YAMINABE the Second Operation

この11年間の数多くの思い出を携え、私は新たな旅へと出発します。それでは皆さん、御達者で。

第一四計 借屍還魂

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承前  故事其之壹 ─ 甲





 ♜ 二人の計画

 本格的に動く前に、呂不韋は先ず濮陽の自家に帰り、父に尋ねた。


「田を耕して得られる利益は幾倍位でしょうか?」

「十倍だな。」

「では珠玉(宝石類)を商った利益は幾倍位でしょうか?」

「百倍だな。」

「それでは君主を立てて、国を新しく開く利益は幾倍位でしょうか?」

「それは・・・・見当も付かんな。」


 そうして呂不韋は直接公孫異人の下を尋ねて行き、自身の抱負を語った。


「我(われ)が子(し)【※4】の門(家)を大きく盛んにしてみせましょうぞ。」


 それを聞き、異人は苦笑して言った。


「先ず貴殿の門(家)を隆昌させてから、我が門を隆昌させてもらいたいものだな。」


 呂不韋は反論した。


「どうやら子は御分かりになっておられませぬな。子の門が盛大となってこそ、我が門も共に盛大となるのでございます。」


 それを聞き、異人は全てを察し、呂不韋の手を取って奥の間まで導き、密かに語り合った。


「秦王(秦昭襄王)は既に老いられ、子の御父上の安国君が太子に立てられました。
 秘かに聞き及びまするに、安国君は華陽夫人を最も御寵愛されておりますものの、その華陽夫人には男子がおられませぬ。
 安国君の嗣子に誰を立てるかを御決めになれるのは、唯一人華陽夫人のみにございます。
 今、子の御兄弟は二十何人とおられ、子は長子にあらず。
 しかも子は父君(安国君)からの寵もなく、長らく他国で人質として過ごされておられます。
 もしも秦王が薨(こう)じられ【※5】、安国君が即位なされた後、昼夜の別なく安国君の御側に付き添っている御兄弟方と、太子の位を争って得るのは、いくら子が望んでも叶いませぬ。」

「正に仰る通りだ。ならば我は如何致せば宜しいか?」

「子は貧しく、このように他国で人質として御暮らしになっておられるからには、親御様に贈り物を差し上げる事も叶わず、この国にいる名士たちと交誼を重ねる事もままなりますまい。
 そこでこの不韋、決して富裕とは申せませぬが、千金を以って子の為に西方の秦まで赴き、安国君と華陽夫人に拝謁を賜り、子を安国君の嗣子に立てられますよう、取り計らってみようかと存じます。」


 異人は頓首(とんしゅ)【※6】して言った。


「貴殿の策が成就した暁には、秦の国を貴殿と共に分かち合おうではないか。」





 ♝ 色衰ふれば愛弛む

 こうして計画の大筋は決まった。
 まず呂不韋は手持ちの千金を半分の五百金ずつに分けた。
 半分の五百金を異人の日常生活の諸経費に当てさせ、同時に異人が名士たちと交流する為の交際費とした。
 そしてもう半分の五百金で、呂不韋は珍奇な物産等を買い付け、それ等を携えて自ら秦まで足を運んだ。
 やがて呂不韋は秦に辿り着き、華陽夫人に面会を求めた。そして趙で購入した珍しい土産物を、全て華陽夫人に献上した。





後続  故事其之壹 ─ 丙

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閉じる コメント(3)

投資家として理想像なのが呂不韋なのかもしれません。
土地や金品よりも人間似対する投資がもっとも利益を獲得できるという知悉を発見したのですから。
ただ人は金品の価値以上に変質が伴いやすいため、同時にそれが彼の破滅にも繋がってしまったということ自体、人間投資の難儀さを示しているのでしょう。

2012/11/19(月) 午前 3:30 [ 彩帆好男 ]

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先のコメント、四日間も放置していて申し訳ございませんでした。まずは改めて御詫びします<(_ _)>。


呂不韋のような存在は、恐らく世界史上最初ではないでしょうか?と言うよりそれ以後にも例がないと思いますが。これって天才的な発想ですよね。
その上にビジネスマンとしてだけでなく、投資家としても、政治家としても有能なのですから、その善悪は別として、スケールの大きい人物だったのでしょう。

子楚を王位に着かせるに当たって、恐らくは一滴の血も流してないんじゃないかと思います。(あるいは史書に記されてないだけで、実際には死人が出てたのかも知れませんが・・・・^^;)


>ただ人は金品の価値以上に変質が伴いやすいため、同時にそれが彼の破滅にも繋がってしまった

2012/11/19(月) 午後 4:14 ZODIAC12

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これは何とも惜しいですね。
秦荘襄王(子楚)という最大の後ろ楯を失って以降、太后からは関係を求められ、秦王政からは嫌われで、対人運が悪かったとしか・・・・・(ーー;)。

国政の頂点に立って、どんなに権勢を極めようが、所詮は君主の臣下の一人でしかなく、君主の方が潜在的に最強の力を持っている訳ですから、秦王政の親政が始まった時点で運命は決まってたのかも知れません。

親政開始したと同時に、政界から綺麗サッパリ引退して、権力なども全て返上していれば、あるいはまだ結末も違ってたかも知れません。
呂不韋より少し前の范雎のように、終わりを全う出来たかも・・・・・。呂不韋は身の引き際のタイミングを誤ったのかも知れません。

2012/11/19(月) 午後 4:14 ZODIAC12


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