらく前にいたまま、折を見て下がるようにする。
・自分が台詞を言う時、前の人が言い終わるのを待っていては遅い。かぶり気味でちょうどいい。
・引き金を引く場面は、まだあっさりしすぎている。もっとためてたっぷり時間を取らないと自然ではない。
いつもながらなるほどと思える的確なアドバイスだ。直前になってしまったが、本番に向けて自己練習しておこう。

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