YAMINABE the Second Operation

この11年間の数多くの思い出を携え、私は新たな旅へと出発します。それでは皆さん、御達者で。

第一四計 借屍還魂

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承前  故事其之壹 ─ 己





 いつしか呂不韋の邸で仕える家僮(かどう)【※22】は一万人にも及んだ。





 ♘ 一字千金

 この当時の天下では、高貴な生まれと身分を持ちながら、異能や一芸一能に秀でた人士たちに自ら遜り、そういった人種を食客(しょっかく)として招く事が流行っていた。
 食客は普段は権勢家の邸に居候しており、働く事もなく、家賃を雇い主に払う事もなく、そういう意味ではいわば「タダ飯喰らい」ではあるが、それでもいざとなった時に、その権勢家に力や智恵を提供して補佐する私設秘書団、私設参謀団である。
 主人とは五分五分の対等の関係であり、臣下ではないので、いつ去ろうと自由であり、引き止める事は出来なかった。
 そんな食客を好んで、何千人単位で抱えていた事で、天下に名を知られていた貴人が四人いた。
 前出の魏の信陵君と楚の春申君の他に、斉の孟嘗君【もうしょうくん:姓は嬀(ぎ)、氏は田(でん)、名は文(ぶん)】と趙の平原君【へいげんくん:姓は嬴(えい)、氏は趙(ちょう)、名は勝(しょう)】である。
 これら四人の名望家たちを「戦国四君(せんごくよんくん)」と総称した。楚の春申君以外の三人は、その国の公子や王族である。
 信陵君と春申君に関しては前出の通りのリンク先で語る。
 そして残りの孟嘗君と平原君であるが、孟嘗君に関しては【第二〇計 混水摸魚】の「鶏鳴狗盗」の故事(リンク先工事中)同書庫の食客・馮驩の故事(リンク先工事中) で、平原君に関しては【第一二計 順手牽羊】の「嚢中の錐」の故事(リンク先工事中)で語る。


 呂不韋は秦が当時の天下で最大最強の国力を誇っていながら、これら四君に匹敵する程の名望家がいない事を恥じて、自らが同じように戦国四君に対抗して、三千人もの食客を集め養った。
 そして呂不韋は集めた大勢の食客たちに、各人が学び得て来た知識を書物に書き記させた。
 それらを編集して『八覧(はちらん)』『六論(りくろん)』『十二紀(じゅうにき)』等の書物を編纂した。
 これらの書で、天地・万物・古今の事柄全てを完全に網羅したと自負した。そしてこれ等一連の書物を『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』と名付けた。
 秦の国都・咸陽(かんよう)【※23】の市場の門にこの書物を並べて、その上に千金を掲げて見せた。
 諸国の論客を招いて僅か一字でも、足りない箇所を書き加えられたり、あるいは余分な箇所を削ったり出来れば、その千金を差し出そうと告知した。
 千金を実際に進呈された者がいたのかどうかは定かではないが、それはともかく、如何にも賈人(商人)上がりらしい、やり口が余りに露骨だと言えばその通りだが、これにより天下中から優れた人材を集めようとしていたのである。
 この逸話こそが「一字千金(いちじせんきん)」という故事成語の由来となった。
 意味は「一文字が千金に値する程の、立派で優れた文字や文章」「例えようのない厚い恩恵」である。また他者の作品を称賛する時の言い回しとしても使われる。





 ♙ 嫪毐を宦官に仕立てる

 呂不韋が秦の宰相(丞相)となってから年月も流れて行った。秦王政は即位当初の幼い身から、みるみる成長して成年に達していた。
 最早何も知らない幼子ではないのだが、それにも関わらず太后は、相変わらず呂不韋との関係を、一向に終わらせようとはしなかった。
 呂不韋は太后との密通が露見して、自身が破滅するのを避けようと、先手を打とうとした。
 嫪毐(ろうあい)という巨根の男を探し出して、一先ずは自身の舎人(しゃじん)【※24】とした。
 折を見ては自身の邸宅で酒宴を開き、大勢の招待客の前で、嫪毐を宴席の座興に出させた。





後続  故事其之壹 ─ 辛

「第一四計 借屍還魂」書庫の記事一覧

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呂不韋の最大もしくは根本的な失敗(畢竟後年自害に追い込まれてしまう)の原因は、この元囲い物の女であった政の母親だったかもしれませんね。


最初の誤算は、自分が「奇貨」と見込んだ前王が、この女は好きになり自分の妻にしてしまったこと。
二つ目はいつまでも自分を求め続けるこの女の淫乱性を甘く見積もってしまったことではないでしょうか。


いにしえより犯罪の陰に女ありといいますから、こうした国家的陰謀もかくなる面が基点となって瓦解していくものなのでしょう。

2012/11/3(土) 午前 3:05 [ 彩帆好男 ]

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おお!サイパンさんも私と同じ御考えでしたか。
そうなんですよ。呂不韋にとって最大の爆弾とも言えるのが、この秦王政の母親でしたね。
呂不韋にとっては正しく下げマンでした。別にこの女のおかげで出世出来た訳でもなし。

そして太后となった後も、執拗に関係を迫って来たから、さぞ困惑した事でしょうね。
キッパリ拒否したら破滅するでしょうしで・・・・・(ーー;)。


御指摘の呂不韋の二点の誤算は、これはもう予想外の不運なアクシデントとしか言いようがありませんね。
誰がこれらの事を、前以て予測出来ると言うのでしょうか?
だからこそ私は、完結編の≪癸≫の記事で、以下のように述べたのです。


>呂不韋の是非善悪を一律には決められないであろう。元から秦王政とは相性が悪く、反りが合わなかった事や、自身の破滅の引き金となった、嫪毐を後宮入りさせた事も、ある程度までは弁護出切る余地はあると思う。


本当にこれらの事は、出世を追い求めた代償とは言え、御気の毒様としか言いようがないです。
そして女って、本当に厄介で面倒臭いものだと・・・・・(ーー;)。

2012/11/3(土) 午前 10:54 ZODIAC12


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