YAMINABE the Second Operation

この11年間の数多くの思い出を携え、私は新たな旅へと出発します。それでは皆さん、御達者で。

第一六計 欲擒姑縦

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承前  故事其之壹 ─ 丙





 鄭荘公は一見優柔不断で、弟の放恣を野放しにしていたかのように見えたが、実は公子段の自滅を待っていたのであった。
 このようにすぐには手を下さずに、時間を掛けて相手の出方を待ったのは、如何に国君とは言え、仮にも実の弟を討とうとするからには、それ相応の大義名分が必要だと思ったからである。
 京城大叔段を放置して泳がせておく事で、世間にも大叔段の本性と野心を明るみに晒させ、討伐の正当性と大義名分を引き出そうとしたのである。
 更には何も手を出さないかのように思わせて、相手側の油断を誘う事、共謀している党派をも炙り出す事、悪政による民心や民力の疲弊を待つ、という意図を秘めていたのである。そしてそれ等は見事に狙い通りになった。
 こうして鄭荘公の欲擒姑縦策は功を奏して、弟の謀反を鎮圧出来、国内に巣食う獅子身中の虫たちをも一掃出来たのであった。





 ♞ 黄泉に至らずんば、相見る毋からん

 そしていよいよ、国内に残る謀反の共犯であり、鄭荘公自身の実母でもある武姜の処遇である。
 共叔段を溺愛し、甘やかし過ぎて、このような大事を引き起こした元凶となった母に、鄭荘公は大層怒りを覚えた。
 鄭荘公は母・武姜を、謀反の共謀罪で城穎(じょうえい)【※14】という地に幽閉した。
 そして鄭荘公は誓った。


「黄泉(こうせん)に至らずんば、相見る毋(な)からん。」

【意味:御互いに黄泉に行った後でなければ、再び相見(あいまみ)える事はないであろう!】


「黄泉」とは「よみ」とも読む。「地中の泉」であり、死後に死者の行く世界の事である。
 すなわち鄭荘公は、互いに死んであの世に行くのではない限り、この世では二度と顔を合わせる事はしないと誓ったのである。
 これを以って鄭荘公は、母親との今生の別れとした。





 ♟ 永く爾の類を賜ふ

 しかし暫く経ってから、鄭荘公はそのような誓いを立ててしまった事を後悔した。
 そんな経緯を聞き、一計を案じて鄭荘公に謁見を求めた者がいた。
 鄭領内の穎谷(えいこく)【※15】という地で、封人(ほうじん)【※16】を務めていた穎考叔(えいこうしゅく)という者であった。
 謁見が叶い、穎考叔は鄭荘公に物を献上し、鄭荘公はその返礼に食事を賜った。
 だが穎考叔は、食事を召し上がりながらも、羹(あつもの)【※17】にだけは手を付けなかった。
 怪訝に思った鄭荘公は、何故かを尋ねると、穎考叔は答えた。


賤臣(せんしん)【※18】には母がございます。母も賤臣と同じく、常に不味い物を食しております。
 斯様(かよう)な美味なる羹を、未だ食したる事はございませなんだ。どうかこの羹を母に贈り、食させたいと思います。」


 それを聞き鄭荘公は、穎考叔の孝心に感じ入り、同時に自身の境遇に想いを巡らして、嘆息しながら言った。


「嗚呼(ああ)、そちには母がおり、物を贈れるというのに・・・・・寡人はただ己独りのみ。その母がおらぬ・・・・。」


 その言を聞いた穎考叔は、鄭荘公に尋ねた。


「はて?君公よ、それは如何なる事にございましょうや?」





後続  故事其之壹 ─ 戊

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