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Zip&Candyの日々

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そんなわけで本日(28日)は『第46回 西野亮廣独演会 福島公演』が行われます。盛岡での仕事終わりに大急ぎで福島へ駆けこむ流れになるようで、電車に乗り遅れると命取りであります。

会場となるのは、25日にオープンしたばかりのショッピングセンター『MAXふくしま』さんの四階、AOZ多目的ホール。

最近の事件、同期芸人の悪口、スベルトンズの舞台裏‥‥話したいコト盛りだくさんで、今から胸躍る私であります。

終演後のサイン会も楽しみ。すでに絵本を読まれた方がおられましたら、どうか感想を聞かせてくださいな。山口トンボさんの計らいで、会場には『Zip&Candyのテーマ』が流れるそうな。素敵な空間になりますように。

会場でお待ちしております。

さて。

実は私、絵本出版は今回で2度目でして、以前に『Dr.インクの星空キネマ』という物語を発表しております。最近、「『Zip&Candy』がキッカケで『Dr.インクの星空キネマ』を知りました」というお手紙を立て続けにいただき、「その順番もあるんだなあ」と思っておったところ。

だったら、その人達は『Dr.インクの星空キネマ』のサイドストーリーまでは知らないハズ。『Dr.インクの星空キネマ』は話が4つに分かれていて、その3本目の『ドンドコ山のバケモノ』という物語はとても残酷な結末を迎えます。しかし「絶対ハッピーエンド宣言」の僕が、それで終わらすはずがありません。

あの物語には続きがあります。

以前やっていたブログに一度載せたものですが、今回このようなカタチで『Dr.インクの星空キネマ』を知って下さった方のためにもう一度。

パソコンでこのブログをご覧になっている方は、今すぐに画面右上のボタンをイジって、勝手に流れているこの愉快な音楽をお切りください。少し雰囲気が違うのです。

そして、まだ『Dr.インクの星空キネマ』をご覧になっていない方には、今からお話するこの物語はオススメしません。『Dr.インクの星空キネマ』の登場人物ありきで物語が進んでいくので、登場人物の役割を知っていと理解できない部分が何か所か出てきます。これを読む前に、どこかで『Dr.インクの星空キネマ』を立ち読みでもしてきてください。乱暴なお願いをお許しください。

準備はよろしいでしょうか?

千年も前から星空に伝わる美しいバケモノのおはなし。

それではご覧下さい‥

「Dr.インクの星空キネマ」には、

夜空の星を動かす、グッドモーニング・ジョーという名の星空コーディネーターがいました。

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隣の星へハシゴをかける、トキオ・ジェイコブという名のハシゴ屋がいました。

イメージ 2

世界中の人が眠った時に見る夢の脚本を書く、Dr.インクという名の脚本家がいました。

イメージ 3

Dr.インクが書いた脚本を世界中の人々のもとへ配達する、マルタ・サンポ―二ヤという名の配達員がいました。

イメージ 4

そして、

大きな音を鳴らして太鼓を叩き、村人から忌み嫌われ死んでいった、ヤクという名の醜いバケモノがいました。

イメージ 5

このお話は、その醜いバケモノの本当の物語‥‥

『ヤクとヤヨイの千年物語』

昔々あるところに、生まれたばかりの赤子を、貧しさの末に捨ててしまった母親がおりました。母親は10日間泣き続け、ついには涙をからしました。愛おしくてたまらなかった我が子はもう目の前にはいませんが、母親の頭の中には我が子の残像がくっきりと残っています。こんなに辛い思いをするぐらいなら愛する我が子のことを忘れてしまいたい、母親は思いました。

ある山に、全身緑色をした怪物がいました。その怪物の好物は人間の肉体ではなく、その人間の頭の中にある、その人間がもっとも愛している人の記憶でした。この怪物に喰われると、頭の中からもっとも愛している人の記憶だけが抜き取られてしまうのです。

怪物の噂を聞きつけた母親は、その怪物が棲む山へと登りました。自分がもっとも愛している赤子の記憶を抜き取ってもらい、少しでも気持ちを楽にしようと考えたのです。まもなく、母親の目の前に怪物が現れました。母親は我が子に「さようなら」と言い残し、覚悟を決めました。次の瞬間、怪物は大きく口を開き、母親をぺロリと飲み込みました。とはいっても、肉体を喰ったわけではないので、母親の身体は怪物の身体を通り抜けました。同時に、母親は自分がもっとも愛している人の記憶を失いました。

「ワタシはだあれ?」

それから数年が経ったある日のこと。そんな緑色の怪物の姿を今日も木の陰から見ている少年がいます。数年前にあの母親に捨てられた帰る場所のない子。正真正銘、人の子です。少年の名は「ヤク」といいました。

最初はヤクも怪物の姿にはたじろいでいましたが、毎日見ているうちに怪物がそこまで悪い生き物には思えなくなってきました。ヤクの知っている限り、怪物の方から人を襲ったことが一度もなかったからです。怪物が喰うのは「記憶を食べられたい」と求めてくる人間ばかりでした。

怪物の本当の顔を知りたくなったヤクは、木の陰から身を出し、怪物に話しかけました。怪物は、ヤクの声がした方に顔を向けました。が、少し目線がズレています。やはりヤクが思った通りでした。緑色の怪物は眼が見えていません。相手の位置を声で判断しているようです。そのことを知ったヤクは、自分の場所がハッキリとわかる大きな声で怪物に話しかけました。

「やあ、ボクの名前はヤク。キミの名前は何ていうんだい?」

怪物はあっけにとられました。この調子で人間に話しかけられるのは初めてです。「私が怖くないのかい?」と怪物は言いました。

「怖くなんかないよ。人を信じられなくなる方がもっと怖いよ」

しばらく黙って向き合った後、怪物は言いました。「私の名前はヤヨイ」

ヤクは不思議な少年でした。たったの一言で怪物の心を開いたのです。

気がつけば、ヤクとヤヨイは毎日一緒に遊んでいました。お互い、身のよりどころがここしかなかったのです。ある日、前々からヤヨイがこの場所から離れないことが気になっていたヤクは、「遠くに行きたいと思わないの?」とヤヨイに訊きました。ヤヨイは、迷子になるから、と答えました。そうでした。ヤヨイは眼が見えません。一人で遠くに行くことなどできないのです。

次の日。ヤクは村の蔵から大きな大きな太鼓を持ち運んできました。「これは?」とヤヨイが訊くと、「この太鼓をめいっぱい叩き続ければ、この音を背中にしてここから離れていくこともできるし、この音をたよりにここに帰ってくることもできる。これでヤヨイも遠くに行けるよ」

驚いているヤヨイの顔を見て、ヤクはイタズラな笑みを浮かべました。

「ドン、ドン、ドコドン‥」

少年の叩く太鼓の音など小さく、その音が遠くまで響くはずがありませんでした。結局、ヤヨイは遠くに出掛けることもありませんでしたが、それよりも素晴らしい景色がヤヨイの日常に広がりました。ヤクの気持ちが嬉しかったのです。

ヤクは、村の嫌われ者になっているヤヨイを守るのは、自分しかいない、と思っていました。

ヤヨイは古くからこの山に棲みつく怪物。とうとう寿命が迫ってきました。その事に気がついたヤクは「ヤヨイが死ぬならボクも死ぬ」と、ムチャなことを言いだしました。「どんな形になっても一緒にいよう、ヤヨイ。約束だよ」 ヤクはまだまだ子供です。ヤヨイには、ヤクのことなら本当にやりかねない、という不安がありました。 「ダメよ」ヤヨイは何度もヤクに言いましたが、ヤクは聞く耳を持とうとしません。

いよいよヤヨイの寿命が迫ってきました。木の下で横たわったヤヨイはヤクに言いました。「さようならヤク、楽しかったわ」 ヤクは口を尖らせて言い返します。「さようなら、じゃないよ。ボクもすぐに‥」次の瞬間でした。

ガブリッ。

ヤヨイはヤクを飲み込んでしまいました。「さようなら、ヤク。あなたに逢えて幸せだったわ」

ヤクは答えました。

「アナタはだあれ?」

ヤクの最後の言葉を聞いて、ヤヨイは安心して自分の身体の色と同じ緑色の星となりました。ヤクの住む青色の星からは、ヤヨイの緑の星は遠く、その輝きを見ることへできませんでした。ヤヨイはきっとわざと離れたのでしょう。ヤクのことです、思い出せば追いかけかねません。

ヤヨイの記憶を失ったヤクは、自分が森にいる理由がわからないでいました。だけれど帰る家もありません。ヤクはそのまま森に残り、何年もかけてその身体は大きくなり、森に近づいてゆきました。まるでバケモノのようです。

それから何年も経ったある日、夜空中の星がいっせいに流れた不思議な夜がありました。星の位置は昨日までとはまったく違うものになっていました。ヤクはそこに緑色に輝く星を見つけました。確かに初めて見るはずなのですが、その緑色の星を見ると、とても懐かしい気持ちになりました。そして涙があふれてきました。

どうして涙があふれるんだろう?

ヤクは緑色の星を毎晩見ていました。そして、緑色の星を見るうちに太鼓を叩かずにはいられなくなってきました。ドン、ドン、ドコドン、ドンドコドン!

どうして太鼓を叩いているんだろう?

太鼓の音を嫌った人間達が、太鼓を叩くヤクを襲ってきました。ヤクは襲われる理由ももちろんわかっていました。だけど音を鳴らし続けなければいけない気がしたのです。

そんなヤクの目の前に、ネコのような姿をした一人の女の子が現れました。

イメージ 6

最初は自分の命を狙う人間達のオトリなのかとも思いましたが、どうやらそうでもない様子。村へ向かう途中だった女の子は「森で迷子になった」と言いました。が、目線が少しズレています。

その女の子は目が見えていませんでした。

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ヤクは全てを思い出しました。

緑色の星を見て、涙する理由も。太鼓を叩き続けなければいけない理由も。ヤクは、その女の子にヤヨイの姿を重ねました。

この子を助けなきゃ。

「太鼓の音を背にして歩けば、村へ辿り着く。行け」気がつけば、女の子にそう言っていました。

ドン、ドン、ドコドン、ドンドコドン!

イメージ 8

ヤクは力いっぱい太鼓を叩き、女の子の道しるべとなりました。そして、まもなくのことです。ヤクの叩く太鼓が破れてしまいました。それでも音を鳴らし続けないと、女の子が再び迷子になってしまいます。

ヤクはドンドンと大きな音を鳴らし、岩山に頭をぶつけ続けました。

イメージ 9

血が噴き出し、ヤクはとうとう息絶えました。女の子が村へ辿り着いた頃、ヤクは夜空にのぼりました。血だらけで死んだヤクは赤い星になります。

夜空の赤い星になる一歩手前、ヤクは「グリンゴ」という雨の星に辿り着きました。一日中、雨が降るこの星では、ヤクと同じように姿をなくした者たちが、星になる順番を待っています。きっとヤヨイもここを通ったのでしょう。

グリンゴの町には一つだけ望遠鏡がありました。その望遠鏡は星を覆う雨雲を突きぬけ、銀河の果てまで覗くことができました。遠く離れた星に残してきた家族の様子などを皆がその望遠鏡を使って見るもので、望遠鏡はいつも順番待ちの長い列でした。ヤクも同じように列に並んでいました。

しかしヤクには残してきた家族などおりません。望遠鏡を覗く理由は他にありました。ヤクは、望遠鏡で東の夜空、西の夜空、南の夜空、北の夜空‥‥、毎日毎日あてもなく夜空を見ていました。

ヤクは緑色の星を探していたのです。ヤヨイを探していたのです。

今日も望遠鏡の列に並ぶヤクに、一人の醜い老婆が話しかけてきました。聞けば、この老婆は、もう何十年もグリンゴに住んでいる、と言います。順番が来れば星にならなければいけないグリンゴの規則を破って逃げ続けてきた老婆は、ヤクが来るのを待っていた、と言いました。

この人なら知っているかもしれない、とヤクは老婆に緑色の星を探していることを伝えました。それを聞いた老婆は二コリと笑い、「緑色の星の場所はわからんが、せめてお前の手助けをさせておくれ」と言い、老婆は次の日に星になりました。老婆がどこの星になったかはわかりませんが、頼んでくる、という言葉がその老婆の最後の言葉でした。口癖のように、「ごめんね」を繰り返す不思議な老婆でした。

次の日も、そして次の日も、緑の星はどこを探しても見つかりません。生きている人ならば声を出すので、その声をたよりに望遠鏡を向けられますが、星になってしまっては声を出せないので、緑の星の場所がわかりません。ヤヨイの場所がわかりません。

そして、とうとうヤクが星になる日がやってきました。

「ヤク、あなたはどこで輝く星になりますか?」

場所の選択をせまられましたが、緑色の星を最後まで見つけられなかったヤクは正確な住所を答えられず、なんでもないところの、なんでもない赤い星になりました。

緑の星を想いながら、赤い星は静かに輝いていました。

そんな時でした。

ヤクの赤い星を大きな優しい手がつかみました。「俺の名は、グッドモーニング・ジョー。お前の母親の頼みだ」という声が聞こえた、次の瞬間。

ビュウン!

ヤクの赤い星はすごい勢いで遠くに運ばれました。怖さのあまり閉じてしまった目を少し開いてみると、目の前には緑の星。

ヤヨイがいました。

ヤクとヤヨイは再び一緒になれたのです。それから何百年も、何千年も、緑の星と赤の星は寄り添いながら夜空に輝き続けました。

遠くで銀色にキラりと輝く光が見えました。

イメージ 10

〜おしまい〜

★★★★★

『Zip&Candy  ロボットたちのクリスマス

絵と文 にしのあきひろ

発売中

定価【1500+税】 幻冬舎

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『第46回 西野亮廣独演会 福島公演』

日時:2010年11月28日(日) 19:00開場/19:30開演 ※公演終了後 サイン会アリ

場所:AOZ多目的ホール 福島市曽根田町11−8 MAXふくしま4階

入場無料(先着200名様)

※当日18:00よりMAXふくしま3階「USランド」前にて入場整理券を配布いたします。

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『にしのあきひろ絵本原画展』

日時:12月16日(木)〜12月24日(金) 

時間:11:00−19:00(最終日24日のみ17時閉場予定)

場所:杉江画廊 東京都中央区銀座6−11−14 アセントビル2F

TEL 03-5537-3731   www.gallerysugie.com

入場無料



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